俺は真剣でダラッと生きたい   作:B-in

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一話

最初に感じたのは不安。

 

今まで温かかった空間から弾き出された。そう感じた。目は見えず、碌に音も聞き取れない。呼吸さえも上手くは行かず叫ぶようにして喉を震わせた。

 

「オギャァァァァァァ」

 

……………………………………………………………………………………………………………………ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 百夜

 

 

やぁ。生まれた瞬間に苦痛と途方も無い疑問を覚えてしまった俺だ。

うん、またみたいなんだ。記憶的にはだけど、こんな展開に俺は言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じる訳がないだろ普通。殺伐とした世の中だからこそ普通って大切だと思う。

 

 

 

じゃあ、愚痴を聞いて貰おうか。拒否権は行使しないでくれ、家族がイロンナ意味でぶっ飛び過ぎてるんだ。

 

俺は昨日三歳になった。七五三だ。イロイロと着せかえられた。前回とは違う展開についていけない。

三歳と言うとヤンチャに成り始める時期だが、既に中身の精神年齢が本体との記憶と合わさって中年の域に達している身としてはゆっくりと読書をしたくなるんだ。

絵本はノーセンキューだ。ラノベか哲学書、文芸書とかを読むのが好きなんだ。マンガも好きだ。

簡単に言うと、同年代と遊ぶのに何をすれば良いのかが分らない。今年ごろは酷いものだ「う○こ、チン○」で大爆笑してしまう年頃だ。

はっきり言おう。友達なんて出来やしねぇ。うん、少し言葉が汚かったね。俺はボッチに成りかけている。こうなったら中学か高校は地元の人間が行かない所に言った方が良さそうだ。

そんな訳で、物凄く疲れているんだ。記憶によれば子供の時は無尽蔵とも思える程の体力で遊びまわっている年頃なのだが…精神年齢中年な人間にそんなものは無い。

悩みは尽きない。

いや、前回も大分ぶっ飛んだ世界に生まれちゃったよ? でも、其処はマンガとしての情報とかが最初から在ったから受け入れる事が出来たんだ。

俺が生まれたのは日本。これは良い。ジャパニメーションは大好きだ。元は日本人だしね?

住んでる場所は川神。これも良い。もともと地理には詳しくは無い。在るんだろうさぁ。

家が道場。これも、受け入れられる。柔道・空手・剣道等々、日本には元からあるしね。

 

だけどさぁ

 

「ウィック!! 見るヨ、モモヤ。これが私の…ルストハリケ○ン!!」

 

「何の!! 俺の拳は邪拳ゆえ種明かしは一回きりだ!!」

 

吹き荒れる暴風、それを掻き消す拳打。

 

「いい加減にせんか!! 顕現の参!! 毘沙門天!!」

 

それらを纏めて捻り潰す仏神の拳。

 

「おぉ!! じじ強い!! 強いな!!」

 

お姉様、どうかそのまま純粋に育ってください。私はこの現状に現実から逃げだしたくなります。割と本気で。

 

氣というモノがある。肉体に宿る生命力。一種の身体エネルギーの一つだ。前は俺も魔力というモノを持っていた。今は無い…と思う。だって感じられないからね。

氣を使う事は俺にもできる。昔在った魔力は感じられないが、今は膨大な氣を身の内に感じている。生まれて意識を失う数瞬前に封印したけどね。

 

(…また、ゲームかマンガの世界なのか? もう、死亡フラグは嫌なんだけど)

 

鬱になりそうです。

 

周りに溢れる氣をほんの少しだけ扱う。

 

(普通に外氣使えるし…え? 何これ? また厄介事ですか?)

 

考えても見てほしい。こんな出鱈目人間その一の血を引く人間はどうなるでしょうか?

何かに巻き込まれるよねぇ…涙出てきた。

 

「あー!! 弟が泣いてる!! 」

 

そう言って、俺の方に駆けてくる姉君。その優しさは嬉しいのですが、お願いですから四歳児では出せる筈の無い速度で走らないでください。

 

「誰にやられたんだ。ルー先生か? 釈迦堂先生か? じじか!!」

 

「えっ、わし?」

 

「じじのばかー!! 」

 

「爺のバカー」

 

「ン~、子供が居るのに毘沙門天は少しキツイと思いますヨ?」

 

仲良いのね。貴方達…普段は犬猿の仲だろ? 特にルーと釈迦堂。ジャ○キーとヒ○シ。

 

「貴様等が酔って暴れるからじゃろうが!!」

 

あっ、なんかまた暴れそう。

 

「おねーちゃん。ねむい~」

 

「ん? そうか。それじゃおねーちゃんが一緒に寝てやろう!!」

 

こんな時こそ、自分の外見年齢を使うべし。泣く子は強いのよ。

 

「うるせぇ!! 爺!! 元はといやぁ、手前ぇが煽ったんだろうが!!」

 

「そうです!! 私に酒を飲ませたのは師範ですヨ!!」

 

「喝!! そんなん知らんもん!!」

 

ジジイキモイ。

 

「行くぞー弟ー」

 

「ハーイ」

 

俺はもう寝る。こんなビックリ人間達に構っていられるか!! 俺は姉と寝るぞ!!

自室に戻り、布団に入ると温かい人肌の温もりが正面から包んでくる。

 

「モモヤー。お前はおねーちゃんが守ってやるからな、安心して寝て良いんだぞー」

 

姉、は少々俺に甘い。まぁ、生まれて早々生命維持の為に人工呼吸器とかに繋がれたからかも知れない。

じーさまは、ゆっくりと鍛錬すれば強く成れるとか聞いても無いのに言ってたし。まぁ、お家的に長男に道場を継がせたいのかももしれない。

 

断るけどな!! 

 

バカめ。魔法使いとしての知識とか技能とかは知ってるし在る程度は使えるんじゃ!! 魔力感じないけど、その辺は外氣と氣で代用して出来るんだよ。さて、まずはスクラッチからコツコツと行こうかね。

生きる事に特に目的は無い。ただ、楽しく平和にダラっと過ごしたいんだ。

 

 

 

次の日、三歳になったからという事で早朝ランニングさせられる事になった。無論、サボった。ルーに叱られた。真面目過ぎる人間は嫌いではないが、面倒臭い。

 

その次の日、ルーが付き添いで走る事になった。勘弁してほしい。

 

そんな、感じに一年が過ぎた。

 

 

一年過ぎれば四歳で、川神の道場。川神院という所で型の稽古をさせられる事になった。当然逃げ出した。今回はトラップも仕掛けてみた。

知らない人たちの悲鳴が聞こえた。俺は悪くない。取りあえず、この間じーさまに強請って買ってもらった本を読む事にした。

釈迦堂のおっさんに見つかった。特に怒られなかった。ただ言われた。

 

「お前も嫌なら、嫌って爺に言えば良いだろうに」

 

ごめん、言ったら両親に怒られた。筋が良いらしい。二人揃って神童が生まれたとか言ってた。姉ちゃんと俺は凄いらしい。

こいつぁやべぇ。

 

「…言って両親に怒られた件について」

 

「知るか」

 

この人は結構好き。なんだか、親しみやすい。

 

でも、やっぱり今回の人生。俺は姉に恵まれた様だ。でも、余り強くならないでほしい。将来美人になると思うから、ムキムキと筋肉付けない方が良いと思う。

 

 

 


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