東方銃憶録   作:MICRA

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向日葵畑の恐怖

幻想郷に戻って来て1日経った頃、咲夜さんから手紙を手渡された

差出人は幽香、思い出せば週一で来いと言われている物を3週間はすっぽかしている

ヤバイのは火を見るよりも明らかだ、手紙を見ても中々過激な事が書いてある

向日葵畑の近くでエンジン音を立てようものなら再起不能になる位ブチのめされそうだ

だけどこれ以上引き延ばせばそれこそ消し炭になるだろう、まぁ生き返るが

あぁ、八方塞がりとは正にこの事、今すぐ行って召されるか、先延ばしで消し炭になるか

しばらく悩んだ俺は…、召される事にした、さぁ死にに行きましょう

玄関から出て車に乗り込み、向日葵畑に向かい車を走らせた

 

……

 

フィガロには置き手紙を残し向日葵畑に着いた、周りを見回したが幽香らしき人影はいなかった

しばらく探した後、今日は居ないのだろうという答えに至り家路につこうとMARCHのドアを開けたその時

肩に手を置かれた、影は見覚えのある日傘を差しており俺は冷や汗ダラダラである

 

幽 「久しぶりねぇ、人との約束をすっぽかして何処に行っていたのかしらぁ?」

 

肩に置かれた手に力が入り、肩に食い込んで行く、とても痛いが金縛りの様に体が動かない

 

幽 「私あまり我慢強くないのよ、出来れば早く理由を教えて欲しいわねぇ?」

 

蛇に睨まれた蛙とはこの事を言うのだろう、これは一回死ぬぐらいじゃ済まないんじゃないかなぁ?

 

弥 『話が長くなりますが…、如何致しましょう…?』

幽 「…良いわ、中で話しましょう?、ウフフ…」

 

幽香はそう言って家の中に入って行った、正直逃げちまいたいです

 

幽 「早く来なさい?、私の気が変わらないうちにね?」

 

逃げたら逃げたで死ぬなこれ、さて、怖いけど行きましょう

 

古の大戦で桜花に乗る人間はこんな気分だったのかしら、そう思う程の絶望感だ

座り心地の良いソファに座っていると言うのにくつろぐことが出来ない

その恐怖の種になっている幽香は自分の焼いたクッキーに舌鼓を打っている、幸せそうで何よりです

しかしこの人はお菓子作りが上手だ、きっと料理も美味しいのだろう、きっと

その事を褒めるといつも照れ臭そうに肩を叩いてくる、可愛らしい、威力は可愛くないが

 

幽 「ねぇ、今日のお菓子は美味しくないのかしら?、全然食べてくれないけど…」

 

打って変わって先程のオーラは無くなり、悲しそうなトーンでそう聞いて来た

 

弥 『いえ…、そう言う事では無いんですが…』

幽 「そう、なら良いわ」

 

言い方こそ冷たいが、嬉しそうにニヤニヤしている、こういう所は女の子なんだなぁ

 

幽 「で、何で最近来なかったのかしらぁ?」

 

さっきまでの和やかなムードは空虚へと消え去り、緊迫とした空気が張り詰めていた

 

弥 『ちょっと外界に…行って来たんです』

幽 「連絡も無しに?」

弥 『…忘れてたんです』

 

正直にそう言うと幽香はにっこりと笑った、もうそれはにっこりと、とっても恐ろしい

だって目元に影が掛かっているんですよ、黒い靄が後ろにかかってるし

 

幽 「忘れてた、ですって…?」

幽 「一生忘れられない様にしてやろうかしらぁ?」

弥 『すんませんでした』

 

良く考えたら何故俺は怒られてるんだろ?、別に俺が何処かに行こうと俺の勝手じゃんか

まぁそんな事言えば消し炭になるだろうからお口チャックだけど

 

幽 「はぁ…、まぁ私がとやかく言う事でも無いわね、一緒に住んでるわけでもないし」

 

幽香は寂しそうな顔でそう言った、さっきまでの殺気は何処いった?

 

弥 『あれ、もしや寂しかったんですかぁ?』

幽 「あ゛ぁ゛!?」

 

ここにあったわ、何処から出たんだその声は

 

弥 『ごめんなさい』

幽 「とにかく!、今度出かけるときは連絡しなさいよ」

弥 『分かりました』

 

その後は何時もの和やかなムードに戻っていた

 

幽香と和やかなティータイムを楽しんでいると、外からけたたましいエキゾーストが響いた

今や聞き慣れたCG13の排気音、フィガロの奴やっぱり来たか

窓の外を見ると砂煙を上げながらこちらに走ってくるフィガロが見えた、片手にはルガーを持って

 

フ 「お兄様、こんな所にいましたか!」

 

扉を勢いよく開けると、開口一番そんな事を宣った

 

幽 「この子誰?、弥生」

弥 『…私の妹です』

幽 「あぁ〜、御愁傷様」

 

幽香はそう言うとキッチンの方に消えて行った、確かにその気持ちは分かるけど俺を一人にしないで欲しい

そんな幽香に入れ替わるように椅子に座ったフィガロは、いつも通り生気のない目で俺を見据えている

毎回見るたびに思うが何でそんなに目にハイライトが無いんだ?、ドライアイなの?

そんな事を考えているとフィガロが口を開いた

 

フ 「前にも言ったはずです、出かける時は言ってくれと」

弥 『だから置き手紙したんでしょ?、わざわざ紙に書いて』

フ 「口で言って下さいよ!」

弥 『お前絶対付いてくるじゃん!』

フ 「それはお兄様が心配で!」

弥 『俺はもう大人です!、わざわざついてこなくて良い!』

 

俺がそう言うとフィガロはプルプルと震え出し、消え入るような声でこう言った

 

フ 「私は…、お兄様が心配で…」

 

フィガロはそう言うと泣き出してしまった、そういえば昔っから泣き虫だったなぁ

 

弥 『あぁ、ごめん、悪かったって、泣き止んでくれ、な?』

フ 「うぅ…、お兄様ぁ…」

 

するとフィガロは腰に抱きついてきた、なんか超恥ずい

俺が周りを見回すとさっきキッチンに消えて行った幽香が影からこちらを見ていて、ニヤニヤしていた

ちょっとイラッとしたのは言うまでも無いだろう、しかし面と向かってそんな事を言えば殺殺だろう

 

幽 「仲良いわね、流石兄妹と言った所かしら」

 

最後に幽香が言ったそのセリフ、それが妙に心に残ったのだった




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