リサイクル研究所
既にメタルシャーク・プレイヤーが何者かに殺害されたと知らずにエックスはマーティと共にリサイクル研究所へと乗り込んでいた。リサイクル研究所はロボット暗黒時代とも言える100年前に存在していたと言われており、かつてはロボットの墓場・・・・・・または処刑場として作られたと言われている。現代ではイレギュラーの疑いが掛かっているレプリロイドたちのゴロツキ場として扱われていたがナイトメア現象によって長年機能が停止していた超大型プレス機などの装置が再起動し、誰も近寄れない危険地帯へとなった。
「マーティ、こっから先はライデンでは行けないようだ。」
途中までプレス機の圧力にも耐えられるライデンに乗ってきた二人であったが途中で下へ降りる階段に差し掛かり、降りての移動を強いられた。
「エックス。」
「ん?」
二人はプレス機に押しつぶされないように慎重に移動していたがマーティは何か違和感を感じていた。
「何か・・・・おかしいと思わない?」
「・・・・・」
エックスも同じように違和感を感じていた。このリサイクル研究所に入ってずいぶん奥へと進んでいるがナイトメアの姿が見当たらないのだ。兵器開発所でも同様のことがあったが明らかに不自然に感じる。エックスはあの場で助けたレプリロイドの言葉を思い出す。
『ぼ、亡霊アルよ!ゼロの亡霊が出たアルよ!』
ゼロの亡霊。
確かそのようなことを言っていた。ナイトメアの偽物ではないのは本当かもしれないが一体何者なのかは未だにわかっていなかった。本物なら自分たちの元に戻ってくるはず。にもかかわらず彼は戻ってこない。もしや、アイリスが何らかの事情で死亡し、後ろめたくなって戻ってこれなくなったのだろうか?それともほかの事情でもあるのか?それとも・・・・・
「・・・・まさかだけど・・・・」
「まさか何よ?」
「いや、少し考えすぎかもしれない。」
話を濁そうとするエックスに対してマーティは不満そうな顔をする。
「隠し事はしないって約束でしょ?」
「・・・・・・もしかしたらなんだけど。」
「うん。」
「二人がワイリーに回収されて改造されたんじゃないかって。」
「・・・・」
エックスの言葉にマーティも口が出せなくなる。
ゼロとアイリスがワイリーに回収される。
それはゼロとアイリスが対エックス用に調整され、自分にぶつけるという最悪のシナリオを意味する。もし二人とも改造を受けて操られているのならゼロしか目撃されていないことが納得いく。
「改造か・・・・・」
「ないとは言い切れないだろ?」
「うん。」
もしやここにゼロが来ているのではないかと不安に駆られながらも二人はさらに奥へと踏み込んで行く。
22世紀 ???
「・・・・・ハッ!?」
暗闇で何も見えない中、ドラメッド三世は意識を取り戻す。
「ここは・・・・うおっ!?ドラリーニョ!?」
すぐ横ではドラリーニョが寝ている。ドラメッドは、周りがどうなっているのかさっぱりわからない中最後に自分たちの身に何があったのかを整理整頓して思い出してみる。
覚えている限りは、ドラパンの目の前で親友テレカを使用し、そのまま黄金像にされたというところまでだ。
「ドラリーニョ、起きるである!!寝ている場合じゃないぞよ!!」
ドラメッドは必死に揺さぶっているとドラリーニョはゆっくりと瞼を開いて目を覚ます。
「あっ、おはようドラメッド!!」
「呑気なこと言っている場合ではないである。吾輩たちは確かドラパンにキンキンにされたはずであるが・・・・・・」
「あ~!!そうだったそうだった!!・・・・・って、ここどこ?」
「暗くてわからんである。」
