番外編も終わって本編のリアス達の特訓に戻ります。
それではどうぞ。
第128話 夕方前なのに満身創痍です
本部の司令からの依頼を遂行して異世界支部に戻った後、イッセー達の指導のためにリアスの別荘へと戻ってきた。そこで見た光景は、まさに屍累々だった。リアスは頭から湯気だか煙を立ち昇らせながらテーブルに突っ伏し、その横でアーシアが椅子の背もたれに体どころか頭まで預け、イッセーに至っては床にうつぶせになって倒れていた。
「どうなってるんだ?」
「うむ、時渡か。任務は終わったのか?」
目にした惨状に戸惑う俺に対してバゼルザーク先輩が問いかけてくる。
「いや、任務は……って、何で知ってるんですか? 本部直々の任務なんすけどォ?」
「通信を盗み聞きしていただけだ。紳士のたしなみだよ」
俺の疑問符に知れッと答える先輩。その涼しげな顔からは悪びれた様子など微塵も見当たらない。
「おう、テメェもこっちに戻ってきたのかよ、仕事の結果なんざ、たかが知れてっけどな」
リバーサル先輩も姿を現し、俺に声をかけてきた。何か見下してる目を向けてきてるのは気のせいだよな?
「料理で遊ぶのは戴けねえが、ああいう事ならしゃあねえのかもな」
「ご理解いただけて何よりです。それでコレってのは一体?」
俺は彼等に対して目の前の惨状の説明を求める。すると他の先輩達もぞろぞろと出てきた。
そして話としてはこうなるという。
木場の修行
グレモリー眷属の騎士である木場を担当するのはリバーサル先輩。理由はただ一つ、剣術を熟知してるのが彼だけだったから。
「まあ、俺が教えるのは剣術って処じゃねえからそう肩肘張るこったねえぞ。だけどよぉ、一端の剣士を名乗るってんならコイツぐれぇは出来て貰わねえと困んだわ」
リバーサル先輩はそう言って木場への修行を口頭で始める。
「剣術だろうが何だろうが、大概の武術ならコイツが出来ねえと話にならねえ。そのうちの1つが相手の動きを先読みする目と耳と肌だ」
「目と耳? それと肌……ですか?」
「おうよ。そいつが育ってねえと振り回す剣は全部が後手の動きになっちまう。後の先手が取れてもその手は相手に軽くあしらわれて……」
リバーサル先輩はそう言ってからおもむろに自分の首に手刀を当ててみせる。それだけで彼が何を伝えようとしているのか木場には理解できたのか軽く頷いて見せた。
「そういうこったから、目で見る音を聞くってのは意外と重要になってくる。相手の剣が切る空気の音、相手が踏み込む際の足の音、挙句には力を入れる時の呼吸の音、それだけでも耳に出来れば、テメェがどう動いたもんかは直ぐに判っちまうんだ。振り回す腕の動き、相手の視線、何を狙って見据えているのか、そういう目の動きってのも見る分には重要な戦略になるんだよ」
リバーサル先輩の講義を木場は一言も逃すまいと聞き入っている。しかし相手はそんな事も気にせず、次の行動に出た。
「講義はこんぐれぇにして実戦だ。さっさと物にしろや」
「はぁ?」
「頭で理解しても、体で出来ねえと意味がねえんだよ。オラ、さっさと準備しやがれ!」
リバーサル先輩に囃し立てられた木場は大慌てで魔剣創造を駆使して剣を作り出し正眼に構える。対する彼はその構えを見て微かに口笛を吹いてはその手に竹刀を出現させる。
「おっしゃぁ! 行くぞぉ!」
リバーサル先輩の掛け声が発せられた十秒後、剣を折られた木場が地面に転がっていた。
「ケッ! その程度で剣士を名乗るったぁ、いい度胸してんなぁ? やって行けるのかよ」
「くっ、くうぅ……」
さすがの木場も、正面から竹刀で滅多打ちにされては歯が立たないというものだった。修羅場の数も倍以上違うのでは無理もない話だけど。
「誰だかに剣の基礎を教わったみてぇだけどよぉ、持つ剣の種類が違うみてぇだな。それと妙に脱力すんのは、速く動く事に特化してぇのかぁ?」
さすがは元賞金稼ぎの死神職、相手の動きで色々な事を読み解いてしまう。剣士としての場数も相当に隔たりが有る様だ。
俺は話を聞いて木場の苦労を知りながらも内心で呟いてしまった。相当手加減してるな、と。