私事で期間が空いてしまって済みませんでした。ひとまず落ち着いたので投稿です。
それでは、どうぞ。
『それで本部に確認したい事とは、それで良いのか?』
副司令は横に自分の身長ほども有るような金属の棒を立てかけて話を確認してきた。いつの間にその棒を出してきたの?
「それですね、こちらのした事が外交問題にならない様にしたいんすけど」
『それについては些末なものなら、という事で話を付けている。もっともこういう使い方をする前提では無かったが』
「こっちの尻拭いで使わせてしまって済みません」
『問題が起きる事は想定内と思っていたんだが、貴族側に波及するとは思って無かったよ』
「……ああ、あの司令なら何をしても黙殺できるだけの手配は済んでいるだろうな」
俺の危惧に対して想定外という副司令だが、その言葉にバゼルザーク先輩が司令を話題に持ち上げてきた。どうしてそこで司令……いや、何となくで推測出来たかもしれない。
『とにかく、本件で貴族に関与する事については事前に双方で了承を得ている。特に司令が一手を打っていたからな』
副司令が言う『司令が手を打った』事に関して俺の脳裏になぜかリアスの激怒した顔を過った。あれ? 何でこの事がこの話で過るんだ?
ふとした事に訝しがる俺に対してなぜか副司令は横を向き、視線さえそらしてくれる。しかも妙に動揺している様なぎこちない空気が漂っている。
あれ? リアスの盗撮写真って、あれ? 本部が手を打ったって……まさか?
「副司令、盗撮ってのは探偵とかの資格持ちじゃ無いとマズいと思うんすけど」
「そうなんだよ、ヤツは貴族のお嬢様の一日って名目で調査させていたらしいんだ」
どすげぇ職権乱用、組織の私物化じゃねえのか!? いや、前金で報酬を払えば依頼として成立するのか?
「依頼として正規の手続きを踏まれてしまったら断りにくい。しかも依頼内容が内容だけに調査名目が成立してしまってんだ」
何とも言いにくそうにかつ物凄く申し訳なさそうに副司令が文言を並べていく。
……ああ、そうか、組織のお偉いさんは調査の成果を欲しがってるって事を前に言ってたもんな。しかも一時中断も起きたからせっつかれちまったんだな。
「まさか、んなネタで俺等が振り回されたという事か」
「諦めろ、ザクトベリガ。ヤツにとっては手駒でしか無い様だからな」
2人の先輩が妙な愚痴を零しながら肩を落としている。その物言いって、あれ?
「先輩達はウチの支部に何の用出来たんすか?」
「今の依頼の報酬ってやつで来たんだけどよぉ、文句が有るのかぁ?」
報酬替わりで来る所なのかよ! ウチの支部は!
即答で来たリバーサル先輩に俺は思わず怒りを覚えた。でも相手が強すぎるから身構える事しか出来ない。向こうは亜光速の先を動けてこっちは亜光速の手前にも届かないんだ、素早さで言ったら確実に勝ち目がない。
しかしそこに意外な事を口走り始めたのは、蚊帳の外だったザクトベリガ先輩だった。
「なぁ、この令嬢誘拐ってヤツにかこつけて、フェニックス家の異端分子排除って動きにはならねえのか? 俺はそっちが気になるんだけどな」
「それについては検討されるかもしれんが推論の範疇だな。この程度では異端分子の排除というよりは風紀粛清のための見せしめにしか使えん」
バゼルザークの返答を聞いて思わず納得できてしまう。何しろ誘拐事件で捕まるだろう関係者の人数はたかが知れてる、となると粛清のための手掛かりにするよりは粛清のための見せしめにした方が規律は整うし、手間も省けるか。大げさにするには貴族の看板が邪魔になるという事なのか。
「そこで更なる問題が舞い込んできたが、これが一番面倒な事で適わん」
バゼルザーク先輩は軽くため息を漏らすと一冊の書類の束をテーブルに放り投げた。変に尖った文様みたいな図柄が並んでいるのが印象的な表紙の書類だ。あいにくとこれがリアス達の使っている冥界の文字だなんて事は俺には分からなかった。何しろ魔界文字として見たのが転移魔方陣ぐらいなんだ、どうやってそれを読み解けというのか。