第七十九話 継承しない者たちの前日譚
2096年11月25日
それは、まだ意識が眠りに落ちている、明朝の事だった。
(
俺の脳内に、周妃の声が響いたのだ。
俺はその声で意識を急激に引き上げる。理解不能な事態に慌てふためいた訳ではない。少し前、周妃のテレパシーが俺に繋がる事を発見していた。周妃はどうにか失ったパラサイトの能力を取り戻そうと試行錯誤した結果、パラサイト相手ならテレパシーを繋げられるようにできたらしい。
と言っても、パラサイトなんて滅多に現れないからほとんどお蔵入りであった。が、俺というパラサイト憑依者が現れたために日の目を見たのである。俺のパラサイトは変質しているため、てっきり繋がらないものと判断していたのだが、周妃が物は試しにと実行し、まさかの成功を果たしたのだ。
そうして盗聴対策がばっちりの連絡手段を得たのだが、あまり使用頻度は高くない。俺からは繋げられないというのもあるが、家に帰れば周妃が居るのだ。テレパシーを使ってでも報告すべき緊急事態は滅多に訪れない。
だが逆に、そのテレパシーが使われたという事は、俺の帰りを待てない程の緊急事態が訪れた事を示唆している。
(どうした、周妃)
(お眠り中でしたか?重ね重ね失礼いたします。ただ、
(変?)
周妃が心配そうに指摘するが、俺に思い当たる節はない。
なので、俺は詳細報告を促す。
(はい。
周妃は胸を撫で下ろしているようだったが、俺は違った。
直感的に、プシオンの過剰放出が拙い事だと、俺は感じ取ったのだ。
(周妃、何故お前が遠くに居る俺のプシオンを感じ取れるかは横に置く。訊きたい事は2つだ。プシオンの過剰放出で起き得る問題点は何かって事と、普段も過剰放出してる時はないかって事だ)
(問題点につきましては、申し訳ありません。私も分かりません。パラサイトである私たちは、もしかしたらエネルギーの漏出に当たりますので、後々何かしらの不調が生ずるかもしれません)
やはり、僅かな懸念程度だが、問題はあるようだった。
(次に普段もその状態があったかについては、そちらも申し訳ありません。今回遠出されるという事で、プシオン遠隔感知の術を仕掛けました。ですが、その術を仕掛けたのは今回が初めてです)
残念ながら、片方は成果が芳しくないようだ。
(プシオン遠隔感知の術を秘密裏に仕掛けていた事は不問にする。代わりに、しばらく維持しろ。それで、過剰放出している時があったら報告してくれ。ついでに、プシオン過剰放出を抑制する方法も探して、見つけ次第報告してくれ)
(畏まりました、
一気に問題解決とはいかなかったが、問題への対応には踏み出せた。その事だけは、喜ぶべきだろう。
だが、超人的直感が、まだ俺に何かを訴えかけていた。おかげで、喜ぶに喜べない。眉間の皴も取れず、俺は難しい顔を拭えなかった。
そんな時である。
「……十六夜?」
いつの間にか起きていた真夜に、俺は声を掛けられた。
「……っ!お、おはよう。起こしちゃったかな?」
少しばかり動揺してしまったが、俺はすぐに平静を取り繕う。
「……大丈夫よ、ただ単に自然と目が覚めただけですから」
真夜は若干のタイムラグがありながら、俺へと微笑みかけた。
そのタイムラグがただ寝起きによる反応の鈍さである事を、俺は祈る。
「それより。おはよう、十六夜」
「ああ。おはよう、母さん」
俺の祈りは通じたのか、何事もなかったかのように朝の挨拶が交わされた。
そうして、周妃とのテレパシーについては一切口に出さず、この場を乗り切る。いつだか『母さんを信じてたよ』などと吐いたその口を、固く閉ざしたのだった。
俺と真夜で朝食を取り、世間話で幾ばくかの時間を過ごした。
そうして明朝の微妙な空気をお互い頭の隅に押し込めた辺りで、その話題が切り出される。
「十六夜。四葉家次期当主について話しておきたいのだけど、良いかしら?」
ティーブレイクで口を潤した真夜は、探り探りといった様子で口を開いていた。
