化学薬品プラント
回路の組み込みを終えたドラえもんは、ゼロとアイリスと共に化学薬品プラントへ足を踏み入れていた。
「・・・・・・・・」
「・・・・おい、ドラえもん。お前、本当に大丈夫なのか?」
ドラえもんの顔を見ながらゼロは言う。
「お兄ちゃん・・・・・手術終わってからずっとあの顔のままだわ・・・・・流石に無理やり過ぎたかも。」
「はぁあ~~~~~~。」
ドラミが心配するのも無理はない。
今のドラえもんの顔は心はここにあらずと言ってもおかしくないものだった。何かが抜け落ちてしまったかのように穏やかになってしまっていた。
「ノラミャー子さ~ん~~」
「・・・・・・取り敢えず劇薬のプールに落とさないように連れて行くぞ。」
「えぇ。」
ゼロたちは、バスターで敵を破壊しながら濃度の薄い排水溝からプラントの最深部へ移動を始める。
21XX年 ハンターベース メディカルルーム
「博士、エイリアの容態は?」
「しばらくすれば目を覚ますじゃろう。日頃の疲れが今になって現れたのかもしれんな。今後はオペレーターの仕事を控えて休息を取った方がいいだろう。」
エイリアが倒れたという報告を聞いてシグナスは彼女の状態をドップラーに聞いていた。コロニー落下未遂事件、今回のナイトメア事件といい、彼女が予想以上にストレスを感じていたのかと思い彼は、司令官としての自分の器量不足を悔やんだ。
「・・・・・・・私も彼女を当てにし過ぎていたのかもしれません。」
「そう自分のことを責めるものではないシグナス。」
「分かっています。」
「しかし、これだとミディに頼むにしてもさらに負担をかけてしまうことになるな・・・・・・・・私も患者の治療で手が中々空かないからな。」
「ダグラスでも飽くまでエンジニアです。やれるのにも限度があります。それに・・・・・・・」
二人は、彼女に仕事の穴埋めをどうやって埋めるのかを相談しているとメディカルルームのドアが開いた。
「あの・・・・・・・・・」
「「ん?」」
そこには少し幼めの少女型レプリロイドが立っていた。
「君は確か訓練生のパレットだったかな?」
「は、はい!」
「何か調子が悪くなったのかね?」
「い、いえ・・・・・その・・・・エイリア先輩が倒れたって聞いたので・・・・」
パレットと呼ばれたレプリロイドは寝かされているエイリアを心配そうに見る。
「エイリア先輩、しばらく動けないんですか?」
「うん、日頃の疲れが響いたようだからね。今後は休ませた方が良いじゃろう。」
「そうですか。でも、先輩の仕事は誰がやるんですか?」
「残念ながらハンターベースでエイリアの代わりが務まる人材はいない。ミディに頼むにしても負担が大きい。仕方ないが彼女が回復するのを待つしかない。」
シグナスは取り敢えずナイトメアの解析は、彼女が現場に復帰できるまで中断せざるを得ないと判断した。ただでさえ人材不足であるイレギュラーハンターの現状だ。ケインが戻って来てくれれば話は別だが今の地球に呼び戻すには危険が大きすぎる。
「私、ルート解析とかだったらまだできるんですけど・・・・・・」
「君が気にすることではない。数日休めば良くなる。調査が遅れてしまうが無理をさせるわけにもいかない。エイリアにはしばらく休んでもらうとしよう。」
シグナスはそう言うと部屋を後にしていく。
「・・・・あっ!わ、私も仕事に戻ります!?先輩の事よろしくお願いします!!」
パレットも慌ただしく部屋を後にしていった。
南極
氷に覆われた銀世界。ここでもナイトメアによる異常現象が起こっている。そんな南極で一体のレプリロイドがかつて港と思われる場所に立っていた。
「・・・・・・・・・・ここで私は一度死んだ。結局、彼女に恩を返せないままあの二人組に殺されこの海に永遠に眠りにつくはずだった。」
吹雪が吹き荒れる中、ヴォルファングは思い出すかのように海を見る。
「・・・・・だが、ゲイト様はこんな私に再び生を与え、使命を与えてくださった。故に私はあの方に尽くす義務がある。」
そう言うと彼は因縁の地から遠ざかって行った。
かつてこの地にあった北極エリア調査本部は、シグマの反乱以降のイレギュラーの増加、度重なる大戦での被害によりすでに閉鎖されている。ヴォルファングは、そんな跡地を他所にあるポイントへと移動していた。
「・・・・・・・ここだ。」
そこは一見ただの氷の洞穴ににしか見えないが持っていた探知機は微弱ながらも何かの生命反応を捉えていた。
「あのイレギュラーの奇襲による部隊全滅の前、私の調査部隊はこの微弱な生命反応を確認して何かあるかどうかを調査しようとしていた。どうやら、調査本部はこの場を確認することなく引き上げてしまったようだな。」
