ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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弟君、フライング出演。


ブーメル・クワンガー

シティ・アーベル シンボルタワー

 

シティ・アーベルのシンボルとなるべく建造されたタワー。

 

しかし、現在は元17精鋭部隊所属の特A級ハンター ブーメル・クワンガーの手によって要塞と化していた。

 

エックスは、クワンガーを討つべく、タワー内部を進んでいた。

 

「くっ!警備が厳重だな!」

 

エックスは向かってくるメカニロイドをバスターで撃ち落としながらも梯から梯へと移っては登り続けていた。天井に配置されている砲台も容赦なく攻撃をし、エックスはタイミングを合わせようととにかく必死に登る。

 

「うわあぁ!?ここにもトラップが!?」

 

警備システムに引っかかり、危うくメカニロイドの攻撃を受けそうになりながらもエックスはどうにかダッシュで切り抜け、バスターで撃破する。

 

ひたすら落とし、壁蹴りをしながら登って行き、砲台を壊して登る。

 

 

 

それを繰り返しているといつの間にか頂上付近にまで到達していた。

 

エックスが制御室に入り込むと既にクワンガーが待ち構えていた。

 

クワンガーは、エックスが来たことに驚く様子もなく興味深そうな目で見ていた。

 

「ここまで登ってくるとは・・・・・・・・やはり、シグマ隊長が仰るようにあなたには可能性があるようですね、エックス。」

 

クワンガーは、好戦的な一面はあるもののナウマンダーほど喧嘩をするタイプではない。部隊内ではそれなりにまとめるし、同じ部隊に所属している弟のグラビティー・ビートブードの面倒見もいいという意外な一面もあった。エックスから見れば少し好戦的になった出木杉のようなものだった。

 

「シグマの言う通り?一体どういう事なんだクワンガー。」

 

「B級ハンターのあなたが戦いの中で悩み・・・・・すごいスピードで成長している。シグマ隊長はそれをあなたの可能性だと仰っておりました。」

 

「バカな!?戦う以外の道だってあるはずだ!!」

 

「戦う以外の道?イレギュラーハンターは戦うために作られたレプリロイドでは? 」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「イレギュラーの私を始末しに来たのならもはや会話など不要・・・・・・・さあ、あなたのスペックを存分に拝見させていただきましょう。」

 

クワンガーは、そう言うと瞬発的なスピードで一気にエックスへと迫る。

 

「はっ、速い!」

 

エックスは咄嗟にジャンプをしてショットガンアイスを放つがクワンガーはわけなく避ける。

 

「反射速度、判断力、目標への狙い・・・・元々備わっていた射撃能力がさらに向上しているようですね。」

 

「くっ!」

 

エックスは、通常のバスターに切り替えて連射する。

 

クワンガーは、スピードによる機動力を重視したレプリロイドであるため装甲は極めて薄い。通常のバスターでも一発でも当たればかなりのダメージになってしまう程である。しかし、その機動力は、並のレプリロイドは愚かシグマすら一時的に凌駕するほどのレベルとなる。

 

「それに避けてはいるものの私との間隔がだんだん短くなってきている・・・・・どうやら私の動きを捉えつつある様ですね。以前のあなたではできなかったというのに。」

 

クワンガーは、エックスのバスターがだんだん自分に命中する危険性が高まっていると判断した。

 

「こうなってはボディへの負担は覚悟のうえで本気を出した方がよさそうですね。」

 

クワンガーは頭部のカッターを外してエックスへと投げるとすかさず一気に接近して手刀を放つ。エックスも手刀を避けると近距離からのチャージショットをお見舞いする。クワンガーは訳なく避けて距離を取るが壁に大穴が空き、そこから外の景色が見えるようになった。

 

「あれ程の威力があるとは・・・・・・・当たっていれば危ないところでしたね。」

 

「やっぱりチャージしたバスターじゃ速度が遅いか・・・・」

 

エックスはダッシュしながらもクワンガーに後れを取らないように奮闘する。

 

(エックスにこれほどの機動力はなかったはず・・・・・・腕といい新しいパーツが付けられている・・・・・いや、それ以上に彼の成長が想像以上に早い。あの判断力が欠けているエックスのどこにこれほどの力が・・・・・・)

 

「エレクトリックスパーク!!」

 

「っ!!」

 

クワンガーは、床を走る電流に危うく当たるところだった。他のハンターならまだしも装甲が極めて薄い自分に当たれば致命傷になりかねない。しかし、これはエックスの作戦だった。

 

「ローリングシールド!!」

 

「何っ!?」

 

