22世紀 ジオシティ建設予定現場
「うわぁ・・・・・・・下が見えないや。」
ドラえもんはこれから入り込む巨大な穴を見て困惑する。
22世紀において宇宙開発、水中都市の建造を進めている中、次のフロンティアとして地下都市建設が始まっていた。だが、第一建設予定地であるこの現場を担当することになっていたパイルマンは突如消息を絶ち、作業が遅れることとなった。そして、彼が再び姿を現した時この現場は無茶苦茶アスレチックな現場と化してしまっていた。
ドラえもんたちは、底が見えない入口に不安を抱きながらもゴンドラに乗って地下へと向かって行く。中では、工業用ロボットたちが自分なりの装備なのかピッケルを投げて攻撃してくる。
「ごめんね。」
ドラえもんは出力を押さえながらプラズマチャージショットでロボットたちを無力化していく。さらに通行止め用のコーン型ロボットは頭部から追尾式ミサイルを撃ってくる。
「工業用にしてはヤケに火力が高くなっているな・・・・・」
「多分、パイルさんの仕業かもしれないわ。パイルさん、仕事に入り始めるとなんでも『突貫!』って言って止めようがなくなるから。」
ドラミは奥に進みながら言う。
このパイルマンというロボット。
忠義に厚く、工事に対する強い使命感を持っているが実は猪突猛進の精神の持ち主で、厳しい工期や環境でも「とにかく突貫」と言って強引に突き進んでしまうのが玉に瑕でロボット学校時代でもその突貫精神でクラスメイトからも「いい奴なんだけど仕事になると誰も止められなくなる」「突貫仕事人」「ザ・インパクトマン」と呼ばれているほどで一度仕事に取り組むと誰にも止められなくなってしまう人物なのだ。
その精神が仕事仲間である他のロボットたちにも伝染してしまったのかメットールと同じ安全ヘルメットを被ったロボットはピッケルとショベルカーで四人に向かって攻撃を仕掛け、溶接ロボットは道の至るところを溶接で溶かして移動を妨害してきた。
「仕事をするのは結構だが度が過ぎると迷惑になるだけだぞ。」
ゼロはビームサーベルでロボットの持っていたピッケルを切断する。元々軍の試作品を急造で作ったこともあり、出力の調整が難しく、偶に腕ごと斬ってしまう。
「あっ、すまん。」
腕を切断された工業ロボットは驚きながらゼロの目の前から逃げ出して行く。扱いが難しいのはアイリスも同様で危うく体まで斬ってしまいそうになった。
「うっ!?」
「アイリス、気を付けろ。いつも使っているセイバーと違って制御が難しい。」
「えぇ。」
更に下に降りて行くと今度はどこからともなく杭打ちロボットが飛んできて四人を襲う。
「今度はなんだ!?」
「パイルさん本人だと思うけど・・・・・・」
「あれがか?」
ゼロは飛んでくる杭打ちロボットの攻撃を避けながら聞く。
「パイルさんは元々『クイイチロー』『クイジロー』『クイサブロー』って言う三機の杭打ちロボットが合体して一人のロボットになっているの。普段の人格は長男であるクイイチローが担当しているんだけど・・・・今回は何か変。」
「もしかして、彼らも操られているんじゃないかしら?」
「あるいは仕事に夢中になりすぎて、作業中は口を利かないタイプかもしれんな。」
「「あっ。」」
ゼロのさりげない言葉にドラミとアイリスは、なんとなく納得してしまった。
21XX年 ハンターベース 尋問室
エックスたちが南極から戻った後、回収されたヴォルファングは修理室に運ばれるはずだったのだがヴォルファングはどうしても聞いてほしいことがあると言い、尋問室でドップラーの治療を受けながらシグナスの尋問を受けることになった。
「・・・・・つまり、今回の黒幕はゲイト。今回の調査員である君たちの開発者であり、元はエイリアと同僚のレプリロイド工学員だったというのか。」
「如何にも。」
シグナスに対してヴォルファングは真っ直ぐな目で言う。
「ワシも彼の話については聞いたことがある。彼の製作したレプリロイドは高性能かつ機体のプログラムコードも高度過ぎて彼以外には到底解析できないものばかりで当時の研究会でも彼の研究に異を唱える者は多かったと言う。それだけならまだしもその天才性を誇示せんがために上司の命令を無視して過剰な高性能レプリロイドばかりを開発し続け、最終的にそれらは事故を装って全機処分されたそうだ。」
修理を行いながらドップラーは言う。
