ナゼダァ!!
22世紀 タイムパトロール本部
ラバーマンを保護して戻ってきたドラえもんたちは、リングマンから回路のことについて話すことがあると言われて彼の部屋に来ていた。
「全員集まったか。」
リングマンは、リングを寺尾台校長と共に部屋の外に出てもらうとゼロたちを見て言う。
「あの回路についてなのだが・・・・・・」
「何かわかったのか?」
リングマンは言いづらそうな表情をしていたものの改めて口を開く。
「実はあの回路・・・・・ダブルギアシステムはDr.ワイリーが製作したものなんだ。」
「何っ!?」
ゼロはその言葉に驚きを隠せなかった。
「まさか、奴は既にこの世界に来ているというのか!?」
「ゼロ、落ち着いて!リングマンさんの話はまだ始まったばかりよ。」
「正確にはこのシステムはワイリーがまだ若き日に製作した物なんだ。私やロックマン・・・・・・いや、感情を持ったロボットが開発され始めて間もない頃に・・・・・」
リングマンは手に持っているダブルギアシステムを机に置きながら言う。
「これは私がコサック博士を通じて聞いた話なのだが、このシステムはライト博士とワイリーの関係を大きく歪ませた元凶ともいえる代物だったらしい。現物を見たのは初めてだが。」
「二人の関係を大きく歪ませた?」
ドラえもんは、首を傾げながら考えてみる。スネ夫が以前話してくれたロックマンシリーズの話によるとワイリーは、自らを理解しようとしなかった周囲への復讐として、世界征服の野望を画策し始めたと言う。
「その話では何と言っていたんだ?」
「あぁ、ライト博士とワイリーは大学生時代、史上初の思考プログラム搭載型ロボットの開発に成功した後の事だ。初歩段階とはいえ、初めて思考プラグラムの開発に成功した二人は、次はそれぞれの別の方法を模索してロボットが人間のパートナーとして共存できる社会をを築くべく、日々研究に取り組んでいた。だが・・・・・・ある日」
19XX年 ローバート工科大学
「つまり、心を持つという事で初めてロボットは人間の真のパートナーになりうるのです!」
この日の学会、ライトはワイリーと共に開発した思考プログラム搭載型ロボットのデータを基に更に改良を加えた思考プログラムの開発の発表、これからのロボットと人間の関係について説いていた。その発表の席に着いていた多くの同僚たちが関心の目を光らせていたが彼の発表が終わる寸前、次の発表を控えていたワイリーが彼の目の前に立った。
「それはどうかな!?例え心を持ったとて、ロボットは今の段階では人間の道具に過ぎない!」
ワイリーはスライドを変え、自らが開発したダブルギアシステムの全容を公開する。
「圧倒的なパワー!目にも止まらぬスピード!到底人間の及ばぬ脅威の力を誇示してこそ・・・・ロボットは人々から慕われ、認められる存在となる!!それを実現させるのが私が提案するこのダブルギアシステム!!これを組み込めばすべてのロボットが頼れる存在となる。ヒーローとなれるのです!!」
ワイリーは割り込む形で自分の研究を発表するもののライトの研究を否定しているわけではなかった。確かにロボットが人間のパートナーになるためには心は必要だ。ただ、今のままでは所詮は道具という扱いのままで何も変わらない。だからこそ、ロボットに人間では届かない圧倒的な力を与え、周囲にその存在が認められた後に心を与えればいいという結論に至ったのだ。
『だが、ライト博士はダブルギアシステムの開発に断固反対していた。ダブルギアシステムは、ロボットに圧倒的なパワーとスピードを与えるのを代償に大きな負担がかかる。それだけではなく、もし悪用されればヒーローは愚か人類を脅かす悪魔の如き脅威へとなる危険性を秘めていたからだ。その結果、その発表からしばらく後の学会の会議でワイリーの研究は凍結され、ライト博士の思考プログラムの開発が進められることになった。』
後日
「・・・・・のため、私はワイリー君の研究には断固反対です。」
「ぐぬぬぬぬ!どういうつもりだライト!」
会議の中、発表されたワイリーとライトの研究、どちらの開発を進めていくのかの話し合いでライトはワイリーの研究を反対していた。
