魔法科高校の編輯人   作:霓霞霖

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※今回は当社比長めです(14,000字ほど)。ご了承ください。


第百六十二話 闇

2097年8月22日

 

 十六夜は今、小笠原諸島を構成する1つ、硫黄島、そこに寄港するイギリス海軍空母『ロイヤルネイビー』の中を、イギリス軍人の後に付いて、風間玄信と共に歩いていた。

 

(我ながら、訳が分からない状態だよな……)

 

 難解すぎる状況に、十六夜も苦笑していた。

 1つずつ解していこう。

 

 何故、島まるまる国防軍の航空基地となっている硫黄島に、軍人ではない十六夜が居るのか。

 答えは、軍から呼ばれたからである。合わせて風間と共に居る理由を答えると、彼は軍事基地で十六夜を案内・護衛・監視する立場だからだ。

 風間はいつの間にか、日本国防軍内の『四葉』係となっているのかもしれない。

 

 次に何故、イギリスの空母が日本の軍事基地に寄港しているのか。

 答えは、捕虜を引き渡してもらうためである。

 オーストラリア軍の軍人、ジャスミン・ウィリアムズとジェームズ・ジェフリー・ジョンソンを。

 

(ジャスミンに、ジャクソン。3月末の西果新島・竣工記念パーティー以来だな。まだ返されてなかったのか……)

 

 ジャスミンとジャクソンは西果新島に破壊工作を仕掛け、十六夜たちに捕縛されてしまった、オーストラリア軍の工作員である。

 ジャスミンには情報を遠方に共有する超能力を持つ疑いがあったので、四葉ではもちろん引き取らなかったし、国防軍にも四葉からそれとなく忠告していた。

 なのにここまで返還されていなかった事に、十六夜は呆れている。もしかして、四葉からの忠告を一切聞き入れず、国防軍の情報を盗み聞きされてはいないだろうか、と。

 

(それはともかく。なんでオーストラリアの軍人を、イギリス軍が引き取りに来たか。だよな)

 

 何故、硫黄島にイギリス空母があり、何故、オーストラリアの軍人を引き取りに来たのか。

 答えは、まず簡単に言うと、オーストラリアがイギリスを捕虜受け取りの代役としたからである。

 さて、それでさらに謎が生まれる事だろう。

 何故、オーストラリアがイギリスに捕虜受け取りの代役を頼み、その受け取りの場に十六夜が呼ばれているのか。

 

「こちらです」

 

 イギリス軍人、十六夜と風間の先を歩いていた彼が、とある一室の前に止まった。

 そして、部屋の中へと促すため、扉に手を掛け、開ける。

 

 先客、というか部屋の主が居た。

 御年60歳の、銀色の髪を綺麗に撫でつけた長身痩躯の老紳士。その姿は間違っても軍人には見えず、大学の名物講師という雰囲気の男性。

 

 彼は、ウィリアム・マクロード。戦略級魔法『オゾンサークル』の使い手。

 国家公認戦略級魔法師、『十三使徒』の一角である。

 同時に、調整体魔法師シリーズ『ウィリアムズ・ファミリー』の生みの親。

 つまりは、ジャスミン・ウィリアムズの権利元だ。

 

「イザヨイ・ヨツバ、お会いできる日を楽しみにしていました」

 

 老紳士・ウィリアムは腰を上げ、笑顔で手を差し出した。

 まず疑問の回答が1つ。ウィリアム・マクロード、彼が十六夜を呼んだのだ。

 彼は心の底から十六夜と会えるのを楽しみにしていた。敵であれ、味方であれ、その大立ち回りは彼の感心を得ていたのだ。

 そうして、見定めに来た。敵になるのか。味方になるのか。

 それは、十六夜としても同じだ。

 

「ミスター・マクロード。失礼を承知で、お尋ねしたい」

 

「ふむ……。その問答次第で、君と私の関係性が決まりそうだな……。―――良いでしょう。伺いましょう」

 

 握手へ応じるより先に、問答を求めた十六夜。人や場合によっては、それだけで怒りを煽るだろう。だが、ウィリアムは楽しんでいた。目の前の少年とチェスを差すように。

 

「イーゴリ・アンドレイビッチ・ベゾブラゾフ。新ソ連の元・戦略級魔法師と、貴方は手を組んでいましたか?」

 

 十六夜は、核心を突いた。

 その笑顔から覗く瞳が、如実に訴えかけている。

 ウィリアムは錯覚する。

 嘘を吐けば殺す。開き直っても殺す。謝った時だけ考えてやる。

 そんな刃が、喉元に押し当てられているように、ウィリアムは感じている。

 そうして彼は、思わずはにかんでしまった。

 チェスは、強敵と交えた時こそ面白い。

 

「謝罪しましょう、イザヨイ・ヨツバ。ベゾブラゾフ博士の『ディオーネー計画』には影ながら援護しました。大国のパワー・バランスが崩壊する事を危惧し、日本の勢いを削ぐため、君の兄を狙ったのは偽らざる事実です。殺害という短絡的な手段を取ってしまった事、本当に申し訳ない」

