ハイスクールD×D 2人の竜戦騎   作:バグパイプ

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お久しぶりです、バグパイプです。

 一か月も間が開いて済みません。何とか隊長を取り戻して投稿します。

それでは、どうぞ。


第141話 それぞれの夜、新人幹部の心労

「イッセーに関しては技が完成したところで考慮するしか無いだろうな。なまじ有能な技だけに悩ましい部分は有るが」

 

「マジで丸投げとかウケる」

 

 バゼルザーク先輩の結論に対して、その金髪を揺らしながらミッテルトがケタケタと嗤う。

 

「仕方ねえだろ。レーティングゲームなんてのはコッチには無いからな」

 

 俺はそう言って肩を竦めてみせるとミッテルトは首を傾げる。

 

「今日の会議はこれで良いか? 他に議題が無ければこれで解散にする」

 

 バゼルザーク先輩は幹部を見回して会議の終了を口にする。修行の内容については概ね初日のままという事だろう。それほど厳しい内容を課している訳じゃ無いからな。

 

 こうしてダークネス幹部の会議を終わらせて解散した後、ちょっとした冒険心で1階を回る事にした。するとなぜか南極もついていくと言い出し、2人で廊下を歩くことにした。

 

「さっきのは驚いたな、まさかお前が俺の下に来るなんてのは」

 

「普通なら幹部候補同士で喧嘩、ですから」

 

「幹部候補同士で殺し合いでもするのかと身構えてたけどな」

 

「私の忠義は時渡様に預けました。それに私には時渡様の強さが見えますよ。ダークネスの各部隊長では歯向かう事もままならない、幹部としての力量が」

 

 南極の言う通り、幹部と一般隊員の間にはかなりの実力差がある。俺が言うのもなんだけど、一般隊員は音速に届く移動速度を獲得しているが、幹部は光速には届かなくてもそれに近い亜光速までの速さを獲得している。光速の域に届けば神にもなれると言われている超高速領域だけど、音速の壁や高速の粒子と阻む壁には事欠かないので実力の判断基準の1つとして知られている。

 

 そこに輪をかけて幹部の座は実力でもぎ取るものだ、というあの隊長の教えが極解されて闇討ちは当たり前の世界と化している。俺はこの世界に来てから幹部になったので襲撃は受けて無いけど、あの幹部6人は容赦無い襲撃を全て返り討ちにしている。ポーラさんは一度に5部隊30人からの襲撃を受けても瞬時に撃退した猛者中の猛者で、ダークネスの中では他の5人と共に伝説の幹部と化している。

 

 どういうカラクリでそれを成したのかは俺は知ってるけど、アレはガチで反則だ、時間停止並みの反則技。対抗できるのは多分副司令と隊長の2人だけかもしれない。同じ幹部のアーシアが覚えられたら出鱈目に強力なんだけど、無理だよな。

 

「それに他の部隊がどう出るか」

 

 南極の言葉に俺は思わず意識を戻す。たしかにクリスティやトトリンはどう出るか。

 

「クリスティは向こうに戻りたがってたから、気にするほどじゃ無いかもな。ただ……」

 

「トトリン、ですね?」

 

 俺の言葉を繋いで南極が不安を口にする。彼女に関しては着かず離れずの態度を見せているだけに俺には裏の顔が読めない。リバーサル先輩に相談すれば何か解るかも知れないけど、そこまで説明してくれるかどうか。

 

「私が言うのも妙な話ですが、彼女は相当食わせ者ですよ? あの見た目で400歳は越えているとか」

 

「合法ロリより酷くないか?」

 

「彼女も付喪神ですよ? ですが何の付喪神なのかまでは判明してません」

 

 俺は彼女の漏らした『正体不明』という言葉に驚き、彼女を見据えてしまう。司法庁の囚人が身元不明はあり得ない。司法庁の職員によって徹底的に正体を調べ上げられて収監されるのが魔界の常識だ。正体の秘匿なんて出来る筈が無い。各司法庁には裁判官に相当する閻魔が居てその部下となる獄卒が調査を遂行し、刑務官までこなす。その調査体制だって獄卒が1人や2人でこなすわけがない。

 

「……よく、あの隊長が認めたもんだよな」

 

「他の部隊から聞いた話では元ジャクラウスの準幹部という話が聞けました。おそらくはその線から成りあがったのではないかと」

 

「……囚人じゃない?」

 

 南極の報告から俺は推論を口にする。書類の改竄と彼女の身分が妙に釣り合わない。隊長格の実力が有るのは理解できても、異世界派遣への片道切符に乗れる信用が理解できないからだ。

 

「私の知る限りでは違います。ジャクラウスの落日にも居なかった様で、どこの司法庁の囚人リストにも名前が有りませんでした」

 

 ジャクラウスの落日、ダークネスの古株連中では伝説のように語られている隊長達の凋落譚だ。その落日に参戦出来なかった犯罪者はその当時は諸事情でお目こぼしになったとされている。そのうちの一人があのゾルだ。まさかトトリンもそうだったというのは妙に考えにくいけど、俺の知らない裏の顔というヤツか。

 

「いやな予感がするな」

 

「『蚊』を飛ばしますか?」

 

 南極は『蚊(か)』を出動させるかどうか、俺に問いかけてくる。蚊というのは単純に特定の対象に対する監視役の事だ。だがそれも多分遅きに失したと思う。ちなみに尾行役は蠅(ハエ)と言う。

 

「いや、他の幹部が何も言ってこないなら、そこまでする事も無いだろ」

 

「ダークネスなら無暗な慢心は足元を掬われると言われてますが」

 

 俺のなあなあな対応に南極が口をとがらせる。そんな彼女に肩を竦めながら俺はふと周囲に視線を向ける。どうやら大きな窓越しに緑色が見える所からして中庭に面した場所に出てきたようだ。

 

そして、その中庭の方から2人の少女の声が聞こえてきた。

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