とあるシスコンの学園生活   作:新戸よいち

5 / 22
5

 あー、今日もイイ感じの涙子ちゃん観察日和だなぁ~、実に清々しい。

 

 え? 学校はどうなったか? もう終わったよ、今は放課後。上条の顔が今日一日中愉快だったぜ。思い出すだけで笑いそう。そりゃあんな殴られたら腫れるわな、ドントマインド。

 

 だから今は一人で歩いてるわけですけど、先に行くところが一つあるんですね。それはどこかと言いますと・・・ここ! コンビィィィィニ!

 

 なんでコンビニ? そう思った人もいるだろう、しかし、これには理由がある。見ろ! この棚を! 缶コーヒーがたんまりあるだろう?

 

「うわっ! なんだアイツ!? 」

「みるみるうちに棚のコーヒーが消えていくわ!? 」

「10・・・20・・・なに・・・!? まだ上がるのか・・・!? 」

 

 うげ、すげぇ重いカゴ。塵も積もれば山となるとは良く言ったもんだな・・・エベレスト級になったぞコレ。

 

 まぁいい、お目当ての商品は確保したからな。見よ、このすっからかんなブラックコーヒーのコーナー! 達成感!

 

「ふっふ~ん・・・♪ 」

 

 目的達成。簡単すぎて鼻唄まで口ずさんじまったぜ。後はレジに行って、一本持ったら他のは家に保管。

 

 そして涙子ちゃんの中学の前で、張り込むって言う完璧なスケジュール運び。

 

「・・・うわ、何だよ・・・コーヒー買いすぎだろ・・・コーヒー馬鹿かよ・・・ 」

 

 なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ、あ~ん? 思うのは構わねぇが、口に出すとは許せんなぁ? あん? ほら、オレの方見てもっかい言ってみろよ?

 

「ひっ! ・・・こちら42点で5166円になります・・・ 」

 

 おっと、大人げなかったか。平静で冷静、クールになれ佐天眞守! ふぅ、ふぅ・・・よしっ! オーケー。

 

 ・・・というかさ、毎日毎日出費が重なるなぁ。まぁ、こう見えてお金はたんまりと支給されるんで、全然困ってはないんだけど。

 

 つーか、この程度じゃ口座の貯金は増えてくだけなんだよな~。いっそマンションでも建物ごと買うか? 涙子ちゃんとオレの家。ぐへへ・・・悪くねぇ。

 

「・・・ありがとうございましたー・・・ 」

 

 ふぅ、毎度思うんだけど重力って便利。重いはずの袋も軽い軽い。ティッシュ一枚と同じくらいの重さ。つまり、ほぼ持ってないと同じだな。

 

 さてさて、どうしてオレがこんなに買ったか分かるか? オレの好物? ノンノン。ブラックコーヒーは強いて言うなら苦手だ。舌がボルボルするからな。

 

 その理由は・・・ほれ、今に分かるよ。あそこに頭がブッ飛んでそうな白髪頭がいるだろ? ほら、今コンビニ入ってったね。数秒でも待っててごらん、そしたらやがて

 

「何でいっつも行く先々で無いンですかねェっ!! テメェ、ンな舐めた仕入れしてンのは俺に喧嘩売ってるってコトだよなァ!! あァ!!!? 」

 

 コンビニのガラスが割れ、怒号と共に世にも恐ろしいコトが世に恐ろしい顔したヤツによって起きるから。

 

 あー、怖いね怖い。最近の若者はカルシウムが足りてねぇ。だから、あんなモヤシになっちまうんだろうな。コーヒーより牛乳飲めよマジ。アイツがホントのコーヒー馬鹿だわ。

 

「なになに? 」

「誰か暴れてるらしいよ~ 」

「えー、こわーい! 」

「昨日もどこかで強盗なかったっけ? 」

 

 状況が状況とは言え、命知らずの野次馬集合。ま、オレが居る限りは被害を出すつもりは無いし・・・流石のクソッタレの第一位サマも公共の場で殺人はしないだろう。多分。

 

 というか、いつも無いの分かってるなら来る時間変えるか、他のコンビニ使えよなぁ。まぁ、でもこれで何件目だっけ? オレが意図的に邪魔してっからキレるのも仕方無いか。

 

 昨日のコンビニも、その前も。強いては自販機までアイツがコーヒー補給で使うやつを事前に調べ倒し、先回りして買い占めてるし。

 

 そのせいでオレの家はコーヒーの城みたいになってるけどな。まぁ、ボルボルするのを我慢して飲むし・・・先生や友達に差し入れするし、一切捨てては無いからね?

