司令からの命令で接待の仕事をする羽目になったカケカケは、ここぞという機会を得てしまったために暴走します。どこまで暴走できるかは誰も分からない。
それではどうぞ。
リアス達が修行をしているこの10日間の途中で俺はふとしたことを思いつき、実行に移す事にした。無論、下地にはある計画が有っての話だ。
幸いにも計画の要の1つである南極はもう冥界と人間界を隔てる検問をかく乱する任務を終えて異世界支部に帰還していた。そして俺と連絡を取り合い、俺は彼女の待つ異世界支部へと帰還した。
「ただいま~」
「おかえりなさ~い、あ・な・た♪」
支部の玄関を開けた俺を出迎えてくれたのは、逆バニー姿の南極だった。腰にガーターベルトを巻いてストッキングをベルトで吊り上げ、ロンググローブを承着したその姿はなかなかどうして魅力的である。リアス達ほどではないが十分に整えられた胸部装甲も堂に入っている。
慣れって怖いよな。
「食材の方はどうなってるんだ?」
「朝どれ新鮮野菜と港で買い付けた魚介類で万全よ。調味料は支部にある分でも十分に賄えると思うんだけど」
「それは良かった」
「でもさ、そんな事してオーケーなのかな? 私としては自分の趣味に没頭できるのは大歓迎だけど」
「招待するヤツの方だって普通に考えれば出来たモンじゃねえからな、こういう機会がねえと知らねえままに悪魔の生を無駄に過ごしかねないだろ?」
「そういう事かぁ♪」
俺の説明を聞いて南極は悩みが解消されたのかその顔に笑みが浮かぶ。俺の言う通り、冥界の眷属と言うシステムの都合上でアイツはこういった催しに招待するには命がけとなるだろう。女の嫉妬ってのはとかく恐ろしいモンだし、俺だって命は惜しい。
そしてこの事を本部の司令にも相談したところ、ゲスト枠をもう一つ用意してくれと言ってきた。その代りにこのイベントの費用は全部司令持ちで、前金に100万もの金を振り込んできやがった。
おかげでいろんな所がグレードアップし、タイやマグロや馬刺しの新鮮な所やら、アワビの大きい奴まで買い付けに成功した。敷物もただのブルーシートから、手加減なんて知るかの赤絨毯をご用意。そこにドカ座りする予定なんだぜ? ワイルドだろぅ?
しかもテーブルは適当な座卓のはずが金持ちもかくやの天然木の長テーブルに、これが司令のポケットマネーから出てなかったら、俺は会計士と副支部長からの正座でお説教ダブルゥ~が待ってたんだよな。
いや、会場が会場だからリアスと言う危険人物の落とす特大の雷が降り注ぐ修羅場に出くわすのかもしれない。
……ちゃんと考えるとすでに俺達は地獄への階段を歩いているのかもしれない。引き返すという道を失った一方通行の地獄へと。
「とりあえず、アイツに電話だ」
ひとまず俺は先日に知ったライザーの電話番号に電話する。勿論個人の携帯電話に。ツーコールぐらい呼び出し音が鳴った所で相手が出た。
『もしもし?』
「ライザーか? 俺、時渡だけど、今日の昼にやるから場所は駒王学園旧校舎の屋上を確保してあるぞ」
電話の相手はもちろんライザー。対戦前のご挨拶てヤツを兼ねてご招待するんだよ。
『昼飯を屋上って、何をやる気だ貴様は? 弁当とか言うんじゃ無いだろうな? それにリアス達の特訓はどうしたんだ?』
「そこはお前も納得できるものを用意させてもらったから心配するなよ。それと一人で来てくれ。くれぐれも眷属連中を連れてくるなよ?」
電話越しに当惑しているライザーに対して念入りに一人で来るように伝えてからおもむろに電話を切った。
「支部長、仕事は分かったけどさ、……ホントにやるの? 私は良いけど後が怖いよ?」
「構いやしねえ、全部俺と司令のせいにしろよ。異文化交流と異世界交流の旗印は伊達じゃねえんだよ!」
事の重大さに気づいて怖じ気付いたのか南極が恐る恐る確認してきた。俺はそれに対して全面的に悪いのは俺と指令だと断言してねじ伏せる。そうだよ、全部俺達2人が悪いんだよ。そういう事にしないとこんな事出来ねえんだよ。