「お前にはわからんのか!キレイ事では解決できぬ問題もあるのだぞ!!」
「・・・・何と言おうと現段階では賛同しかねる。お前の研究は、最悪な場合取り返しのつかないことになりかねない危険性を秘めているんだ。・・・・・分かってくれ。」
「いや、わかるもんか!お前は、いつもそうやってオレの研究の邪魔を!!」
冷静に言うライトに対してワイリーは怒りがエスカレートしていた。そんなワイリーに対して教授は落ち着かせるように声をかけた。
「ワイリー君、口を慎みたまえ。」
教授は二人の研究について会議の末、ライトの研究を進めることを多数決で決定させた。
「異論はありませんね?では、今後はライト君の進めるロボットの思考回路の開発の研究に集中することとします。以上で解散します。」
教授と共に去って行く同僚たちを見送り、ワイリーは一人会議室に残され、悔しさを噛みしめながら自分が開発したダブルギアシステムのサンプルを握り締めた。
「・・・・・オレは・・・・・・オレは間違ってはいないッ!間違っていないんだ!!」
怒りのあまりにサンプルを床に殴り捨て、彼は会議室を後にしていった。
「ライト・・・・・オレは認めん!!オレは、オレのやり方で世間を認めさせてやる!!絶対にだ!!」
22世紀 タイムパトロール本部
「・・・・・それ以来だったそうだ。ワイリーの思想が過激さを増し始め、いつしかロボットによる世界征服へと繋がって行ったのは。」
リングマンは、腕を組みながら頭を抱える。その話を聞いてゼロも何とも言えないやるせない顔になっていた。自分の生みの親とも言えるワイリーが目の前にある装置ですべてが始まり、それがいつしか兄弟、そして、自分へと繋がっていくことになるとは。
「ライト博士が博士にこの話を打ち明けた時、彼はこう言っていたそうだ。あの時、ワイリーの研究をただ反対するのではなく、ワイリーと共に歩む道を示すことができていれば結果は変わっていたのではないかと。」
「共に歩む道・・・・ですか?」
「ダブルギアシステムは確かに危険な要素が大きい。だが、正しく使えば人々を守る力にもなる。正しく使うためには、正しい心が必要になるんだ。ワイリーが目指したというあらゆるロボットをヒーローに変える夢の技術・・・・・それがこのシステムに秘められているものなんだ。現にドラえもんがその典型例と言える存在だ。」
「僕が?」
「うん、現に君はシステムを使いこなしている。ワイリーが目指していたロボットの姿こそがその姿だったのかもしれない。君もな、ゼロ。」
「俺も?」
ゼロはその言葉に少しばかり驚いた。
「・・・・・俺はあのジジイにDr.ライトのロボットをすべて破壊するために作られた存在だぞ?」
「その通りだ。だが、君は力に呑まれることなく今まで戦ってきた。だから、今があるんじゃないか?」
「・・・・・・・・」
「さて、我々も残りのロボットたちを止めなければならないな。」
リングマンはそう言うと一台のスノーボードのようなマシンを見せる。
「これは?」
「君たち移動手段が転送装置だけだと不便だからな。かつてロックマンが使用していた『アイテム2号』をベースにタイムパトロールで試作で開発していたロボット用の高速移動用飛行ユニットだ。最高でマッハ3まで飛ばせる。」
更に彼の肩に止まっていたビートが飛んでドラえもんの頭の上に乗った。
「ぴー!」
「ん?」
「ビートも手伝いがしたいそうだ。元々ロックマンのサポート用に作られているからいざというときに頼りになるはずだ。」
「ぴ~!!」
ビートはドラえもんの頭の上に乗りながら鳴く。
「ウフフフ・・・お兄ちゃんの頭の上が気に入ったみたいよ。」
「あまり嬉しくないような・・・・・・・」
「「「「はっははははははははは・・・・・・」」」」
一同はこの時思わず笑い合った。
21XX年 イナミテンプル
「グアッ!!」
一方、イナミテンプルの奥地では調査員 レイニー・タートロイドとあるレプリロイドが交戦していた。
「これでもまだアイゾックの居場所を吐かないか?」
