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「ワ~~~ハッハッハッハッハッハッ!!まさかこうも簡単にタイムマシンのサンプルが手に入るとは思ってもみなかったわい!!」
アイゾックは目の前にあるタイムマシンを見ながら大笑いしていた。その後ろではシャドーマンとシェードマンが並んで立っている。
「しかし、アイゾック様。肝心のサンプルを手に入れたのはいいとして問題はまだ多いのでは?」
「そうですねぇ。機能を解析するのは容易になりましたが一体どんなタイプにするつもりなんです?過去のマシンのような形にするのですか?」
「そうじゃのう・・・・・ん、そう言えば昔放棄した城の一つに建造中の宇宙戦艦があったはずじゃ。あれを改修して機能を追加すればいいじゃろう。あれさえあれば大抵の敵は問題なくなる。」
「それはいいとして問題はゼロがどの時代に流されたかです。現に我々はゼロがどの時代に流されたか把握しておりませんし。マシンが完成したとしても、当てもなくゼロを探しに行くのは砂漠の中に落としたダイヤを探すようなもの、簡単ではござらんぞ。」
「ふむ・・・・・・それについてじゃが唯一レーダーの代わりになる奴がおる。」
「「ん?」」
アイゾックの言葉に二人は何かを察する。
「・・・・・・ドクター、まさか・・・・・・」
「あの若造が保険として作りかけたボディじゃ死にかけで役に立たんからのう。」
机のボタンを押すと目の前に筒状のカプセルが出てきた。
「コイツをレーダーの代わりにしてゼロを探す。」
カプセルの中にはあのイレギュラーが首だけの状態で入れられていた。
「ひどいですな、ドクター。あの若造が作ったおんぼろボディに比べればマシですが首だけしか作っていただけないとは。」
そう、シグマである。シグマの首がカプセルに入っているのだ。
「ふん、最後の意地でワシのゼロを派手にぶっ壊したつけじゃ。しばらくこの状態になっておれ。」
「ドクター、奴を使うのは危険なのでは?」
シャドーマンは警戒しながらアイゾックに対して言う。
「シグマの持つウィルスとゼロのロボット破壊プログラムは同じ波長で完全とまではいかんがゼロの居場所を探知することができる。」
「なるほど、つまり彼を探知機代わりにしてゼロの流された先を探そうというわけですか。」
「そういうことじゃ。そうでもしなければこのケツ顎ハゲを助けたりなどせんわ。ワシが新しいボディを作ってやるという交換条件でな。」
「それまではこの生首状態でいろと?」
「だったら、あの死にかけボディに戻るか?」
「・・・い、いいえ。」
「おっ?いかんいかん、そろそろ戻らねばあの若造が怪しみだすのう。では、プログラム解析は任せたぞ。」
「はいはい。」
「拙者はドクターの護衛に行く。」
「では、私は次の出番が来るまでこの生首さんとお話でもしましょうかね?」
シェードマンは冗談交じりで言いながら転送されて行く二人を見送った。
ハンターベース
「そうか・・・・・それでドラえもんを追って。」
「うん、本当はそのまんま22世紀に向かおうと思ったんだけどジャイアンの押したボタンがこっちに来る機能だったらしくて。」
「スネ夫、悪かったのは認めるけど流石にしつこく言うとぶん殴るぞ!・・・・・・・まあ、押したのは事実だけど。」
ハンターベースに戻ってきたエックスたちはジャイアンたちから事情を聴いていた。その隣ではマーティが通信でやり取りをしている。
「・・・・・・そう、わかったわ。じゃあ、早く戻ってきなさい。」
彼女は困った顔で通信を切る。
「どうだった?」
「ビートブード達がハイマックスが撤退したのを確認して施設の中をくまなく探してみたようだけど、タイムマシンはどこにもなかったって。」
「うわぁあ・・・・・・じゃ、じゃあ、僕たちは帰れないってわけ?」
「・・・・・・」
「うおぉ~!!俺のバカ~!!俺があのボタンさえ押さなければ~!!!」
ジャイアンは自分を責めるように叫ぶ。
「ジャイアン、落ち着くんだ。泣き叫んだってタイムマシンは戻ってこないよ。」
「の、のび太・・・・・・・」
「でも、誰がタイムマシンを持って行ったのかしら?」
「おそらくだけど・・・・・・・」
「きっとアイゾックの仕業に違いない!!」
「「「えっ?」」」
大声のした方を見ると盆を持ってきたクリスタルマンがいた。
