ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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最近投稿が遅れて申し訳ない。


作られた意味

21XX年 リサイクル研究所

 

目の前に立っているクワンガーの姿を見てエックスは唖然とした。

 

「なぜ・・・・・・なぜ君がヴァジュリーラと共に行動しているんだ?」

 

「なぜ?さあ、そればかりはお答えできませんね。」

 

このしゃべり方は間違いなく本人だ。しかもウィルスなどによるイレギュラー化しているわけでもなく、自分の意志で動いている。しかし、彼は最初の戦いでイレギュラー認定を受けているため、再生処置が行われるはずがない。

 

「なんでアンタが生きているのよ!?アンタ、死んだってビートブードが・・・・・・・」

 

「えぇ、ついこの間まで自分の墓で眠っていましたよ。掘り起こされて起きましたが。」

 

クワンガーは冗談交じりに言う。エックスは何とか起き上がろうとするもののダメージが大きすぎたことと先ほどの無理が響いて立ち上がることができない。

 

「私は戦いに来たわけではないので動かなくて結構ですよ。彼を引き取りに来ただけですからね。」

 

「クワンガー・・・・・君は自分たちが何をしているのかわかっているのか?」

 

「このエリアの調査員のことですか?残念ですが彼を説得しても無駄だったと思いますよ。私はナイトメアソウルを引き渡せば手を出さないと言ったつもりなんですが・・・・・ナウマンダーほどではありませんが自分の能力を過大評価したのが命取りになりましたね。」

 

「もしかして他の調査員を襲ったのもアンタとそいつなの?」

 

マーティの質問に対してクワンガーは首を横に振る。

 

「詳しくはお話しできませんが私と彼ではありません。まあ、ちょっとした私情で動いた輩かもしれませんがね。」

 

「他にも仲間がいるのか?まさか、ゼロも・・・・・・・」

 

「いいえ、生憎ですが私たちはシグマ隊長・・・・いや、今の隊長はあなたでしたね。それとDr.ワイリーとも私たちは繋がっていません。尤も彼が先ほど見せた力はワイリー自身が製作した技術の一つですが。」

 

「さっきの急激にパワーやスピードが上がったあの変化ね。」

 

「呑み込みが早くて助かります。」

 

クワンガーはそう言うと簡易転送装置を使おうとする。マーティはバスターショットで撃ち落とそうとするが後ろのエックスの容態もあり、ホルスターに収める。

 

「では、私はこれにて失礼させてもらいます。忙しいのでね。ビートブードには私のことは気にしないで自分の道を進みなさいと伝えてください。まだ、甘さが抜けていないようですからね。」

 

「クワンガー・・・・・・・シグマでもない、ワイリーでもないと言うのなら・・・・君たちは誰の命令で動いているんだ?」

 

「・・・・・・さあ、それはご想像にお任せします。」

 

クワンガーはそのままどこかへ転送される。それを見届けるとエックスはぐったりと倒れた。マーティは、容態を確認してみるがアーマーのおかげでボディへのダメージはそこまでひどくなく、エネルギーの消耗で倒れただけだということが分かった。

 

「エックス・・・・・色々気になることはあるけど今は戻って直すのが先決ね。・・・・・アイツのことに関してはまだビートブードに教えない方がいいかも。」

 

彼女は曇った表情をしながらハンターベースと連絡を取り、転送されるまでエックスのそばに寄り添いながら休むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 発電所

 

22世紀に入ってから市街地の一部では新エネルギーを凝縮したエネルギーカプセルから発電するパワーセンターによって安定した電力が供給されるようになる。がまだカプセルの安全性の確認などで普及が遅く、今のところほとんどの場所では従来の発電で電力を供給している。

 

その中で最も大規模なエネルギー発電所に勤務していたヒューズマンは、高圧電流の管理という少しでもミスをすれば甚大な被害になりかねない仕事をいつも難なくこなしていた。しかし、数週間前に休暇を取って休んだっきり戻ってこなかった。

 

彼の消息により、発電所は一時的に発電量を抑えての稼働となったが彼が戻ってきた瞬間に事態は一変。

 

何者かに洗脳されたのか勝手に防衛システムを暴走させ、施設の者を全員追い出して乗っ取ったのであった。

 

タイムパトロール本部の転送装置が一時不具合を起こし始めたのでドラえもんたちはアイテム2号で発電所へと向かい、防衛システムを掻い潜りながらコントロールルームへと急いでいた。

 

「おい、ここの床下も電流が流されているぞ。」

 

