やはり俺の青春ラブコメにウサギがいるのは間違っている。 作:獲る知己
これは独りの不思議の国の少女の物語。
不思議な不思議な女の子。不思議の国からやってきた。
不思議な少女は変わった子、子供の時からなんでも1人でやってきた。
勉強なんてつまらない。運動なんて退屈だ。だって全部できるから。
1を聞けば10わかる。10をきけば100わかる。大人にわからなくても少女はなんでも知っていた。だって少女は不思議な子。不思議の国からやってきた。
かけっこだっていつも一番。どんな運動も少女はなんでできるから。張り合う相手がいないから退屈すぎていやになる。
少女は不思議な不思議な子。不思議の国からやってきた。
世界はつまらないし退屈だ。不思議の国がこいしくなった。でも、少女は不思議の国に帰れない。
だってウサギがいないから。白い毛皮に時計を持ったウサギさん。不思議の国の案内人。
少女はじっと待っていた。不思議の国からウサギが来るのを。でもでもウサギはやってこない。不思議の国には帰れない。
不思議な不思議な不思議な子。不思議の国には帰れない。
少女はもう待ちきれない。ウサギさんが来ないなら自分がウサギになればいい。
長い耳はないけれど、自分で作ってつければいい。
不思議の国の時計がない。だから少女は時計を作る。世界を変える不思議な時計。
これさえあればつまらない世界を変えられる。
おもしろおかしい不思議な国にこの世界を変えてしまう。
少女は不思議な不思議な子。不思議の国を作り出す。
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かくれんぼ。
日本にいる子供なら少なからずこの遊びをしたことだろう。ルールはいたって簡単だ。1人が鬼となり、隠れ逃げる子供を追いかけまわし食べてしまう。食べられた子供は新しい鬼に……違う。これは青鬼だ。
まぁいまさら基本的なルールなんて誰でも知ってるだろ。
ただ、この遊びには隠された裏のルールがある。これを破ると最悪事件に発展し警察が動くことになる。そこまでいかなくても人間関係に亀裂を生むには十分な要因となるだろう。
かくれんぼの裏ルールそれは、かくれんぼは全員が見つかるまでゲームを終わらない。もしくはゲームを終える時には隠れてる人に声をかける。
これが絶対に守らなければいけない裏ルール。
このルールを守らず、自分たちだけで好き勝手に帰ってしまうと残された隠れてる奴がいつまでも隠れ続けるはめになる。
そう、まさに夕暮れの公園で1人涙目になってる僕のように!!
「……誰もいない」
僕は公園の時計を見る。時計の針は5と6の間。6に近い部分にあった。
近所の公園で同じクラスの皆とかくれんぼを初めたのが4時くらい。
僕はずっと隠れていたがすでに公園には誰もいない。
どうやらうちのクラスにはかくれんぼの裏ルールを知ってる奴がいないようだ。まったくもって仕方ない。みんな小学生だし社会のルールを知らないのも仕方ない。そう、仕方ないのだ。
「ぐすん」
そして、小学生の僕が涙ぐむのも仕方ない事だ。そう仕方ない。
……お家かえろ。
とぼとぼと重い足取りで公園の出口まで向かう。
「~~~~っ」
するとしげみの中からなにかが飛び出してきた。ポケモンか!?
「あああもうやだやだやだやだ!!!なんで束さんがこんな思いしなきゃいけないんだよ!!天才の束さんがっ有象無象のクソジジイ共に馬鹿にされなきゃいけになんだ―――!?!?!?」
違った。なんか騒いでる女の人だ。
僕知ってるよ。これはひすてりっく?をおこしてるんだ。前にテレビでやってた。
こういう人には近づいたら駄目だとお空の向こうでおばあちゃんが言ってる。普通にピンピンしてるけどね、おばあちゃん。
僕は静かに抜き足差し足しながらそこから立ち去ろうとした。
「あ”あ”ん!何見てんだよガキんちょ!」
「ひゃあ!?」
が、モンスターひすてりっくに見つかってしまう。
僕は逃げ出した。
「おいこら、人の顔見て何逃げてんだよ」
回り込まれてしまった。にげばがない!?
というかおかしい。この人今まで僕の後ろにいたのになんで今は前にいる!?
「ガキんちょお前もあれか?束さんを馬鹿にするのか??夢見がちな女だのって束さんを否定するのか!?あ”ん!」
何を言ってるのかわからないけど、なんとなくお仕事で徹夜明けのお母さんか、お酒を飲みすぎた時のお母さんに似てる。
つまり、意味もなく理不尽に絡んでくる。
こういう時お母さんはよくわからない難しい話を延々として気が済んだら僕を抱きしめて寝てる。ものすごい力で。たまに窒息しかける。
よくわからないと僕がいえば、話が長くなるしやたら絡んでくるのでお母さんが気が済むまでなすが儘になることが多い。
「なな、なにもいってないでしゅ!」
すごい噛んだけどさっしてほしい。
「はあ?何ってるかわかんないんだけど!」
「な、なにもいってないです…」
「ッチ。もっとしっかり話してよね。これだからガキんちょは嫌いなんだよ」
よくわからないけど、なんとなく理不尽であることはわかる。というか嫌いなら絡んでこないでほしい。
「まぁいいや。束さんこんなガキんちょに構ってる暇ないし」
ぷりぷりと怒りながら、ひすてりっくはどうやら僕を開放する気になったらしい。よかった。
「それじゃ、騒いだらのど乾いたからなんか買ってきて」
「え?」
希望は消えた。
ひすてりっくは小銭をほうりなげ公園のじどう販売機を指さす。
……つまり、買ってこいと。
「あ、言っておくけど甘いやつね。もし苦いの買って来たら頭の中に電極ぶっさすよ」
「すぐ買ってきます!!」
やべえ。やべえよこいつ。
普通小学生相手にそんな脅し方するか。
命の危険をさっした僕はダッシュで自販機まで走った。
何を買うか凄い迷う。主に下手なものを買って来たら僕の安全はほしょうされない。
さんざん迷った挙句に僕が選んだのは僕が大好きなジュースだった。
「か、買ってきました」
「おう、まったくもっと早くしてよね」
「……」
こいつジャイアンかよ。買ってっ来てもらって文句言うとかなにさまだ!もし家の親父がそんなことしたら3日は飯抜きにされるんだぞ!
なんて思っても口には出さない。
だって怖いもん。
ひすてりっくはまだ小声で文句をいいながら、ジュースのふたを開けて飲み始めた。
僕しってる。こういう女をねんちゃくしつなタイプっていうんだ。
ひすてりっくのねんちゃく女と知り合いになってしまったのか、僕は……。
「ぶ――!?クソ甘っ!」
地味に凹んでる僕の顔にねんちゃく女は飲んでいたジュースを吐きかけた。
……うん。今日は最悪の日だな。
僕のほっぺにジュース以外の水が流れた。それは少ししょっぱい水だった。