俺は真剣でダラッと生きたい   作:B-in

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十五話

 

 

 

 

「百夜のバカァー!!」

 

夏のとある日、空を進む鋼の翼に理不尽な罵倒が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事を全く知らない。馬鹿と呼ばれた少年は、予定よりも五日程早い空の旅を満喫するのではなく爆睡していた。その隣で同じように寝ている少年もダラしなく涎を垂らしている。

 

川神百夜と九鬼英雄の両名はメイドが温かな視線を向けながら毛布をかけ直している事にも気づく事は無く。すやすやと寝息を立てている。

 

何故、この様な状態になっているのか? 原因は昨日の昼頃まで遡る。

 

無駄に広い九鬼英雄の部屋の無駄に大きいTVを前に二人はコントローラを握りながら最初は談笑していた。

 

「閻魔嵌めようぜ」

 

「ぬぅ、確かに。こ奴は厄介だな。」

 

桃鉄である。ドカポン、人生ゲームと並ぶ友情破壊ゲームの一角!!

 

「ちょ、北海道が?!」

 

「これで、今年の決済は我が貰ったも同然だな」

 

徐々に明るい声が減る一室!!

 

「ばーか、うんこ喰らえ」

 

「ぬぉ?! 貴様百夜!! ハワイだけでは物足りぬとでも言うのか!!」

 

溢れる怒気は部屋から漏れ出てえらい事に成り始める。

 

「こっちくんな最下位!!」

 

「ハッハッハ!! 逃げろ逃げろデビルにキングを上乗せしてやる!!」

 

僅かな理性が拳だけは抑え込み。換わり罵倒が飛び交う。

 

「死ね!! 氏ねじゃなくて死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

「馬鹿なっ!! ここで新幹線カードを使うのか?!」

 

キングを擦り付けあう不毛な争い。

 

「ヨッシャ!! 星に願いを…」

 

「剛速球!!」

 

一位で無くても良い。ただこいつより上に…

 

「物件が…」

 

「閻魔のキングがハリケーンに…」

 

残るのはただ虚しさのみ

 

「あっ、朝だ」

 

「我ら一体何をしていたのだろうな…」

 

と、言う事が有ったのだ。

 

この後、空港にて「嫌な感じがするから旅客機は嫌」と言い始めた百夜に英雄の「ならば個人の物だ!!」と言うやり取りがあり、念の為に乗る予定だった旅客機を九鬼のチームが調べた所、爆弾を発見。同時進行で乗っていた客を調べテロリストを8人捕縛と言う事が有るのだが、それは本人達の知らない所の話である。

 

「…あの小僧、感が鋭いにも程があるな」

 

一人だけ変に注目する執事が居たりもする。

 

 

 

 

 

 

おはようございます。百夜です。飛行機に乗ってから寝てしまったので空の旅は覚えていません。現在居るのはお米の国の九鬼家別荘です。

今元気にキャッチボールしてる。なんでも、今日から二日は自由にしてその後二日は観光に連れて行ってくれるんだって。

お食事も九鬼家のメイドさんが作ってくれるから楽で良いね。てか、普通にコックレベルの腕前を披露するメイドさんすげぇ。時差ぼけ酷いのでこの後は直ぐに寝ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やぁ、いろいろ有ったけど特に思い出にするような事は無かった百夜だ。

英雄のやろう。何で俺を誘ったのか分った。今日は近くで商談が有っているらしく、その商談に託けて金持ち同士のパーティーが有るんだとさ。ぶっちゃけ暇だから気心しれた奴が一緒が良かったんだろうけども…

 

(なんだろう? このビルっーかホテル作られたばかりでキレイだけど、めっちゃ嫌な卦が…)

 

「このビルはな我が九鬼家と霧夜グループが共同で設計し建てた、世界最高のホテルなのだ!!」

 

「へ~…それより今日は俺どうすんの? 場違いにも程が有るんだけども」

 

いや、マジで

 

一応、パーティー会場の卦とこいつ相を見てから決めるか。ダメそうならこいつ連れて逃げよう。

そう思いながら会場に入る。バイキング式の立食パーティーですね。お肉が食べたい。でもその前に相を見ないといけない。

 

ヨクヨク考えたら英雄の顔をちゃんと見るのかなり久しぶりなんだよね。

 

いやね、見ただけ相を読む癖がついちゃってね。いろいろといらんもんまで見てしまうから常に焦点ずらしてんのよ。想像してみろ、顔見ただけで相手の腹の中まで読んじまう事も結構ある生活なんて…人間不信になるわ!!