 

 強敵とのチェスを望んでいたウィリアムだからこそ、駒を的確に動かした。

 謝るのが正解だと読めていたのだから、彼は素直に謝ったのだ。

 それに、その謝罪の意は決して演技100%ではない。

 これ程チェスが上手い相手が居るなら、初めからその相手とチェスを交えるべきだった。

 矛を交えるよりなんと建設的で、なんと心躍る戦いだろうか。

 

 そして、心が踊っているからこそ、攻めっ気も出す。

 

「失礼ながら、私の方からも、質問をしてよろしいでしょうか」

 

「……どうぞ」

 

 素直に謝罪し、しかもまだ頭を下げたままの老紳士を、十六夜は無下にできない。嘘を吐けば殺すまで行かないまでも敵認定していたところ、謝罪をしてきたのも大きい。

 十六夜は敵判定するか判断材料を得るため、ウィリアムに先を促した。

 それが、ウィリアムの妙手だ。

 

「ベゾブラゾフ博士を殺害したのは、イザヨイ・ヨツバ、貴方でしょうか?」

 

 ウィリアムの推理に、十六夜だけではなく、静聴に努めていた風間も息を呑む。

 

「あのタイミングでベゾブラゾフ博士を排除する事に利益を見出せるのは、国境を挟んでいる大亜連と、攻撃されている四葉だけです」

 

 新ソ連と日本が削り合おうとしている最中だった。傍観しているだけで、少なくとも片方、多ければ両方が消耗する。

 自国の平和のためにも、世界の均衡のためにも、傍観を決め込むのが正しい選択だ。

 そんな中でベゾブラゾフの排除に出るとしたら、ベゾブラゾフ排除に直接的な利益がある者。

 それは、大亜連と四葉にまで絞り込めるのだ。

 もちろん、そう思わせようとしている他勢力も候補に上がるだろうが。

 

「ただし、大亜連が『アンドレエヴナ』たちを()()とは思えません。かの国は『アンドレエヴナ』たちの存在を知っていたとしても、接触する方法がない。そもそも、かの国がソビエトを攻める第一目標は戦力の減退。『アンドレエヴナ』たちをわざわざ()()()のは、その目標に反します」

 

 そして、2択からさらに絞り込み、片方の選択肢を除外したウィリアム。彼は、『唆す』と『起こす』という言葉を妙に強調していた。

 ウィリアムは、『アンドレエヴナ』が自意識のない調整体で、『トゥマーン・ボンバ』の補助装置だった事を知っていた。故に、それらに自意識を与えた事を『起こす』と、それらの手でベゾブラゾフを排除させる事を『唆す』と表現している。

 少なくとも、十六夜はそう判断した。この時点で、戦略兵器としてあるだけの存在ではないと、十六夜は断定する。

 目の前に居るのは、フリズスキャルヴを用いた紛い物ではなく、本物の賢者であると。

 

「……。接触する方法と言うなら、我々四葉の方がないように思えますが。距離もありますし、海を挟んでいます」

 

「そうでしょうね。スパイと言うのも難しい。『アンドレエヴナ』の(もと)まで送り込めるのだったら、大亜連がすでに成しているでしょう。だから、別の手があると考えました」

 

 十六夜は苦し紛れに反論してみるが、ウィリアムには想定済みのモノだった。

 

「イザヨイ・ヨツバ。貴方は確か、日本の魔法科高校が一挙に競い合うフェスティバル、『九校戦』、でしたか。あのフェスティバルのとある競技。名前は確か、そう、『スティープルチェース・クロスカントリー』。その競技で、貴方は鳥を操っていましたね。しかも、先行させていた。詳しい解説がなかったので定かではありませんが、もしかして、視覚共有ができるのはありませんか?」

 

 十六夜が出した、距離の問題に対する回答。視覚共有した鳥を操れば、遠方に意志を伝える事は可能。

 口が聞けなかろうが、それこそ伝書鳩で良いのだ。鳥に手紙を括って飛ばせば良いだけ。視覚共有しながら操作できるというなら、ちゃんと手紙を届けれる確率は跳ね上がる。しかも、遂行の可否を確認できるオマケ付き。

 

「……我が家に、鳥を操る魔法があると思いますか?」

 

「『四葉』は精神干渉系の家系として有名です。動物の精神に干渉する魔法を持っていたとしても、なんらおかしくはありません」

 

 苦し紛れを続ける十六夜に、ウィリアムは容赦しない。

 もっとも、次の手こそチェックメイトの手だ。

 

「それに、貴方方が最初から持っていなかったとしても、その手の人間と相対しましたよね?パペット・テロの首謀者、ジード・ヘイグ。彼は大漢出身だった事も公表されています。そして、大漢は、『四葉』の現当主、マヤ・ヨツバにとって大きな傷跡を刻みつけた相手です。アジトを徹底的に洗い、憎き敵の全てを暴くような事もしかねない。その時に、死体を操る魔法など、手に入れていてもおかしくはない」