先頭を進んでいたゼロは、床がバチバチと音を立てながら発光している所で言う。さっきは巨大なメカニロイドのような防衛システム ドレッドスパークを破壊したがメインコントロール権はヒューズマン自身が持っているためなのか施設全体の防衛体制が解かれる様子はない。

 

「また、レーザーだらけのところだ・・・」

 

ドラえもんがビビりながら言うのは床と天井から流れるように設置されているレーザービームが発射される地帯だ。このレーザービームは発電所の各場所で使われている特殊合金の壁は通さないのだが設置されてある場所が限られており、さらにレーザーの殺傷力は通常の装甲を容易く貫通させてしまうほどに強化されている。タイミングよく一気に駆け抜ければ当たらないが一瞬でもタイミングをずらせば体に穴が開く。

 

「いいか?さっきのように一気に駆け抜けるぞ。足を滑らせたり、立ち止まれば体に穴が開くどころかハチの巣になりかねない。」

 

「えぇ・・・・・」

 

四人は深呼吸をして一気にビーム地帯を駆け抜ける。ゼロとアイリスはダッシュをした勢いで床を滑り、ビームに触れる前に地帯を突破する。ドラミは滑りやすい床を利用して勢いよく走り、スライディングで突破した。

 

「よおし、後は僕たちだけだよ。」

 

「ぴ~!」

 

ドラえもんはビートを頭の上に乗せてゼロと同様にダッシュで突破しようとする。ところが

 

「あらっ!?」

 

「ぴっ!?」

 

ダッシュをしようとした瞬間、足が滑りドラえもんはそのまんまビーム地帯へと入って行ってしまう。

 

「ドラえもん!?」

 

「ドラえもんさん!?」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「わっ、わっ、わっ、わっ!?」

 

ドラえもんは滑ったままビームが命中する寸前で通り過ぎていく。一方、頭の上に乗っていたビートはドラえもんの足の方に回り、足を掴みながらスピードが落ちぬように羽ばたいていた。

 

「ぴ――――――――ッ!ぴっ、ぴっ、ぴ――――――――――――っ!?」

 

しかし、小さな体でドラえもんを引っ張るのは至難の業であり、ビーム地帯を通り抜ける前にドラえもんのスピードが落ち始める。

 

「まずいぞ、スピードが落ちてきた。」

 

「でも、まだ半分近く距離があるわ。」

 

「お兄ちゃん、早く!早くしないとビームが!!」

 

ドラミが呼びかける中、ドラえもんは何とかしようとあれこれ考える。

 

「えっと、えっと、え~っと~!!」

 

そうしている間にビームがドラえもんの眉間に迫る。

 

「お兄ちゃん・・・・・」

 

「えっと・・・・パワーギア!!」

 

ドラえもんは咄嗟にパワーギアを発動させる。

 

「なぜ、スピードを使わない!?」

 

「ダメ!間に合わない!?」

 

三人はもうだめだとばかりに顔を手で覆う。

 

「カメレオンスティング!!」

 

次の瞬間ビームはドラえもんの眉間を貫いた。だが、ビームが命中したにもかかわらず、ドラえもんは起き上がり、ビートを抱えてそのままビーム地帯を駆け抜けて行った。この様子にはゼロも一瞬何事かと思ったがすぐにからくりが見えた。

 

「そうか!スピードギアではなくパワーギアを使ったのはチャージの時間を省略するためだったのか!」

 

「どういうことゼロ?」

 

「カメレオンスティングはエックスの場合、最大までチャージして使用した時、一時的にあらゆる攻撃をすり抜けることができる。確かにほんの僅かな時間だがこの地帯を通り抜けるのにそこまで時間はかからない。だから、スピードギアを使って危険を冒しながら進むよりもパワーによるチャージの省力で特殊武器を利用しての安全な移動を選んだということだ。」

 

ゼロが説明している間にドラえもんは何とかビーム地帯を突破した。同時にカメレオンスティングの効力が切れる。

 

「危なかった・・・・・」

 

「ぴ~~~。」

 

ビートは頭の上で目を回しながら寝そべっている。流石にロックマンと一緒にいた時はこんなことはなかったのだろう。

 

「とにかく無事で何よりだ。」

 

「もう、心配させないでよね!」

 

「ごめんごめん。」

 

四人は、ほっとするのも束の間、さらに先へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21XX年 イナミテンプル

 

「デスボール。」

 

ハイマックスは巨大な光弾を作り出してブラックゼロに向かって放つ。ブラックゼロは二段ジャンプで回避するとダブルチャージウェーブを放つ。だが、ハイマックスの防御性能前には無力化してしまう。