「く、クリスタルマン!?な、何でワイリーナンバーズがこんなところに!?」
「あっ、みんなには言っていなかったけど・・・さっき話したユーラシアの墜落阻止も彼らのおかげなんだ。」
「「えっ!?」」
ジャイアンとスネ夫は驚きの顔でクリスタルマンを見る。当のクリスタルマンは気にすることなく四人にお茶と取り敢えずハンターベースにあった茶菓子を出す。
「全く・・・・・我々の弟 ゼロを事件の犯人に仕立て上げ、我々アルバイターの猛攻から逃げ延びるとは・・・・・・今度会ったら必ず原形をとどめないほどにしてやる!!」
「・・・・・・す、スネ夫、クリスタルマンってこんなキャラだっけ?」
「ぼ、僕に言われても困るよ・・・・・現にこの間のシャドーマンたちとかも僕たちの知っている姿と若干違かったし。」
スネ夫は困惑しながら去って行くクリスタルマンを見る。
「まあ、話は戻すよ。取り敢えずタイムマシンが見つかるまではみんなここで待機してくれ。今回のナイトメアは、今までの事件とはかなり異なるものだから何が起こるかわからないし。」
「そりゃあ、ないぜ。俺たちも何か手伝わせてくれよ。」
四人の身元の安全を考えて言うエックスに対してジャイアンは食い下がる。
「今回ばかりは危ないんだ。ナイトメアの影響で各地でも不可解な現象が起きている。」
「でも、今動けるのはのび太たちだけなんだろ?ゼロもアイリスちゃんも行方不明で手が足りないってんなら俺たちだって。」
「でも・・・・・・・」
「僕もジャイアンと同意見だよ。タイムマシンが誰かに持って行かれた以上犯人を突き止めなくちゃならない。バラバラにされたり、使われたりしたらまずいし。」
「スネ夫・・・・・・」
「そう言えばのび太さん、ケイン博士は?お屋敷の方にもいなかったようだけど。」
「博士ならチャモチャ星に行っているよ。ポケットも念のために預けて。」
「そうか・・・・・・・」
四人は困った顔をする。スペアポケットがあればエックスのサポートができるかもしれないがこの場にはない。ミニドラから借りるという手もあるがミニサイズのため元の大きさにするのに手間がかかる。
そんな矢先だった。
「あれ?皆さん、確か帰ったんじゃ。」
「「「「!?」」」」
エックス含めて四人が振り向くとそこには荷物を抱えたマイマインが立っていた。
「「「マイマイン!?」」」
「どうしたんです?びっくりした顔して?」
「どうしてここに?」
「エイリアさんからの通信でえっと・・・・・コマンダー・ヤンマークさんのカウセリングをしてほしいと言われてケイン博士よりも先に戻ってきたんです。」
「そうなんだ・・・・・・」
「あっ、これ良かったらどうぞ。チャモチャ星からのお土産です。」
マイマインは持っていた箱をいくつか皆に手渡す。
「サピオ君たち、元気だった?」
「えぇ、メカポリスの方もだいぶ復興が進んできて、今では人間とロボットたちが協力しながら動いていますから。」
「後、博士がこの間の事件のことを聞いてこれをエックスに返しておいてくれと頼まれて預かってきました。」
殻の中からスペアポケットを取り出してエックスに渡す。
「・・・・・・・」
「どうしました?」
「・・・・博士、勝手に道具使わなかったよね?」
「あ~あ~、大丈夫ですよ。いつもミニドラたちに髭を引っ張られたり、頭に落書きされたりしてそれどころじゃありませんでしたから。」
「・・・・・・ケイン博士も大変そうだね。」
マイマインの言葉を聞いてスネ夫は少しばかりチャモチャ星にいる彼に同情した。
22世紀 リングマン宅
「・・・・・・・・・」
夜、リングマンはビートを傍に置いてパソコンをいじっていた。等のビートは、彼が何をしているのか不思議そうに感じながらも彼の机の上に座っている。
『ぴー?』
「ビート、悪いが少し我慢してくれよ。」
リングマンはビートにケーブルを何本か繋げて情報を確認する。
「・・・・・間違いない。博士が作ったビートだ。コピーとか工場で作られたものじゃない。しかし、誰がどうやって・・・・・・」
『ぴ~?』
リングマンはビートを手に取って自分の目の前で改めて確認する。間違いなく自分と同じコサック博士により生み出され、普段はロックマンたちの元にいながらも定期的に自分たちの元へ帰ってくるビートだ。だが、ビートがこの世界にいるのは明らかにおかしい。ゼロの記憶から見てもビートが100年近くの間生き延びていたとは思えないし、整備もまともに受けていない状態でロボット狩りから免れたにしても戦闘力が乏しいため破壊されているはず。