 

 ウィリアムの推理に、十六夜は口を強く結ぶ。

 ああ。目の前の相手は、盤上を俯瞰してくる、今まで相手した中で一等厄介な相手だ。

 何せ、分かっているのだろう。

 

「おっと、失礼。件のテロ解決は、九校戦の後でしたね。となると、この論はおかしいですか」

 

 ウィリアムはわざと(とぼ)けていた。

 この論述は、四葉が死体を操る術を持っていてもおかしくないとするモノではない。

 十六夜がジード・ヘイグの魔法を使ってアンドレエヴナたちを操ったのだろう、とするモノだ。

 つまり、ウィリアムは十六夜が遠隔から『僵尸術(きょうしじゅつ)』の改変版を使ってアンドレエヴナたちを操作したのだろうと、当たりを付けているのである。

 

 当たらずとも遠からずだ。だが、十六夜が戦慄するのに余りある。

 その推理力は、驚嘆に値する。

 

(この男を敵に回すのは拙い)

 

 十六夜は、直感的に判断した。

 ウィリアムを敵に回し続け、こちらの情報を精査され続ければ、いずれ正解に辿り着く確率が高い。

 

 そんな相手に、十六夜がやる手はいつも同じだ。

 ミスリード、である。

 

 十六夜は、ウィリアムに握手の手を差し出す。

 

「失礼を働いた事、改めてお詫びします。ミスター・マクロード。貴方とは、間違いなく手を取り合うべきだ」

 

 急に相手から手を差し出された事に訝しみを抱いていたウィリアムだが、十六夜のその言葉を受け、彼は喜んで握手に応じる。

 自分の推理は正しい。これは、正解を暗に示すモノだとして、ウィリアムは喜悦していたのだ。

 そこに、十六夜は冷や水を被せる。

 

「ベゾブラゾフ排除は、()()によるモノではありません。しかし、我々はその真犯人を知っております」

 

 十六夜の手を握り締めたウィリアムは、唖然として固まる。

 ちなみに、空気に徹している風間もさすがに唖然としているのが顔に出ていた。ただやはり、湯水のごとく情報が湧いて出る貴重な場であるため、空気に徹し続ける。

 

「真犯人、ですと……?それは、いったい……」

 

「大亜連に居を構えるマフィア。本人たちは、『組織エックス』などとフザけた自称をしておりました。と言っても、そのふざけた自称の所以も分かっています」

 

 唖然としすぎて握手する手の力が抜けたウィリアム。握手が解けたのを見計らって、十六夜は言葉を続けながら、ウィリアムの対面に腰を下ろした。

 同時に、十六夜は手の所作で以って、ウィリアムに着席を求める。今にも腰が抜けそうなウィリアムは、その求めに従順な程あっさり従った。

 でも、その目は力強く、十六夜を見つめている。聞かせてほしいと、訴えかけている。

 

「彼女らの目的は、国盗り、孫呉王朝の再興だそうです。だから、組織という体裁に頓着がない。彼女らは、自身らが国家となる事を目標にしている。その過程に、確固たる体裁は要らないのでしょう。自分たちは王朝再興を目指す組織ではなく、いずれ国家となる集団なのですから」

 

 様々な意志を持つ集合体の再建を目指しているのだから、同じ主義の下に集った組織としての形は要らない。

 そんな論調だ。十六夜が即興で捏造した論調だが。

 実際のところは、自分が良いように利用する集団であるから、全く愛着がなくて名付ける関心も湧かない、というのがフザけた組織名の所以である。

 

「孫呉王朝の再興を目的としているために、彼女らはかつて孫呉王朝があった土地、少なくとも中国三国時代所縁の地を求めています。故に、大亜連の土地を求め、大亜連へ交渉する手段を欲している。そのために、アンドレエヴナたちを起こし、唆したのでしょう。そうして大亜連に恩を売りつつ、脅す材料を手に入れた。……、俺のこの認識が合っていた場合、正直新ソ連は流れ弾を受けた、というか都合良く利用されただけ、に、なりますかね?まぁ、新ソ連に対する影響力を得るのも、彼女らの計画に含まれているのかもしれませんが」

 

 十六夜が長々と、即興でそれらしい背景を組み立てた。

 それを聞き入ったウィリアムは、息をゆっくりと吐き出しながら、背もたれに背を預ける。

 

「国盗り……、孫呉王朝……。テロリスト、ジードの手元に居たのは、周公瑾……。I see..., I see....*1

 

 ウィリアムは脱力した態勢で新たな情報をインプット。それから推理を脳内で再構築した。

 それから、まだ脱力したままだが、十六夜に顔を向けて口を開く。

 

「リーダーの名前は、ご存じですか……?」

 

(ティエン)。日本語で『(てん)』という名を自称する、幼き姿の女主人です」

 