俺はその様子に首を傾げる。
「次期当主って深雪になるんだろう?今さらそれがどうしたんだい?」
そう。その話題は大分前に結論が出ている話題なのだ。今さらする話題でもなければ、探り探りで切り出す話題でもない。
「ええ、深雪さんを次期当主に据える事は決定しているわ。貴方は辞退しましたからね。戦略級魔法師という大役をいずれ背負う事になるとすれば、辞退は英断だったんじゃないかしら」
「『国家公認』になるのは予定になかったけど。それより、深雪を次期当主にする理由は達也が居るからだろう?」
笑顔で俺を持ち上げる真夜。俺はその無駄な持ち上げを躱しつつ、話を主題に修正しようとした。
だが、俺が『達也』の名前を出した瞬間、元の探るような顔に戻ってしまう。
「そう、なのよね。……話は達也さんについてなの」
神妙で慎重に、真夜は言葉を紡いでいく。声音的にも、これから真面目な話がされるはずだ。
「深雪さんの婚約者にテキトーな人を指名したら……。達也さん、きっと怒るわよね……?」
「……」
シリアスと言えばシリアスな話だが。達也が「妹はお前に渡さん!」という、大事な娘を嫁がせたくない頑固親父の如き振る舞いをしている姿が、本人には申し訳ないけど頭に過ってしまった。
その妄想した場面はギャグ寄りで、この真面目な雰囲気にそぐわなくて反応に困る。一番困るところは、実際だと起こり得る未来についてである。達也が「渡さん!」と門前払いはしないだろうが、深雪を泣かせた瞬間『分解』するだろうというサスペンスになり得る事だ。
だから、深雪の婚約者で悩んでいる事。それが真面目な悩み事だと共感できてしまう。
「あー……、えーっと……。………達也と事実婚で良いんじゃないかい?」
どういう顔すれば良いか非常に迷い、またどういう返しをすれば良いか迷った挙句の回答がそれだ。
俺は原作に多少でも添わせるべく、そうなるように提案した。普通だったら冗談として笑われるか、秘密裏の計画を当てられて驚かれるか。その2択である。
「……そうね。……やっぱりそうなのよね」
結果は、違った。真夜は笑いも驚きもせず、何処か落胆したように、俺を見ながらも遠い目をしていた。
俺は、心臓を鷲掴みにされる。恐怖心を、俺は直感的に抱いたのだ。俺にはその真夜の目が、『
「……ごめんなさい、十六夜。私は、実はそうしようと当初から計画し、実行していたの」
真夜は、謝罪から入った。それは、人道に反する行いをしていた事に関してだろうか。とすると、落胆したのはその人道に反する行いが、勘で言い当てられたからだろうか。
一応、筋は通っている。真夜は俺の勘が鋭い事を経験してきているから、今回も勘で当てられると読めていた可能性がある。ならば、勘で言い当てられて驚かず、落胆するというのは無理ではない。
無理ではないのだが、俺の恐怖心は拭えない。
「それは、どういう事?」
ただ、その部分を詮索するのも怖かった俺は、とりあえず真夜の作る話の流れに沿う事にした。
「深雪さんは、達也さんの枷として、生まれる前から調整されていたの」
「深雪が調整体だって言うのかい?でも調整体にある遺伝子異常は深雪には見られない。性能だって、深雪は桜シリーズと比べ物にならない」
桜シリーズ、四葉が作った完成度の高い調整体を例に上げ、俺は通常するだろう反論をした。
実際、桜シリーズも深雪も同じ調整体なのに、その性能差は大きい。桜シリーズは、障壁魔法に比重を置いて魔法演算領域が調整されている。他の系統魔法も平均水準以上ではある。だが、深雪は分子振動系に天才的な資質を持ちながら、その他系統も高水準。魔法科高校の中でもトップクラスの実力を持っている。
真実を知らない者なら、その点を指摘するだろう。
「それは当然よ。桜シリーズと言えども、最低限の量産ができるようにコストを抑えているの。だけど、深雪さんはコスト度外視。四葉家の技術を、精神干渉系魔法すら用いて生み出されたのよ」
「そ、それは……」