「私やヤンマークたちもその中の一人だ。確かにゲイト様の製作したレプリロイドは、自分が高性能な上に独断行動をしてチームに致命的なミスをした者もいた。だが、それを見境なく自分が製作したことを理由に処分した上層部に対してゲイト様はひどく憎んでおられた。」
「ふむ・・・・・だが、それならこの事件以前にシグマに接触していてもおかしくはなかった。気になるのはどうして彼がこの時期にナイトメアを生み出し、自分の計画を実行したのかだ。」
シグナスは腕を組みながら言う。
ゲイトほどの優秀な研究員なら早い時期にハイマックスのような高性能なレプリロイドを開発してシグマに加担しているはず。だが、彼はそれを実行しなかった。それにヤンマークは事故として処分したことを除き、彼の製作したレプリロイドの多くはイレギュラーとして処分されているため、基本的に法律に縛られて再生は禁じられている。そのことを含めれば今まで行おうとしなかった彼の態度が急変するのは何か腑に落ちない。
「・・・・・・恐らくではあるがゼロのDNAの欠片を拾ったのが原因なのかもしれん。」
「何?ゼロのDNAの欠片だと!?」
「コロニー落下未遂事件後、ゲイト様はエックスたちがシグマと死闘を繰り広げたポイントへ足を運んだ。その時、偶然にも回収を免れていたゼロのDNAの一部の回収に成功したのだ。私たちを復活させたのがそれからすぐの事でその時は既にゲイト様が何かに憑りつかれたかのようにナイトメアの研究を進めていた・・・・。」
ヴォルファングはまるで恐ろしいことを思い出すかのように語る。その話を聞きながらシグナスは少なくともゼロのDNAを回収したことがゲイトに何かしらの影響を与えたのではないかと考えた。
「ヴォルファング、一つだけ確認しておきたい。ゲイトが作り出したナイトメア、一体レプリロイドに対してどんな悪影響を与えるんだ?」
「私にも詳しくはわからぬ。私のわかる範囲ではナイトメアはレプリロイドのDNAデータや思考プログラムなどのメモリーデータを書き換えて狂わせてしまうところまではシグマウィルスと一緒という事だ。だが、ゲイト様の望みはレプリロイドの破滅ではなく支配だと言っておられた。」
「レプリロイドの支配・・・・となるとナイトメアにはまだ何か恐ろしい何かが隠されているという事か・・・」
シグナスはしばらく考えると今後のナイトメアに対する対策を練らなけれなばらないと判断した。
「貴重な証言に感謝する。なら、一刻も早くゲイトの潜伏先を探さねばなるまい。」
「シグナス司令官、折り入って頼みがある。」
席を外して部屋を後にしようとするシグナスをヴォルファングが呼び止める。
「なんだ?」
「他の残った調査員、できればイレギュラーとして処分する前に引き留めるよう説得をしてほしい。」
「・・・・・」
「確かに以前は問題を起こした輩だ。・・・・・それでも、ゲイト様に作られた私の兄弟でもある。頼む。」
「・・・・・・それはエックスたちに直接言っておくことだ。彼らも仲間であるレプリロイドをイレギュラーとして処分したくないのだからな。」
シグナスは、それだけ言い残すと尋問室を後にする。
「ナイトメア・・・・ゲイト・・・・エイリアの様子がおかしくなったのも分からなくもないな。」
22世紀 ジオシティ建設予定現場 最深部
「や、やっと着いた・・・・・」
高度な落下地点をどうにか無事に着地し、ドラえもんたちはパイルマンがいると思われる・・・・・・というより追いついたと言った方がいいともいえる部屋の前に辿り着く。中に入ると既に合体したパイルマンが体を動かしながら一同を待っていた。
「突貫!突貫!トッカーン!!やっと来たかべらぼうめ!!遅いぞぉ―――――――――!!」
パイルマンは体をぶんぶんと動かしながら言う。
「なんだぁ!?誰かと思ったらまん丸兄妹となんか今どきのイチャイチャそうなカップルじゃねか!?ここは作業現場だ!!仕事の邪魔だからデートや兄弟喧嘩なら他所でやれぇい!!」
「何か来てからいきなりすごい誤解を招いているんだけど?」
「パイルさん、もういいから作業をやめてください!ここの工事はこんな設計になっていないでしょ?」
「何を・・・・・バチバチバチ!?」
ドラミに答えようとしたパイルマンだがその直後身体が不調なのか体から電流がビリビリと鳴り出した。
「まずいな、アイツ相当無暗に体を動かしているぞ。」
「何を言っている金髪赤ヘルメット!!俺のパイルは世界一ィィィィィ!!!そんじょそこらの若手とは違うのだぁ!!」
