俺は真剣でダラッと生きたい   作:B-in

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四話

 

 

 

 

 

シュッ

 

バスッ

 

「ストラーイク!! バッターアウト!!」

 

「どうしてこうなった」

 

 

あっ、どうも。百夜です。小学生野球の応援に来たはずなのにキャッチャーやっています。

うん、理解不能だね。ただ、一つだけ言える事が有るんだ。

 

「ボサっとする出ない。早くベンチに戻るぞ!! 庶民の百夜!!」

 

「うむ。九鬼の名を背負う男子ならば、次はホームランを打ってこい英雄!!」

 

 

こいつら(九鬼姉弟)は人の話を聞かない。

 

「川神君、早くベンチに戻らないと邪魔になってしまいますよ?」

 

「…ドンマイ百夜」

 

「うぇ~い」

 

ヒリヒリする右手を振りながらベンチ戻る。メンドクサイので氣で直ぐに直す。いや、痛いのも辛いのもキツイのも嫌いですから。この世界では割かし氣と言うモノは便利なモノで、試した事は無いけど多分他人も癒せる。

…普通に回復魔法的に使えると思う。某召喚ゲームのストラ的な感じで

 

話がそれた。なんで、こうなったのか? イロイロ端折ると

 

① つまらなさそうに野球観戦する俺、適当に井上と葵と話しながら観戦。

② 九鬼は素晴らしい肩を持つ投手だった。ビックリだね。ぶっちゃけどうでもいいけど…

③ 観戦に来ていた九鬼姉と遭遇。

④ キャッチャー怪我してベンチ入り。控えのキャッチャーも運悪く病欠。

⑤ 俺キャッチャー

 

④と⑤の間でイロイロ有ったんだよ。ヘルシングとか言う怖いおっさんも居るし、九鬼姉は漢らしいし。

未だに四回裏。まだまだ先が有る。来るんじゃなかった。

 

「庶民百夜!! これで汗を拭いておけ!! 体が冷えてはいけないからな!!」

 

後、こいつはこいつで案外味が有って面白い奴と言うのも分かった。普通に良い人でも有るようだ。

 

 

 

 

 

 

side 揚羽

 

今日は我が弟の晴れ舞台と言う事で野球観戦にきた。グラウンドを見ると英雄がボールを投げている。うむ!! 流石は我が弟!! 見事な早さとコントロールだ!!この勝負は勝ったも同然だろう。

そんな時だ、我はこの会場で誰よりもダルそうな氣を感じた。今までに感じた事の無い氣だ。総量的に感じられるそれは一般人のそれだが、その氣の感覚は初めてのモノだった。

好奇心を刺激される。どうやらその氣の持ち主は我の目的の場所に近い所に居る。そのモノが如何な人物なのか…我は期待に胸を膨らましながら歩みを進めた。

 

そして、目に入った人物。恐らくは英雄の同級生だろう。その隣にいる二人の男子もそのようだ。

 

「英雄君頑張って下さーい」

 

「おう、勝てよー九鬼」

 

「がんばー」

 

はっきり言おう。ここまでダルそうだと清々しさを感じてしまう。目は死んでいるし声に覇気も無い。だが、姿勢だけは正しい。

うむ、これならばまだ廃人と呼ばれるゲーマーの方がマトモに見えてしまうな!!

 

「お主、男子ならばもっと声を出して応援しないか!! そんな体たらくではご両親も悲しむぞ!!」

 

我としてはこの名前も知らぬ男子の反発を期待したのだが…返ってきたのそれがどうしたと言わんばかりの自信に満ちた返答だった。

 

 

side out

 

「お主、男子ならばもっと声を出して応援しないか!! そんな体たらくではご両親も悲しむぞ!!」

 

知らない人に何か言われた。どうやら、気持ちが態度に出過ぎていたらしい。いや、だってもうダルイのには変わらないんだもの。いやね、有る程度は周りの人間と話したよ? 井上とか井上とか葵とか

他の人? 馬鹿言うなそんなの怖いだろうが。言わせんな恥ずかしい。

九鬼位だよ他に話した奴、まぁ、話して分ったのはあいつが超絶俺様主義だと言う事だ。まぁ、暴君ではないと言うの位は分ったけども。

 

取りあえず、それはいったん置いておいて。俺に何か言ってきた人に目を向ける。

最初に行くのはその額に刻まれた×の傷。髪は姉さんと同じくらいの長さだ。大体肩の少し上位まで伸ばしてある。

うん、美少女だな。出来ればもう十年位後に会いたかった。

まぁ、話しかけられたから返す。

 

「いや、負ける試合を応援するのは流石に無理。」(いえ、少々体弱いモノで。大きな声を出すのもちょっと怖いんですよ)

 

って、本音ぇぇぇ!! 建前は何処に行った!! 逆に成ってんじゃねぇか!!

 

いや、占いが得意と言うのはガチなんで試合の結果は知ってましたよ? 人相も見れたし試合をしているチーム同市の全体の配置を見て分りましたよ? 

でも、言う気は無かった。だって、一割の確率で外れるモノ。本気出しても100%には成らないんだから。99だよ確率は。

 

「ほぉ…お主は我が弟が負けると言うのだな? 理由を申して見よ。この九鬼揚羽が聞いてやろう」

 

怒ってるよね。この人絶対に怒ってるよね? もう此処まで来たら潔く言うけど。

 

「…あのキャッチャーがまず怪我で退場。その後で九鬼が頑張りすぎて後半はアップアップ、周りの人間の士気も下がりに下がってアウト。まぁ、所詮俺の占いだからねぇ俺ぐらいしか信じねぇよ」

 

俺がそう言うと、このお姉さんは笑って言う。

 

「ならば、この九鬼揚羽がそなたの占いを変えてやろうではないか!! 」

 

テンション高いなぁこの人…やはり姉弟とは似るものなのか?

 

 

 

回想終了。まぁ、この後キャッチャー怪我して、その代わりが居ないもんだからって事で、九鬼姉が俺を強引にねじ込んだ。野球やった事無いんだけど…

 

カキーン

 

あっ、九鬼弟がホームラン打った。次俺か…

 

「ハッハッハ!! 見たか庶民。さぁ、我に続け!!」

 

「ヘーイ」

 

別に三振でも良いよね?

 

だって、さっきのホームランで2-0で勝ってるんだもん。占っても勝ちが変わらないみたいだし。つーかあのお姉さんマジでやってくれたわ。俺自身に占いの結果を変えさせてんだもん。一つ溜息をついてバッターボックスに立つ。

するとキャッチャーの人が小声で何かしら話しかけて来ました。アレだね、集中力を霧散させようとか心理戦をやろうって訳だね。大丈夫だよ!! 俺ってば勝ち負けはどうでも良いから意味無いね!!

そんな感じで2ストライク2ボールになったわけですが…なんだか、余りにも俺が平然としているからでしょうか?

 

「おい、あんまり調子に乗ってると…あのキャッチャーみたいになるぜ? おぼっちゃん?」

 

と言われました。はい。しかもね、鼻で笑うように…

 

「今のはカチンと来たわー」

 

取りあえず………お前の心は絶対に折る。

 

 

 

 

 


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