「ティエン……。“Heaven”.....? Or “Emperor”.....? Conceivably.....,“God”......*2

 

 十六夜から与えられた情報から、ウィリアムはいくつもの考察を脳内に浮かべた。

 しかし、彼は首を振る。情報が少ない。正解を導き出すのに、まだ変数が多すぎる。

 ただ、ウィリアムは妙にときめいており、それを自覚していた。

 

 まだ、素晴らしい打ち手が居る。自身の知らぬ強敵が居る。

 

「イザヨイ・ヨツバ」

 

 ウィリアムは姿勢を正し、十六夜に訊ねるのだ。

 

「仲介を頼めますか?ジャスミンを送り込みたいのですが」

 

 未だ見ぬ強敵を知りたい。

 ウィリアムの眼はそのような輝きを放ち、仕掛け人たる十六夜が想像する以上の勢いで穴に嵌まっていったのだった。

 

◇◇◇

 

2097年8月23日

 

「~♪」

 

 (ティエン)は、鼻歌を歌っていた。

 立ち並ぶ雑居ビル、傷跡や黄ばんだ外装が目につくそれらの1つ。そこの屋上で彼女は、日サロ・モドキでもするかのように、ビーチ・チェアへその身を預けている。テーブルにドリンクも置かれ、周胤がホテル・マンの真似事をして控えている。

 バカンス中の金持ちが如き様子だが、周辺環境がその様子に即わない。もちろん、(ティエン)も用事がなければ、こんな所で暢気に構えてなどいないが。

 

「ご機嫌ですね、(ティエン)老板娘(ラオバンニャン)

 

「ご機嫌もご機嫌さ、ジャスミンが労せず手に入るんだから。ああ、どう手に入れたもんかと考えあぐね、諦めていた存在だ。思いがけず手の中に転がり落ちてくるとは」

 

 周胤が分かり切った問いを投げれば、やはり(ティエン)は分かり切っていた答えを上機嫌に投げ返した。

 そう。彼女はジャスミンを手に入れられる算段が予想外にも付いて上機嫌なのだ。

 

「……前々から思っておりましたが。……やはりその、子供がお好きなのですか?」

 

「いや、単純に素晴らしいだろう。見方を変えれば不老だぞ?12歳で成長が止まるのはちょっと早いが、18歳くらいに調整できれば最高だ」

 

「……18歳は日本において成人扱いでしたか。……ぎりぎりロリコンではない、か?」

 

「……一応言っておくが、俺の二次元的な趣味趣向が広義のロリコンに分類されている自覚はある。……だが、さすがに未成年キャラのエロ絵には罪悪感を覚えるからな。成人しているのに十代前半にしか見えない、成熟した精神と未成熟な肉体のギャップが良いんだよ」

 

「周妃がそうですが?」

 

「二次元的な趣味趣向を三次元に持ち出す訳ないだろう」

 

 周胤から様々な冷や水を浴びせられ、(ティエン)は興奮が冷めた。

 

「それに。棚に上げるようで悪いが。俺は、子供はともかく、ガキを正直苦手だ。ガキ、分別のない子供は、接しててストレスに感じる。無邪気の一言で全て水に流されるのも、本心を言えば気に食わない」

 

 (ティエン)は、分別のない子供に対する忌憚のない考えを明かした。

 そして、その嫌気が滲む瞳で、雑居ビル群を見下ろすのだ。自身の口で語ったとおり、無邪気な子供へ向けるように。

 

 突如、雑居ビル群の一角が粉塵を上げた。

 火薬によるモノではない。単純物理によるモノだ。

 

「……始まったな、子供の火遊びが」

 

 (ティエン)は、単純物理で粉塵を巻き上げた存在、無邪気なクソガキを見下ろしていた。

 

 

 

 粉塵上がる現場。そこには突然の出来事に身構えを大人たちが多く居た。それだけでなく、口も目も布で覆われた、汚れや破れが目立つ衣服を身に纏った者たちが、その大人たちに引きずられていたりもするのだが。

 

 端的に言おう。ここは、人身売買の現場だ。

 

「なんだ!」

 

「誰だ!軍か!?警察か!?」

 

 非合法な商売に手を染めている大人たちが、徐々に晴れていく粉塵を注視していた。

 そうして、その身を表すのだ。

 ハリウッド映画のヒーロー衣装を模した、されど軍事機密最新技術の様相を滲ませる衣装*3の少年が。

 

「『誰だ』と問われたなら、こう答えよう……。通りすがりのヒーローさ!」

 

 ヒーロー・スーツ擬きを着込んだ少年、レイモンド・クラークはそう、笑って応えていた。

 

「殺せ!狂った白人だ!」

 

 非合法取引をしていた者たちの(おさ)がそう号令を掛ければ、警護していた部下たちはいっせいにアサルトライフルの引き金を引く。

 しかし、放たれた弾丸は、レイモンドの像を擦り抜けていった。

 

「残念。そいつは残像だ」

 