ドラリーニョは走り回っているのを他所にドラメッドはもう一度目を凝らして周りに何かないか調べてみる。しかし、一向に何も見えてこない。
「んん・・・・・・この親友テレカを出した後にどうなったことやら・・・・・ん!?」
ドラメッドは懐から取り出した親友テレカを見て唖然とする。
「吾輩、親友テレカと間違えてタロットカードを出していたである。」
ドラメッドが顔を赤くして言っているとドラリーニョも何か気づいたかのように声を上げる。
「ねぇ、見て見て!僕も僕も!!」
「なぬ!?」
彼の手にあるカードを見て見るとそれはイエローカードだった。
「間違えてイエローカード出してたみたい!」
「やれやれ、揃いに揃ってドジばかり・・・・・・ん?」
「「「どうしたの?ドラメッド?」」」
ドラメッドは今自分の目の前の光景に思わずきょとんとする。
目の前に立っているドラリーニョが三人に見えるのだ。一瞬何事かと混乱しながらも冷静になり、この現象の原因を考える。
「・・・わかった!これは鏡だ!」
つまり自分たちの周りは鏡で覆われており、その影響でドラリーニョが三人に見えているように錯覚していたのだと結論を出す。
「部屋を暗くしているのは鏡がバレないようにである!後ろにも鏡!?これもドラパンの罠・・・・・」
「にぃい~~~」
「!?」
ドラメッドは後ろに映っている自分が笑っているのに驚く。
「お主、ドラパンか!?」
ドラメッドの質問に答えることなく笑っていた彼はそのまま逃げていく。
「あっ、待て!?ドラリーニョ、ドラパンは吾輩の偽物・・・・・にっ!?」
ドラメッドが次に後ろを振り向いた瞬間驚愕する。
「「「「「「「「「「わあああ~~~~~~~!!!!」」」」」」」」」」
そこには無数に増えたドラリーニョがいた。
これは鏡による虚像でもない。
本当に無数にいるのだ。
「わあぁ~~い!僕がたくさんいてサッカーチームいっぱい作れそう!!」
「なっ・・・・・」
ドラリーニョは楽しそうにはしゃいでいるがドラメッドはもしやと思い後ろを振り向く。
「ぬっ!?」
「「「「「「「「「にぃい~~~~~~」」」」」」」」」」
ドラリーニョと同様に自分もまた無数にいた。無数のドラメッドたちはあっという間にドラメッドの方へと向かってくる。
「わああぁああああ~~~!?」
21XX年 リサイクル研究所 最深部
「何とか押しつぶされずにここまでこれたな。」
エックスは、埃や機械油であちこち汚れながらもプレイヤーが潜んでいると思われる最深部にまでたどり着いた。
「もう・・・・途中で伏せながら進んだりしたせいで汚れまくりよ。」
『クウゥン・・・・』
体中が汚れたマーティとラッシュは埃を払いながら言う。できれば戦うことは避けたいものだ。
「問題はプレイヤーが俺たちの説得を聞いてくれればいいんだけど・・・・・・」
エックスたちは、恐る恐る扉の奥へと入る。
「「なっ!?」」
『ワオッ!?』
だが、その目の前に転がっているものに思わず足を止めた。
「これは・・・・一体!?」
二人は恐る恐る転がっているものに近づく。それは頭部を失ったレプリロイドの残骸だった。それも破壊されてから間もないものだ。
「レプリロイドの残骸・・・・それも破壊されて間もない。」
エックスはすぐにデータ照合を行う。するとこのエリアで調査をしているはずのメタルシャーク・プレイヤーと一致していることが分かった。
「ナイトメア調査員がまた一人・・・・・まさか、本当にゼロが・・・・・」
「やっと来たか、エックス。」
「「!?」」
後ろからの声に二人はバスターを構える。そこにはビームソードを展開した正体不明のレプリロイドが待ち構えていた。
「会いたかったぞ、お前をこの手で始末する時をな。」
