……え?週一じゃなかった時もある?……細けぇ事は良いんだよ(すいません、気を付けます)
で、では第十四話ご覧下さい。
速吸からの補給が終わり、燃料の残量を確認したら四割しか出来ていなかった。
「すいません!甲斐さんが大きくてコレだけしか出来ませんでした!」
速吸は頭を下げて謝ってきた。
「いや、燃費悪いのは姉譲りだから気にしなくて良い」
速吸の頭を軽く撫でてから機関を始動させた。
「それじゃあ、空母と甲斐さんを中心に輪形陣を取ってショートランドに帰還します。微速前進」
指揮を執る瑞鶴の言葉に皆頷いてショートランドに向かって動き出した。
「矢矧……?」
「どうしたの?」
「いや、自力で航行出来るから……」
動き出すと、何故か矢矧に手を掴まれ引っ張られる様な格好になってしまっていた。
「大破しているんですから、無茶させれませんよ」
「いや、別に無茶は……何でもない」
反論しようとしたら、矢矧に睨まれてしまった。
周りの警戒をしながらも、俺はいろんな人からの質問や会話を楽しみながら、ショートランド泊地が見える所まで来ていた。
「矢矧、もう手を離しても良いぞ。これ以上は恥ずかしい」
「分かりました」
手を離した矢矧は俺の後ろに戻り浜風達と話をしていた。
ショートランド泊地に着き、陸に上がり艤装を解除すると、戦闘の疲れが一気に襲ってきた。
「ふぅ……風呂入って、寝たいな……」
肩を回しながら小さく呟やいてると、瑞鶴が近付いてきた。
「甲斐さん、他のラバウルの方達と提督さんの所に来て欲しいんだけど良い?」
「ん?ああ、分かった。お~い、話してるとこ悪いが、ラバウル艦隊集まってくれ~」
声を掛けると、名残惜しそうにだが皆集まってくれた。
「悪いな、ここの提督に挨拶しに征かないと駄目だからな」
「了解した。だが、個人的には甲斐さんには入渠してほしいのだがな……」
磯風の言葉に瑞鶴は少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「私も、そうして貰いたいのだけど、入渠場は一杯なのよ」
「磯風、俺は大丈夫だって。それに、女の子から先に入って貰わねぇと気が引ける。……女の子と混浴するのもアレだしな」
「むぅ……甲斐さんがそう言うなら……」
少し乱暴に磯風の頭を撫でて宥めてやりながら、瑞鶴の後に続いて鎮守府の中に入った。
一応上半身の服が破けて何か卑猥な感じだと天城さんに言われた為、輸送船に積んでおいた羽織を着ている。
「提督さん、瑞鶴です。ラバウルの皆さんを連れて来たわよ」
『入って頂戴』
ラバウルとは趣の違うショートランドの鎮守府の内装を見ていたら、いつの間にか執務室に着いていたみたいで瑞鶴が扉を開いていた。
「俺は最後に入る。天城さんから入って下さい」
「分かりました」
天城さん、青葉、矢矧、磯風、浜風、俺の順番で入ると、興味深そうに俺を見ている提督服の女性と目つきが戦艦並の駆逐艦娘が居た。
「ラバウルより派遣されました、演習艦隊の旗艦を務めています、大和型戦艦五番艦甲斐、以下五名参りました。よろしくお願いします」
俺の挨拶に合わせて皆敬礼をしてくれた。
「ショートランド泊地司令官を務めています。杉咲莉奈(すぎさきかな)です。今回は翔鶴達を助けてくれて有難う!」
杉咲提督が頭を下げると、駆逐艦娘の子も頭を下げていた。
「…………」
いきなりの事でどうしたら良いか戸惑ってしまい天城さんを見ると、微笑みながら、小さく頷いてくれた。
「杉咲提督、私達は出来ることをしただけに過ぎません。ですが、お礼は有難く受け取らせて頂きます」
天城さんの言葉に杉咲提督は頭を上げて嬉しそうにして、二人で談笑をしていた。
二人の様子を眺めていたら、駆逐艦娘の子が近付いてきていた。
「初めまして、私はショートランド泊地で秘書艦を務めています、陽炎型二番艦の不知火です。」
「改めて、今回の演習艦隊旗艦の甲斐だ。陽炎型という事は、磯風と浜風の姉か」
「はい、今回は翔鶴さん達を助けて頂き有難う御座いました。甲斐さんが殿を務めて頂いた事は聞いています。無事でなによりでした」