 

麻生のおっちゃんとかめっちゃめちゃ黒い事納めてんだぞ? そら、敵も多いわ。道場の奴等とかマジ下らん事考えてるし…ロリコンは数名転勤、転校、お引っ越しして貰ったけども。

 

「こんにちは、九鬼英雄君」

 

「うむ。初めましてだな霧夜エリカ殿。」

 

何だかこの二人の仮面がこわ~い。後、俺を紹介しようとスンナ。

 

「ちょっと食べてくるねぇ」

 

戦線離脱ですよ。いや…なんかあの女の人と余り関わりたくない。だって凄い豪運なんだもの、英雄にゃ負けるみたいだけども。

 

そんな事を考えながら会場をうろつき、美味しそうな物を見つけては食べる。

 

(ん~護衛が1、2、3…6人か。あの給士してるお姉ちゃんは強いね。誰かが個人で雇ったのかな?)

 

まぁ、良いか。取りあえず、安全っぽい場所に英雄を誘導しとこう。こっちじゃ魔法薬は造れないからなぁ。材料が無いし。

 

「飯持ってきたぞぉ」

 

「うむ!! 何時も済まんな我が強敵(とも)百夜!!」

 

「それは言わない約束だろ」

 

いや、在る意味お約束なんだけどさ

 

肉を齧りながらぼけぇっとする。俺達の年齢+-2歳ぐらいなら良かったんだけども、みーんな高校生とか位の人達なんだよねぇ。どうやら夫人もそれなりに居るし。

 

「なぁ」

 

「どうした強敵よ」

 

「お前さんに近づいて来たのってあの…霧夜って人のみ?」

 

普通はお前、囲まれてるベ?

 

「あぁ、そう言う事か。心配いらん。霧夜と話してな周りに聞こえる様に媚び諂う奴等と慣れ合う気はないと言っただけだ。」

 

「…敵だらけになったらどうすんの?」

 

「なーに、正面から粉砕し、横から襲撃し、後ろから奇襲してやるまでだ。我は、我等九鬼は王者の家系よ。粉砕、打倒し従えよりよい道へ導いてやるのが務めよ。この程度、父上の成し遂げた事に比べれば何でもない!!」

 

こいつ、やっぱすげぇ。この自信はホントに凄い。疑い何て持ってない。

 

(こいつの友達になれて良かった。)

 

夢が無い俺に夢が出来た。その道を示した。其処へ引っ張ってくれてる。

 

確かに指導者、王者の如き大きい器。コレでもうちょっと我が弱ければ…モテモテ何だけどなコイツ。

 

灰汁が強いのが玉に傷か…まぁ、良いや。コイツの人を見る目は確かだし、悪い女に引っかかる事もねぇべや。

 

「流石だねぇ…そんじゃデザートに行こうぜ。確かあっちの方に有った」

 

「むぅ…少々物足りない様な気がするが…」

 

「腹八分で残りはデザートで満たすんだよ。甘味が欲しい、甘味が」

 

「そうか…そう言うのもまた乙なモノだな!! 甘味で思い出したが、姉上が金平糖を良く食べて居るのだが居るか?」

 

マジで?! 九鬼家御用達の金平糖とか…うっは。やっべマジで涎が

 

「いる!! 欲しい。マジ欲しい!!」

 

「其処までか? ならば、今度用意しておこう。ソレでは行くぞ百夜!!」

 

俺達はフルーツとスイーツに取りかかった。

 

途中から、有名なアーティストの演奏やらダンスやらマジックショーが始まったが今はそれどころじゃない。それどころじゃない!!

 

「…コレは俺が最初に目を付けてたんだけども、フォークを放せやお姉さん」

 

「…あらあら、コレはこのアタシが最後に食べようと取って置いたのよ? 解ったらフォークを放しなさいお坊ちゃん」

 

「ハッハッハ、その年で認知が進んでいるんですか? 放せやおばん」

 

「何を言っているのかしら? あぁ、頭が弱いのね。かわいそうに…理解出来ないならさっさとフォークを放しなさい。糞餓鬼」

 

「「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」」

 

一つ…っ!! 完熟マンゴーはコレっ…一つ!! 譲れないっ!! 譲れるはずが無い…!!

 

(ならば)

 

(ちぃ、仕方ない)

 

((半分に分ける!! 自分が有利に成る様に!!))

 

「「はぁっ!! なっ?!」」

 

「コレで三等分だな!!」

 

英雄ぉ…マジできっかり三等分とか…

 

「仕方ない。英雄に免じて我慢してやる。霧夜」

 

「ふん。九鬼に免じてこれで我慢してあげるわ。川神百夜」

 

何で、知ってるの? えっ? ストーカー?

 

「我が先程話した!!」

 

「勘弁してよ」

 

「光栄に思いなさい。貴女はこの霧夜エリカと引き分けたのだから」

 

知るか!! もう良いトイレに行く。

 

「あっそ、ちょっと花つみに言ってくる。此処から動くなよ? 迷子になるからな俺が」

 

「うむ!! 存分にしてこい!!」

 

予想通りに給士の姉ちゃんがこっちに陣取ったな。あの二人のがほかの奴らよりも優先度が高いみたいだねぇ。

 

俺も、もう一つのポイントの方にいきますか。

 

 

 

 

当たるも八卦当たらぬも八卦。

 

 

 

 


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