とあるシスコンの学園生活   作:新戸よいち

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かなり遅れてすんません。


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 典型的な学校のチャイムがキーンコーンカーンコーン、と鳴った教室にて、オレは鞄に教科書を詰めて帰り支度を整えていた。

 

 さぁーて、今日も涙子ちゃんに会いに行くぞー! なんてことを考えて内心ウキウキになっていたせいで、背後から迫る気配に気づくのが遅れた。

 

「まもりん、まもりん! ちょっとええ? 」

 

 ・・・チッ、何だよ。学校に拘束されてる時間ならまだしも、放課後の涙子ちゃんタイムにお前に費やす時間は残ってねーっての。

 

「んだよ、手短に頼むぞ。はい、スタート。3、2 」

「まもりん! それは手短にもほどがあるんよ! せめてそういうのって5秒はくれるもんやないの?! 」

 

 いやいや、3秒も費やせるなんてオレも進歩したと思うぜ? 何が悲しくて放課後なんてフリータイムの5秒以上を青ピに費やさなきゃいかんのだ。明日コイツが死ぬとしたってゴメンだっつーの。

 

「んで・・・何の用だよ? オレは忙しいんだ。上条とか土御門じゃ駄目なん? オレは多分お前の期待に応えられないぜ? うん、だろ? ああ、分かればいいんだ。じゃあ、さいなら」

「何を勝手に一人で話を進めとるん!? まもりん、ひどいやんか! ボクとキミの仲やないの!! 」

 

 片手を上げて背中を向け、ゆっくりと教室の扉に向かって歩く道中で、喧しい声が聞こえてくる。

 

 はぁ・・・しゃーねぇ。一応、話は聞いといてやるか。聞いとくだけだけど。何もするつもりはねーけど。

 

「下らない話なら、即帰るからな 」

「さっすがまもりん! そう言ってくれると思ってたでぇ!」

「で、何? 」

 

 席の方へと戻り、椅子にまた座り直す。そして頬杖をついて、それはもう興味無さそうに青ピの方を見ながら、一応そうやって質問を投げる。いやもうホントに全く興味はないんだけど。

 

「まもりんに女の子を紹介して欲しいんよ! 」

「よし、さようなら。二度とオレに話しかけないでくれ 」

 

 オレはすぐに立ち上がり、多分研究所時代にも中々したことが無かったろうゴミ虫を見るような目で青ピを睨む。

 

 だってそれはつまり、そういうことだろ?

 

 女の子とかぼかして言ってるが、この変態はオレの涙子ちゃんに目をつけてやがったんだ! これを許してられっかぁ?! 確かに涙子ちゃんは天使だ!男なら知り合いになりたいのかも知んねぇけど、ブッ殺すぞこの野郎!!

 

「ひっ! ち、違うんよ! きっと誤解してるんよ! まもりん! 別にボクはまもりんの妹をどうこうとか思ってへんから! 」

 

 握り締めていた拳を振りかぶろうとする寸前、青ピが髪と同じように真っ青な顔をしながら首をブンブンと左右に振っているのが見えた。咄嗟にオレは目の前の敵を殴るのを止めた。

 

「じゃあ、何だよ? 何で急にそんなこと藪から棒に聞いてきてんだ? 」

 

 涙子ちゃんに手を出すつもりは無いと言うんなら、まぁ別に怒る理由はないか。仕方なく会話の続きを進めることに決めた。

 

「この前、ショッピングモールでボクは見たんよ!まもりんが女の子たちを侍らせてご飯を食べてる羨ましいところを! 他にもゲームセンターでデートしてるとこも! 」

 

 あー、そんなこともあったな。侍らせてたって失礼だなコイツ。そんなに誰かいたっけ? 涙子ちゃんとのランチしか記憶に残ってねぇんだけども。二人きりじゃなかったっけ?

 

 いや待てっ! だとしたらやっぱりこの野郎は涙子ちゃん目当てじゃねーか! その青髪をぶち殺すっ!

 

「まもりん待って!また目が血走っとるんよ!? 」

「誰の女神と人生を走りたいってぇ!? 」

「そんなこと一言も言うてないんよ?! 」

 

 やっぱりコイツは敵だ! ずっと変態だとか思ってはいたけど、ここまで放置してきたオレが間違いだった!夏が来る前に抹消しなければ!