ゼロに対してパイルマンは叫びあげるがどう見ても万全とはいいがたい。早くしなければ爆発する危険性すら感じてしまう。
「口で言うより腕づくで早く止めた方がいいぞ。コイツ、いつ爆発してもおかしくない。」
「邪魔をするか!だが、こちとら職人よぉ!!受けてたつぅ!!」
パイルマンは杭を突き出して四人に向かって突進してくる。
「とりゃあああ!!」
「おっと!」
「うわっ!?」
四人は避けるがパイルは壁に深く食い込んでいる。
「わああぁぁぁぁ・・・・・・」
捕まったら自分もこうなるのかと思いドラえもんはゾッとする。
「逃げたか!なら、もう一発ドスコーイ!!」
「くっ!アースクラッ・・・・・」
「ゼロ、ここは地下よ!」
「うっ!」
「ド―――――――スコ――――――イッ!!」
アースクラッシュを使おうとしたゼロであったがアイリスの呼び止めに中断し、突進してくるパイルマンの攻撃を避ける。この地形においてアースクラッシュは確かにパイルマンに対しては有効かもしれないがここは地下深い場所のため衝撃で地盤が崩れ、生き埋めになってしまう危険性が高い。
「トライアードサンダー!!」
「ぬうっ!?」
ドラえもんが放った電撃弾がパイルマンに炸裂する。同時に身体から煙を吹き出すが本人は本気になったと思って喜んでいる。
「やっと本気になったか!それでよし!!変・形!!」
パイルマンは体を変形させてドラえもんたちごと地面に撃ち込もうと杭を撃ち込んでくる。
「突貫、突貫、突貫!!」
「わあぁあぁ!?」
ドラえもんたちは迫ってくるパイルマンの攻撃から必死に逃げていく。
「ぬう・・・・・・避け切ったか!だが・・・・ぬううっ!?」
パイルマンの身体から出る煙がさらにひどくなる。
「おかしいな?なんか知らないが異常に身体が熱・・・・・いや、俺の職人魂が燃えているのか!!」
「違うわよ!パイルさんの身体がオーバーヒート寸前なのよ!?」
「うおぉおおおお!俺の心はオーバーヒートォォオオオオオオオオ!!!」
「話を聞きなさい!!」
ドラミのツッコミを聞かずパイルマンは体を赤く発光させる。
「パワーギア!!!」
すると他の量産タイプの杭打ちロボットが彼の元に集結し、超巨大な極太パイルへとなった。
「うおぉおおおおらぁ!!」
「アイリス、危ない!」
「きゃっ!?」
ゼロに引っ張られてアイリスは驚くも彼女のいた場所は巨大な杭が突き刺さり爆発を起こす。
「ドォォオオオオオオスコイ!!」
「うわぁぁあああ!?」
四人はとにかく避けるも超巨大パイルへと変形したパイルマンから逃げるのは至難の業だ。
「逃げても、無駄だぁあ~!!!」
最後の杭打ちが四人を吹き飛ばす。
「うわあああああ!?」
「うおぉおおおお!?」
「きゃあああああ!?」
「作業お疲れ、れ、れ、レ!?」
元の姿に戻った後パイルマンの身体は赤く発光し、今にも爆発しようとしていた。
「ん?ん?ンン!?」
「まずい!みんな伏せろ!!」
ゼロの指示でドラえもんたちは地面に伏せる。
「ぶ、ブ、ブガカアアアアァァァアアアア!?」
次の瞬間パイルマンのいた周囲が爆発し、その勢いは外の入り口まで爆煙が上がるほどだった。
「・・・・・・・みんな無事か?」
爆発からしばらくして地盤の一部が崩れてできた土砂の中からゼロが体を出して言う。するとドラえもん、ドラミ、アイリスと次々と顔を出した。
「ぼ、僕は大丈夫・・・・・」
「私も。」
「ゼロの方は大丈夫なの?」
「俺も大丈夫だ。」
四人はパイルマンのいた方を見る。
そこには大きなクレーターができており、その中央で真っ黒になったパイルマンが煙を吹かしながら立っていた。
「・・・・・・プフッ。俺は・・・・・・・・一体何をしていたんだ?現場での危険物は厳禁なのに?」
「ば、爆発のショックで元のパイルさんに戻ったみたい。」
先ほどと違って何かが覚めてしまったパイルマンに対してドラミは困惑した表情で言う。そんなドラミたちに気づくとパイルマンは何も覚えていないのか厳しい表情をする。
「コラ――――――!!お前たち、ここは工事現場だぞぉ!!一般のカップルたちが・・・・・・・ん?お前、ドラミじゃないか?なんでここにいるんだ?今日、同窓会の日だっけ?」
「もう!」
何が何だかさっぱりわからないパイルマンに対してドラミは怒る。
その後、事情を聴くなりパイルマンはキョトンとした表情をしながらもタイムパトロール本部へと連行されるのであった。
21XX年 ???