その反論に返されたのが、まさしく正論。
如何に量産技術が進んだ現代でも、量産機はコスト度外視のワンオフ機に劣る。むしろ、技術が進んでいるからこそ起こる事態だ。一点物に多量のコストを投じれば、段違いの性能を誇る製品が作れてしまう。
その事が分かっているから、俺はそれ以上の反論を言えなかった。言う気もなかったが。
「……という事は、本当に四葉家の全技術を注ぎ込んで、達也の枷を作ったんだね。おそらくは、交配による遺伝子異常リスクも回避するように」
「……ええ。深雪さんが達也さんの子を孕んでも、なんら問題はありません。その子が抱える遺伝子異常リスクは、通常と変わらないわ」
深雪に対する調整が原作通りかを確認すれば、真夜の言葉によってその事の確証が得られた。
それにしても、改めて聞けば恐ろしい技術である。遺伝子操作によってなんの不具合も起こさず、さらには近親交配の遺伝子異常すら解決している。これは、どのDNAが近親交配のリスクを高めているか把握しているという事であり、そのDNAをピンポイントで調整できているという事だ。
この世界の人造人間技術は、極まるところまで極まっているのか。まぁ、『この世界の』ではなく、『四葉の』かもしれないが。調整体を作り続けている四葉家だと、その可能性もありそうで怖い。
「……遺伝子的に問題がないとしても、世間が兄妹の近親交配なんて認めないんじゃないかい?深雪の才能はどこの魔法師の家も欲しがるはずだ」
遺伝子操作技術についての思考は一旦止め、俺は話を進める。
「それについても、対策を考えてあるわ。達也さんを、貴方の兄にするの」
「……戸籍を、書き換えるのか。母さんの、四葉真夜の息子に」
原作知識でとっくに知っている事をさも今しがた直感したように、シリアスな声音で呟いた。
そうすれば、真夜は伏し目がちに頷く。
「母さん、それでも非難は避けられないよ。どういう筋書きにするにしろ、今までの戸籍が誤りだった事にするんだ。そして、その誤りは意図的だったと取られる」
「承知の上よ。私は、あの子たちの幸せを願っているの。今まで弄んだ分だけ、達也さんと深雪さんに報いたいの」
伏し目がちだったのから一変。真夜は真っすぐに俺を見つめていた。まるで、語る言葉が本心からのように。
(……疑似的に息子を得た事から、原作の四葉真夜とは精神が乖離したか。だが、辿る道筋は原作と同じだな)
真夜に心境の変化が起こっているが、やはり本来の道筋へ修正される事に、俺は内心安堵した。
このままなら、原作知識を既定の期日まで使えるだろう。
「……確かに、達也と深雪の幸せを願うなら、2人を結婚させてしまった方が良いか」
内心の思考を悟られぬように、俺はさも達也たちの幸せについて熟考したかの如き言葉を紡いだ。
そうしてから、俺は修正のダメ押しをする。
「俺も、賛同するよ。達也に対する枷の必要性は、論じるまでもない。そして、深雪は達也以外を受け入れられない。達也は、深雪以外を愛せない。例えそう仕向けられたモノだとしても、達也たちは幸せなはずだ」
「……ありがとう。心のつかえが取れたわ」
俺の賛同に、真夜は息を漏らした。
額面通りに、心のつかえが取れたのかもしれない。ただ、やはり真夜の視線に込められた意思と、齟齬があるような気がしてならない。
「……とすると、次期当主の地位を絶対にしないといけないよね。現当主の決定に否を唱える事はないだろうけど、不満を抱えられていたら大変だ」
結局、その齟齬についても、俺は指摘しなかった。する話は、これから行うべき有能ムーブである。
「そうね。他の当主候補たちに野心はないようですから大丈夫でしょうけど、一応準備はしておくべきかしら」
「分家の当主たちがごねる可能性はあるからね。でも、次期当主候補たちが率先して次期当主を辞退すれば、さすがに子供の決意に親が口を挿んだりはしないだろう」
「つまり、十六夜には次期当主から辞退の言質が取れる策があるのね?」
