地殻の下の嫉妬心
人間は何かと深い所を物語の題材にしたがる、ジュールベルヌの『地底旅行』とかな
何でこんな話してるかって?、今俺は地底に来ているからさ
しかしイメージの地底とは違って…、繁華街みたいなんだ
あ 「ほんと、自分たちは厄介事に巻き込まれますなぁ…」
……
…
ゲートを通った先は暗い異様な空間、無数の目玉がギョロギョロと蠢き不気味だ
MARCHのヘッドライトをハイビームにして奥を見るが暗闇が続くばかりで何も見えない
俺はこの風景を知っている、紫のスキマの中だ、不気味な目玉が何よりの証拠
取り敢えずヘッドライトをそのままに外に出ると、バリバリと車体に張り付いた氷が割れる音が響く
トンネルの中の様に三台の排気音が辺りに響いているばかりで何も分からない
フ 「?、ここは?」
いつもの様にMARCHの後ろにはFigaro、K10MARCHが並んでいる
三台共氷漬けになっているが珍しくエンジンが停止していない、何故だろうか
あきつ丸が呆れた様に車から出てくると開口一番にこう言った
あ 「また面倒ごとに巻き込まれた様でありますなぁ…」
弥 「はぁ、だな、こんな所来た事ないぜ」
紫 「でしょうねぇ、初めて繋げた所なんだから」
何処からともなく声がすると、空間が裂け紫が出て来た
いつもの胡散臭い雰囲気を漂わせる紫は何処へやら、真面目でキリッとした面持ち
紫 「ここに来て貰ったのは他でも無く、地底の偵察役として働いて貰いたいからよ」
紫 「最近は地底の動きが活発でね、そこで怪しい動きが無いか見て来て欲しいって訳」
弥 「拒否権は?」
紫 「もちろんあるわよ?、ただ私が貴方にどれ程の施しをしてあげたか忘れた訳じゃないわよね?」
弥 「…はぁ、分かりました、見てくれば良いんですね」
紫 「ありがとう〜、話が早くて助かるわぁ、あ、因みにレミリアには言ってあるから安心して良いわよ」
任務を押し付けられて俺が溜息をつく頃、あきつ丸が口を開いた
あ 「だけど何で自分達が行くんでありますか?、紫殿が行った方が良いのでは?」
紫 「そうしたい所なんだけど私地底でも有名だし、偵察には不向きなのよ」
紫 「それに何より、天界やら外来人やらで私がやらなきゃいけない事が多くて手が回せないって訳」
あ 「あぁ、大変そうでありますな」
紫 「じゃ、車にみんな戻って、地底まで送るから」
紫がそう言うので一同各自の車に戻ると正面にスキマが開いた、向こうは薄暗い洞窟の様だ
紫 「みんな、行ってらっしゃーい!」
車を走らせスキマを抜ける頃、後ろからそんな声が聞こえた
……
…
人間は何かと深い所を物語の題材にしたがる、ジュールベルヌの『地底旅行』とかな
しかしイメージの地底とは違ってここは…、繁華街みたいなんだ
あ 「ほんと、自分たちは厄介事に巻き込まれますなぁ…」
弥 「だな、本当いつも面倒くさい」
赤い反り橋を境に向こう側は昔の遊楽や飲屋街の様に賑やかだが
何と言うか、強い者が発するオーラ?の様なものを多数感じる
確か貸本屋で読んだ妖怪の本には地底には厄介な妖怪が多数居るって話だったな
厄介だ、取り敢えず壊されたらマズイ物に自己修復機能を付与して…っと
あ 「綺麗でありますな」
弥 「旧地獄って言う名前には似付かわしく無い程にな」
俺達側と街の間には川があり、なかなか深い
近くには橋がありそこを通らなければ向こう岸には行け無さそうだ
反橋の道幅は狭く車は通れない、ここからは徒歩って訳だ
弥 「んじゃ、行きますか」
フ 「ですね、あの紫とか言う人の指図を受けるのは癪に触りますがね」
弥 「致し方無い事さね、幻想郷の管理者に楯突く必要も無いだろ」
しばらく歩き橋を渡ろうとしていると、ふと横から声が聞こえた
? 「女を二人引き連れてここを渡ろうだなんて妬ましい…」
俺ら三人は同時にホルスターに収まった銃に手を掛けたが依然として相手の姿は見えない
弥 「誰方ですか?、私達に敵意は無いですよ?」
? 「銃に手を掛けた状態で言われても説得力無いわよ」
弥 「これは条件反射のような物ですよ、誰も居ないと思っていた所から声が聞こえたら武器に手を伸ばしたくもなります」
? 「じゃあこうすれば良いのかしら」
すると俺達と対する様に少女が現れた、緑色の発光する眼をしたエルフの様な少女が
? 「貴方達、ここに何しに来たって訳?、不可侵条約を知らない訳じゃ無いでしょう?」
弥 「勿論知ってますが、幻想郷の管理者様に送り込まれた身でして」
? 「追放されたって事?」
弥 「似た様な事です」
すると彼女は少し考える素振りを見せた後、こちらを向き直し溜息を吐きながらこう言った
? 「ここは旧地獄、誰も貴方達を拒む者は居ないわ」
? 「取り敢えず付いて来なさい」
彼女はそう言うと繁華街の様な街の中心部に歩き始めた
……
…
弥 「私は弥生、あっちがあきつ丸でこっちがフィガロです、貴女は?」
? 「んぁ?、初対面で私の名前を聞くなんて妬ましいわね、水橋パルスィ、種族は橋姫、貴方も人間じゃ無いでしょ?」
弥 「私は蓬莱人ですが、あきつ丸とフィガロは人間です」
あ 「自分は艦娘であります!」
フ 「話がややこしくなるからやめなさい、あきつ丸」
パ 「楽しそうで妬ましいわね、さ、着いたわよ」
パルスィに案内された飲み屋は、想像を絶する量の酒と喧騒が待ち受けていた
次回をお楽しみに!