 

「違う、違うんよ! 誤解なんやて!ボクは常盤台の女の子の方を紹介して欲しいんよ! 」

「常盤台ぃ・・・? お前、趣味が広いとは思ってたけど・・・悪い方にも広いのな 」

 

 青ピは白井と御坂に興味があるのか? おいおい、ストライクゾーンがデッドボールじゃねぇかよ。あんな奴らのどこがいいんだ? まあ、殴る蹴る大歓迎とかの趣味の人にはいいのかもしんねぇけど。

 

「分かった。紹介したっていいけど、何でこんな急に? 」

「まもりんほんま!?昨日の夜みたテレビで、ごっつい美少女のお嬢様ヒロインが出てたんよ!お嬢様と言えばやっぱり常盤台やん? まもりんなら常盤台の女の子と知り合いやって思い出してなー! 」

 

 つまりはテレビの影響か。まぁ、そういうのもあるよな。て、待て? お嬢様ならあの二人は該当しねーや。あれは前時代的な暴力系ヒロインだし。そういうのも青ピなら大丈夫そうだけどよ。

 

 んー・・・それに当たるなら、湾内さんか? 美少女だし穏やかなお嬢様。うん、湾内さんならピッタリだな。

 

「どしたん? そんなにボクのことをじろじろ見たりして? 」

 

 けど湾内さんに紹介するには・・・コイツは、ちょっとキツいな。トラウマになりかねない。よし、やっぱ無しで。

 

「スマン、やっぱ無しで 」

「え、なんでなん?!」

「自分の胸に聞け 」

 

 てことで今回の議題はこれにて終了で解散でお開きで。さ、涙子ちゃんに会いに行こっと!

 

「まもりん、そんな殺生なぁ! 期待を持たせてから落とすのはひどいんよ! 」

「お嬢様とお前は水と油だ。月とすっぽんだ。まずは性格を直してこい。そしたら紹介してやっから 」

「そんなこと言わんといてよー!」

 

 鞄を持って、よし帰ろう。

 

「別にボクはまもりんのハーレムを崩そうなんて万に一つも思ってないでー?! ほんまやって!」

「誰が誰のハーレムだよ。そんな夢みたいな話はアニメの世界だけだっての。オレもお前と同じで彼女いない仲間だ。ウィーアーフレンズ 」

「まもりんがそんな言うても説得力が無いんよ! 全然ボクらと遊んでもくれないやんか! 女の子とばっかイチャついてるの知ってるんやで! 」

 

 放課後は涙子ちゃんの時間なんだから遊べないのは仕方ないだろ。だから学校ではこうやって話してやってるっつーに。オレの優しい優しい好意が伝わってなかったのか。

 

「ボクはただ!まもりんの友達の友達を紹介して欲しいだけなんやてー!まもりんばっかりずるいんよー! 」

「・・・はぁ・・・ 」

 

 同年代の同性の身長も同じくらいの男の駄々をこねる姿は見苦しいこのこの上ない。目頭を押さえ、オレはため息をつく。

 

「分かった、わーったよ。わーりましたよ。わーりましたとも。ちょっと聞いてみっから、待ってろ 」

「それでこそボクの親友なんよ! 」

「現金なやつめ 」

 

 スマホを取り出して、連絡先を眺める。

 

 えーっと、湾内さん。湾内さんっと・・・ああ、いたいた。

 

 でも何て言えばいいんだ?急に友達を紹介して欲しいとか、図々しくないか? 友達作りのアドバイスをしておいて、こっちは近道をしてるようで悪い気がする。んー・・・

 

「まもりんはほんまイイ男やなぁ 」

「お前に言われても一切嬉しくないからな。ちょっと静かにしててくれ。3年間ぐらい 」

「それもう卒業するまでなんよ! 」

 

 送るメッセージを考えている最中、おだてるような青ピの言葉を制するように一蹴する。やかましいわ。

 

 友達を紹介してほしい、だと男の友達になる場合もあるよな? んー、女の子の友達を紹介してくれ、みたいな感じで送るとしても・・・どんな文章がいいのやら。これはちょっとミスったら変態扱いされかねないぞ。

 

 学園都市でも多分トップの方には入るだろうオレの頭脳を駆使するんだ。さぁ、どうするか。考えろ、考えるんだ・・・!