 

「無駄だ。」

 

「・・・・・・」

 

ブラックゼロは無言のままデスボールを回避しながら攻撃を続ける。

 

「やれやれ・・・・・・この間の黒い奴と言い、この世界は化け物クラスの連中しかいないのかね・・・・・」

 

少し離れたところではダイナモが倒れたタートロイドを運んで二人の戦闘を眺めている。ダメージはひどいものの気を失っているだけで命に別状はない。

 

「まあ・・・・・兄貴のことだから負けはしないだろうけどさ。さてと、俺は俺で仕事を済ませちゃいますか。」

 

ダイナモはタートロイドの身体を分解して組み込まれていたナイトメアソウルを摘出する。

 

「兄貴はやり方荒いからね。俺は依頼でもない限りは殺しはしないよ。サービスに応急手当くらいは・・・・・おっと。」

 

持っていた通信機が反応する。出てみると相手はクワンガーだった。

 

「あらあら、クワンガーさんじゃないの。そっちのお仕事はもう終わったのかい?」

 

『えぇ。今、命令違反を起こしたヴァジュリーラを連れ戻して戻るところです。』

 

「どうやら、エックスと戦っちまったようだね?」

 

『彼の成長が予想を遥かに上回っていたのは驚きでしたよ。そちらのお兄さんほどではありませんがダブルギアを使いこなしていたヴァジュリーラを最終的に戦闘不能にまで追い込んでいたのですからね。そちらの方は?』

 

「今、兄貴は変な奴と交戦しているよ。意外に頑丈で手間取っているようだけど。」

 

『応援は?』

 

「心配ないと思うぜ、兄貴のことだしね。多分、勝てると思うよ。」

 

ダイナモは、ブラックゼロの戦闘の様子を見ながら言う。

 

『その信頼はどこから出てくるのでしょうかね?』

 

「さあ?兄弟だからじゃねえの?」

 

そういうとダイナモは通信を切る。

 

ブラックゼロは一通り特殊武器を使用しての攻撃を終えると体色を変化させて劇薬で身を包む。

 

「アシッドバリア!」

 

ブラックゼロはデスボールの直撃を軽減させながら劇薬をハイマックスの各関節へと飛ばす。劇薬により酸の溶けるような音はしたもののダメージを受けているようには見えない。

 

「お前のいかなる攻撃も俺には効かん。オリジナルの劣等物なら尚更な。」

 

「ほう・・・・・俺をコピーだと気づいていたか。ブレイジングトーチ!!」

 

ブラックゼロはハイマックスの目の前に急接近し、斜め前方に火球を放つ。ハイマックスは全身を焼かれながらも痛みを感じている様子はない。

 

「消えろ、紛い物。」

 

「パイルドライブ!!」

 

バスターからパイルバンカーを突き出してハイマックスの右腕関節を攻撃する。するとハイマックスの右腕がガクッと力が抜けたかのように動かなくなってしまった。

 

「何っ!?」

 

「さっきの劇薬はお前の関節の精密部分を錆びさせて脆くするためのものだ。そして、火は劇薬の効力を早めるため、そして、脆くなったところを杭で突いて破壊する。お前の右腕はもう動かん。」

 

「・・・・・・・劣等品の分際で。」

 

ハイマックスは初めて怒りの表情を浮かべる。同時に動く左腕にエネルギーを収束させ、ブラックゼロを殴りつけようとする。

 

「ツンドラストーム!!」

 

「ヌグッ!?」

 

目の前で巨大な絶対零度のブリザードを受け、ハイマックスの動きが鈍る。万全の状態ならばこの程度の攻撃ではビクともしないのだが精密機械の支障により、防御機能が低下し関節が凍り付いてしまった。

 

「グ、ググッ・・・・・・」

 

「これでお前のパワーと防御力は封じられた。」

 

ブラックゼロは、セイバーを引き抜いてハイマックスを切り捨てる。体から火花を散らしながらハイマックスは降下し、膝を付く。

 

「あらら・・・・・・やっぱり、兄貴の勝ちか。」

 

ダイナモは呆れた様子でブラックゼロの元へ戻ってくる。

 

「本当に容赦ねえ人だな・・・・・・もう瀕死寸前じゃん。」

 

「死んでなければ問題ない。さあ、大人しくアイゾックかゲイトの居場所を教えてもらうぞ。」

 

セイバーを向けられながらもハイマックスは自身が負けたことを認めきれずにいた。

 

