どうやらきな臭い話が出てきた所にリアスが何かを見てしまった所から始まります。
それではどうぞ。
俺が契約の不備を突きそれが事実である事を確認した事でリアスの顔色が晴れ渡った。大方子の不祥事で結婚どころか婚約まで無しに出来るとでも踏んだのだろう。浅はかにも程があると思うんだが。
「それじゃあ、この話は無かった事に……」
「なるかよ。隠ぺいされて不備が無かった事にされるだけだ。こんな事でいちいち縁談を破棄してたら貴族がビビッて結婚できなくなるだろ」
俺がリアスの希望をあっさりとぶった切ると彼女はふてくされた態度で自分のデスクに戻る。揚げ足を執ると思っていたのだろうがそれ以上の事を見せてやるのが大人の仕事だ。
「しかし、こんな問題が出た以上は結婚式を延期にするしか無いだろう」
「それこそ馬鹿言うな。貴族の結婚式を延期できるなんてのは余程の事が無いと出来ない話だ」
ライザーの不安も俺はその場で切り捨て、何が出てくるのかを推論で突き詰め始めた。少なくてもこの婚姻を推し進める事で益の出る連中が居るのは明白だが、グレモリー家ではそれが出るのか怪しい。妻帯者の魔王が居るというのならその子供もグレモリー家としての継承権を保持しているだろうし。婚約者の家族もこれに関しては例外だ。旨味よりも醜聞が目立つ。醜聞を放置するほど腑抜けては本家を名乗れない。
ならどこが旨い汁を啜る?
少なくても分家は本家の目があるから難しい。親族の待ったんならどちらに転んでも本家が切り捨てる形で収まるからもしかしたら……。
こういう事は俺の得意分野じゃ無いから苦手なんだよな。バゼルザーク先輩やマクレノリス先輩なら訊けば応えてくれるか?
「こっちの方に貴族の事に詳しい連中が居るからそこと相談して対処法を考えるさ」
「それって大丈夫なのかしら?」
「問題ない。お前も顔ぐらいは見た事ある連中だからな」
俺はリアスにそう言って不安の払拭を図る。あの2人は間違いなく専門家と呼べそうな部類だ。罪状からしてもそこそこ知れた貴族5家を断絶させた犯人と、貴族のボンボン2人を獲物に詐欺を働いて奇麗に身ぐるみ剥いだ犯人。破談方法の一つぐらいは簡単に出せると思う。
それでライザーの方はというと。
「リアス、こんな事になったのは申し訳ないと思うんだが、お前と結婚したいという気持ちに嘘は無いんだ。それだけは分かって欲しい」
「ライザー……」
向こうは向こうで一先ずのケジメを付けてくれそうだ。しかしリアスは結婚をしたく無い事に変わりは無い。
だって、彼の後ろに居る愛人連中と書いて眷属と読む連中が2人を睨んでいる。
「それで支部長様はどうするの?」
俺の近くからトトリンがこの先の行動を問いかけてくる。彼女としては金も出ない仕事では動きたくない様子を見せている。
「基本的な動きとしては支部に戻って本部と連絡、幹部の先輩二人と協議して破談にするための作戦を立てるしか無いだろ」
「そうだな、我々としてもその先で無ければ支援の一つも出来ん」
ドーナシークは自分の当た名の中では破談に向けて思考を巡らせているらしい事を口にしている。
「他人の不幸を笑ってやるの、チョー面しれぇんだけどな」
ミッテルトはそんなドーナシークに賛同してクスクスと笑っている。
「みんなして他人事だと思って……」
「他人事ジャン?」
リアスが勝手な事を言いだした面々を非難しようとしたところを、ミッテルトにあっさりと肯定されてしまった。
「支部長は何か手を打とうと考えては、いるみたいだけどね」
南極はそういって自分は安全圏へと逃亡する。怒られるときはみんな一緒だよ? 一蓮托生だよ?
リアスとライザーの婚約の話に関して切り口が見つからない所に、意外にもグレイフィアから申し出があった。
「この場でこう言うのもなんですが、魔王様からこの縁談が纏まらなくなった際の手立てとしてライザー様のご眷属とお嬢様の眷属によるレーティングゲームにて結論を決めてはどうかと伺っております」
「ふむ、意外と使える手立てかも知れないな。俺達としても仕込みに時間は必要だし、ライザーの方でも問題の解決する手段は一つでも多い方が助かるだろ」
「そうだな、俺様が勝つか負けるかで結婚するかどうかが決まるなら、それも良いかも知れないな」
俺がライザーに話を振ると、彼も何らかの目的があるのか賛同してくる。だがそれをリアスが見逃すわけもない。しかしそのリアスは朱乃に抑えられて動けない状態になっている。
「レーティングゲームってヤツがどういうヤツなのかは分からないけどさ、何かの勝負方法なのか?」
「はい、様々なルールがございますが、この件に使用されるルールは下僕同士による総当たり戦、といった内容ですが特別ルールの下で行われます」
「なるほどねえ」
「正規のルールだと未成年は参加できないからな。貴族同士の身内でやるにはこれで十分だろ」
トリーがグレイフィアに質問すると簡単ながらも説明してくれる。そこにライザーも注釈を入れて補完してくれた。
端的に言えば1つの場所で行う集団戦と言った所だろう。まるで不良同士の抗争だな。
「下僕同士って事は、そっちはそこの女性達が関係してくるのかな?」
レーティングゲームの話に、南極が首を出す。確かにライザーの後ろに控えている女性陣はおそらく彼の下僕と言った所なのだろう。16人も居るとは華々しいものだ。
「ああ、全員、俺様の下僕だからな」
ライザーの放った一言は、イッセーにとって眩しくて遠い未来だった。彼の欲望が目指した未来形がそこにあった。