ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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明けましておめでとう御座います、バグパイプです。

新年の最初の話はとりあえず良さそうな物をと。

それでは。どうぞ。


第138話 空気人形は命を懸けて頼み込む

 別荘のリビングに到着した俺達を待っていたのは、他でもなく露天風呂から殴り飛ばされたはずの南極だった。

 

「……お前、塔城に殴り飛ばされたよな?」

 

「人生リセットボタンなんて、人間じゃないから関係ないよ?」

 

 疑問符を浮かべる俺に対して南極はぬけぬけとした言葉を吐いては首を傾げる。でもすぐに首を戻し、真剣な目を俺に向けてきた。

 

「支部長、ちょっといいですか?」

 

 彼女の放った言葉ももちろん、その声音は普段の彼女とは違って明るさもトーンダウンしていて落ち着いている。彼女の声を聴いて俺は何かあると察知して向き直った。

 

「俺に用なのか?」

 

「ここではちょっと」

 

 彼女はそう言って先輩に一言断ってから俺の部屋に向かい、そのまま部屋に入ってきた。彼女の身に漂っている雰囲気が普段の者と違うだけに妙にドキドキする。しかも今の彼女の服装はあの隊長に言われて着せられている様な裸サスペンダーにホットパンツ、そしてニーハイのストッキング。その上にあの黒いコートを着て真紅のベレー帽まで被っている。ダークネスのあの隊長が渋々譲歩したあの格好だ、2人の間でどんな喧々轟々な口げんかが交わされたのか想像に難くない。でも隊長なら拳1つで何でも破壊して見せるかもしれない。

 

「それで用ってのは……」

 

 俺が用件を尋ねようと口を開いたところで、彼女は不意にその場に片膝を着いた。俺がそんな彼女に対して呆気に取られて言葉を失ってしまった。どういう事? そんな戸惑う俺に対して口を開いた彼女の言葉は俺の予想さえも超えていた。

 

「私共、南極隊一同は時渡様をダークネス幹部として承認しました。付きましてはその直属に排して戴きたく恥を忍んで参りました」

 

 恥を忍んでという部分が理解出来ないけどダークネスの一部隊として幹部の直属になるのはある種のステータスとも言えるもっともな話だ。南極はそうまでして俺の下に着きたいって事を幹部達は承知しているのか?

 

「そんなこと言って、他の幹部とかは大丈夫なのかよ」

 

「問題は有りません。一時預かりとしてジャベリン様の配下にして戴いていたので、任意で離脱出来る状態です。また、幹部纏め役のポラリス様も『幹部に直属の配下が居ないのは申し訳無く思うので宜しくお願いします』とのお言葉を戴いております」

 

 他の幹部から文句が出ないかと心配すると、彼女は切り札に近いものまで持ち込んでいた。幹部纏め役からの認可は隊長が黙認するのと同じぐらいの突破力がある。ダークネスの中でなら他の部隊が何を言っても補佐官や副司令が認めたからと押し通せるぐらいに黙らせる力がある。

 

 だからと言って俺の下に着くのかと思うと……困るだろ、露出狂なんて。拒否権、発動出来ねえかなぁ。

 

「……無理を承知の直訴、何卒聞き入れて戴きたく!」

 

 南極の縋るような悲痛な声に思わず顔を顰めてしまうが、解らない話でもない。幹部候補にまで上り詰めた実力者を直属の配下にする事の危険性はダークネスの者なら大抵のヤツが理解している。下手すれば下克上の憂き目に晒されている状態で生活をする事を強いられるのだから気が気でなくなる。

 

 その反面、配下に収まるヤツも面目が立たなくなるからその事に耐え忍ぶ忍耐を求められる。しばらくすれば噂も消える様に他のダークネスの面々も直属を認めてくれるだろうけど、それまでの期間が真剣に辛い。

 

「俺が断るという返答は考えないのか?」

 

「無論、私は自害さえも覚悟の上です。まして私の部隊が活かせるものと確信した上での南極隊総意です」

 

 まさかの一命をとしての直訴と聞いて俺は思わずたじろぐ。まさかそこまで思い詰めていたなんて思って無かった。彼女は今自分の意志で自分の命を天秤に乗せただなんて。……付喪神って自殺なんて出来たっけ?

 

 この行為を、この縣命を……俺は。

 

「……分かった。その直訴を受け留め、俺の直属に任命する」

 

 俺は南極隊を受け入れ、直属の配下と認めた。そして隊長から聞かされ続けてきたあの言葉で発破をかける。

 

「泣き言は聞かねえ!」

 

「ハッ! しかと受け止めて戴けた事、感謝いたします!」

 

 南極の返答によって、俺の最初の直属の部隊は南極隊となった。この任命に書状は無いが、隊長の号令で認められてしまう。ダークネス内部の人事権は隊長が握っていると言っても過言ではない程、ダークネスの人事を把握しているから。加不足分はバゼルザーク先輩が把握しているけど、隊長に口出しはまともにはしない方だし。

 

 何かを忘れている様な気づいて無い様なモヤモヤしたものを感じながらも俺は自分の直属部隊の誕生と、名実共に幹部として認められた喜びをかみしめる事にした。

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