日常部分は書きやすかったのにこれはマズイと頑張ってますのでよろしくお願いいたします。
それでは、どうぞm(__)m
SIDE時渡
イッセー達に先行して地下に潜入した俺とトリーは柱の影から周囲を確認する。
「儀式をしてるみたいだけど、作法は悪魔形式なのかしら?」
「形式だけに、あそこで俺が殴られたのも形式か?」
独り言のように呟くトリーに対して俺はその下で腫れ上がった左頬を指差しながら訴える。そんな俺に対してアイツは即座に否定してきた。
「形式? 違うわよ。お約束」
「ぬぐうっ!」
その答えに俺は歯を食いしばってしまった。ここで騒げば俺達2人の潜入が発覚してしまう。
「アーシアっ!」
突然、祭場でイッセーの悲鳴のような叫び声が響き、俺達は思わず彼の姿に視線を移した。彼は祭場の奥を見据えているのか、その顔には激昂が見て取れる。
そんな彼の視線の先にあるのは、魔法陣の上に立てられた十字架に拘束されている下着姿のアーシアだった。シスター服が普段着だったのかスカートが無いから純白が眩しい眩しい。
「マズいな」
「そうね。魔法陣が下に敷かれてるなんて」
俺の苦悶にトリーが頷く。俺達は今、この部屋を壁伝いに進んだ中ほどの所にいる。だがその魔方陣に妙な細工が施されていることに俺達は気づいた。
「……積層?」
「違うわ。2重型魔法陣だわ。下のはとにかく、上のヤツは魔界式の魔力タンク」
「ゲッ!?」
指摘するトリーの口から出た名称に俺は呻いてしまった。
悪魔にとって魔力とはいわゆる普段の食事や飲み物から得られるエネルギーのようなもので、有るに越した事は無いが、魔力タンクを必要とはしない。ならどうして魔力タンクを設置するのかというとズバリ、不足するほど大量の魔力を必要とする術式に回すためである。
アーシアの事も心配だが、この先の展開も心配になる。己の魔力量を超える魔力を酷使するだけの魔法をすればどうなるか、組織で良く叩き込まれたほど驚異的な災害を引き起こす。ましてそれを1個人が行使する事態となれば、ウチの上層部が黙っていない。
……って、ちょっと待て。
「どうして魔法陣の種類が読めたんだよ」
「私達の世界の魔法公式で組まれているのよ、あの魔力タンクの魔法陣」
ふと沸いた疑問に対してトリーが即座に答えてくれた。確かに俺達の世界の魔法なら魔法公式を解析できるわけだが。だが異様なことが判明した。その事が起きた場合の結果は恐ろしい事に繋がるかも知れない予測まで起ってしまう。応援部隊はまだ来ないのかよ……。
「どういうこった?」
「ゾルのお手製って事なんでしょ? それ以外に何があるのよ」
「ごもっともなこって」
俺はトリーの指摘に納得し、問題へと意識を戻す。
「磔プレイって、需要あるのか?」
「さあ? 副司令に聞いたら? そっちに詳しいって話だし」
「司令じゃねえんだ」
俺の疑問符にトリーが相談相手を見繕ってくれる。妙な肩透かしを食らった気分で俺が皮肉を漏らすと、アイツはハッキリとは言わなかったが意味深な事を抜かしてきた。
「だってさ、サーフェスエッチ系は司令で間違いないんだけど、ディープとかダークエッチ系は副司令の方が専門らしいのよ」
「だからあんな捕縛術なのか」
トリーの言葉に俺は妙な納得を覚えてしまった。
「あるSMクラブの女王様にムチの極意を教えて『先生』って呼ばれてるとか」
「マジかソレ?」
「一説によると、とある国の裏モノAVに拷問官として出演したとか」
業が深えぞ、副司令! ……あれ? 何かダークネスでも同じ話を聞いた覚えが……。
「それってまさか、ダークネスの女幹部の誰だかも一緒になって拷問官の仕事したって話じゃねえか?」
「よく知ってるわね、その通りよ」
……って、こっちの話が気になりすぎて儀式の方に集中できねえ!
「にしてもあの磔……、どうして十字架なんだ?」
俺は意識を戻そうとばかりに目を向けた、祭壇の十字架に磔にされたアーシアに……いや、彼女が磔になっている十字架が気になりました。ゴメンナサイ。
「教会だからでしょ?」
「いや、あの手のやり方なら開脚型でやらねえと……いたせねえだろ?」
スパンッ!
俺の面白くない文句にトリーが俺の頭をハリセンで叩く。そこに輪を掛けて文句を言ってきた。
「青少年保護育成条例はどうしたの?」
「家出しやがったんだよ」
「夜遊びだなんて、不良ね」
「非行に走るんじゃねえかとヒヤヒヤしてるんだ」
「その出先の駅前で立ちんぼな売り娘に出会ってエキベンとか言うの、食べちゃうのかしら?」
「う~む、若いから過ちの一つや二つ……」
「それでお土産まで持ってくるのかしら?」
お父さんは出来ちゃった婚は許しません! ……て、ツッコミ入れたら即終了!?