オレの学校って当然ながら第七学区にあるんだけどさ、常盤台みたいな名門と違って極一般的平々凡々なんだよね。
この学園都市、異能力を開発する街とは言っても、学生の半数以上は無能力者なんだ。レベル3以上となるとその数は格段に少ないんですよ。
そういうわけでココみたいな普通の学校には、実用レベルに値する能力持ちの人間ってかなり希少でさぁ・・・名門校以外の学校って、ほぼほぼ外部と変わらないんすよねえ・・・常識人ばっかだし。
というか、もし強めの能力者が間違って入学したとか、在学中に実用レベルまで強度を上げちゃったとしても、そいつは他のもっとカリキュラムの優れた学校へと転校させられるってのが普通。
そんなわけで、この学校は落ちこぼれとか無関係な外野がほざく時もあるが、オレにとっては一番心地イイ。
いや・・・本当に緩くてこの学校、入学したばっかだけどもう好っきゃねん。この都市の名門校は堅苦しくていけないね。つか、学校なのに騒がしくないとか有り得なくない?
生徒の人間性は上に行けば行くほど酷くなるし、皆自尊心高すぎ。プライド高すぎ、いつか虎になるぞアイツら。
説明聞けば能力開発能力開発、もう学校じゃなくて実験施設だっつーの・・・これはオレにご執心の長点上機のコトね。
いやほら、自慢に聞こえるかもだけどオレって一応エリートじゃん? 中学ん時は、勧誘と言うか高校側からモノすげぇ数のパンフレットが来るわけ。しかも、ガチの名門からは任意という名の強制的な学園案内に拉致されんだよ拉致、今更ながら警備員に通報しようかしら、ゴラ。
情報情報は殆ど非公開だしあっこ。生徒すら機密扱いかよバカ。モルモットにされそうで拒否しまくりましたよ。能力全開ボイコットしたのはオレの記憶に新しいな。あの頃は若かった。一年経ってないけど。
でも、一番の理由は学区の違いね。涙子ちゃんに気軽に愛に行けないじゃん? あ"? 字が違う? 会いより愛だよマジ。
てかね、言っとくと十八学区って怖いの。整然としてるというか、何か作り物のプラスチックの街みたいな? 生活感が皆無でねぇ・・・学校は名門ばっかだけど、オレに言わせりゃ大人の贅沢な玩具箱だよあそこは・・・はぁ、忌々しい。学園都市の闇は深いからな。オレだって昔、研究所を転々とさせられてたし。
まぁ、んな関係無いこたぁその辺に置いといて。そんなこんなで頑張って頑張りまくって、特例でこの高校に入るのが許されたってコトだ、以上。
「そんなずーっと窓の外なんか見て、どうしたんだにゃー? 」
「・・・ああ、いや・・・ゆとりがあるって素晴らしいなー・・・って 」
おっと、いつの間にかHRが終わってたらしい。ちっこい先生も居なくなってる。てか、今日もグラサン決まってるなこの男。つか、口調も特徴的だしキャラ立ち過ぎだわ。絶対、ただの一般人じゃないってコイツ。
何たって苗字が土御門、下の名前は元春。これはどう考えても脇役では無いだろ? ほら、陰陽師とかでそんな名前無かった?
ま、冗談だけど・・・だってそんなん有り得ないもんな~。
「何を言ってるんだにゃー。まもりんは、変な男だぜい 」
「・・・はぁ、その呼び方変えてくれよ。何か、女みたいじゃん。まもるんにしようぜ 」
何だよまもりんって、どっかの漫画のヒロインに居そうだなオイ。てか、この男は変なあだ名をつけすぎ。上条はカミやんだし、いったいそのヤンはどっから来たんだよ。元春略して元やんって呼んでやろうか、あん?