「誰かは知らないが・・彼を破壊したのはお前か?」
エックスは警戒しながらレプリロイドと距離を取る。対するレプリロイドはエックスを睨みつけながら対峙する。
「誰かは知らない?俺はよく知っているぞ。」
「答えるんだ!どうしてこんなことを!!」
「・・・・・クッ、クックックックッ、ハッハッハッハッハッハッ!!」
「何がおかしいのよ?」
「クックックッ・・・・・・・こんなことだと?よくそんなことが言えるもんだな・・・・・クックックッ。」
レプリロイドは笑いながら腹を押さえる。
「どういうことだ。」
「お前は本性では結局は私と何ら変わりないという事だ!!」
レプリロイドはマントを投げ捨てその全貌を露わにする。その姿を見てエックスとマーティは唖然とした。
「なっ!?お、お前は!?」
「そんなっ!?アンタあの時死んだはずじゃ・・・・・・・・」
顔に傷があるのを除けばあの頃と全く変わらない姿、その目は明らかにエックスへ敵意を剥き出しにしていた。
「お前は、ヴァジュリーラ!?」
「私の顔を見てようやく思い出したかエックス。」
「どうなってんのよ!?アンタ、昔暴走したエックスに完全に破壊されて死んだはずじゃない!?」
二人が驚くのは無理なかった。
ヴァジュリーラは、かつてドップラーの反乱において「鬼」と化したエックスに合体形態であるゴッドカルマシーン・O・イナリーの状態で徹底的に破壊され、ヴァジュリーラの本体部分である上半身は波動拳で吹き飛ばされてしまった。
「あぁ・・・・・・そんなこともあったな・・・・・・思い出しただけで体に痛みが走ってきそうだ!!」
ヴァジュリーラは睨みつけながらビームソードをエックスに向ける。
「貴様に破壊されたマンダレーラの恨み・・・・・ここで晴らしてくれる!!」
「待ってくれ!俺がマンダレーラを破壊したり、君を攻撃して重傷を負わせたのは事実だ。だが、今はナイトメアによって仲間のレプリロイドが大変なことになっているんだ。」
「興味ないな。ほかのレプリロイドがどうなろうと知ったことか!俺はお前を破壊することさえできればどうでもいい!」
エックスは説得を試みるもののヴァジュリーラは聞き入れる様子はない。
「少し落ち着きなさいよ!?こんな事をしてドップラー博士に申し訳ないと思わないの!?」
「私を作ったのは飽くまでシグマに操られていた時のドップラー博士だ。今のドップラー博士とは関係ない!!」
ヴァジュリーラは拘束用リングを複数エックスに向かって飛ばす。
「・・・・・・やるしかないのか。」
かつて自分の手で葬ってしまった彼に対して罪悪感を感じながらもエックスはブレードアーマーを展開してZセイバーでリングを切断する。
「フン!!」
「くっ!」
ヴァジュリーラのビームソードを受け止め、エックスは彼の気迫に押されて僅かながら押され始める。
「パワーギア!!」
「!?」
ヴァジュリーラの身体が赤く発光し、ビームの出力が一瞬Zセイバーを上回った。ビームの刃はブレードアーマーの胸部装甲を焼き付け始める。
「昔のヴァジュリーラとは何かが違う・・・・」
「そうだ!俺はさらに力を付けて戻ってきた!もう、暴走した貴様にも負けん!!」
発光していた光が青に変わり、エックスの目の前から消える。
「消えた!?」
「アイツはどこに行ったのよ!?」
ヴァジュリーラは瞬時にエックスの背後に回っていた。
「エックス、後ろ!!」
「えっ?」
「パワーギア。」
体を赤く発光させると同時にヴァジュリーラはエックスの腹部を殴る。同時にエックスは口から吐血し勢いよく吹き飛ばされた。
「ゴホッ!?」
「エックス!!」
マーティはバスターショットで援護を行おうとする。
「邪魔はさせん!者共かかれ!!」