相手は、黒いゼロことブラックゼロだった。その後ろではダイナモが周囲をキョロキョロ見ながら誰にも見られていないか見張っている。
「兄貴、これ以上はやめた方がいいんじゃねえか?そいつ、死んでも口割らなそうだぜ?」
事実、タートロイドはかなりのダメージを受けていた。彼は、酸性雨を物ともしない特殊合金で造られた甲羅シールドを常備しているのだが、ブラックゼロの容赦のない攻撃で既にあちこちが歪み、破損がひどくとても戦闘続行が無理な状態になっている。
「お前の自慢の甲羅はこの様だ。生きている内にアイゾックの居場所を言え。」
「こ・・・・・・断る。」
タートロイドはボロボロの身体に鞭を打って立ち上がる。
「貴様にアイゾックの居場所を言えば・・・・・・・・主であるゲイト様にまで危険に晒すことになる・・・・・・うっ!・・・うぐっ・・・・・例え死ぬ運命だとしても・・・・・ゲイト様のためならば本望だ・・・・・・・」
タートロイドは体勢を整えるとブラックゼロと再び対峙する。
「さあ、ゼロの紛い物よ!!この私の命を刈り取るというのなら刈り取って見せるがいい!!」
タートロイドが攻撃をしようとした瞬間、ブラックゼロはどういうわけか背中を見せた。
「!?き、貴様・・・・・何のつもりだ!?」
「・・・・・標的が変わった。お前は後回しだ。」
見上げた先にはハイマックスが滑空していた。それを見てタートロイドは目を丸くする。
「は、ハイマックスだと!?ゲイト様から来るとは・・・・・・うっ!?」
タートロイドはそのまま倒れ込んでしまう。ハイマックスは無表情のままブラックゼロの近くにまで接近する。
「・・・・・やっと見つけた。ゼロナイトメアめ。」
「俺をあんな雑魚と一緒にするな。」
ブラックゼロは不機嫌そうな顔でハイマックスを睨みつける。
21XX年 リサイクル研究所
「な、なんだ!?てめえら!?」
調査員 メタルシャーク・プレイヤーは突然の来訪者に驚きを隠せなかった。しかし、相手はこちらに向かっているエックスとマーティではなくマントを被った正体不明の二人組だった。
「突然の訪問で申し訳ございませんね。貴方のナイトメアソウルを頂きに来ました。」
「ナイトメア・・・・・てめえら、イレギュラーハンターか!?」
プレイヤーは得体の知れない二人をイレギュラーハンターの仲間だと思っていた。すると一人が口を開く。
「イレギュラーハンター・・・・・懐かしい言葉ですね。」
「ひっ・・・ひっひっひっ・・・・・・まあ、ここまで来れる連中なら誰でもいい。それなりのDNAデータを持っていそうだからな!」
エックスたちの仲間ではないと分かり、プレイヤーは、アンカー状の武器「メタルアンカー」を持ちながら二人と対峙する。
「ひっひっ、さっきゲイト様からおもしれえ情報が入ったからな。悪いがてめえら二人には死んでもらうぜ。」
「面白い情報?・・・・・それは少しばかり興味がありますねえ。」
「ひっひっひっ・・・・・・ここにかの有名なイレギュラーハンター エックスとその嫁さんが来るんだとよ。嫁の方は興味がねえが奴のDNAデータは丁度欲しいと思っていたところだ!まずは・・・・・むぐっ!?」
プレイヤーが話している最中にもう一人の方がプレイヤーの頭部を掴んだ。
「な、何をしやがる!?」
「エックスは俺の獲物だ・・・・・・・貴様のものではない!!」
マントの中からレプリロイドとは思えない充血した目が見える。その異様な殺気に戸惑いながらもプレイヤーは話を続ける。
「てめえの都合なんか知ったことか!?てめえのDNAデータを寄越せ!!」
彼はメタルアンカーで殴りつけ、距離を取る。
「俺のネクロ・サモニングは、レプリロイドのDNAデータがあればどんな奴でも復元できる!!いでよ!!」
プレイヤーは、ネクロ・サモニングで周囲のスクラップから二体のレプリロイドを生成する。
「ほう・・・・・・・」
「ん!?こ、これは!?」
一体は横綱のような体系の大型、もう一体は細身の身体で見覚えのある者だった。