エックスのバスターから球状のエネルギー弾が発射され、クワンガーの足元へと向かっていく。クワンガーは避けるがエネルギー弾は壁に当たると跳ね返りクワンガーへと命中する。

 

「ぐっ!!」

 

クワンガーの顔の装甲が一部吹き飛び、そこから内部の機器が露出する。

 

「まだです!この程度のダメージで・・・・・」

 

「ホーミングトーピード!!」

 

エックスは攻撃を緩めず、ミサイルでクワンガーの脚部を破壊する。

 

「うぅっ!!」

 

身動きが取れなくなったクワンガーを前にエックスは、バスターをチャージしながら歩いてくる。

 

「まさか、私がこうもあっさり動きを封じられるとは・・・・・・・」

 

クワンガーは、悟ったかのように攻撃をやめた。

 

「クワンガー・・・・・・アルマージ、オクトパルドに続いて君を撃つことになるなんて・・・・・・」

 

エックスはクワンガーにバスターを向ける。チャージは既に完了していつでも撃てる状態だ。

 

「クワンガー・・・・・投降する意思は・・・・・」

 

「無論ありません。」

 

「・・・・・・・」

 

エックスは黙ってバスターをクワンガーに向けて放とうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

しかし、その直後エックスは発射するのを中断した。原因は、空いた大穴から何か巨大なものが自分に向かって飛んできたからである。巨大なものはエックスの攻撃を中断させるとクワンガーの前に立つ。

 

「君はっ!?」

 

エックスは目の前に現れた者に驚きの顔をする。

 

青い体色に巨大な一本角、細身のクワンガーとは対照的にずんぐりむっくりの体型。エックスがのび太だった頃でも子供に人気がある昆虫 カブトムシがモチーフのレプリロイド。

 

「ビートブード。」

 

クワンガーは自分の目の前で庇うレプリロイドの名を言う。

 

彼こそが同じ17精鋭部隊に所属している弟のグラビティ・ビートブードである。

 

シグマの反乱直後、離反した兄の責任によって独房に監禁されていたのだが、看守たちの立ち聞きでエックスがオクトパルドに続いてクワンガーを討伐しに行くと聞いたため強引に脱走してここまで来たのである。

 

「ビートブード!どうして君まで!」

 

「・・・・・・・」

 

ビートブードはエックスの質問にしばらく黙る。

 

「・・・・・お、俺は・・・・・・・・兄貴を連れ戻しに来ただけだ。」

 

「えっ?」

 

ビートブートは、クワンガーの方を向く。

 

「・・・・・ビートブード。」

 

「兄貴・・・・・・一緒にハンターベースに帰ろう。このままだと兄貴はエックスに殺されちゃうよぉ・・・・・・」

 

ビートブードは震え声で言う。

 

「兄貴、頭がいいからもう知ってんだろ?エックスは、もう四人も俺たちと同じ特A級ハンターを倒したんだぜ?だから、殺されないうちに自首しよう。」

 

「・・・・・・・」

 

「俺ってさ・・・・・兄貴に比べて動きは鈍いし、頭だって優秀じゃない・・・・・・兄貴がいないと駄目なんだよぉ・・・・・・だから一緒に・・・・」

 

「そんな甘ったれたことを言いに態々脱走してまできたのですか?」

 

「・・・・・・・えっ?」

 

クワンガーから帰ってきた言葉は、予想とは違ったのかビートブードは目を丸くする。

 

「私がシグマ隊長に付いて行ったのは飽くまで自分の興味とエックスに秘められている可能性の解明。態々、貴方と一緒に命乞いをするためにやったのではないのですよ。」

 

「なっ、何を言っているんだよ!?現に今の状態まで追い込まれて危うくとどめを刺されかけたんじゃないか!!死ぬかもしれなかったのにどうしてそんなこと言うんだよぉ!?」

 

「実験に犠牲はつきものと言うではありませんか?言うのなら私も他のハンターたちもエックスという名のモルモットを実験するための実験材料、人間で言う投薬実験の試験薬のようなものなのです。」

 

「も、モルモットと薬って・・・・・・」

 

「とにかく邪魔です。これ以上罪が重くならないうちにさっさと牢屋にでも帰りなさい。」

 

「嫌だ!兄貴も一緒に行こうよぉ!」

 

「私は態々一緒に命乞いをしてまで生かしてもらおうとする弟を持った覚えはありません。」

 

「そんな・・・・・だっ、だったら俺がエックスを倒す!!そうすれば・・・・・」

 

「無理ですね。監禁される際に武装は外され、ここまで飛んでくるまでのダメージの蓄積、その状態ではおそらくエックスは愚か、一般のB級ハンターとやっと互角に戦えるぐらいでしょう。」

