今なお暑い中ですが、熱中症には気を付けてください。
フェニックス家の門の前で繰り広げられている茶番はどうなっていくのか、また、乱入者は増えるのか?
それでは、どうぞ。
俺の目の前で、わなわなと茶髪が揺れる。彼女のジーパンは片足が排除されているが後付けのベルト止め仕様のパーツに加工されている。ここ最近のアニメで一般的になった別パーツ化された巫女さんの袖のようなものか。
えっ? 物が見えてるかって? 例のコウモリが邪魔してるよ?
……仕事サボれよコウモリ……。
「なっ、きさ……!」
「す、すまねえ!」
思わずバタバタと腕を振り回して立ち上がろうとしたら、その手が彼女の服の裾に引っかかって、立ち上がるのと同時にずり上がってしまった。
おい、ジャケット! 下着を隠して無かったのか!?
この状況に俺も硬直していたら横から胸ぐらを掴み上げられてしまった。顔を上げたらライザーのドアップの、激怒した顔が見えた。
「貴様! この場での返答次第でどうなるか、分かっているんだろうなぁ?」
「ヒイッ! ひいぃぃぃーっ!」
俺はライザーの声に悲鳴を上げた……訳じゃ無く、彼の背後に見るはずの無いヤツの姿を見ちまった。
……あの裸サスペンダーを。
「な、ななな……」
「チャオ♪」
レイヴェルが驚愕に打ち震えているのとは対照的に、南極は露出の喜びに頬が紅潮している。お子様に見せるモンじゃ無いだろ。
どうやってここに来れたのかという疑問は無くは無いが、俺が原因と言われたら何となく理解できる。ビニール風船は筒の様に丸めて持ち運べるし、気配を断てば物でしか無いからな、付喪神は。
「んっ?」
「い、いつの間に居たんですの!その破廉恥女は」
レイヴェルのうろたえぶりを聞いて彼も異変に気付いたのか、鋭い目を自分の背後に向けろ。
「時渡様に同衾してもらいました。……ポッ」
待てコラ! ビニール風船が恥ずかしがってんじゃねえよ! それに同衾って違うだろ! 言葉を選びやがれ!
ライザーも背後を振り返っては絶句し、立ち尽くしている。それなりに気配察知は出来ないと戦場には立てないから、自信は有ったのかもしれない。でも南極は付喪神だから例外に分類されるぞ?
「それで、どうやって来たんだ?」
「それはもう、時渡様の護衛ですから」
「浮かれたままごまかしに入るかこの野郎……」
ホイホイと浮かれ調子で返答する彼女に俺のこめかみがヒクヒク引きつるのが解る。
そんな俺達をフェニックス兄妹は呆れた目で見据えている。
「この方達は、非常識と言えば宜しいのでしょうか……」
「そうかもしれんな、レイヴェル」
「まあ、さすがはお兄様をたぶらかす殿方だけの事は有るのですわね」
レイヴェルはため息交じりにそう言う。俺はそれを聞いて実に貴族様だよなという感想しか湧かなかった。口に出すほどじゃ無いから黙っているけど。
そして俺は南極の扱いに、改めて困った。
「もういっそのこと、そいつも招待するか、レイヴェル?」
「……ま、まぁ、やぶさかではありません事ですわ」
開催主のレイヴェルは少々不満げながらも招待すると応じてくれる。そこに当の騒ぎの主は聞き捨てならない事を俺に向けて並べてきた。
「リバーサル幹部から『あのバカが1人で行くのは判ってるからこっそりついていけ』と命令されています。あとバゼルザーク幹部から『外交官どうこうと言ったら、護衛もつけない愚かな外交官は居ないのだが』と仰ってました」
「どういう事だよ、オイッ!」