ヴァジュリーラの合図と同時に周囲のスクラップから以前ダイナモを回収したのと同じレプリロイドたちが一斉に姿を現す。
「ゴジッ!」
「「ゴジゴジッ!!」」
「「「ゴジゴジゴジ!!」」」
「うっ!?こいつ等、あの時の!」
『ワオッン!!』
彼女はラッシュと共にレプリロイド軍団の足止めを食らう。その間にヴァジュリーラは壁に打ち付けられ、倒れたエックスの頭を掴み上げる。
「うぅ・・・・・」
「どうした?あの時みたいに暴走しないのか?それとも暴走できないほど弱体化したのか?」
そう言うと彼はエックスを自分の真上に投げ、イナリーの時にしか使わなかった光弾を発生させて彼に向かって撃ち込む。
「グッ!!」
エックスはガードすることによって何とか攻撃を耐えるとヴァジュリーラに向かってバスターを構えようとするがすでに彼の姿がなくなっていた。
「ま、また!?」
「遅い!!」
「!?」
背後から声が聞こえると同時にエックスは強い衝撃で床に打ち付けられる。さらに追い打ちをかけるようにヴァジュリーラのパンチがエックスに炸裂した。
「ガハッ!?」
「そんなものか!!俺が恐れていた貴様の力はこんなものではない!!あの時の力をもう一度出してみろ!!」
エックスを蹴り飛ばし、これもまたイナリーの時にしか使用できなかったビームソードの衝撃波を放つ。
「くっ・・・・・・・ギガブレード!!」
エックスは、Zセイバーにエネルギーを回して同じ衝撃波で相殺させる。だが、同時にヴァジュリーラは再び体を赤く発光させる。
「パワーギア!!」
「なっ!?あれは!」
ヴァジュリーラは左腕を自分の兄弟機であるマンダレーラの物へと変換させて発射してきた。
「ハードナックル!!」
エックスは対応しようとハードナックルを発射するが飛んでくる腕はビクともしなかった。
「うっ・・・・・メタルブレード!!」
切断力が高いメタルブレードも弾き返される。
「スーパーアームで押さえるしかない!」
今度はスーパーアームで受けとめようとする。腕はスーパーアームによる怪力で押さえられるかに見えたがそのまま押し切られ、エックスの腹部を貫通した。
「ゴボッォオッ!!」
「エックス!?」
エックスは力を失い床に落ちる。そのエックスの頭をヴァジュリーラが踏みつけた。
「ゴブッ・・・・・・・・」
「こんなものか、エックス?俺を殺しかけた時はもっと強かったぞ?」
足でグリグリとしながらヴァジュリーラは、見下すように言う。
「・・・・・・・」
「・・・・フン、どうやら奴の懸念は間違いだったようだな。」
エックスを仰向けにするとヴァジュリーラは左腕を戻して、ビームソードを両手に持ち上に掲げる。
「これで・・・・・・これでようやくマンダレーラが報われる。そして、私の貴様への憎しみが・・・・・私の新たな一歩がここから始まるのだ・・・・・・・ダブルギア!!」
ヴァジュリーラの持つビームソードがライデンのブレード・・・・否、どこぞの機動武闘伝の必殺技の如く太く、そして長くなる。
「まずい!あんなの喰らったらエックスが・・・・・」
「ゴジ~!!」
「いい加減にどきなさいよ!!」
「ゴジッ!?」
マーティは急いでエックスを助けようとレプリロイド軍団を倒していくがいくら急いでも間に合わない。
「これで・・・・これで終わりだエックス!!」
「ダメ!!」
ヴァジュリーラはビームソードをエックスにめがけて振り下ろす。
「・・・・・・・・」
「エックス逃げて!!早く!!」
倒れているエックスに対してマーティは叫ぶ。
「もう遅い!このまま消えてなくなれ!!私の憎悪と共に!!」
ヴァジュリーラはそのままエックスにビームソードを振り下ろした。
22世紀 ???