「・・・・・・・・ん?」
リングマンは不意にビートの足に足輪が付いていることに気づく。
「はて?何でこんなものが。」
足輪を外してみるとそれは、何かのコンピュータ端末だった。彼は端末を接続して情報を引き出そうとする。
「・・・・・・・・なんだこれは?」
プロテクトかかけられていて読めないデータだらけではあったが一つだけどうもいたずらとは思えないメッセージが乗せられていた。
『警告 これから起こることに関わるな。関わればお前は・・・・・・・・・二度失う。』
翌日 ドラえもん宅
「お兄ちゃん、お兄ちゃん宛にハガキが届いたわよ。」
「僕宛に?」
ドラミから受け取ったはがきを見てドラえもんは不思議そうな顔をする。差出人は、ロボット学校時代の恩師である寺尾台校長からだった。
「校長先生からだ。でも、なんでだろういきなり。」
持ち方を変えるとハガキが光り出し、ドラえもんの目の前にホログラムが投影される。
「校長先生?」
『ドラえもんズ諸君、大変じゃ!!最近建設が終わったワシの新しい研究所が「怪盗ドラパン」に狙われておるんじゃ~!!君たちの力を貸してはくれんかいのう~。』
ホログラムに映っていた校長の様子はかなり慌ただしかった。映像が消えるとドラえもんは早速校長の言っていた怪盗ドラパンについて調べ始める。
「怪盗ドラパン・・・・・・フランスで指名手配中の大泥棒のネコ型ロボット。製造工場及び経歴は一切不明、地元では大富豪の屋敷を襲い大金を根こそぎ強奪、更には様々な財宝にも手を出す・・・・・過去にタイムパトロールによる包囲網で一度だけ逮捕寸前にまで追い詰めたが惜しくも逃亡。現在も定期的に被害が相次いでいる・・・・・・・・次の狙いは校長先生の何かという事か。」
ドラえもんは調べ終わるとポケットからフォースアーマーを取り出して手入れを始める。
「校長先生の所を襲うとなるときっと何か大事なものを狙おうとしているに違いない。実行は・・・・・・・はがきの内容によると今夜か。」
万全の準備を整えようと考えた矢先、ドラミが部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、キッドがお兄ちゃんと話があるって来たわよ。」
「えっ?」
ドラミの声を聴いてドラえもんが部屋のドアを開くと既にキッドが立っていた。
「よう、ちょっと悪いけど時間あるか?」
「う、うん・・・・・・・」
キッドは中に入ると一枚のハガキを出す。ドラえもんと同じく寺尾台校長から来たものだ。
「キッドの方にも来ていたんだ。」
「あぁ、これだとおそらくドラえもんズ全員に行っているだろうな。」
口では言いながらもキッドは何かいまいち納得いかないような表情をしていた。
「・・・・・・なあ、ドラえもん。このハガキ、少し変だと思わないか?」
「変って?」
「ドラパンのことについて少し調べてみたんだが、校長が何かを狙われているってんなら普通は警察に知らせて頼むべきだろ?」
「それはブラックゼロに襲われて今復旧作業中だから言えなかったんじゃないの?」
「いや、それだけならまだいい。でも、考えてみれば別に俺たちドラえもんズだけにしてなくてもいいんじゃないか?ロボット学校の卒業生の中には俺たちよりも優れた能力を持つロボットは何体もいる。そいつらを呼んで護衛させた方が効率がいい筈だ。」
「うん・・・・・・・」
キッドの言っていることは確かに筋が通る。
現に自分たち以外の卒業生では軍隊ロボットや空手ロボットなど優秀なロボットたちが多くいる。自分たちよりも彼らに頼めば警察には及ばないかもしれないが安全性は高い。にもかかわらず校長は自分たちドラえもんズに頼んできたのだ。
「・・・・・言われてみればそうかもしれない。」
「俺はこの校長のハガキが何か臭うような気がするんだ。そこでなんだが・・・・・・・・」
キッドはこそこそと耳打ちをする。その内容にドラえもんは目を丸くする。
「えっ!?でも・・・・・・・」
「万が一の保険だ。んじゃ、そんなわけで今夜頼むぜ。」
そう言うとキッドはさっさと彼の部屋を後にしていった。
「キッド・・・・・・・」
ドラえもんは不安に感じながらもキッドの後姿を見送る。
???
