話としては異世界支部の中で主だった面々がカケカケを中心に作戦をどう組み上げていくのかのブリーフィングでした。そしてそこにのこのこと電話を掛けてくる串の焼き鳥が一本……。
それではどうぞ。
「まったく、結婚式を滅茶苦茶にすること自体が大事だけどな、花嫁まで滅茶苦茶にしたら目も当てられなくなるだろ!」
「いや、だってぇ~っ!」
俺の注意に彼女は口を尖らせる。諦める気は無いのか?
「だってさ、綺麗な花嫁さんを滅茶苦茶にするのって興奮するんでしょ? 男の子なら」
「……馬鹿野郎」
俺に叱られても叱られても止める気が無いのか、南極は食い下がってくる。画面越しとはいえ副司令も見てるんだよ? 怒られたい? すぐそこで幹部達も見てるんだよ? 叱られたい?
そんな俺の想いをよそに、副司令が爆弾をポロリと零す。
『南極、……お前の気持ちは解りはするんだよ』
「ふっ、ふくしれいっ!?」
『花嫁を蹂躙するというそのプレイは咎められつつも、股間に滾るものが有るのも分かるんだよ。凌辱モノの王道の一つだからな』
「副司令っ! 何ブッコいてんですかっ!」
副司令の放つ悪ふざけみたいなものに俺は思わずツッコんでしまう。まさかアンタは司令に毒さ……いやいや、悪影響でも受けてるのかよ!
『そこはとにかく、明日にでも時渡の方で情報を集めておく方が良いだろう。もっとも情報のほとんどは資料の方に有る様だが』
「連中に警戒させるためですか? 問題になりませんか?」
『問題になった所でさほどの問題にはならんさ、ウチの連中は優秀だからな。悪事に関しても』
「それに、群れる小悪党というものは異変が有れば直ぐにでも群れたがるものだ。責任を取るだけの気概も能力も足りて無いのだからな」
バゼルザーク先輩も副司令の言葉に口添えをする。なるほど、一網打尽に出来るだけの用意を向こうにもさせろ、という事ですか。さすがは貴族殺しの大罪人、言う事が違うモンだ。
「そいつは小悪党だけに有効なんすか? 先輩」
「馬鹿者で無ければ小悪党限定で有効だ。逆に馬鹿な小悪党は単独行動で直ぐに切れ散らかして誰の言う事も聞かんからな」
『止めるのも聞きやしねえから捕縛する方も面倒なんだよ、そういう連中は』
……なんか、2人の話を聞いてて、この件がドスゲェ面倒くさく思えてきた。俺、指揮するの辞めて良い?
「『駄目に決まっているだろう』」
2人して俺の心の中を読まないでくれーっ!
「畜生……あと何日残ってるんだ?まったくよぉ……」
俺は話題転換に結婚式までの残り日数を考えてみる。でも、結婚式って大安吉日にやるのが良いって言われているんだよな? えっ? 日本国内だけ?
「最短で7日間、そこまで急いではいないだろうから最短は8日か9日かもしれんな」
バゼルザーク先輩は律義に俺が愚痴った日数を計算してくれた。最短で、て事は10日ぐらいの猶予はあるって事か。それまでに情報を集めて精査して、書類にまとめ上げて……何部用意すれば良いんだ?
『先方に魔王にグレモリーに、本部提出用も有るから最低5部、予備も含めて10部は確実に用立ててほしい所か』
「コピーはクリスティを酷使すれば行けるから情報の精査にどこまで時間を必要とするかの見積もりを立てないとな。情報は腐るほど集まるぞ?」
副司令とバゼルザーク先輩が優しい事に必要事項を教えてくれる。泣きそうで堪らねえよ。紙はレポート用紙で100枚は要るのか?
……情報が腐るほど有るって事は……。バゼルザーク先輩。明日ぐらいは見える様にしてくれよ。
俺がそう思った矢先に、俺の携帯電話が着信音を響かせた。
「時渡、もしかしたら明日の朝日かも知れんぞ?」
「何言ってんすか、全く」
俺は先輩に呆れながらも携帯電話を取り出し、ナンバーディスプレイから相手が誰なのかを読み取った。電話の相手はジャストタイミングなライザーだ。
「新聞なら間に合ってます」
『何を言ってるんだ貴様は』
そう言われることは分かってた。電話越しにライザーに呆れられながらも、ヤツの方から話題が飛んできた。
『まったく、こっちの分家の方で騒ぎが起きているから、分家の事を聞いてきた貴様なら何か関係しているんじゃないかと思ったんだがな』
「それは奇遇だな、お前の口から騒ぎと聞いて驚いてる所なんだ、騒ぎの起こし様が無くて困ってる」
彼が自分の家の分家の事で俺を問い詰めよう電話してきた様だが、あいにくと首謀者の俺だからすっとぼけるに決まってるだろ。
「で、どういった騒ぎが起きてるんだ? 怒らないから言ってごらん?」
『貴様は関係……』
「レイヴェルだっけ? お前の妹さんは」
情報の流出を抑えたいのか騒ぎの内容を伏せようとした彼を、俺は問答無用になる切り札で切り伏せてやる。彼女を助けてやってるんだ、さっさと情報を寄こしやがれ。
『そ、それとこれとは……』
「ひきあげちゃっていいのかなぁ~? 俺は外交問題になると知ったから引き上げちゃっても、良いんだよぉ~ん?」
言葉に詰まるライザーに、俺は声のトーンを上げて揺さぶりをかける。本当に外交上の問題になる事を幹部連中に思い知らされたから、危ない橋を渡るだけの見返りが相手から引き出せるかに掛かってるだけに、徴発の一つや二つはやってみせる。
『……俺様からの情報だって事は』
「そこはグリ~ンだよぉ~ん」
ライザーに口約束を交わしてやったら、俺の周りから来る視線がものすごいジト目になってた。南極までそんな目で俺を見るのかよ。