俺がしたい話へと誘導していけば、辿り着かせるまでもなく真夜が話を読み取った。俺は満足げに頷き、肯定する。
「慶春会前に、次期当主候補たちと会談する場を設けてほしい。それまでには説得してみせるよ」
「あら、心強いわね。なら、お願いしようかしら」
「うん。期待してて」
真夜は息子の自信満々な姿を微笑ましく見つめ、その微笑みに俺は笑みを返した。
こうして、次期当主候補たちが望む現当主と会談する場を設け、もう終わっている説得を見せ付ける機会を俺は得た。出来レースのような感じが否めないが、利用できるモノは全て利用するのだ。
そうしてお互い、笑顔で歓談を締めくくるのだった。
昼頃。明日は登校日とは言え、帰るには早い時間。俺は豪勢な昼食をいただいた後、実家の自室にある蔵書を読みふけっていた。のだが、最後まで読書の時間とは、いかなかったのである。
「あの……。なんか毎度申し訳ない……」
「気にする事はない。押しかけてきたのは我々の勝手だ」
何事かに申し訳なく思っていた俺に、勝成が慰めの言葉を投げかけた。
そう。俺が申し訳なく思っているのは、勝成、そして文弥と亜夜子、夕歌が来訪している事についてだ。
俺の急な帰省に合わせ、彼らは俺とコンタクトを取るためだけに、貴重な休日を返上して予定を合わせてきたのである。ご苦労すぎて申し訳なくなる。
「僕たちの方こそ、すみません。まさか、こんな示し合わせたように全員揃うとは……」
「四葉家の都合上、分家筋と直系が会える機会は少ないから、これも仕方ない事ね」
俺と似たように申し訳なさげな文弥と、この状況を楽しんでいるかのような夕歌。
正直に言えば、夕歌の態度の方が、俺にとっては有り難い。が、どちらも俺を慮ってくれているモノとして、その意思を口にはしなかった。
それよりも彼らの時間を無駄にしてはいけないと、本題を進める。
「多分、皆様が聞きたい事だと思いますが。母上と皆様だけで顔を合わせる場を設けるよう、進言してあります。本人も乗り気だったので、十中八九その場は設けられるかと」
「あら、文弥の軟弱な言い分を聞き届けてくださいましたの?」
「な、軟弱って……」
俺が皆の願いを叶えた事を告げれば、文弥を揶揄いがてら応対したのは亜夜子だった。文弥は軟弱者の自覚があるのか、その揶揄いに言い返しきれない。
でも、その揶揄いは酷ではないだろうか。真夜と次期当主候補だけの会談を求めたのは、確かに文弥ではある。しかし、皆もその意見に対し難色は示さなかったし、逆に相乗りしようとしていた雰囲気もあった。
まぁ、揶揄いは姉弟のじゃれ合いだろうから、俺も文弥を擁護はしない。
「何にせよ、我々は我々の意思を表明した上で、次期当主から外れる訳だ。ご当主様への心証は悪くないだろう」
「ええ、その心証は琴鳴さんとの婚約するための交渉材料にできるでしょうね」
「……」
他所では勝成が夕歌に揶揄われているが、勝成は涼しい顔で紅茶に口を付けていた。
こっちもじゃれ合いだろうから、俺は静観する。
「でも、やっぱり問題点があるわよね。私たちは納得するけど、私たちの親が納得するかどうか」
「そうだな。私の両親は、次期当主に深雪さんより十六夜君を有力視している。むしろ、達也君を本家から遠ざけてくれると、持てはやしているようでもあった」
揶揄いに飽きたのか、夕歌は話を真面目な方にシフトした。その話とは、深雪が次期当主になる事の問題点。
勝成が述べているように、分家当主たちは達也の事を忌避している。だから、達也が次期当主のガーディアンとして、地位を高める事は避けたいのだ。実のところ、次期当主のガーディアンでは済まない地位を、達也は宛がわれる予定だが。
「これでは如何に病気の事を持ち出しても、大人たちは納得しないんじゃ……」
「俺が次期当主にならない理由については、どうにかなるな」
文弥が大人たちからの反発を懸念しているようだが、俺は即座に部分的な否を唱えた。
その即座の否定に、皆それぞれ呆気に取られている。
