悪だくみの打ち合わせが始まったカケカケサイドですが、どこまで形になるのやら。
それではどうぞ。
制止を掛けた俺に対してポーラさんとバゼルザーク先輩は俺に注目する。しかしその表情はマヌケな物でも見たような脱力感が垣間見える。
「時渡さん」
「良いかね? こういう期限が切られた問題に関して、時間は有限なのだよ、取るに足らん遅延を見過ごせばそれが重大なミスに繋がる。なら我々は迅速に戦略を練り、作戦を実行し得る物にせねば全てがご破算となるというものだ」
俺を説得しようと口を開いたポーラさんを遮り、百戦錬磨の詐欺師がその口を開いてきた。やっぱりのインチキ叔父さん登場。
「何が言いたいのかは知れているがとかくは言うまい。必要なのは敵対勢力に対する確実な勝利への盤石な布石にある。貴様の言う少年少女がまがいなりにも億が一に勝利する条件を整えられると思うのか?」
「無理っすね」
「ならば我々は表と裏の多重作戦を敷いて敵を翻弄しつつ確実な勝利を手に入れねばなるまい。卑怯卑劣と言うなよ? 実戦では卑怯も卑劣も当然の礼儀だ」
「礼儀なのかよ」
「そうでなければ自分の望むものを賭けて負け戦などする道理は無いぞ? 勝てば官軍、負ければ賊軍、戦とはそういうものだ」
「そうなんスか?」
「だから我々は部外者としての一戦力を投入し、確固たる勝利の一翼を担う必要があるのだよ。敗北者が勝利するために」
「負け確定にして……って、プロに勝てるほど強くねえモンな連中」
「だからこそ、外野の方で勝負を決する必要があるのだよ、分かるかね?」
バゼルザーク先輩はそう言って俺に挑発的な視線を向けてくる。悔しいが相手の言うとおり、リアスが勝つには場外乱闘で勝負そのものを台無しにしなければ勝てない。
本格的にイッセー達グレモリー眷属の特訓とリアスの結婚破談作戦が議論され夜討ちしているそんな時、俺の携帯電話が呼び出し音を奏で始めた。俺はすぐにそれを取り出し、電話に出た。
「はい、もしもし?」
『夜分申し訳ない、時渡君の電話ですか?』
電話口から聞こえてきた声は放課後に聞いたあの男の声だった。早速関係者に話を持ち込んだんだなと俺は理解し、話を続けた。
「基本、俺しか出ないから普通にしてくれ」
『そ、そうか、あの放課後に話した件なんだが、詳細が決まった』
電話の相手はライザーで、どうやらリアスの結婚を賭けたレーティングゲームの詳細が決まったらしい。ひとまず準備期間とハンデとしての訓練時間を加味し、開催は10日後に駒王学園の旧校舎にグレモリー眷属が集まる話になったという。ライザー達フェニックス眷属は新校舎の生徒会室だそうで、試合前の挨拶は出来ない様だ。ハンデの期間中は両者の接触も無しという事で決められたとの事。
また、俺達組織側の連中は見届け役として俺とトリーが魔王様とかいうヤツと観覧席に集合することになった。これについてはリアス達を見送ってから来ても構わないという。
『……とまあ、大体はそんな感じに決まった。この事はリアスにも話してある』
「なるほど、そのことに異論はない。それでフェニックス家の問題の件はどうなってるんだ?」
『そっちは色々と芳しくないな。親父達も問題は理解しているみたいなんだが貴様の言う通り、日にちの変更はしないと言っていた』
電話口のライザーの話ではやはりと言うか何と言うか、俺の予想通りの展開を踏んだという話だった。
「構わないさ、想定の範囲だ。むしろそれだけの時間が稼げれば上等だろうさ。フェニックス家の調査だって出来る」
『俺に向かってそういう事は言うモンじゃないと思うぞ?』
彼はそう言って少しばかり困った様な口調を漏らす。疚しい事でもあるのか? 貴族なんだから疚しい事の1つや2つは飲み込めよ。貴族様が立ち行かないぞ?
「じゃあ、別の話にしようか。フェニックス家の分家の情報が欲しいんだけど、教えてくれないか?」
『それは構わないが、結構な量が有るからデータで送りたいんだが大丈夫なのか?』
「大丈夫だ。この電話を切ってから送信してくれればデータがこっちに届く様になってる」
『組織だけあってかなり設備が充実しているな、羨ましいぞ』
「何ならお前も紙切れ一つで次元空間を超えてみるか? 心臓バックバクでおっかねえぞ?」
あっ、やべっ! 失言した。
『ほぅ……、裏で流れている、噂の異世界から来た連中とは貴様の事だったのか、なるほどな』
oh、情報の裏どりをされてしまった。調査部隊に所属していた俺が素人にしてやられるとはうかつだった。