弥 『あ』
フ 「どうしたんですか?、お兄様」
弥 『机の鍵忘れた』
……
…
さて、鍵を単冠湾に忘れたせいで単冠湾鎮守府にいる訳だが…
寂れ具合に拍車が掛かっていると言うかなんと言うか…
磯臭さはいつも通りだ、臭い臭い
フ 「あからさまに嫌そうな顔してますね」
弥 『だって臭いんだもの』
フ 「私が?、気を付けてるんですけど…」
弥 『じゃなくて、ここ、磯臭いだろって話』
フ 「あぁ、そっちですか、確かに臭いですけど」
弥 『どんな間違え方だよ…、まぁ良い、行くか』
やけに大きな扉を開くと大淀さんはまた嫌そうな顔をしていた
いや、嫌われてるのは知ってるけどさ、そんな顔しなくても良いじゃない
大人なんだから隠しなさいよ、全く
大 「御用件は?」
弥 『私達がいた部屋に小さな鍵落ちてませんでした?』
大 「いえ、心当たりは無いですね、御自分で見てきたらどうです?」
弥 『それもそうですね』
大 「知ってると思いますけどそこの突き当りを右です、それじゃ」
そう言って大淀は何処かへ行ってしまった、ブツブツ文句を言いながら
まぁ鍵ここに無かったら作ればいいか、て言うか何で俺あんな嫌われてるんだ?
……
…
って事で俺は応接間、って言うには余りにも何も無い部屋の中で鍵を探している
まぁなんと言うか、無い、全く見当たら無い、俺どこやったっけ
フ 「同じ所探しても見つかりませんよ〜」
弥 『分かってる』
そんな訳でフィガロにも手伝って貰っている
しかし二人掛かりでも中々見つからない、多分棚の裏にでも落ちたのかな
そんな事をしていると部屋の扉が叩かれた、聞き覚えのある声と共に
あ 「弥生殿、失礼しますぞ〜」
そう言ってあきつ丸は入って来た、情報行くの早く無いか?、まぁ良いが
にしてもだいぶ雰囲気が変わったな、なんと言うか大人っぽくなった
グレーだった制服は黒に、それに伴い帽子も黒くなっている
マントを羽織っているのはこいつの趣味だろうか?、陸軍のとこには着てる奴ほぼ居なかったし
あ 「久々でありますな!、弥生殿、いかがお過ごしでした?」
弥 『普通、異変解決を野次馬に行ったり、その辺りを走りに行ったり』
あ 「本当にいつも通りでありますな…、この装いはどうでありますか?」
弥 『よく似合ってる、そのマントもな』
あ 「そうでありましょう〜、改ニの証であります!」
弥 『そいつは良かった、強くなって帰って来るって言ってたもんな』
あ 「えぇ、褒めて下さい‼︎」
前言撤回、全然大人っぽくなってません、褒めてくださいってなんだよ、馬鹿かよ
その上後ろに佇むフィガロの顔怖いし、笑顔が怖いって最早どうなの…
殺気を帯びたフィガロはゆらゆらと霊の様にあきつ丸の肩に手を乗せた
フ 「……コホン」
あ 「あぁ!、フィガロ殿!、お久しぶりでありますな!」
フ 「えぇ、そうですね、所であきつ丸さん」
あ 「なんでありますか?」
フ 「取り敢えずお兄様…、じゃなくて兄さんから離れなさい…?」
あ 『は、はい…』
気迫に押されたあきつ丸は俺から離れた、あきつ丸オドオドしてるぞおい
あきつ丸の影から見えたフィガロの顔はまるで死神の様な凄みがあった
フ 「後本州でのお仕事はどうしたんですか?」
あ 「あぁ、単冠湾泊地に自分配属されたんです!」
フ 「単冠湾でのお仕事は?」
あ 「特にありませんけど?、だから紅魔館に帰投する予定です」
俺から引き剥がされたあきつ丸が少し怯えながらそう言うとフィガロは頭を抱えた
フ 「田舎の泊地だと仕事すら無いのか…」
弥 『お前サラッと失礼な事言ってるからなー』
フ 「…まぁ良いです、仕事をすっぽかしてこちらに来ているわけでは無い様なので」
あ 「勿論です、プロですから」
フ 「本当にプロならこんな所に来ませんよ」
弥 『お前が言えた事じゃなく無いかフィガロ』
フ 「私にとってはこれも仕事、と言うか最優先事項です」
弥 『意味分かんない』
何はともあれあきつ丸が帰って来た、また騒がしくなりそうだ
……
…
あ 「にしても迎えに来てくれるなんて感心でありますなぁ、うりうり」
弥 『うっさいわ、肘で人の事小突くな』
付いて来る気満々のあきつ丸が居るわけだが、仮にも配属先の提督に挨拶はしておくべきだろう
あきつ丸はもう話は付けてあるって言ってたけどな、なんて言うか信用出来ん
にしてもさっきから明石が走って逃げて行ったり加賀さんが右往左往してたり騒がしいな
なんか頭の中が空の人の部屋から女子が騒いでる声が聞こえる、テンションが空に似てるし
ってか空のやつどこにいるんだよ⁉︎、あいつの部屋には女子一人だぞ、女の子待たして何やってんだ?
俺も右往左往していると気付いた加賀さんが話し掛けて来た
加 「あ、弥生さん、どうしてここに?」
弥 『探し物に、まぁ見つからなかった訳ですけど』
弥 『それはそうと提督は何処ですか?、あきつ丸が話があるってうるさいんです』
あ 「うるさいってのは余計でありますぞ、弥生殿」
加 「提督なら…、あの部屋の中に居ますよ」
そう言って加賀さんはさっき女子がいた部屋を指差した
加 「あそこに居る女の子が提督です」
加賀さんは半笑いでそう言った、その顔は少し悲しげだった