 レイモンドは『残像』などと嘯いているが、実際は『鬼門遁甲』と『パレード』の合体・改変したような魔法による虚像だ。

 情報体次元(イデア)の記述を偽装し、像の配置を事実と異なる場所にする魔法。

 『超人』へ書き換えられた際にレイモンドが得た、CADなしでも出来るくらいに得意とする魔法だ。

 

「魔法師っ……!クソッ、キョンシー共を起こせ!」

 

 長が『キョンシー』と呼ぶモノ。部下たちは違わず、封を解く。

 封が解かれた木棺から、生気の失せた人間が飛び出す。

 いや、彼らは最早人間ではない。魔法師界隈では一般的に『ジェネレーター』と呼ばれる、脳外科手術と薬で自意識を剥奪された魔法師の成れの果て。

 所有者の指示どおり、魔法による戦闘行動を行う、人型生体兵器だ。

 

「悪党の魔の手に落ちた哀れな同胞たちよ。安心してくれ。ダーク・ヒーローたる僕が、君たちを救ってみせよう!」

 

 ヒーロー然とした自身に酔うレイモンド。彼目掛けた、『キョンシー』たちの攻撃が襲い掛かる。

 1体が火を放てば、別の1体が風を吹かせる。空気を送られた火は、大火の海を形成する。

 『鬼門遁甲』などの虚像を作る魔法への対策、面制圧だ。

 残りの『キョンシー』は自身らの所有者を巻き込まないように、気密を操作したり、障壁魔法を張ったりしている。

 

 とにかく。大火がレイモンドを襲う訳だが、大火の広がりより、レイモンドの動きの方が早かった。

 『キョンシー』たちは、相手がただの魔法師として攻撃を仕掛けてしまったのだ。相手が自身らの埒外、『超人』である事なんて計算に入れていない。

 

 レイモンドはまず大火が撒かれた地面から飛び上がり、追撃の大火を回避するために壁を蹴り、敵へ迫るために柱を蹴り進んだ。

 まさに超人的な挙動。

 レイモンドは『キョンシー』が張った障壁魔法に殴りかかる。

 アンチ・マテリアル・ライフルまで想定された障壁魔法だ。超人の拳とはいえ、人間の限界地を越えられぬ物理衝撃だけでは、その壁は破れない。

 だが、それには(ティエン)が、否、十六夜がとっくの昔に対策している。

 

「―――『衝車(シュトルムボック)』」

 

 レイモンドはこれ見よがしに魔法名を呟いた。

 彼が『シュトルムボック』なんて名付けた『衝車』という魔法。

 それはかつて、十六夜が克人との摸擬戦で、克人の障壁魔法を破るために用い、実証したモノだ。

 十文字家の障壁魔法すら破れるのに、木っ端非合法組織が抱える『ジェネレーター』如きの障壁魔法が破れない訳はない。

 以って、レイモンドがナックルダスター型の武装一体型CADに仕込んでいた『衝車』、それを伴った『超人』の拳は、『キョンシー』の障壁魔法を殴り破った。

 

「なっ!?」

 

 長たちは驚愕していたが、それは最早致命的だ。

 レイモンドは『キョンシー』たちも含め、敵全員の顎を殴り抜き、意識を刈り取っていった。

 その場に立っているのは、ダーク・ヒーロー擬きだけである。

 

「ふー!悪い奴をぶん殴るのは気持ちが良いね!」

 

 レイモンドは己が偽善的仕事による達成感をその身で噛みしめ、晴れやかに汗を拭うジェスチャーをした。

 汗など、一筋もかいていないのに。

 

 そんな彼の(もと)にインコが降り立つ。

 

「アー、アー、アー。シゴトはオワッタか、レイモ―――」

 

「光を置き去りにする者、レイストーム・マン、だ。間違えないでよね」

 

 インコ、(ティエン)の『付喪神』は、その言葉をレイモンドに遮られた。まだまだ続いている彼のヒーローごっこに。

 

「……アア、ソウダナ。ジツメイでヨブのはヨクナカッタ。……、デ、シゴトはオワッタか?」

 

「見てのとおりだとも。むしろ、一部始終を見てほしかったね」

 

「……ダーク・ヒーローのカツヤクは、カゲにカクレテこそダロウ」

 

「それもそうか!うーん、でも観衆の賛辞を耳にできないのは口惜しいなぁ」

 

 (ティエン)は、ある程度はレイモンドのヒーローごっこに付き合っている。気持ちよく働いてもらって、反目の芽を育てないようにするためだ。

 もちろん、付き合いきれないのですぐ意識を『付喪神』から(ティエン)本体に移したが。

 

 

 

「……。周胤、残敵確認」

 

「かしこまってございます。残敵ゼロ。任務完了です」

 

 レイモンドの目を宛てにしないで周胤へ確認を頼む(ティエン)と、言われる前に『太極図(タイチィトウ)』で確認していた周胤である。

 レイモンドの信用度がどちらも底に近い。

 