「うぅ・・・・・うぅっ!!」
一方、ここはアイゾックたちが潜伏しているある研究施設。
その中の一室で黒幕である青年は何かにうなされていた。
求めていた夢を目指して開発し、破壊される自分の作り出したレプリロイドたち。
自分のことを異分子だと言い、考えすら聞き入れず危険と判断した憎たらしい研究所のレプリロイド研究員たち。
今も聞こえてくる自分への罵倒。
「うるさい・・・・うるさい・・・・・・うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさ――――――――――いっ!!・・・・ハッ。」
青年は、汗を拭いながら目を覚ます。研究中に居眠りでもしてしまったのか操作していたパネルは自動で実験を続けていた。
「ハア・・・・・ハア・・・・また、あの夢か。くっ!僕の研究も理解できない下等なレプリロイド共め!!」
彼は実験を一時中断し、調査員たちの状況を確認する。
「ヒートニックスに続き、ヴォルファングもやられたか・・・・・あと残っている調査員は3人。2人はまだしもプレイヤーは自分の実験で連絡もあまりよこさないからな・・・・・それにここがバレるのも時間の問題だ。」
ゲイトは、研究室から出てアイゾックがいる部屋へと向かう。
「アイゾック、アイゾックはいるか?」
部屋に入るとアイゾックは、端末を操作している最中だった。
「これはこれは。一体どうしたのですかな?」
「調査員が半分以上やられていたというのにどうして僕に報告しに来なかった?何かあったら直ぐに報告しろと言ったはずだぞ!」
「申し訳ございません。何しろ大変興味深いものを見つけたものでして・・・・・・」
「興味深いものだと?」
ゲイトは息を荒げながらも落ち着こうとする。
「実は、ミジニオンの残骸のデータからこんなものが。」
アイゾックはスクリーンで映像を見せる。それはミジニオンの目で見えたものでその中にローブを被ったレプリロイドの姿があった。
「・・・・・これが一体なんだというんだ?」
「まあまあ、ここからが本番です。」
ローブのレプリロイドが体を発光させたと同時に腕から強力な衝撃波を発生させる。それと同時に頭部のフードが外れ、その素顔が明らかになる。
「!?」
「・・・・(ニヤリ)」
そこにはゼロと瓜二つのレプリロイドの顔があった。
「あのハンター・・・・・まさか、本当に生きていたのか?」
「いいえ、違いますな。」
「何?どういうことだ?」
アイゾックの言葉にゲイトは首をかしげる。
「よく御覧なさいませ。奴の腕から出す衝撃波はあれほどの威力はございません。」
「ん?確かにデータではあんなものはなかったな。」
「それにです。本物のゼロならハンター本部と合流をするはず。にもかかわらずイレギュラーハンターたちは彼の詳細を掴んでおりません。それにゼロ本人にしろ、彼らの目の前に姿を現さないのはおかしいとは思いませんか?」
「・・・・・なら、お前はどう読むんだ?」
ゲイトの質問に対し、アイゾックは、笑みを浮かべながら答える。
「おそらく何者かがゼロの複製、それもこちらのナイトメアゼロよりも高性能なものを作ったと読むべきですな。そうでなければ貴方様のお作りになった調査員たちが負けるはずがございません。」
「・・・・・・フウ、余計なことをしてくれる奴もいたものだ。」
ゲイトは眉間を押さえながら言う。
「アイゾック、調査員のことについてもそうだがそのゼロの偽物についても警戒しておけ。そいつが一体何を企んでいるかわからない以上、こちらの計画の邪魔になりかねないからな。」
「はっ。」
ゲイトが去って行くとアイゾックはため息をついて椅子に座り、その陰からシャドーマンが現れた。
「あんな事を仰いましたがアイゾック様は本当にあのゼロがコピーだと言い切れるのですか?」
「あぁ、間違いない。アイツはワシがカウンターハンターを率いてシグマに協力していた時に作ったコピーゼロそのものじゃ。それにあの体の光はダブルギアシステムじゃ。フン!」
アイゾックは、パネルを操作してシェードマンと連絡を繋げる。
「シェードマン、タイムマシンの進行状況は?」
『あのタイムマシンのおかげで予想以上に速く進み、後は武装の換装を追えればほぼ完了します。』
「そうか・・・・クックックッ、ならあの若造は用なしじゃのう。」
アイゾックは不敵な笑みを浮かべて言う。
うろ覚えだけどロックマンキラーの中でエグゼで登場したのバンクしかいなかった気がする。
X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)
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