一方、暗闇の中でドラメッドとドラリーニョは無数の自分たちが空間を埋め尽くしてしまったことで混乱していた。しかし、ドラリーニョの方は至って楽しそうだった。
「ドラメッドもたくさんいて寂しくないね!」
「それどころじゃないである!?こ、これじゃ、どれが本物のドラリーニョかわからないのであ~る!!」
無数にいる自分たちがドラパンの作り出した偽物だということはわかる。
ただ、外見・声が全く同じであるため判別が難しく、このままでは埒が明かない。
「そんなの簡単だよ~!」
「親友テレカを使えばいいんだよ~!」
「テレカ同士で呼び合ったものが本物ってことだよ!」
無数にいるドラリーニョの中の数人が本物のドラリーニョにアドバイスする。
「そっか!ドラメッド、親友テレカで呼び合うよ!!」
「おぉ!その手があったである!」
ドラメッドはさっそく親友テレカを出してドラリーニョの物と共鳴させようとする。
「ようし、親友テレ・・・・・って、また間違えてタロットカードを出してしまったである。」
間違えたタロットは、「Hanged Man」を指している。
「吊られた男?・・・・ん!?」
ドラメッドは天井の方を見てみる。そこには周りにいるものと同じ自分がぶら下がっていた。
「吊られた・・・・ん!?」
しかし、ぶら下がっている自分だけどういうわけかドラパンの所持しているステッキと同じものを持っていた。思い出してみればドラパンは寺尾台校長に変装し、完全になりきっていた。だとすれば天井にぶら下がっている自分は・・・・・
「いかん!」
ドラメッドはタロットを懐に戻すとテレカを使おうとしているドラリーニョに呼びかける。
「ドラリーニョ!テレカを使ってはいかんである!!」
「え~?どうして?」
本物と区別するために使おうとしたドラリーニョは手を止めるが周囲のドラリーニョたちはテレカを使うように促す。
「大丈夫、大丈夫。使っちゃいな。」
「使わなきゃ本物のドラメッドがどれかわかんないよ?」
「そうだよね!やっぱり使うよ!!」
「ダ~メだって言ってんでしょ!?使ったら最後、そこにぶら下がっている吾輩にキンキンにされるであムグッグ!?」
ドラメッドが途中まで言いかけた時周囲にいた他のドラメッドたちは慌てて彼の口を封じる。
「ん?」
だが、その言葉を聞いてドラリーニョは天井を見てみる。そこには杖を持ったドラメッドがぶら下がっていた。
(なっ!?まずい!)
ぶら下がっているドラメッドは慌てて杖を後ろに隠し、笑顔で誤魔化そうとする。しかし、杖を持っていた段階でドラパンだということは明らかだった。
「あっ!さてはお前ドラパンだな!!」
ドラリーニョが気付くと周囲の他のドラリーニョたちが彼を拘束しようと動き出す。
「みんなをキンキンしちゃう悪い奴は許さないぞ!!」
ドラリーニョは、偽物の自分たちに生き埋めにされかけながらも自慢の瞬発力で思いっきり飛び上がり、ボールをぶら下がったドラメッドに定める。
「シュートッ!!」
ぶら下がっていたドラメッドはボールが命中する寸前に衣装だけを残して回避する。するとボールは壁を破壊、外の日光が部屋全体を照らし出すと同時にドラパンがマントを羽のように動かしながら現れる。
「フウ・・・・・・フフッ!よくぞ見抜いた!!」
危うくボールが命中しそうになったのをなかったことにしてドラパンは二人を見る。
「なぬっ!あらっ!?」
「わあっ!」
日が当たった瞬間、二人の偽物たちは消え、一本の毛になる。
「あれ?」
毛はまるで魚群のように奇妙な動きをする。そして、一通りまとまるとドラパンの顔に向かい、彼の髭へと戻った。
「この髭は私の分身になるんだよな、これが。ナ~ハッハッハッハッ~!!だが、これで終わりではないぞ。また会おう!お二人さん!!」
彼はマントを高速で羽ばたかせるとそのまま外へと飛び去って行ってしまった。
「逃がさないぞ!」
ドラニーニョは急いで追いかける。
「慌てるな、待つであるドラリーニョ!!・・・・・・・・って、そこで転んでおったか。」
「カピャ・・・・」
ドラリーニョは顔を上げるとお腹を擦りながらしゃがみ込む。
「お腹空いたねぇ・・・・・・」
「むっ・・・・・・そういえば吾輩たち、ドラパンにキンキンにされてから碌に食事をとっていなかったである。」
二人は空腹を感じながら外を眺める。外には大きな塔が見えており、その下は途方もない迷路が広がっている。