 

 そうだ、こういう場合は普通の会話から流れでそういうパターンに・・・!

 

『湾内さん、いま学校? 』

 

 ま、とりあえずは今暇なのかを知る必要があるよな。オレと同じく学校だと都合がいいんだけどなー。話題の広げ方的に。

 

 とは言ってもすぐに返事が来るかも分からんし、教室にこうやっているのもあれだよな。スマホで連絡とれるんだし、今日紹介してほしいわけでも無いから家に帰ってからとかでも別に・・・

 

『佐天様、こんにちは。はい、今は学校にいます 』

 

 と思っていたら、案外早く通知が来た。ちょうどスマホでも弄ってたみたいだな、ラッキーラッキー。

 

『オレも今学校。奇遇だね 』

 

 まぁ、この時間なら学園都市の半数ぐらいの生徒はまだ学校にいそうだし、奇遇でもないけど。オレみたいに学校が終わったら早く帰りたいやつは別として。

 

『はい、奇遇ですね 』

 

 にしても思ったより湾内さんの返信が早いんだよな。前のファミレスの時も思ったけど。マメだなー。ホントいい子だ。確実に青ピに紹介したら駄目なタイプ。

 

『そう言えば常盤台で友達とか出来た? 』

『はい。佐天様のお陰でどうにか出来ました 』

 

 あー、良かった良かった。あんまりこういう話はしてなかったからな。世間話とかばっかで。友達が出来てたんなら、オレは安心だ。それを青ピに紹介させようとしている自分がとっても恥ずかしいけど。

 

 よし、こっからは本題に入ろう・・・なるようになれ。怒られても仕方ないが!

 

『一つお願いがあるんだけど・・・大丈夫? 』

『勿論です。佐天様のためにわたくしが出来ることがありましたら、何でも言って頂きたいです 』

 

 ぐぁっ・・・! 心が痛む! いいのかオレ!? こんないい子が頑張って作った友達を、こんなやつに紹介させようとして・・・!

 

「まもりん・・・目がまた怖くなってるでぇ・・・? 」

 

 別にコイツに借りがあるわけでもないんだ。むしろ貸してるまであるし・・・く、けど紹介するって言っちまったしな・・・

 

 紹介してくれないなら、それが一番いいんだけどなぁ。とりあえず、送るか・・・

 

『これは全然断ってくれていいんだけどさ。良かったら湾内さんの女の子のお友達を紹介して欲しいんだ 』

 

 く、送っちまった。ゴメン、湾内さん。後で詫びは入れるよ。してもしてくれなくても、どっちでも。

 

 既読はついたけど・・・返信がさっきより遅いな。これは断ってくれるやつか? それがいいぞ!

 

『それはその・・・佐天様に、でしょうか・・・?』

 

 あ、来た。既読無視までは許容範囲だったのに。

 

 これはあれだな、疑われてるな。オレのことをロリコンの変態だと思ってる可能性がある。こんな変態のせいでオレの名誉の危機だ。ここは明確にしておこう。

 

『いや、オレじゃないよ。オレの友達になんだけど 』

『佐天様のお友達の方ですか? 安心しました・・・ 』

 

 オレもだよ、オレも安心した。誤解は溶けたみたいだ。良かった良かった。けどあれだな、もう少しフォローしとくか。湾内さんのお友達を狙ってる最低な変態と思われないように。

 

『もちろん。オレは湾内さんだけで充分だからさ 』

 

 よし、これでいいだろ。これならどう考えたって、卑劣な男には思われないはず。オッケー、オッケー。

 

 後は紹介してくれようとくれまいとも、どっちでもいいや。形だけでも青ピの頼みは聞いたし。

 

 さてさて、返信は・・・あれ、来ない・・・?

 

 その後は湾内さんからの返事は中々来ず、スマホに通知が来ていたのは、涙子ちゃんに会いに行ったりと諸々を済ませた夕方頃、寮に着いた辺りだった。

 

 因みに紹介はしてくれるらしい。マジかよ。菓子折りとか用意しとこ・・・

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