 

「フザけてンじゃねェぞゴラァァ!! 」

 

 やべぇ、そこら中に商品がブッ飛んでる。ガラスの破片は誰にも当たらないようにしてるけど、人が増えると負担も増えるからちょっと疲れちゃうよオレ。

 

「・・・ちっ、ったく・・・シラける真似しやがって、命乞いのひとつもせずに任務を全うする人形がいるってェのによォ 」

 

 ・・・やーっと終わったか? はぁ、良かった良かった。よし、今日もノルマの嫌がらせコーヒー作戦大成功。悪いね、学園都市中のコーヒー売る店で働く善良な店員さん。

 

 とある時期までの辛抱なんで、それまでアイツの被害を受けててください。オレはオレで早めにうんたらかんたら、あるコトをスピード解決させられるように努力してるんでね。

 

「はン・・・あー、つまんねェ 」

 

 ほら、はよいけいけ。そのまま最果てにでも行って二度と学園都市から出てけってんだ。ったく。

 

 さて・・・居なくなったし、涙子ちゃんに会いに行こう。癒しが欲しくなるね、やっぱり。

 

 ああいうヤバい奴を見た後は・・・キュートで天使の、和みます涙子ちゃんウォッチングに限りますわ。

 

 あっはっは。

 

 コーヒー片手に全力落下、人の目線は気にしない。まずは寮に帰ってコレ置いて、そんで涙子ちゃんの中学にゴートゥーヘブン。

 

「あれが噂の人間ロケットか!? 」

「写真撮っとこっと! 」

 

 何その見世物、オレはいつの間に有名スポット的扱いになってるんだ? やめて、肖像権の侵害だ! いや、気にしないけどさぁ・・・

 

「うおっ!? 何だ!? って、・・・佐天か。どうしたんだ? そんな急いで 」

「それは勿論、愛ゆえに! 」

 

 少しもすれば寮に着き、歩いている上条の横を通り抜ける。オレの部屋はコイツの部屋の二つ隣。そして、部屋に入ってしまえばコーヒーのたんまり入った袋を机上、中から一本拝借してそれを片手に猛烈落下! 部屋のドアが壊れそう? そんなん知るか!

 

「うおおおおおおおおおーーー!!!!! 」

 

 びゅおおおおおって風を切る音がするぜ、F1よりも早いぞオレは! だけど人を()ねるヘマはしない、完璧なドライビングテクニックに我ながら惚れ惚れする。

 

 そんなこんなで柵川中学の校門に到着、帰宅中の生徒の姿がぽつぽつと見えるな。ん? てか、少なくない?

 

 ・・・あっ、かなり時間過ぎてる!? くっ、許さんぞ白モヤシ。この恨み、いずれ晴らす!

 

「せんせ~、今日もあの人来てまーす 」

「不審者・・・ 」

「ちょっとそこの君。来て貰おうか 」

 

 ああん!? 先生、オレは不審者じゃない!

 

「オレは愛のガーディアン! 不審から最も遠い位置に存在する、誠実な守護者! 例え銃弾の雨、核、地球を壊す巨大隕石からもタダ守り続ける愛の守護者なり! 」

 

 バーン!

 

 キマった。完璧だ。ポーズも何もかも完璧! これは先生の心にも刺さったろう。どれどれ?

 

 ・・・ ・・・ ・・・

 

 あれ? ちょっと視線ヤバない? その目、ゴキブリ見る目だよ? 人間を見る目じゃないよ? 人に向けていい目じゃないよ?

 

「・・・これは、警備員を呼んだ方がいいな・・・先生達ではどうにもならないだろう 」

 

 だーーーっっ!! 違うっちゅーに! もう駄目だ、あの目は話し合いを放棄した者の目だ! オレが何を言っても変わらん! ここは戦略的撤退をするしか・・・ん?

 

「あれ、佐天さんの・・・ 」

 

  コイツは、フシギバナじゃんかよ。コレは好都合。普通なら涙子ちゃんじゃねぇじゃん! って一蹴したトコだけど、今の状況なら別だ。さぁ、オレの冤罪を示せ、示したまえ!