ヴォルファングはそのまま洞穴の中へと入って行く。穴は予想以上に深くしばらく進んで行くと視界が真っ暗になっていった。
「反応は依然としてあの時のままだ。しかし、一体何があるというのだ?この氷の世界に。」
ヴォルファングはそのまま氷の世界へと消えた。
化学薬品プラント
「ハア・・・・ハア・・・・・・・何とか酸の海に入ることは避けられたな。」
「えぇ・・・・でも、体中薬品臭くなっちゃったわ・・・・・」
プラントの水路を行ったり来たりの連続でゼロたちはどうにか最深部へ乗り込むことができた。
「ぴゅ~~~~~~~。」
「お兄ちゃんってば、早く吐かないとお腹壊しちゃうわよ!?」
ただし、ドラえもんは途中で口を大きく開けたせいで大量の薬品を飲んでしまって後ろでドラミに手伝ってもらいながら吐き出している。
「・・・・・・・・中に入りたいから早くしてくれ。」
数分後、ようやくドラえもんが薬品を吐き終えると一同は部屋へと入る。床から下は劇薬で満たされた強酸のプールとなっており、そこから「薬液プールの半魚人」と言ってもおかしくない登場でアシッドマンが姿を現した。
「コイツがアシッドマンか?」
「はい。」
「お前たちか!俺の研究の邪魔をするのは!」
アシッドマンは明らかに正気ではない目で一同を睨みつける。
「ここをどこだと思っている!!ここは俺のロボットを大量に処分するための劇薬を研究するためのプラントだぞ!!」
「どうやら操られたせいでやることもとんでもない方へと行っているようだな・・・・・おい、変な考えは止せ。そんなことをすれば罪が重くなるだけだぞ。」
「罪?知ったことか!!!苦しみながら溶けていくロボットたちの苦痛の顔を見るのが最大の至福の時、それを実現させるためなら安いものだ!!」
「私の知っているアシッドさんじゃない・・・・・アシッドさんならこんなこと絶対に言わないのに・・・・」
今のアシッドマンの発言を聞いてドラミは相当ショックを受けているようだった。それに反して薬品を飲み過ぎて正気に戻ったのかドラえもんは真面目な顔でアシッドマンに口を開いた。
「でも、君の作る薬はみんなのために役に立つんだよ?そんなことやっちゃダメだよ。」
「うるさい!!貴様らも酸の海の中で溺れろ!!」
アシッドマンは自分のバスターから強酸の弾丸を発射してくる。
「溶けろ!!」
「うわっ!?危ない!?」
ドラえもんたちは飛ばされてくる強酸を避け、三人同時にチャージを行う。
「プラズマチャージショット!!」
「「ダブルチャージショット!!」」
「アシッドバリア!!」
しかし、三人のチャージショットは劇薬で作ったバリアによって掻き消されてしまう。
「なっ!?」
「俺の生成したアシッドバリアはいかなる攻撃も防ぐ!貴様らに勝ち目はない!シャアッ!!」
アシッドマンはアシッドバリアに包まれた状態で四人に向かって劇薬の弾を飛ばす。
「みんな逃げろ!!」
ドラえもんたちは劇薬の弾を回避しながら攻撃を行うがアシッドマンのアシッドバリアですべて防がれてしまう。
「ダメだ!いくら攻撃してもバリアが破れない!」
「当然だ!この俺が調合したあらゆる衝撃をも防ぐスライム状の薬品で本体に届く前に攻撃を打ち消してしまうのだからな!!」
アシッドマンは一旦アシッドバリアを解除すると体を青く発光させる。
「スピードギア!!」
「あれってまさか!?」
アシッドマンは素早く劇薬プールに飛び込み、波しぶきを上げながら一同の目の前へと迫って行く。
「危ない!?」
「空円舞!!」
ドラえもんはドラミを、ゼロはアイリスと同時に上にジャンプして回避をするがアシッドマンは背後に回って劇薬弾を連続で放った。
「うおっ!?」
「うわあっ!?」
「俺の動きに着いて来れるか!!」
アシッドマンは、再び飛び込み今度は反対側から攻撃を繰り出す。
「くっ・・・・・・・・・ラッシングバ・・・・・」
「お兄ちゃん、ダメよ!こんなところで火を使ったらプラントが爆発しかねないわ!?」
「うっ!」
「アースクラッシュも床を破壊してしまうから使う事もできん・・・・何か策は・・・・・」
ダメージを受けながらもドラえもんたちは何とかアシッドマンの弱点を突き止めようと考える。同時にダブルギアの効力が切れたのかアシッドマンは再びアシッドバリアを展開する。
「無駄だ!!貴様らがいくら策を練ろうとこの俺の研究を邪魔することは断じてできんのだ!!そのまま、酸の海で溶かされてしまえ!!」
アシッドマンは狂気に満ちた目で一同に襲い掛かる。
「!そうだ!バリアが破れないなら逆に引き剥がせばいいんだ!!」
ドラえもんは体を赤く発光させる。
「パワーギア&バグホール!!」
「何ッ!?」