「オーケーオーケー。という事で。―――こちらはしっかり依頼を遂行しましたよ、依頼主様」

 

 信頼できる者の言葉を受け、(ティエン)は携帯端末を操作し、カメラ・レンズを自身に向ける形でテーブルに立てた。

 そして、その携帯端末の画面に、男性の姿が映し出される。

 その男性は、(チェン)祥山(シャンシェン)だ。

 

〈遠方から目視で確認させた。ご苦労。―――認めよう。確かに君たちは、我が国にとって取引する価値がある組織だ〉

 

 軍人である(チェン)はただ平静に、ただ正確な評価を降していた。

 (ティエン)という少女を首領とするそのマフィア組織は、取引すれば確実に大亜連へ利益をもたらしてくれると。

 

「お褒め頂き、ありがとうございます。今後も御贔屓いただければ幸いです」

 

 (ティエン)は真面目に、まるでビジネスマンのように行動を言動を取った。

 相手は国だし、まだ友好度が低い相手。なんだったら隣国を騒がせて不利益をもたらしたのだ。今は下手に出て、地道な好感度稼ぎをしているのである。

 もちろん、相手の態度次第でいくらでも対応を変えるつもりだが。具体的には、喧嘩を売ってきたら、三国志よろしく武力による国盗りをするつもりである。

 

〈……。貴様たちの目標は、我が国土の一部分割、だったな〉

 

「はい。貴方の国でご不要となりました古式魔法師、あるいは単純に調整失敗の魔法師、それと不穏分子を纏め、そちらにも都合の良い国を作ろうと考えております。あ、もちろん、現・体制の反対勢力を集めて蜂起する、なんて、考えておりません。我々は平和的に国土と国民を得たいのです」

 

〈……〉

 

 相手がこちらにセールスしてきた理由を再度問うた(チェン)。相手はビジネス・スマイルで耳触りの良い言葉ばかりを垂れ流してきたが、彼は当然字面どおりに受け取る気はなかった。

 だが、それでも読み取る。『現・体制の反対勢力を集めて蜂起する、なんて、考えておりません』などとわざわざ言葉にするという事は、あくまでもその案は一案に過ぎない事を示している。

 つまり、こちらの態度次第では武装蜂起も辞さないが、あくまで最後の手段だと、言っているのだ。

 

 正直、(チェン)はいっそ、古式魔法師、特に崑崙方院(こんろんほういん)の古式魔法派残党は大手を振って渡してしまっても良いと考えている。

 崑崙方院(こんろんほういん)の古式魔法派残党は、大漢崩壊によって勢力が減退した時に大亜連へ取り込んだ。だが、かつて大亜連と敵対していたのもあって、未だに敵対意識を根強く持つ者が少なからず居る。

 そして、そんな彼らが持つ古式魔法の技術は、あらかた吸い上げてしまったのだ。

 崑崙方院(こんろんほういん)の古式魔法派残党は今や、何の益ももたらさないどころか、反体制意識を吹聴する不良債権となりつつある。

 だからこそ(チェン)は、そんな不良債権に買い手が居る内に売ってしまっても良い、と考えているのだ。

 どうせ国内で抱えていても、反乱分子予備軍なのだし。他国に渡して暴走して、大亜連を攻めてきてくれれば(てい)よく片付ける事もできる。その他国を非難する材料にもできるので、そういう点では利益があるかもしれない。

 

「いかがしました?」

 

〈……いや〉

 

 (ティエン)の声で、(チェン)は現実に引き戻された。

 (チェン)はあくまで上校。国防軍で言えば大佐ほどの地位だ。

 大佐程度の人間が、国の意向など左右できない。

 

〈貴様らの意志は上に報告しておこう〉

 

「ありがとうございます。是非お願いします」

 

〈国の意向がどうであれ、貴様らの意志はこの程度で叶うモノではないだろう〉

 

「ええ、承知しております。なので、今後とも御贔屓に。不穏分子の排除であれば、気軽にご相談ください。古式魔法ですが、技術を買いたいという事でしたら、それもご相談ください。人員の派遣も行っております。なんなら、人員の輸送も承っております。亡命させたい方など居ましたら、我が組織にお声がけください」

 

〈もう充分だ。それも含め、上に報告しておく。以上だ〉

 

 (チェン)は営業電話が長引きそうであると感じ、辟易とした態度で一方的に通話を切るのだった。

 (ティエン)はちょっと愉快気に笑顔を浮かべている。この悪戯を案外楽しんでいたのだ。

 

「さて。そろそろ警戒も解けたかな?」

 

 (ティエン)は『太極図(タイチィトウ)』で今居る雑居ビルを探査する。

 (ティエン)は自らこんな寂れたビルの屋上に居たのではなく、実は、大亜連によって此処に押し込められていたのだ。逃場の少ない、ビルの屋上に。

 両者間でちゃんと商売的な契約をしていたのだが、大亜連側は少しでも(ティエン)たちに不穏な動きがあれば、すぐに排除する算段だったのである。

 もちろん(ティエン)は大亜連のそんな思惑を理解した上で、あえて乗った。自分たちに敵意はないと示すためには、押し付けられる理不尽を進んで甘受するしかない。それが(ティエン)の持論である。