「そ、それは何故なのでしょうか?」
最初に復帰したのは亜夜子だった。
周公瑾捕縛作戦時や九校戦で俺の異端さを間近に見てきた分、耐性が僅かにあったのか。
「栄転、とでも呼ぶべき先がある」
「栄転?戦略級魔法師になるのでもあるまいし、当主以上に栄誉ある事が……」
「それですよ」
ちょっとお楽しみに取っておこうとも思ったのだが、勝成が零すように言い当ててしまったため、俺は取りやめて素直に明かした。
皆の呆気に取られていた表情が、驚愕へと変わる。
「ま、まさか、作ったの!?戦略級魔法!」
「はい、作りました」
驚愕を代表したのは夕歌だった。代表したと言っても、我慢できずに驚愕を言葉にしてしまったようではあるが、皆の思いは彼女と同じだろう。
でも、『残念ながら』か、『喜ばしい事に』か、俺は戦略級魔法を作ってしまっているのだ。『
おまけに、行使者も巻き込んでしまうという問題点は、既に解決方法を見つけてある。
「試験的な実演は慶春会になるでしょう。期待していてください」
多分だが、真夜も分家当主たちの反発を懸念しているはずだ。なら、それを払拭すべく、俺に『紅炎』を実演させるだろう。
という事で、実演の方はそちらに取っておく。
「……ふむ、確かに国家公認戦略級魔法師となれば、そちらに専念するために当主を辞するのは道理だ。五輪澪のように。だが、戦略級魔法を作れたとは言え、ご当主様が国家公認に推薦する事を不審がらないだろうか」
「四葉家スポンサー様から、国家公認になる事を打診されています。スポンサーの意向となれば、四葉家当主が従うのもまた道理でしょう」
勝成が達也のように隠匿する可能性を提示するが、それももう解決されていた問題だった。正確に言えば、解決を強要された問題か。
東道青葉に俺の素性が誤認されなければ、未だに非公認とするかどうかは迷いどころだった。それが東道の強要によってできなくなったのだが、代わりに当主辞退の動機として使わせてもらう。損してもただで転ぶ気はない。
「何と言うか、呆れるくらい用意周到ね。さすがはご当主様直系だわ」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
呆れるくらいというか完全に呆れている夕歌からの賛辞を、俺は臆面もなく受け取った。皮肉っぽくはあるし、俺が受け取ると彼女が苦笑したが、賛辞は賛辞である。
「十六夜君の栄転には、おそらく大人たちも納得するだろう。ただ、やはり達也君が次期当主のガーディアンとなる事への忌避は残るか」
「それは、俺たちが例えどれ程手を尽くしても拭えないと思います。分家当主様方は、どうしても達也の魔法を怖がっている」
勝成が残っている問題点を掘り起こすが、俺は仕方ないと割り切った。
恐怖とは、そう簡単に拭えるものではない。
「ふむ、達也君の今後に望みを託すしかないか。増長さえしなければ、声高に否定したりはしないだろう」
「達也兄さんだったら、四葉家にちゃんと貢献してくれますよ!」
「私も、文弥と同意見です」
「そうね。別に今までも貢献していないって訳でもないし、むしろかなり貢献していたから。まぁ、次世代が私たちなんだから、私たちが仲良くやっていきましょう?」
勝成、文弥、亜夜子、夕歌。皆が達也に対して友好的な態度を保ち、また、次世代を盤石とする約束を暗に交わした。
こうして、達也と深雪を省いた四葉家次世代会議は、特に険悪になる事もなく終了するのだった。
プシオン遠隔感知魔法をひっそり仕掛けていた周妃:この魔法をひっそり仕掛けるには、かなりの頻度で術者の血液等体液を対象者に摂取させる必要がある。ただ、専属の従者、それも日に3食を料理を振る舞う立場となっている彼女なら、血を摂取させるのは容易いだろう。その魔法を仕掛けた動機については、語らずにおこう。
当主直系の帰省に合わせて帰省してくる分家次期当主たち:もはや恒例行事である。
閲覧、感謝します。