「せめてグルメテーブル掛けや出前が取れれば・・・・・・・」
「ドラメッド!」
空腹で倒れそうなドラメッドはドラリーニョの声を聴いて振り向く。
「ん!?」
幻覚でも見ているのかそこにはかなりの量のどら焼きが置かれていた。
「こんなところにどら焼きが!?」
「早く食べようよ!ドラメッドの分も食べちゃうよ!」
すでにドラリーニョが手に取って食べ始めている。彼は早食いを得意にしている。罠の可能性を捨てきれないが空腹には抗えない。彼も手に取ってどら焼きを食べ始めた。
「おぉ!?これは間違いなく本物のどら焼きである!」
二人はしばしの間、夢中でどら焼きを食べ続けた。
21XX年 リサイクル研究所
「エックス・・・・・・・・」
マーティはエックスがビームソードでバラバラになってしまったかと思い、目を閉じてしまった。だが、ヴァジュリーラは驚愕の目でビームソードの先を見ていた。
「・・・・・・・・・何?」
そこにはエックスが膝をつきながらもZセイバーでビームソードをどうにか受け止めていた。
「くっ・・・・うぅ・・・・・・」
傷口を押さえながらエックスは立ち上がろうとする。同時にヴァジュリーラはダブルギアの発動時間の限界が近づき、やむを得ずギアを解除して距離を取る。
「ハア・・・・・・ハア・・・・・・」
「馬鹿な・・・・・腹に風穴を空けられて十分致命傷のはずだ!なのになぜ立ち上がろうとする!?」
エックスは虚ろな目をしながらもヴァジュリーラを見る。
「確かに・・・・・俺は、綺麗事を並べているだけかもしれない。でも・・・・・これ以上同じレプリロイド同士が犠牲になっていくのを見たくはない・・・・・・・人と手を取り合って本当の仲間として生きていける世界を作る・・・・・それが・・・・・・俺を作った博士の理想であって・・・・俺やマーティ、みんなの夢なんだ・・・・・だから・・・・その夢を実現するために・・・・・・・俺は戦う!!」
エックスは、両腕でZセイバーを持つ。するとヘッドパーツの赤いランプが点灯をし始め、セイバーの刃が黄色に変化し、大剣並みの出力に上昇する。
「ちいっ!ダブルギアの反動でまだ時間が必要だが・・・・・いいだろう!今度こそ、引導を渡してやる!!」
ヴァジュリーラもビームソードの出力を最大にしてエックスに向かっていく。エックスもまた、負傷した体でありながらヴァジュリーラに向かっていく。
「うおおおおおおお!!」
「とりゃあああ!!」
双方ともに斬り合う。
エックスはヘッドパーツが割れ、ヴァジュリーラは顔に傷がついた。
「くっ!これしき!!」
ヴァジュリーラは飛び上がり、火炎弾を連続で放つ。
「ヤンマーオプション!!」
エックスもトンボ型の小型メカニロイドを周囲に展開して光弾を撃ち出し、相殺させる。
「死ね!」
「ヤアッ!!」
相殺すると両者は更に斬り合い、共に胸部装甲に大きな傷ができる。
「グオッ!?・・・・・・こんな・・・・・馬鹿なことが!!」
ヴァジュリーラは傷口を押さえながらエックスの方へ振り向く。エックスもまたひどく傷つきながらもZセイバーを強く握り直す。
「勝負だ、ヴァジュリーラ!!俺は・・・・・ゴフッ、・・・・・俺は負けない!!」
「死に損ないが!!」
ヴァジュリーラは再びダブルギアシステムを作動させてビームソードの刃を大型化させる。エックスは全身から流血するようにエネルギーを流しながらもアーマーに蓄積したギガアタック用のエネルギーをZセイバーに送る。
「エックス!それ以上エネルギーを使ったら体が!!」
マーティは、エックスを呼び止めようとするが間に合わない。
「今度こそ終わりだ!!」
「ギガZセイバー!!」
エックスとヴァジュリーラは、凄まじい勢いでぶつかり合う。その衝撃でエックスの全身は大きく悲鳴をあげ、ヴァジュリーラも無理にダブルギアを使った影響で体中に亀裂が入る。
「ヌウウウウウウ・・・・・・」
「ウ、ウウウウ・・・・・・・」
出力はほぼ互角・・・・・だと思われたがヴァジュリーラの方が先に出力が落ち始める。
「しまった・・・・・ダブルギアの限界時間が・・・・」
「オォォオオオオオオオオオオ!!」
そのまま押し切られ、ヴァジュリーラは吹き飛ばされた。
「グワアァァアアアアアア!!」
ヴァジュリーラは全身から煙を吹き出しながらスクラップの中に埋もれる。
「はあ・・・・・・はあ・・・・・・うっ!」
「エックス!」
同時にオーバーヒートを起こして膝を付くエックスにマーティは急いで駆けつける。