 

「おうおう。ちゃんと散ってって……。ん?」

 

 『太極図(タイチィトウ)』で探知して、ほとんどの者が撤収しているのが分かる中。2人だけ、(ティエン)が居る屋上へ向かって歩いてくる。

 両方ともプシオンを分かりやすく放っており、感情が大きく動いているのを、(ティエン)は感じ取っていた。

 特に片方は、無秩序、と言うべきか、放つプシオンが無作為、時化た海のような状態だ。

 (ティエン)はそのプシオン、心の動きに、ある所感を抱く。

 

(子供……?いや、動揺してる時のリーナにも似てるか……。……リーナも一応子供か)

 

 乱れるその感情は、まるで情動をぶっ叩かれた子供軍人のようだ、と。

 

 屋上に繋がる唯一の扉が開く。

 (ティエン)が顔を向ければ、そこには大亜連の軍服を着た、十代前半の少女が立っていた。

 (ティエン)は、その少女を知っている。

 

(リウ)麗蕾(リーレイ)……」

 

 (リウ)麗蕾(リーレイ)。弱冠14歳で国家公認戦略級魔法師となった少女。

 そんな大物な子供の登場に、(ティエン)は目を白黒させていた。

 

(な、なんで国家公認戦略級魔法師がこんな所に……?そんなに俺って警戒されてたのか……?いや、分からなくもないけど……。もしものために戦略級魔法師置いとくとか怖すぎる話だけど……。それより、もう警戒は解いたんだろ……?なんで戦略級魔法師が単身で乗り込んできたんだ……?)

 

 大亜連の高すぎる警戒度やら、(リウ)麗蕾(リーレイ)の謎行動やらで、(ティエン)は混乱していた。

 故に、口火を切るのは(リウ)麗蕾(リーレイ)の方だ。

 

「あ、あの……。は、初めまして!」

 

 (リウ)麗蕾(リーレイ)はおずおずとした様子でありながら、(ティエン)の傍まで寄って相対した。

 (リウ)麗蕾(リーレイ)のお付きだろう成人女性もその少女に付いてくる。彼女は扉を跨ぐまでその少女を止めようとしていたが、止まらないとみるや(ティエン)への警戒に切り替えている。

 

 (ティエン)は勘付く。この邂逅は、(リウ)麗蕾(リーレイ)の独断だ。万が一の排除作戦に詰めていたのまで、この少女の意志かは分からないが。

 

 (ティエン)は警戒してくる女性を他所に、この少女と交流する事を決める。

 

「初めまして。俺は(ティエン)。故あって非合法組織を率いる者だ。―――それで。君の名前を教えてもらえるかな」

 

 まるで、新学級のクラスメートにするような対応。その自然な、しかし思慮深い笑顔を含め、(リウ)麗蕾(リーレイ)には衝撃的だったのである。

 幼い頃から戦略級魔法による破壊工作要員として訓練されていた自身に、こんな自然で優しく対応してくれた人なんて、果たして今まで居ただろうか。

 

「は、はい!(リウ)麗蕾(リーレイ)と言います!所属は大亜細亜連合軍、階級は校尉!戦略級魔法師であるため、軍内部の権限は少尉程度ですが、私には特別な序列規定が適応されており、その地位は最高指揮官に次ぐものであり、合わせて私に命令を降せるのは最高指揮官に限定されます!―――……あ」

 

 相手が親しみを持って接してくれているのに、自身は沁みついた軍人的対応。これが失態である事は、14歳の少女にも気付ける事だった。

 彼女は背筋を伸ばしたままで、視線をゆっくりと(ティエン)へ移す。

 (ティエン)は、苦笑ではあるものの、子供を見つめるような穏やかさも持つ表情だった。

 

「そうか、(リウ)麗蕾(リーレイ)か。まだ14歳かそこらだろう?その歳で軍人、しかも戦略級魔法師、おまけに国家公認だ。頑張ったね」

 

「……わ、私は」

 

 これ程の暖かさに触れたのは、(リウ)麗蕾(リーレイ)にとって間違いなく人生初めての事である。

 (リウ)麗蕾(リーレイ)は思わず暖かい涙を滲ませるが、すぐに、その涙を冷たいものとした。

 

「私は、そう称賛を貰えるような人間ではありません。この立場になるべくして生み出され、この立場になるための教育を受けてきました……。与えられたモノを、ただ何も考えず受け止めていただけです……」

 

 称賛されるに値しない。それが(リウ)麗蕾(リーレイ)の自己評価であり、少女が抱える心の闇だ。

 ただ、そうなるべくしてそうなった。自分から望んだ事は何もない。

 

「……そうだね。ただ、従ってきただけだった。何か考えて、そこに居付いた訳ではない。だからこそ、そのままで良いのかと、考えてしまう」

 