「まもるんよりまもりんの方が言いやすいからにゃー。一文字しか変わらないことなんだから、多目に見るぜよ 」
「まぁ、言っても変わらないとは思ってたし、別にイイんだけどさー。釈然としないよな。青髪ピアスよりはマシだけど 」
土御門の一部を取ってミカちゃんと呼ぶか・・・うん、やっぱやめとこ。オレの心の中だけでそう呼ぶことにしよう。
「ん? 何や、ボクのこと話してるん? 」
にしても、青ピコイツも絶対強キャラだよな。糸目とサングラスキャラは、モブとは一線を画す存在って相場で決まっとるし。あとは目のクマが濃いとかも強キャラの証。ん? 何かそんな人どっかにいたような・・・
「ねぇねぇ何話してるん? ボクの好みの女の子のことなら幾らでも話すでぇ?? 義姉義妹義母義娘双子未亡人センパ━━━むぐっ!? 」
だーってろ! 何なん? 放課後でもない教室でお前のそんな性癖とか嗜好を聞きたくないからな? いや、妹属性はイイものだけどね。実妹も義妹も、兄貴なら可愛がるのが当然さ。
・・・まぁ、つっても恐れ多くも涙子ちゃんに邪な感情なぞオレは抱きはしないけどね。
ほら、ミロのヴィーナスしかり、ギリシャの古代彫刻、芸術である女像なんかには性欲湧かないだろ? それと一緒。
「まもりん、ソレ大丈夫ぜよ? 青ピのやつ白目向いて泡吹いちゃってるにゃー 」
「・・・ハッ!? 大丈夫か!? 傷は浅いぞ!! 」
「あかん・・・あかんて・・・ 」
やってしまった、忘れてた。涙子ちゃんのコト考えると駄目だな。てかホント大丈夫か? うわぁ、どこぞの猫型ロボットみたいな顔色になってるけど・・・
「ボクぁ・・・女の子の暴力ならバッチコイなんよ・・・でも、男のは無理や・・・まもりんがそういう趣味だとしたら・・ごぶっ!? 」
あーらら、間違えて机の角に青ピの頭をぶつけてしまった。それも三度。まぁ、二度あることは三度あるって言うし・・・おっとと、もう一発やっちまったぜ。
四度目だとなんつーんだろ? でも、四度あることも五度はあるんじゃないか? うん、二度あることは三度あるなら・・・五度でも六度でも同じ理論で大丈夫だろ。
「あはんっ! あふんっ! 」
「・・・その辺でやめておいた方がいいぜよ。周りの目が痛いにゃー・・・流石のオレも公開プレイは守備範囲外ですたい 」
え? うわ、ドン引いた目線とか久々に味わった・・・あ、昨日もドン引かれてたっけ? ま、いいか。悪い悪い。青ピ、お前はもう自分の席に座っとけ。そろそろ一時間目だぞ。ほら、な?
「あふんっ!! 」
「椅子に向かってダンクシュートなんて・・・まもりんは恐ろしいぜよ・・・ 」
「・・・あれ? そういや上条は? 」
そう言えば何か足りないな。ウニ頭の上条クンが居ないぞ? んー、何かあったのか?
確か・・・朝に見たときは水道管の故障か何かで、道にいる人の中で唯一アイツが水にぶっかかって・・・びしょ濡れになってたくらいだしな、分からん。遅刻の理由はいったい何だ? 皆目見当がつかないぞ?
「・・・はぁ、・・・不幸だ 」
とか言ってるうちに来たな、上条。学ランびしょ濡れ、ツンツン頭も心なしか元気が無いな。てっきり家で着替えてきたのかと思ってたのに。
あっ、あと本日最初のワン不幸だ入りました。トゥー不幸だはこの後すぐ、お楽しみに。
え? 何で分かるかって? そりゃ、考えてみろよ。上条の不幸体質、濡れた服、入り口前に転がっている誰かのシャーペン、そして近くに一人の女子。奥さん、こんなん火を見るより明らかですって。
「お、噂をすれば・・・どうかしたのか、カミやん? プールにでも入ってきたのかにゃー? 」
「それがだな、聞いてく・・・うおっ!? 」
ほらな? 見事な前のめり、あれは転ぶと言う行為のお手本になるぜ。そしてその目的地は、クッション代わりとなる胸。うん、グッバイ上条。骨は拾ってやる。
「・・・ん、なんでせうか? この柔らかな感触は・・・? 」
「上条・・・貴様ぁ・・・!! 」
「ふ、吹寄・・・? これはですね・・・不幸だーーっ!! 」
すげぇ音が聞こえるけど、あれ大丈夫? 上条は死ぬんじゃないか? あんな見事な右ストレート初めて見たぞオレ。あーあー、ラッキースケベってのもイイコトばっかじゃないんだな。
「土御門、一時間目って何だっけ? 」
「今ソレ聞くか? ・・・数学ぜよ 」
さて、授業の準備準備。オレは関係無いしな。わざわざ藪をつついて蛇を出すのもアホらしい。つか、藪からリヴァイアサンだもんアレ。触らぬ神に祟りなし。くわばらくわばら。
入学したての4月なのにやけに仲が良いと思った人、その辺は入学前のオリエンテーション的なので良くなったとか、各自で補完しとこうな