「な・・・・何故なんだ・・・・・・」
スクラップの中からボロボロになったヴァジュリーラが這い出てくる。
「性能差では明らかに私が勝っていた・・・・・・・・なのに・・・・・!!」
這いずりながらこの場を引こうとする彼の目の前に何かがいる。ゆっくり顔を上げるとそこには顔をしかめたマーティが槍を展開して待ち構えていた。
「うっ!」
「悪いけど逃がさないわよ・・・・・」
後ろの方ではラッシュの冷却システムを接続して応急処置を施されて寝かされているエックスがいる。マーティは槍の先をヴァジュリーラに向ける。
「こ、こんな奴に!!」
「悪かったわね、最後の相手がアタシで。でもね、今のアンタを博士に合わせるわけにはいかないわ。」
そのまま拘束しようと手錠を出そうとする。
「困りますね、彼を逮捕してもらっては。」
「!?」
突然の声に彼女は後ろを振り向く。そこには別のマントのレプリロイドが立っていた。
「いつの間に!?」
背後からの攻撃で咄嗟にシールドブーメランで防御するものの鋭利なもので切り裂かれたのか真っ二つに切断されてしまった。
「シールドがっ!?」
彼の右腕を見てみるとか細い腕でありながら展開式の鎌状の実体剣が装備されている。
「残念ですが回収させてもらいます。飽くまでも仕事中ですのでね。」
頭の方に手を突っ込んで何かを投げる。マーティはバスターショットで弾き返そうとするが回転しているのか効果が見られない。
「まずい!」
彼女は頭を伏せて攻撃を回避する。幸い戻ってくる様子はないが後ろを向いた瞬間、先ほどまで前にいたはずのレプリロイドがヴァジュリーラを担いでいた。
「えっ!?どうなってんの!?」
「私は飽くまで彼を回収しに来ただけですからね。このまま、引き揚げさせていただきます。ほら、みなさん。さっさと起きて帰りますよ。」
レプリロイドが言うと後ろの方でマーティに倒されたはずのレプリロイド軍団が一斉に起き上がる。
「えっ、えっ、えっ!?」
「ゴジ・・・・・」
「ゴジ、ゴジィ・・・・・」
ある者は破壊されてしまった腕を拾い、ある者は仲間に手を貸してそのまま逃げて行く。倒したと思っていた者たちが一目散に逃げて行くのを見て驚きを隠せなかった。
「何々何々何々!?コイツ等不死身なわけ!?」
「いや、正確には悪運がいいんですよ。家の博士が作った影響からですかね?」
「どんな補正よ!?」
ギャグ染みた光景にマーティはツッコみきれない。
「まあ、そんなわけです。では、弟をよろしくお願いしますよお二人・・・・・!」
その直後、レプリロイドにバスターの光弾が命中する。後ろを見るとエックスがバスターを構えていた。
「はあ・・・・はあ・・・・・」
「エックス!?」
「全く、隙がありませんね。私が彼女と話している間に秘かにチャージをしていたとは・・・・・」
マントが燃えてしまい、レプリロイドの全貌が明らかになる。
若干大型化した頭部の二本角、それ以外はほとんど変わっていないが両腕を含めた各箇所に追加オプションで装備が追加されている。
「どうして君が・・・・・・」
「・・・・・・嘘でしょ?」
二人は驚かずにはいられなかった。
このレプリロイドを自分たちは知っている。しかし、既に亡く、遺体も盗まれて行方が分からないはずだ。
「やってくれましたね・・・・・これでは幽霊騒動になってしまうではありませんか。」
ブーメル・クワンガーはため息をつきながら言う。
Bitはヴァジュリーラの海外名称です。
X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)
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ネジ巻き都市
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雲の王国
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鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
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ロボット王国
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