フェニックス家とグレモリー家の間での婚姻に水を差したカケカケですが、果たしてゲーム版をひっくり返すだけの手段はあるのでしょうか。
それでは、どうぞ。
「結婚をかけてのレーティングゲームかぁ~っ」
ライザー達が急用で帰宅することになって場が白け、リアス達も部活を切り上げてしまった。その為俺達の方も異世界支部へと帰還することになった。俺は異世界支部に戻ったその足で支部長席の椅子に座り、溜息を吐く。
「どうやらチーム戦みたいだけど、あの連中とあの子達じゃ、実力差が有り過ぎるわよね。少なくてもあの反則級の再生能力を理解してないと勝ち目なんてないわよ」
トリーは支部長の机に寄りかかりながらどうした物かと戦略を巡らせている。しかし日が浅いとはいえプロが相手では高校生には荷が勝ちすぎる。まして再生能力に優れたフェニックスの血脈とあっては勝ち目も薄い。
「でも勝たないと嫌な相手とあの娘が結婚しなきゃいけないんだよねぇ」
南国はそう言ってトリーとは反対側の位置に腰を寄りかからせて気まずそうにしている。そんな所に居るはずのない男の声が物を語り出した。
「ならばダークネスの流儀でその結婚自体を破談にすれば良い。なに、ダークネスにはその手のノウハウも実績と共に蓄積されているのだから、多少の難題は歯牙にも掛けんさ」
何故か支部長室の応接間セットの一人掛けソファの一つを占拠しているバゼルザーク先輩が解決策を打ち出してきた。右手に持っているワイングラスがなんとも憎たらしい。
あれ~? 何でアンタ此処に居るの~?
「そうねぇ、気の好かない相手との結婚なんてのは、政略結婚でも大変よぉ? どちらかを傀儡にしておかないと長続きしないって話があるくらいだから、ねぇ?」
マクレノリス先輩はクスクス笑いながらワイングラスを傾けている。その横ではリバーサル先輩が何故かシェイカーを振ってる。板前の格好でシャカシャカと振っているシェイカーのコレジャナイ感が半端じゃねえ。
「カ~ッ、結婚詐欺師の台詞は一味違うねぇ、オイッ」
「姐さんの言い分は正論だろ?」
しかもリバーサル先輩の目の前で何気にカランと氷を浮かべた琥珀色の液体の入ったウイスキーグラスを傾けるザクトベリガ先輩。その横では『オーガキラー』と書かれたラベルが貼られた酒の瓶をラッパ飲みで煽るジャベリン先輩。
「皆さん、何気なく犯罪計画を立てないでください」
バゼルザークの傍のソファに行儀良く座りながら小言を言うポーラさんの姿もある。彼女は未成年だからオレンジジュースを飲んでる様だ。
どうしてダークネス幹部が勢揃いしてんだよ。イッセーとアーシア以外は本部で仕事してんじゃなかったのかよ。
「ポーラさんはこの連休で学校が休みだから問題ない。他の面々は全員仕事上がりの有給休暇で今日から2週間は休暇を楽しめる訳だがね」
俺の疑いの眼差しに気づいたのかバゼルザーク先輩は簡単に事情を説明してくれる。
「単に異世界支部の視察でもと来たわけだが、なかなか胸の好く様な、魅惑的なイベントに遭遇している様だ」
「んっ、でもさぁ、アタシらが気ままに摘まんで良い話じゃねえだろ?」
「莫迦ね、こういう時こそ、足の付かない私達の出番じゃ無いのかしら?」
「ヘッ、ちげぇねえ」
おいおい、部外者が何勝手な事抜かして盛り上がってるんだよ。流石にマズいだろ、俺の体面的にも。
「ちょっと待ってください皆さん」
ポーラさんがさすがにと口を挟んできた。そいつらに言ってやってくださいポーラさん!
「こういう事はキチンと計画を立てて確実に達成出来る形にしないと助けられるものも助けられなくなっちゃいますよ!」
ポーラさんの一言で俺がすっこけた。止めに来たんじゃ無いんかい!
「アンタもそっち側かぁ!」
「何を言ってるんですか、時渡さん。結婚は女性のあこがれなんですからそれを壊す以上、不幸になるのは悪い人だけじゃないと駄目なんですよ!」
隊長の影響が入ってねえか? いや、あの方だったら『邪魔立てする者に遠慮は無用』と押し退けてやり遂げる前提で動くか。
子は親に似るというが、育った環境が過分に影響することを俺はここで思い知らされた俺だった。しかし彼女の言葉を聞いて動くのがバゼルザーク先輩となるわけで。
「なるほど、委細承知しました。万難を排す方向で全てを計画してみせましょう」
「お願いします」
「待ちやがれ、ど畜生」
目の前で進んでいく悪だくみに俺の口が思わず出てしまう。