パワーギアの発動により一時的にフルチャージ状態となり、アシッドマンに向かってバグホールを発生させる。アシッドバリアはバグホールの効力によりアシッドマンの意志に関係なく引き剥がされる。
「バリアが!?」
アシッドマンは予想外のことに動揺し、慌ててバリアを再展開しようとする。
「そうはさせん!疾風!!」
「ガアッ!?」
ゼロはアシッドマンに向かって赤い残像を放つ。残像が命中するとアシッドマンは怯み動きが取れなくなる。
「ウグッ!?お、おのれぇぇえ!!」
「お兄ちゃん、動けない今がチャンスよ!!」
「パワーギアブロックドロッパー!!」
ドラえもんはパワーギア作動中のままブロックドロッパーを使う。
「なっ!?」
するとアシッドマンの真上に倍以上の特殊ブロックが現れ、彼に降り注いでいく。
「くそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」
アシッドマンは身動き取れないままブロックに埋もれていく。
同時に床に亀裂が入る。
「まずい!床に罅が入り始めたぞ!?」
「重さに耐えられなくなったんだわ!」
「お兄ちゃん、早く!」
四人は急いでアシッドマンの近くから離れていく。アシッドマンがいたところはブロックの重さに耐えきれず床が崩れて劇薬プールの中へ沈んで行く。
「「「「・・・・・・・・」」」」
四人は恐る恐るプールを見るがしばらくすると力尽きたアシッドマンがプカッと浮いてきた。
「・・・・・・大丈夫?」
「・・・・・・・・」
ドラえもんが声をかけてみるがアシッドマンは気を失ったのか返事をしなかった。
「・・・・・・ストライクチェーン!」
ドラえもんはストライクチェーンを発射するとアシッドマンの体に巻き付けて引く。幸いストライクチェーンが溶けきる前に彼を引き上げることができた。
「よかった。気を失っているだけみたい。」
「驚いたわ。あれだけ理性的だったアシッドさんがここまで変貌するなんて・・・・・・これだと他のみんなもすごいことになっているかも。」
「前にも似たような奴と戦ったことがあるが奴とは違う意味で恐ろしく感じたな。」
「取り敢えず戻りましょう。劇薬が付いたままなのもいけないし。」
四人は気を失ったアシッドマンを連れて薬品プラントから引き上げた。
21XX年 ハンターベース
ハンターベースではエックスたちが司令室に集められていた。
「今度向かってもらうのは南極エリア、調査員はブリザード・ヴォルファングというレプリロイドだ。だが、南極エリアは電波障害も酷く、転送装置も使えない状態にある。そこで今回はデスログマーで向かい、そこから目的ポイントへと向かうことにする。」
シグナスはマップを見ながら内容を説明する。
「けど、シグナス。俺たちが行っている間、ハンターベースの防衛が手薄になってしまうんじゃないか?」
エックスは、説明を聞きながら指摘する。デスログマーはイーグリードが指揮を執っている。もちろん南極に到着後、艦内にある転送装置でハンターベースに戻るのは可能だがナイトメアの影響で僅かながら時間に誤差が生じる。その間にイレギュラーがハンターベースを襲うのではないかと思った。
「そのことに関してはジャイロマンたちが付いているから問題はない。」
「けどよぉ、あのダイガクって言う奴がまた襲ってくるかもしれないんだぜ?」
「ジャイアン、ダイガクじゃなくてダイナモね。」
「確かに今回再び姿を現したダイナモの行動にも謎がある。だが、少なくとも奴の目的がこのハンターベースではないことは確かだ。それにジャイロマンたちも普段はあんな感じだが実力は並のハンターよりも上だ。Dr.ワイリーと繋がっていない今は我々の味方だろう。」
「うん・・・・まあ、腐ってもロックマン5のボスキャラだしね。」
シグナスの言葉にスネ夫は少し皮肉を交えて言う。もしこの場に本人たちがいたらリンチにされかねなかったのかもしれない。
「現場オペレーターは、イレギュラーハンター養成学校の訓練生のパレットに担当してもらう。」
「パレットです!得意な分野はルート解析です!まだ訓練生ですどエイリア先輩に負けないよう頑張って皆さんのサポートをするのでよろしくお願いします!!」
パレットは頭を下げながらエックスたちに挨拶する。
「あぁ、よろしく頼むパレット。」
「はい!」
「イーグリード、出発まであとどのぐらいかかるのよ?」
「後は、出発前の簡単なチェックだけだからすぐにも出られる。」
「じゃあ、15分後に南極に向けて出発だ。」
エックスがそう言うと一同は司令室から出て行く。シグナスはそれを見届けるとデスクワークに戻る。
最近の読者の反応・・・・・・・憑依系かオリ主系の方がお好みなのか?