 (ティエン)は親身に、言葉を選ぶ。

 目の前の少女は、(ほだ)す以前の状態なのだ。不安定で、人知れず折れて死んでしまいそうな、そんな弱い人間なのだ。

 

「でも、1つ言える事は。今の立場は、君が手にしたモノだ。君自身の力で以って、手に入れたモノだ」

 

 少女が見る瞳は真っすぐで、夜闇のように綺麗だった。

 

「でも、私は……」

 

「生まれる前から遺伝子を調整されたかい?計算の下に掛け合わされた両親だったかい?でも、それが何だって言うんだ。経緯なんて関係ない。それは、君が手にした力だ。そして、その力があったからこそ、君は今の地位に居る。押し付けられたモノかもしれないが、君は押し付けられるだけの力を持ってるんだ」

 

 力強く諭す。

 自身が望んだ力ではないかもしれない。

 でもそれは、他人に望まれた、周りが羨む力だ。

 

「ま、そんな事言っても、今の仕事に納得できていないなら辛いよな。能力適性だけで判断されて、人格適性を蔑ろにされてたら、不満ばかり募ってしまう」

 

 (ティエン)は、力の責任を果たせ、等とは言わない。

 彼女は目線を外し、空を仰ぐ。

 

(リウ)麗蕾(リーレイ)。君にとって、大亜連の国家公認戦略級魔法師という役は、やれる事であり、やるべき事だ。ただ、今はそれがやりたい事かは、分かっていない」

 

「……どうすれば良いですか?」

 

「自分のやりたい事なのか、探るべきだ」

 

 空から戻ってきた瞳は、やはり真っすぐだった。

 

「この国は君にとって守るに値するモノか。つまりは、この国が好きか。この国のどんなところが好きか。まずは探ってみよう。それで、どうしても見つからないってなった時は、2つだ」

 

「2つ?」

 

「世界を変えるか、己を変えるか」

 

 (リウ)麗蕾(リーレイ)は雷に打たれる感覚を味わう。

 そうだ。自身は何も考えず、何も変えようとせず、ここまで流されてしまった。

 でも、好きじゃない自国を、好きな国に作り変えれば。あるいは、国が好きになれない自分を、国が好きになれる自分に変えれば。

 きっと、やれる事、やるべき事、やりたい事、それら三者は合致する。歯車のように噛み合い、きっと綺麗に回り出す。

 

「『頑張れ』なんて、もう頑張ってきた君には言わない。だから、『楽しめ』、だ。この世界は案外、楽しいものだ」

 

 長ったらしい説教はこれで終わり。

 (ティエン)は自ら(リウ)麗蕾(リーレイ)に背中を向け、扉へと歩いていく。

 

「あ、あの!貴女は何をやれると思って、何をやるべきと思って、何をやりたいと思って、世界か自分かを変えてきたんですか!」

 

 (リウ)麗蕾(リーレイ)(ティエン)の背中へ、子供らしく純粋で、色んな気持ちを詰め込んだ言葉を投げかけた。

 

 (ティエン)は石になったかのように足を止め、錆びた可動部を動かすようにゆっくりと振り返る。

 

「さぁ」

 

「っ!?」

 

 夜闇のように綺麗だった瞳は、底なしの穴のように、光がないだけだった。

 

「なんで、ここまでやってきたんだっけかな。改めて訊かれると、俺もよく分からないや」

 

 贖罪のためにここまで来た。

 それが本当にやれる事で、やるべき事で、やりたい事だったか。

 そのために世界も己も変えてきたのか。

 そもそもその目的にこの手段は合っているのか。

 

 きっと、目の前に『リライター』としての使命をチラつかせられたら、真夜へ報いる事など止めて、そちらに飛びついてしまう。

 自身がでっち上げた命題に比べれば、世界に預けられた命運の方が、大切に思えてしまうから。

 それ程に、確固たる自信もなければ、尊重すべき自身もないのだ。

 

 ●●はこの期に及んでまだ、己を卑下し続けているのだ。

*1
なるほど……、なるほど……。

*2
『天国』……?または、『天子』か……?あるいは……、『神』か……。

*3
覆面は黒塗りした狐の上半面。マントはもちろん装備。スーツは『メタルギアソリッド4』の『オールド・スネーク』が装備していたパワー・アシスト付きのスニーキング・スーツみたいな見た目。




 お読みいただき、ありがとうございます。
 次回の更新は、8月10日の予定です。

 またファン・アートをいただきましたので、ここで一部を紹介させていただきます。

○メビウス斎藤 様 作 (AIイラスト)『(ティエン)

【挿絵表示】


○メビウス斎藤 様 作 (AIイラスト)『周妃』

【挿絵表示】


 この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとございます。
 
 いただいた全てのファン・アートは、以前のも含め、以下の活動報告に展示させていただきます。
 よろしければ、ご覧ください。
『魔法科高校の編輯人』ファン・アート一覧
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