「あー・・・最悪だ。今日と言う日はオレが涙子ちゃんに出会えた日の中で、一番ハッピーじゃない日に認定しよう・・・ 」
「あなたのせいで散々な目に合いましたの。これからはもう、わたくしの目の前には現れないでくれると助かりますわ 」
いまオレが出てきたのは風紀委員の数ある支部の内の一つである第一七七支部ってトコだ。フシギバナもここの所属らしい。
というかマジで酷い目に遭った、因みに突然声を掛けてきたのは風紀委員である固法美偉さんな。
あの後は大変だった。凄い怖い顔で詰め寄ってくるんだぜ? そのまま連行されるわ、何時間も拘束されるわ、おまけにそこには説教プラスコースだったし・・・涙子ちゃんは無関係だからってすぐ帰宅させられてたけど。
フシギバナもいつの間にか帰ってるし、夕暮れてきてるし、そのせいで白井と二人きりだし、踏んだり蹴ったりどころか、刺されて撃たれて焼かれてるだろコレ、火葬までしっかり入ってるだろコレ。
てかなに、何でこの道は一本道なの? 凄い気まずいんだけど、漏らした後のバスの雰囲気くらいには気まずいんだけど? ・・・あ、良かったぁ。T字路キタ、これで終演だな。
「それでは、わたくしはこちらから帰りますので。ついてこないでくださいまし 」
うわぁ、最後まで可愛くねぇヤツ。ま、好都合なことにこっからのオレの最短帰宅ルートと白井は真逆だし、これ以上何か言われはしないだろ。帰ろ帰ろ。
あー、空が暗くなってる。だけどオレの心は青空さ。何たって、あの性悪ツインテールから解放されたんだからな。
「すいませーん。いま工事中でーす。あちらの方からご帰宅願えますか? 」
・・・ ・・・ ・・・
え、嘘だろ? え、何その運? 今日の占い最下位? いや、むしろ逆に強運すぎるだろ・・・つか、この道封鎖されてたら向こうの道しか使えないじゃん、白井の背中見えてるし絶対無理なんだけど?
アイツの事だから「ストーカーですの? 拘束して二度とシャバには出てこれないようにしてあげますわ。二度と 」とか言うよアイツ。シャバとか絶対お嬢様に似合わないヤバいこと言うよアイツは。
・・・能力使うか? でも、わざわざ空飛んでまで帰ろうとするほどの気力が今は無いんだよなぁ・・・
・・・はぁ・・・決めた、向こうから帰ろう。 距離さえ取っとけば、どうにかなるだろ多分。
にしても、アイツは歩く姿すら憎らしく可愛くないな。白井黒子じゃなくて、黒井腹黒子に改名した方がイイんじゃね?
ほら、ツインテールが毒蛇みたいに揺れてるし、オレがスリザリンで蛇語でも喋れたら、『ここから去れ! 』とか伝えてやりたいぜ。
ていうかさ、話変わるけど学園都市ってロリコン率高いの? 女子中学生ナンパしてる不良多くないか? あんなザ・ヤンキーみたいな見た目しといて、幼い女好きが多いよな。涙子ちゃんの暮らす都市としては最悪だ。
後さ、第七学区に住んで分かったんだけど、特に常盤台中学は狙われすぎだとオレ思う。あの御坂すらナンパされてたからね? 命知らずもあそこまで行くと、尊敬もんだよホント。
ん? 何で急にこんな話をしたかって? いやほら
「なぁなぁ、お嬢ちゃん。俺らとこれからお茶でもしなーい? 」
アイツも例に漏れず絡まれてるし。趣味悪すぎんだろヤツら。
まぁ、狙われるのも分からなくは無いけどな。いや、ルックスとかじゃなくて・・・風紀委員としてああいった男を取り締まってるから、逆恨みを多数から受けててもおかしくはないってコト。
風紀委員狩りとか、前起きてる地区もあったしな。憂さ晴らしもそこまで行くとダサいぜマジ。でも、あれはそれ関係無さそうだな。
「邪魔ですの。汚い手で触れようとしないでくれます? 類人猿、いえ・・・あなた方は猿すら冠するに値しませんわね 」
言葉のナイフ、口撃えげつないなアイツ。煽りスキル極めすぎだろ、煽りレベル6だろ。あーあ、やっぱ怒らせたし。このまま素通り出来ないかな? この道少し狭いんだよ。通ったらバレそうなんだよ。
「このアマ! ちっとばかし可愛いからって、調子に乗ってんじゃねぇぞ!! 」
「ブッ飛ばした後に犯してやるよ! 」
ひーふーみー・・・六人か、一人のナンパに六人とか総力戦極めてるな。
てか、柄悪すぎない? 看過できないこと言ってるよアイツら。お、だけど弱い。もう三人くたばってるし。
「暴行未遂の現行犯で拘束しますの。大人しくするようにお願いしますわ 」