「いよいよ今夜決行する。この作戦が成功すれば親友テレカが我々のものとなり、このマシンが完成する・・・・・・・ベルカナ、捕まえてきたロボットたちの改造は?。」
「終わったわ。パパが改造したあの装置も組み込んでね。でも、両方の機能を作動させるとボディが持たないからどちらか一方しか作動できないわ。」
「奴らは飽くまで親友テレカがそろわなかった場合の保険しょっ。それにこちらに人質がいる以上ドラパンもこちらに協力せざるを得ない。・・・・・ところでゼロはどこ行ったしょっ?」
「お兄様ならあっちの世界でナイトメア狩り、ついでにあっちのおじいさんを殴りに行くって言ってたわよ。一応、ダイちゃんも一緒に行かせたけど。」
「・・・・・全く、オリジナルになど執着しおって。もう奴とは比べ物にならないほど強化したというのに。それに今の段階ではあの装置を完全に使いこなせるのはアイツだけっしょ。」
「何かしらで心配しているわよね、パパって。」
「そのことはどうでもいいっしょ。」
薄暗い部屋の中でベルカナと影のみ映っている男は通信を入れる。
「ドラパンよ、いよいよ今夜作戦を実行する。抜かりないな?」
『問題はない。後はドラえもんズがここに集まるかどうかだ。・・・・・・それよりも約束は守ってくれるだろうな?』
「もちろん。親友テレカを手に入れれば人質に取りつけた拘束具は外してやるっしょ。」
『・・・・・・・』
「だが、それはドラえもんズが全員揃った上に親友テレカを使った状態でキンキンにすることが絶対条件。もし一人でも欠けた場合は、第二プランを実行しこの研究所へとおびき寄せた末に親友テレカを使わせるっしょ。」
『・・・・・・・わかった。だが、もしも彼女に手を出したらその時は貴方をキンキンにする!!』
そう言うと通信先からの連絡が切れた。
「・・・・・さて、例のロボットの再生具合を確認しにでも行くか。」
二人は部屋を出て研究室へと向かう。その途中で一体のロボットとすれ違う。
「これは博士。」
ロボットは頭を下げながら挨拶をする。
「おぉう、お前か。強化したボディの調子はどうっしょ?」
「一度死んだ身としては感謝している。しかし、博士。本当に奴も再生させる気なのか?自分ははっきり言って賛同できない。」
「ほう?理由を言ってみるっしょ?」
「奴はイレギュラーの中でもシグマとはまた別の異質的存在。命令すら実行できないと言えばそこまでだが奴には満たされることのない渇きに飢えた野獣のような何かを持っている。自分たちのように復活させたところで命令を聞くとは思えない。現に自分も博士にこの命、再びもらい受けた恩を感じて付いて来ている。奴にはそのようなものはない。」
「ふむ・・・・・確かにベルカナが調べてきたデータにはその通りになっているっしょ。しかし、万が一のことがあればゼロでも十分抑えられるっしょ。それにその執念こそ奴の最大の能力を発揮させるためには必要っしょ。」
「・・・・・・自分は確かに警告した。後は博士の采配に任せる。」
そう言うとロボットは通り過ぎて行く。二人は研究室に入るとそこには一体のロボットの残骸が修理中の状態で釣り上げられていた。
「うん・・・・・・・・思っていたよりも再生率が低いっしょね・・・・・」
「無理もないわよ、ドッペルタウン跡地で発見した時はこれよりもひどい状態だったんだから。」
二人が見ていると一瞬ではあったがロボットの腕が動いた。
次回は、ドラえもんズ全員集合の予定。