「ひっひっひっ!一体はDr.ドップラーが製作した高性能レプリロイド マンダレーラBB!もう一体は元イレギュラーハンターのブーメル・クワンガー!!元時空の斬鉄鬼とナイトメアポリスに狩られっ!?」
プレイヤーが言いかけた直後自分の頭が何か巨大なものに掴まれて愕然とした。
「マンダレーラの紛い物を作るとは・・・・・・いい度胸だな?」
「あ、あ、あれ・・・・・?」
自分を掴んでいるのは召喚したマンダレーラの腕と同じものだった。その腕の先には体から赤いオーラが発生しているマントの一人が立っており、後ろではもう一人の方が召喚した二体をあっけなく切り裂いてしまっていた。
「こ、これは・・・・・ま、マンダレーラの腕?」
「その様子だとマンダレーラの残骸をかなり貪っていたようだな?」
巨大な手の力が強くなり始める。
「あああああああああああ!?痛てぇ!!痛てえぇえええ!!」
頭部が今にも握りつぶされそうでプレイヤーは悲鳴を上げる。
「なんでだよ!?イレギュラーの残骸をバラバラにしてDNAデータを取っただけで何でこんな目にあうんだよ!?」
「ふうぅ・・・・・イレギュラーだからと言って遺体を解体するのはよくありませんね。ちゃんと許可は取っていたのですか?」
「俺はゲイト様に作られた天才だ!!天才は何をしても許されるんだ!DNAデータさえあればレプリロイドの復元する術を発見して終いには死んだ奴さえも生き返らせることができる!!その犠牲は付き物じゃねえか!?」
さらに力が強まる。
「あああ・・・・・あああ!!た 、助けてくれ!?何でもするから助けてくれぇ!!」
「・・・・・・嫌だね。」
「!?」
マントの下の顔が見えてプレイヤーは驚愕する。
「そ、そんなまさか・・・・・・・」
「俺の兄弟の紛い物というこの世で最も腹ただしいものを見せてくれた礼だ。苦しませながら死なせてやる。」
さらに力が強まり、プレイヤーは手足をブルブル震えさせていた。
「ああ・・・あああ!?あぁああああ!!」
「見ていられませんね。」
「た、助けてゲイト様!!なんで!なんで天才の俺がこんな目に・・・・・・・・」
「安心して死ね。そのゲイトとか言う奴もエックスの後に始末してやる。」
「がばぁあっ!!」
最後に思いっ切り力を込めてプレイヤーの頭部は潰されたトマトの如くパーツがあちこちに飛び散り、残されたボディはそのまま崩れ落ちた。
「・・・・・」
身体からオーラが消え、巨大な腕が消え普通の腕に戻る。同時に全身から蒸気が発せられ、マントを投げ捨てながらプレイヤーの亡骸をビームサーベルで突き刺した。
「これか。」
胴体の中からナイトメアソウルを剥ぎ取る。もう一人の方もマントを取り、改めてプレイヤーの残骸を眺めた。
「ふむ・・・・・・強化された割にはそこまでの脅威にはなりませんでしたね。」
「知るか。」
「まあ、いいでしょう。私たちの仕事はこれで一旦終了ですからね。」
「俺はまだ帰らんぞ。エックスを始末するまではな。」
レプリロイドは、沈黙したコピーマンダレーラの残骸を見ながら言う。
「アイツの身体をバラバラにして殺してやる・・・・・新たに得たこの力でな。」
「しかし、使えるのは短時間のみです。それにエックスも私やあなたと交戦していた時以上に戦闘経験を積んでいる。勝率はかなり低いと思いますが。」
もう一体のレプリロイドは冷静に自己分析しながら言うが睨まれたため、途中でやめる。
「・・・・・仕方ありませんね。私は一足先に戻ります。指定された時間は守ってくださいね。」
「言われるまでもない。」
そう言うと彼は瞬間移動でもしたかのように高速でその場から離脱して行った。
「エックス・・・・・・今度こそ・・・・・今度こそ!!」
復讐の対象のエックスに対する憎しみを増長させながら、彼は二人が来るのを静かに待つ。
11で若い時のワイリーとライト博士の姿見たけど有賀版呼んだ後だと違和感が半端ない(汗)。
X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)
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