瞬間移動ってチートだよな。あの、チョークみたいな矢? 服にカカンッ、て拘束するヤツ、あれ少しでもミスったら体内入って激痛やばそう。流石は常盤台って手際か。
「くっそ! ・・・テメェ! うぎゃっ!? 」
あれよあれよとあと二人、オイオイ・・・悔しいからって刃物は駄目だろ? しかも背後から、それは見過ごせないよな。ほら、伏せとけアホ。アスファルトの一部にしてやろうか。
うわ、白井がひでぇ顔で見てきやがる。手間が省けて良かったろ、全く。
「・・・手伝えなんて一言も言ってませんわ。礼を言う気なんてありませんから 」
「別に、んなこたぁ求めてねえし。ルール違反だから気に食わなかった、それだけ 」
「イデデデデデデデッ!! 」
あ、悪い。やり過ぎた。地球人は重力五倍くらいでもツラいよな。サイヤ人は三百倍くらいで訓練してっから、気付かなかった。
「んじゃ、他の奴らが来るまで頑張れ。オレは足早に帰宅して、あったかい家であったかいご飯と風呂と布団に入るから 」
呼び止められることも無く、オレはスタスタと現場を通り過ぎて自宅の寮へと歩いていく。
にしても、学園都市の治安はどうにかならないモンかね? 人間だけじゃ犯罪の対処が間に合わないし、ロボット兵とかもっと実用すりゃイイのに。
でも、暴れ出したら困るな・・・高度すぎるロボットが人間に反抗する可能性も有るし、よし、やっぱ今の無し。
あ、また強引なナンパ。犬も歩けばナンパに当たるかよ。片手間に対処、全員地面を布団に眠らせてやった。この間、実に一秒未満。そいつらの方からメキメキ、ミシミシと音が聞こえる。
「・・・!? ・・・ッ! 」
被害者だった少女は何がどうなったのか分からず、辺りを見渡した後にその場から逃げるように走り出した。
そういや、涙子ちゃんはナンパされないよな。可愛くないってコトか? だとしたら、ヤンキー滅ぼす。いや、ナンパされても困るけど・・・オレが見守ってる日は全くそんなコト無かったし。逆に不自然。あんな可愛いのに。
「今日、向こうのスーパーはセールだったらしいよ 」
「えっ、そうなの? まだやってる? 」
「ううん、もう終わってるよ 」
あれ・・・そういや、最近買い物したっけ・・・? 寄ってくか・・・
近くのスーパーって言えばあそこだよな。はー、面倒。弁当で済ませるか? 惣菜とか残ってればイイけど・・・あれ、あのツンツン頭は・・・
「はぁ・・・不幸だ。なんで、毎度毎度財布を落とすんですかね・・・ 」
うお、負のオーラ全開かよ。仕方無い・・・同級のよしみとして、話くらいは聞いておこうか。
「よっ、上条。今日も何かあったのか? 例えば・・・そう、財布を落としたとか 」
「・・・あぁ、佐天か? いや実はですね・・・って何でソレを!? 」
「いや、声に出てたから 」
このウニとも言えるツンツン頭の負のオーラ全開、そんな優男の名前は上条当麻。様々なトラブルに巻き込まれる主人公体質、そして無自覚モテ男だ。
「財布の一つや二つ、落としたって人生は変わらねぇよ。ただ、かなり・・・かなり不便になるってだけで 」
「それは困るだろ!? というか、一つや二つどころか・・・余裕で二桁入ってんだ・・・ 」
そうとも言う。というか、そんなに紛失する不幸体質なら、財布を持ち歩くのを止めるべきだな。うん。代替案は思い付かんが。
「しかし今日のお前は不幸じゃないぜ。何たって、オレと出会ったからな。流石に放置も夢見が悪くなりそうだし・・・奢ってやるよ、弁当 」
「ほ、ほ、本当でせうか!? 佐天! お前が女神だったんだな! 助かるぜ! 」
「女じゃねぇけどな。ほれ、行くぞ。オレは早く帰りてえ 」
こういう奴にゃあ、恩を売っとくのがベスト。好感が持てる男だしな。オレの知り合いに、コイツ好きなヤツ居るし・・・
「佐天! 本当ありがとな! 」
でもま、それ抜きにしても感謝されるのは悪くないな。さてと何を食おう? カツ丼、焼き肉弁当、天丼。今考えたらオレ、米炊くの忘れてたからね。何の弁当、買ってこうか?
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その頃、白井黒子は
「去り際まで頭に来る男ですのね・・・ですけど、腐り切ってはいないのが・・・評価に困りますの、まったく・・・ 」
六人の男を拘束しつつ、顎先に指を添えて考え込んでいた。
「う~~~~む・・・ 」
その悩み、いつまで続くのだろう。
白井の頭からは蒸気が出ていた。