特訓2日目に突入する所から始まります。カケカケは無事に交渉をする事が出来るのか、またリアス達は幹部達に振り回されてしまうのか。
それでは、どうぞ。
翌日の朝、リアス達グレモリー眷属と俺達組織の連中が顔を揃えて初めて摂る朝食……、それは阿鼻叫喚の地獄絵図と言えた。
驚くほど良い意味で。
「……っ!」
朝食のおかずの一品である鮭の切り身を一口食べた小猫の背筋がピンッ! と跳ね上がったのをきっかけに始まったんだ。
「こ、これは……凄いですね……」
真剣な眼差しでシジミの味噌汁を見据える木場と珍しく目を見開いている様な朱乃の驚愕の表情、イッセーなんかは美味い美味いと飯を掻き込んでいる。
だが幹部たちの反応は実に淡白だった。
「ほぉう、腕を上げたようだな、リバーサル」
「日々の努力の賜物だ、驚く事もねぇだろ」
バゼルザーク先輩の誉め言葉に対してリバーサル先輩は素っ気ない反応を見せる。
しかし、ヘルシーさ重視のサラダのドレッシングに甘辛系の甘めのヤツは朝から喰わせる気満々じゃないかと思う。ちゃっかり鳥のささ身を茹でで細切りにしたものを乗せてるし。昨日のポテトサラダもアイスを掬うスプーンで丸く仕上げてるし。
そして食卓の変化はアーシアの漏らした声から始まったんだ。
「はうぅ、お食事が美味しすぎますぅ~っ」
「美味しいだけじゃ有りません、体が喜んでいます」
動揺しているアーシアに対して味の探究者小猫が意外な物を料理の中から発見する。そう、この料理には滋養強壮の容赦無い技術がこれでもかと盛り込まれている。デザートに添えられたバナナでさえカリウム豊富な即効エネルギー食材だ。
それをヘルシーなメニューで偽装する腕はまさに一級料理人リバーサル先輩。目の前のヘルシーさに騙されてリアス達は高たんぱくバランス栄養食をパクパク食っていくぞ。
そして微妙なしかめっ面で食卓を睨むリアスの姿が在った。
「……どうしてウチの実家のシェフが作る料理より美味しいのよ」
「グレモリー、ウチの先輩は王宮料理人だったんだ、貴族階級と比べるなよ」
「そんなのどうでもいいっすよ! とにかくメシが旨いのなんのって!」
俺がリアスを突き放しにかかった所をイッセーが余計な一言で彼女を轟沈させてしまった。
そして俺は、いつの間にか来て食事にありついているトリーに目を向ける。
「……いつの間に来たんだ?」
「ん? 今朝未明」
「昨晩は行方不明だったのに?」
トリーの返答を聞いた南極はそのまま疑問を口にした。そういえば昨日の夜、姿を見てなかったな。
「本部からのお呼び出しで向こうに行ってたのよ。カケカケへの制裁の報告も兼ねて」
トリーはそう言ってからポテトサラダを抓んで口にする。俺も腕組みをしてなるほど、と相槌を打ちながら、横から出された鳥のささ身を口にする。そして俺が咀嚼を終えるとタイミング良く次の物としてご飯を抓んでいる箸が出てきた。
「……どうしたの?」
差し出してきた箸を止めて南極がジト目で睨んでいるトリーを気に留めた。仲間同士の戦いがしたいのか?
「カケカケ、これ何?」
「これ? 俺の直属の部下になった南極だけど?」
「本部は知ってるの?」
「本部は知らないけど、承認なら受けてるぞ」
トリーの結構な圧を受け流しながら俺はヒョイっと先輩達を指差す。この場にはダークネスの幹部が6人、勢揃いしているから幹部の直属を承認する条件はクリアしている。この場で何も言ってこないのが何よりの証拠だ。
ただ、俺としては食卓に、裸サスペンダーで来てほしくなかった。人生終了ボタンは無いから見えないけど乳がおっぱいが、在るんだよすぐ傍に。
柔らかさはそのまんまビニール風船だけどさ。
「食事中なんだから騒がないでね」
「食事しないアンタに言われるとムカつくんだけどぉ?」
南極の物言いにトリーが思わず口をとがらせる。しかし理論武装は鉄壁らしい。
「これでも時渡様の護衛だよ? 刺されたら困るしぃ~っ」
彼女はそう言ってトリーの下の方を指差す。それだけで全てが理解されてしまった。
「なっ! 何て破廉恥なの!」
「……朝からイチャイチャですか?」
くうぅ~っ、リアスと小猫が俺をイジメる。