 

「・・・何だ、君の知り合いか? ・・・その、生徒の友人関係に口を挟むのは無粋だとは思うが・・・何と言うか・・・控えた方がいいと思うぞ? 」

「・・・はい、すみません・・・ 」

 

 何だよ、反論どころか言いくるめられてないか? 謝罪してるよオイ。もうさぁ、仏のオレもムカつくぞコラ。

 

 愛の守護者を変態の不審者扱いとか・・・月とすっぽんより格差あるだろ。涙子ちゃんと御坂&白井レベル。勿論、涙子ちゃんが太陽で後者はミジンコな。

 

 って、誰がミジンコだゴラー!! オレは愛の守護者じゃー!!

 

「・・・はい・・・はい、すみません。私の方で対処しておきますから・・・ 」

「・・・あぁ、分かった。宜しく頼んだよ 」

 

 話し合いは取り敢えず一件落着を迎えたらしい? フシギバナが残って、他に残るのは多少の帰宅中の生徒の目線くらいだ。何だよ、オレは不審者じゃねーぞ。

 

「ふぅ・・・それで、佐天さんのお兄さんが、こんな所でどうしたんですか? 」

「はぁ、お前なぁ・・・佐天さんのお兄さんがこんなトコでどうしたんですかって、逆にどうしたんだと思う? そんなの単純明快で簡単に分かるこったろ? 」

 

 愚問だな、愚問。これで風紀委員が務まるのか? 察しが悪いぜ。オレなんて、もうお前の状態を分かってるってのによ。

 

「大体は分かるんですけど・・・あんまり、分かりたくないですね 」

「よし、そこに直れ。粛正してやる 」

「あうー! やめてくださいぃー!! 」

 

 その花全部引っこ抜いて更地にしてやってもいいんだぞコラ。オラオラ食らえ、妹大好(シスコン)神拳の奥義の一つ━━━脳天凹撃握(のうてんボコげきあく)

 

「ちょっ、あそこ・・・ 」

「DV? 痴情のもつれ? 」

「あれが亭主関白なのね・・・ 」

 

 外野の言葉は無視無視、相手にするだけ無駄だ。あ、でも流石に校門前でこの学校の生徒の頭にアイアンクローをキメてるのはオレの名誉に傷がつくなぁ。しゃーない離したる。

 

「・・・うぅ、ひどい目に合いました・・・ 」

「さて、本題に移ろう。涙子ちゃんはドコだ? 」

 

 ん? 何でわざわざ聞くかって? 能力を使えば丸分かりなのに? アホ、君はアホかね? あの能力は、よほどの事(よほどでも無い)が無い限り使わない。涙子ちゃんレーダーは封印してるんだよ。

 

 理由はこれまた単純明快。前に話したら「うげ・・・あたし、超能力者って何でもカッコいいのかと思ってたけど・・・まも兄のソレは流石に気持ち悪い 」って・・・明確な不快感を表してたんだよ。

 

 アレ、オレノトラウマ。オレの自分だけの現実(パーソナルリアリティ)大分(かなり)乱されましたよ、ええ。 

 

「佐天さんならずいぶん前に帰りましたよ? もうそろそろ寮に着いてる時間なんじゃないですか? 」

「くっ・・・不覚! 付いて来いバナード! どうせ風紀委員は非番の日だろ? 」

「ど、どうしてそれを!? というよりも私が付いていく意味あるんですか!? 」

 

 付いていく意味? 意味が無けりゃ連れてくなんて提案しねぇよ。だってほら

 

「お前が居れば、バレた時も安心。何てったって、涙子ちゃんのオ・ト・モ・ダ・チだもんなぁ? 」

 

 クックック、共犯者に仕立てあげれば、昨日みたいなコトにゃならんだろう。それに「あ、初春と遊んでたんだ? あたしも混ぜてっ! 」みたいな展開もあるね、きっと。

 

 やはり、学園都市有数の能力者であるオレの脳は・・・天才だ。自分が恐ろしい。

 

「さぁ、行くぞ! 思い立ったが吉日、明日やることは今日やる! いつやるかは今でしょ、行動は早い方がいいんだ! 」

「ちょっ、ちょっと待ってくださーい!! きゃああああ!! 誰か~!! 」

 

 初心者には刺激が強いんだよな、この落下。まぁ、普通は慣れないモンだから仕方無いけど・・・オレが誘拐犯みたいになってるから、静かにしててくんねぇかね。

 

 ・・・やれやれ。




プロットの出来ているトコまでは一定の期間で投稿予定、それが終わったら頻度は落ちますが、エタったり放置はしないように心掛ける所存です、タブン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。