この暑さで今月の頭にパソコンが逝きまして。
幸いデータは何とか生きてたのですが、新しいパソコンの設定とデータの移し替えに苦労してました。何とか再開できて良かった。
それではどうぞ。
ライザーの声に呼応するミラと呼ばれた棍棒使いの少女に対して俺は即座に動いた。しかし相手の方がイッセーに近い。そう思った瞬間、イッセーの腹を手にしている棍棒で突き上げ、彼を逆さまにしては床にねじ伏せた。
参ったな、一瞬で片付けたよ。イッセーとはいえ駆け出しの素人が本気で武術に打ち込んでいる相手には勝てないか。
イッセーはそのまま相手に棍棒で突かれて床に転がったが、そこにアーシアが心配そうな表情で駆け寄り、両手から緑色の光を放ちながら彼のお腹に両手を添える。彼女の持つ神器『トワイライト・ヒーリング』は悪魔にさえ効果を発揮する治療特化の神器だ。その能力ゆえに堕天使に狙われ、リアスに拾われて隊長によって幹部にスカウトされた。
一撃で満身創痍となったイッセーにライザーが近づき、彼に耳打ちした。
「弱いな、お前」
その言葉が衝撃的だったのか、イッセーの貌にもそれが浮き上がる。
「さっきお前が戦ったのは俺の『ポーン』ミラだ。俺の下僕では一番弱いが、少なくてもお前よりは実戦経験も悪魔としての資質も上だ。それにブーステッド・ギア? はっ」
イッセーと自分の下僕の一人、ミラと比較してからライザーはイッセーの神器をコンコンと叩いては、鼻で嘲笑う。
「確かにコイツは凶悪で最強の神器だろう、やり方次第で俺はもとより魔王様や神すらも倒せる。お前の他には過去に数える程だが使い手は居た。だが未だに魔王退治も神の消滅も成された事は無い。この意味が分かるか?」
ライザーは嘲笑う。
「この神器は不完全であり、使い手も使いこなせない弱者ばっかりだったって事だ! お前も例外じゃない! こういう時、人間界の言葉では何て言ったっけかな……そうだ! 『宝の持ち腐れ』『豚に真珠』だ! フハハハ! そう、『豚に真珠』だ! お前のことだよ、リアスの『兵士』くん!」
愉快そうにペチペチとイッセーの頭を叩くライザー。
俺達異世界組は彼の放った言葉に耐え切れず、ゲタゲタと爆笑を始めた。その裏で俺達は気づいてしまった、神器そのものに関する重大な特記事項に。イッセーの件も、アーシアの件も、この事が起因しているのならその誤解は解消すべき重篤な事態だと。
「うんわ、ダッセッ! 神器を完全なモンと錯覚してたのかよ!」
「人間が不完全な存在だと分かってるのにソレは無いわ!」
俺とトリーは不完全である事自体の伸びしろを知っているだけにライザーの無自覚な偏見に笑ってしまう。
「アハハハ! みっともないわぁ~っ。完璧を他所に求めるその傲慢ぶり!」
露出狂の爆弾魔さえも引いてしまうその傲慢な態度にトトリンもクリスティーも苦笑している。
「それ以上焼いちゃダメだよぉ~。焼き鳥さんなんだからさぁ?」
「自己に無い物を他者に求めるのは止む無い事だが、知識ぐらいは己の頭脳に十分以上に蓄積すべきだ」
「なんだと貴様等!」
横から言いたい放題の俺達にライザーは怒り心頭で俺達を睨み出す。でも俺達を驚愕させたいなら殺し屋の殺意も混ぜないと難しいぞ?
当然、元とはいえども凶悪犯、彼等が敵意を向けられたら執る行動なんて1つしか無いんだけど。
ガシャッ!
あの3人の隊長はそれぞれ銃を手にあっさりと詰め寄ってはその顎下に突き上げて構える。瞬きの間にそれをやって見せるのが礼儀と言われるぐらい当然の事と言われている。
「くっ!」
「貴様にとっての不運は、実力の程を弁えない所か」
「売られた喧嘩はお買い上げしてあげるのがモットーなんだよね」
「串に刺してあげたかったなぁ~」
3人は言いたい事を口にしながらのん気に銃の撃鉄を挙げる。それを間近で見てしまった彼としては気が気ではなさそうに思えるんだけど、顔を僅かに引きつらせているだけで、動揺らしい感情は窺い知れない。
「貴族悪魔にこんな事をして、ただで済むと思ってるのか?」
「気にしてどうする? 人殺しが人を殺す事を躊躇するでもと思っていたのか?」
ライザーの言葉にクリスティーは鼻で嗤う。そして他の隊長に声をかける。
「ヤツが火を噴く前に距離を取れ。あの種族であれば再生には猛火を必要とするぞ」
「「アイサッ!」」
クリスティーの指摘に二人は呼応し、ライザーは歯噛みする。