「運が良かっただけさ。ショートランドの艦隊が速く来てくれたおかげで此処に居られる。感謝する、有難う」
「いえ、借りで言えば此方の方が大きいので」
不知火と話していると、磯風と浜風が近付いてきて、姉妹仲良さそうに話をし始めたから、そっと離れて青葉と矢矧の方に向かった。
「甲斐さん大丈夫ですか?」
「ん?ああ、正直今すぐにでも寝たい」
「……杉咲提督に頼みましょうか?」
「まぁ、そこまで切羽詰まってないから大丈夫だ。だが、風呂入って寝たい……」
疲れがピークに来ているのか、目がしょぼしょぼしだしてきた。
「本当にお疲れのようですねぇ」
「もうちょっと我慢して下さい。杉咲提督、甲斐さんに休んで貰いたいので、先にお部屋だけでも案内してくれませんか?」
「あ、ごめんなさい。不知火、甲斐さん達をお部屋に案内してあげて」
「了解しました。では、先に甲斐さんの部屋から案内しますね」
杉咲提督にお礼の敬礼をしてから不知火に着いていき執務室を出た。
~~~~~磯風Side~~~~~
「此処が甲斐さんの部屋になります。それで……言いづらいのですが、お部屋が三部屋しか用意できませんでした」
「……ふむ、つまり誰かが甲斐さんと一緒の部屋になるという訳だな?姉上」
「そうよ、磯風。どうしますか?」
甲斐さんの意見も聞こうと思って隣に居る甲斐さんを見たが、何時の間にか居なくなっていて、代わりに扉が少し開いていた。
「……?」
「磯風?どうしたんですか?」
「いや、甲斐さんが居ないからもしかしてと思ってな」
「ホントですね、甲斐さん居ませんねぇ」
扉を開けて中を見てみると、布団も敷かずに羽織を被って寝ていた。
「誰が甲斐さんと一緒になる?」
私の言葉に何故か皆顔を赤らめていた。
「……何故顔を赤くするんだ?」
「い、磯風さんは平気なんですか?」
「どういう事だ?」
青葉さんの言葉がよく分からず聞き返してしまった。
「甲斐さんと一緒の部屋になることですよ」
「別に気にしないぞ?」
一晩一緒に寝るだけでそこまで狼狽えることなど無いと思うのだが……戦場ならば、テントで雑魚寝も有り得るというのに。
「なら、磯風が甲斐さんと、浜風と矢矧さんが同部屋、天城さんと青葉さんが同部屋と司令官に伝えておきますね」
「ああ、姉上よろしく頼む」
天城さん達は何か言いたそうな顔をしていたが、諦めたような顔をして、各々の部屋に入っていった。
「甲斐さん、風邪引くぞ。布団を敷くから起きてくれ」
私も部屋に入り、甲斐さんに布団を敷くために身体を揺すった。
「ん…わか……った…」
のっそりとだが甲斐さんは起きて座っていた。
「(寝惚けている甲斐さんは以外と可愛いのだな)」
布団を敷きながら、座りながら必死に眠気と戦っている甲斐さんを見て、微笑ましく思えた。
「ほら、敷けたぞ。入渠場が空いたら起こしてやるから、それまで寝ていると良い」
「ん、悪ぃな…」
ゆっくりと布団に入ると、直ぐに寝息が聞こえた。
「やはり、無理にでも残っていれば良かったかな……」
あの時、怖くないと言えば嘘になるし、甲斐さんに先に逃げろと言われたときは情けないがホッとしてしまった自分がいた。
「……まだ建造されて一週間も経っていない甲斐さんに心で負けるとはな……鍛錬が足りないな」
部屋にポットとかが置いてあったので、急須に茶葉とお湯を入れ甲斐さんのあどけなさの残る寝顔を見ながら、お茶を飲んでいた。
~~~~~磯風SideEnd~~~~~
十四話ご覧頂き有難う御座います!!!
最近は執筆するときに艦これのボーカルCDを聞いてやっています。一番のお気に入りはその純舶に紅き血を捧げです……うん、どうでも良いですね。
近況報告です。
前回投稿してから、お気に入り登録者が十名近く一気に増えました。
……俺に…プレッシャーを与えないでくれ!!(本当に有難う御座います!!!励みに頑張ります)
ご意見ご感想ご要望ご質問等お待ちしております。
ではまた次回お会いしましょう。
最近感想を頂いているのですが、他の感想に向かっての反論じみたことをしている方を見かけますね。このような行為は止めて頂くようお願い申し上げます。