カケカケが勝手な事を許可した状態からどうなるか、解る方にはわかってしまう展開ですが……。
それでは、どうぞ。
SIDE 時渡
ライザーのヤツが何か舌打ちしてるけど俺には知った事じゃない。深くかかわるモンでもないしな。向こうが納得すれば良い事だ。
「それで、話を戻して今回、襲撃してきた連中はそっちで尋問してくれ。俺達組織側は特に関わって無い、オーケイ?」
「そうだな、フェニックス家の事にした以上は貴様等の出る幕でもないだろう。貴様こそ、この件についての言い訳とやらを考えておくべきだろう」
妙な助言を繰り出してきた彼に、俺は思わず首を傾げる。この件での言い訳? 俺が何らかの問題行動でも起こしたというのだろうか。
そしてこの助言が正鵠を射抜いた事を知るのはリアス達の居る別荘に戻った後だった。
……そう、俺はダークネス幹部達の前で全裸土下座をさせられていた、今度の相方は南極。幸いミッテルトやトリーは居ないけど……。
ナニコレェ? ドボジデ、ゴーナッダノォ?
「貴様のその抜けた頭には、いったい何を詰めれば賢くなるのだ?」
訳も分からずに土下座させられてる俺に、バゼルザーク先輩の疑問符が冷や水の様に浴びせられる。でも俺はその問いに答えるだけの知恵は無い。答えたら実行しそうで怖いんだよ。
南極もさすがに「その罵倒! 興奮します!」とは口が裂けても言えないのか、無言のまま伏している。
「貴様の先の行動、フェニックス本家御令嬢に対する護衛任務受諾は同世界の者であれば受諾も構わんところだろう。しかし、我々はあの者達とは異なる世界線の者達なのだ、貴様の権限どころか、我々幹部ですら許可の出せるものでは決して無いのだぞ?」
……へっ?
「まったくだ。この手の依頼は最低でも本部の司令に即座に相談して、決断ってのが出るまでの間は契約しねぇではぐらかすのが筋だ。何しろ問答無用な外交問題ってヤツだからよぉ」
「ふへっ?」
バゼルザーク先輩の横に居るリバーサル先輩の声に俺は変な声が漏れた。この程度の事が外交問題? 規模が可笑しくねえの?
そんな俺の顔を見た彼は、ため息を盛大かつ面倒くさそうに吐き出すと俺の事を指差してきた。
「テメェが気安く引き受けたモンはな、一般人なら問題にはならねえんだ。でもよぉ、これが貴族様となると話が変わっちまう。貴族社会の影響力なんてシロモンは、俺等が考えてるほど簡単で雑に出来てるわけじゃねえんだ」
リバーサル先輩の説明をかいつまんで言うと、要するに外交官として相手の立場を尊重し、彼等の問題には手出ししないのが通例なのだとか。手出しすれば外交問題と直結し、果ては戦争前夜まで行きかねない程の窮地になりかねないとか。この場合だとライザーとリアスを結婚させようとしている貴族様達が俺達と敵対するとか。この世界の魔王様とかいう人物が擁護に奔走させられ、その苦情を外交文書で正式に謝罪しないと済まない問題になるとか。
馬鹿みたいに大げさな話と言いたいが、貴族社会は尊厳が重要視されることがままある世界なのだ。その尊厳に傷をつけた相手は無論、俺の様にそこに付け入ろうとするヤツも対象として処されかねないとか。無関係でもほう助認定されたら最後だ、とかで疑いが晴れるまで逮捕監禁されるという。
「こわっ! とてつもなく怖っ!」
「だから貴様は浅はかだと言われるのだ、分かっているのか?」
怖がる俺に対してバゼルザーク先輩が言葉のナイフを向けてくる。そして俺の横ではザクトベリガ先輩が俺の後頭部に何かを押し付けてきている。ゴリゴリと硬い感触が後頭部に来るから鋭利な刃物じゃ無いのは判るんだけど、その感触が横1列に3か所感じられるから少なくても鈍器じゃ無いのも分かってしまう。
「そして南極、貴様は時渡の部下になった事にのぼせて、この馬鹿者を止められなかったどころかその火に油を注ぐ真似をしたことも問題なのだが?」
俺がゴリゴリと身の危険に晒されている横で、南極の身にも危険が迫っている。でも俺は動くと刺さっちゃう、腹は立つのに体も腕も立てられない。
ブツは立つ? 立つけどやったら殺される。
「時渡の初の部下となったが故の慢心ともなると必罰以上の事になる所だが、貴様に限ってその節は有るまいとポーラ様のお言葉だ。感謝して詫びる様に」
バゼルザーク先輩の言葉に彼女は土下座のまま感謝に伏している。ポーラさんの救いはここにも有ったんだ。
「そして時渡はまだ会議が有るため、この場に残る様に」
俺にも救いの神プリーズ!