女性陣が騒ぎ出した所で時渡達の覗きが妙な変化を始める、逝くのか引くのか、分からない所です。
それでは、どうぞ。
まさに浮き輪のように温泉に浮かぶ南極を目の当たりにしたリアス達グレモリー眷属は完全に言葉を失っている。南極自体は空気人形の付喪神、ダッ〇ワイ〇だから浮かぶのは必然だけど、初見だと衝撃的なんだよな、アレ。
「な、何で沈まないのよ!」
「なんでって、ビニール風船だから」
「体重は無いって事ですか?」
リアスの狼狽を他所に、表面だけは冷静そうな小猫が南極に問いかける。この質問が何を意味するのかは分からないけど、彼女達には何かが有るのかもしれない。
問われた南極は少しだけ考慮する所を見せた後、にんまりと笑って見せた。
「……体重計、仕事してくれないよ?」
南極の思わせぶりな返答に、アーシアを除くグレモリー側の面々が身体に衝撃が走ったかのごとく伸び上がりそのまま硬直してしまう。その為にその体を隠していたバスタオルがハラリと舞い落ちて、奮いつきたくなる身体が露わとなった。
ブバァァーッ!
あまりにも芳醇な実りを披露するその身体にイッセーが鼻血を吹いたか俺は大慌てで彼の頭を下に向けさせて発覚を回避する。おうおう、遅れて謎の光と湯気が大慌てで仕事を始めたぞ。まったく……神々しいじゃねえかよ、堪んねえだろオイ!
とりあえず今の距離は、木の枝の根元伝いに飛び跳ねてきたためにようやく6メートルまで接近した程度だが、悪魔の視力はこの距離なら大まかな部分で個人識別ができる程度には明瞭に見える。しかし付いて無いモンは見えないんだよな、南極。
ここでようやく我に返ったリアスが南極に詰め寄り、その肩を掴んではゆすりまくる。
「その体重、私に寄こしなさいよ!」
「無理!」
「部長、無いものねだりはいけませんよぉ? それよりも、それ以上太らない方がよろしいかと思いますわぁ」
「何ですってぇーッ!」
リアスが口を挟んできた朱乃に対して向き直り、禍々しいオーラを立ち昇らせる。何でそっちで戦争が勃発してんだよ!
露天風呂に向かって緩慢に進軍する俺達にとって、このまま露天風呂に接近するのは危険すぎると俺は即座に判断して先輩にハンドサインで『停止』を促す。しかし彼女は俺に容赦無いハンドサインを返してきた。
『問答無用、進軍せよ』と。
それを見て俺は即座にハンドサインを交えて顔を左右に振ってまで『行きたくない』と返す。しかし先輩は横暴だった。
ただ単純なハンドサイン、『逝け』と。
せめて人差し指で露天風呂を指差して! 親指を下に向けないで!
俺のうろたえぶりを見た木場とイッセーは、その顔から血の気が引いていた。そんな顔をしてないで加勢してくれ、マジであの先輩は俺達を逝かせる気なんだよ!
俺は改めて先輩に向けて命令拒否の態度を執る。背中から壁に張り付くしぐさと顔を左右に振ってみせてまで。そこまでやれば作戦の切り替えを判断すると、誰もが思うんだよ。
でも、先輩は鬼が付くほどの極悪なんだよ。親指を下に向けて伸ばした拳を、力を込めて振り下ろすんだ。『逝ってきやがれ!』と。
そんな樹上の押し問答をしている俺達の眼下では、リアスが朱乃を敵認定している最中だった。
「朱乃、分かってるんでしょうね」
「あらあら、つい本音が。でも部長、女としての努力を怠ってはいけませんわ」
激怒しているだろうリアスに対して朱乃は飄々としている。あの見事なプロポーションを保つんだ、並々ならぬ努力なのだろう。
「座った時、テーブルの上に乗るのは胸のお肉だけで十分ですわよ? お腹のぜい肉は乗せてはいけませんわ」
「いつ私が、そんな有りもしない物をテーブルに乗せたと言うの! 冗談でも口にするものでは無いわよ!」
「……乗らない程度には有るんだ、ぜい肉」
「ぜい肉なんてあげたいぐらいよ!」
「ぜい肉ください!」
リアスの自棄になってはなった暴言に、南極が便乗しては真顔で右手を差し出す。ビニール風船がぜい肉を求めてどうするんだよ!