 

「くっ・・・・・・」

 

兄に指摘されてビートブードは何も言えなくなる。

 

現在の彼には武装はない。さらにここに来るまでに残っていたハンターたちに攻撃も受けてかなりのダメージが蓄積さえていた。今の状態のエックス相手に勝つことはおそらく無理だろう。

 

「私は、適切な判断をして行動しろと教えたはずです。それにもかかわらずこんなところまで来るとは・・・・・・」

 

「あ、兄貴・・・・・」

 

「エックス、この愚か者のことは気にしなくて結構です。早くとどめを刺しなさい。そうしなければタワーの防衛システムは解除されませんよ。」

 

「クワンガー・・・・・」

 

「嫌だぁ!」

 

「まだ言うのですか。いい加減に・・・・・・」

 

「なら俺が刺してやる。」

 

「「「!?」」」

 

聞き覚えのある声にエックスが振り向こうとした時、すぐ脇を何かの砲弾が通り過ぎていき大爆発が起きる。クワンガーに視線を戻すとクワンガーは燃えながらこと切れていた。

 

「クワンガー!!」

 

「兄貴!!」

 

エックスとビートブートは思わずクワンガーの亡骸に近づく。

 

「クックククク・・・・・・少しは強くなったようだが相変わらず甘いようだな、エックス。」

 

エックスはバスターを構えようとしたが砲弾が命中してしまう。

 

「うわあぁぁぁぁ!?」

 

エックスは大穴から外に放り出されてしまった。

 

「エックス!?」

 

ビートブードも思わず驚くが彼も砲弾が命中し、後方に飛ばされる。

 

「相変わらずブラコンか?ビートブード?」

 

「ヴァ、VAVA!!」

 

クワンガーにとどめを刺したのはVAVAだった。VAVAは、クワンガーの亡骸に近づくと彼の装甲を剥ぎ取ってある回路を取り出す。

 

「これだ。こいつが丁度必要だったんだ。」

 

VAVAは、回路を自分の体に組み込む。

 

「貴様!!兄貴の部品をぉ!!」

 

ビートブードは仇を取らんとVAVAに突っ込んでいく。しかし、VAVAは、何かを飛ばした。

 

「パラサイトソード。」

 

発射されたものは巨大な刃を形成し、ビートブードの体を切り裂く。

 

「うわあぁぁぁ!!」

 

激痛にビートブードは倒れる。VAVAは、笑いながらそのビートブードの顔を踏みつける。

 

「情けねえな、ビートブード?それでも兄貴と同じ特A級ハンターか?」

 

「うぅぅう・・・・」

 

「フン。」

 

VAVAは、ビートブードを蹴り飛ばすと元来た道を戻ろうとする。

 

「ま、待て・・・・・・」

 

「おいおい、まともな武器を装備せず素手で今の俺に勝てると思ってるのか?てめえの兄貴だったら見ただけでよっぽど呆れるだろうな。」

 

「う、うるさい!!あ、兄貴を殺しやがって・・・・・・・」

 

「俺はお前には興味がねえ。今回は見逃してやる。今度は、まともな装備をしてから来るんだな。」

 

VAVAは、そう言うと外の方を見る。

 

「エックス!どうせ、壁に掴まって聞いているんだろ?」

 

VAVAが言うとエックスが手を伸ばして中へと入ろうとする。

 

「VAVA・・・・・・貴様・・・・・・クワンガーを・・・・・」

 

「どのみち処分するんだろ?だったら都合がいいじゃねえか。俺が始末してやったんだからな。ここでお前を消してやりたいところだがそれじゃあ、面白くねえ。そのアーマーみたいな奴を全部付けてきたうえで相手をしてやる。」

 

「待て!!」

 

エックスが登ろうとした矢先、VAVAはエックスを飛び越えて穴から外へと出ていく。

 

「あばよ!次会う時を楽しみにしているぜ!!ハッハハハハハハハハハ!!!」

 

VAVAは、笑いながら地上へと落下していった。エックスが中に入るとビートブードは無残にバラバラにされたクワンガーの亡骸を抱いて泣いていた。

 

「うわあぁぁぁぁ!!!兄貴ぃいい!!」

 

泣いているビートブードを見てエックスは思わず口を噛み締めた。

 

「VAVA・・・・・・・お前だけは・・・・・・お前だけは絶対に許さないぞ!!」

 

エックスは救護班と連絡をとり、ビートブードを引き渡した後、次のエリアへと向かって行った。

 

 




俺は怒ったぞVAVA!! byエックス

お知らせ

本話の一件でX3編まで続いた場合ブートビードがボスになるか未定になりました。

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