「な・・・・・・何故だ・・・・・スピード、パワー、ボディ・・・・どれをとっても負けてはいないはず。お前のようなオリジナルの紛い物に敗れるなど・・・・・・ありえない・・・・・・グワッ!?」

 

ブラックゼロは容赦なくハイマックスを斬りつけた。

 

「あ、兄貴っ!?」

 

「悪かったな、紛い物で!!」

 

ブラックゼロはバスターのチャージを開始し、射殺しようとするがダイナモに取り押さえられる。

 

「お、落ち着けよ!?コイツ、まだ何も言ってないんだぜ!?」

 

「フウ・・・・・・」

 

ブラックゼロはバスターを戻そうとするが何かを察したのか誰もいないところへと発砲した。

 

「ちょっ!?今度はどうしたんだよ!?」

 

「・・・・・・大人しく出てこい。」

 

「えっ?」

 

「ほう、ここで見物していたことに気づいておったか。流石ワシが作ったもう一人のゼロというべきものじゃわい。」

 

そこにはシャドーマンを引き連れたアイゾックが立っていた。

 

「・・・・・」

 

「兄貴、お尋ねの本人が出てきやがったぜ。」

 

ダイナモは近づいてくるアイゾックに臨戦態勢を取る。同様にシャドーマンも刀を引き抜こうとするがアイゾックに制される。

 

「よい。」

 

「しかし、ドクター・・・・」

 

「お前はワシに用があるようじゃのう。尤もその様子じゃとワシの正体にも気付いているようじゃが。」

 

「・・・・・・」

 

ブラックゼロはバスターを戻してアイゾックと対峙する。その様子にダイナモは一瞬どうしようかと考えたが勝手に手を出すわけにもいかないため後ろに下がった。

 

「・・・・まずはハイマックスを倒したことを褒めよう。あのエックスでさえ歯が立たなかったこやつをオリジナルのコピーであるお前が倒したのじゃからな。」

 

「そんなことはどうでもいい。」

 

「ふむ、だがワシからも気がかりなことがいくつかある。まず、お前は既にこの世に存在しないはずの存在じゃ。ワシがサーゲスを演じていた時お前は飽くまで未完成じゃった。それをシグマがせかすもので何とか動ける状態にして奴に渡した。つまり、お前は空っぽの人形のようなものじゃった。」

 

「・・・・・」

 

「だが、お前は今こうしてワシの目の前に現れ、オリジナルであるゼロとは全く異なる自我を確立した上に奴にも劣らぬ実力を身に付けた。」

 

「あの時・・・・・大破した俺を偶然ジジイが拾ってくれたおかげだ。あの時回収されなければ俺はただのスクラップとして海に沈んでいた。俺の後ろにいる愚弟もいなかったかもな。」

 

「おいおい・・・・・愚弟はひどすぎねえ?」

 

「やっぱりそこにいるダイナモはお前の兄弟機か。シグマがコロニーを落とした時、奴の身体をスキャンした時、道理でゼロと酷似していたと思ったが・・・・・・」

 

アイゾックは腕を組みながら言う。

 

「・・・・・何故俺を作った?」

 

「ん?」

 

「オリジナルの復活を前提にするなら俺を作る必要などなかったはずだ。だが、アンタは俺を作った。最高傑作のコピーを作って意味などあったのか?」

 

「・・・・フッフフフ、何を聞くかと思えばそんなことか。教えてやろう、確かにオリジナルであるゼロをあのまま復活させればお前を作る必要などなかった。ワシの予測していたゼロであったのならばな。」

 

「どういうことだ?」

 

アイゾックの言葉に対してブラックゼロは表情をしかめる。

 

「当初ゼロは完全な戦闘マシンとなるはずじゃった。ライトの系譜最後のロボット エックス、そしてライトが隠したロックマン含めるライトナンバーズをすべて破壊するために、戦うためだけにロボット破壊プログラムを組み込んだ影響で感情に左右されることのない殺戮マシンとして設計したからな。だが、シグマとの交戦によるダメージの影響でプログラムに異常が起き、本来なら芽生えるはずのなかった感情が生まれた。それが今のゼロじゃ。目を覚ましたワシは一度ゼロの思考プログラムを上書きして本来の姿に戻そうと考えたが・・・・・せっかく生まれた感情を押し殺すほどワシは鬼ではない。だから、ゼロの人格のみをコピーのボディに移し、オリジナルの身体を本来の役割に戻そうとした・・・・それがカウンターハンター事件の裏の目的じゃ。」

 

「・・・・・・この体は奴の予備の身体だというのか?」

 

「だが、パーツはすべて奪われゼロは甦ってしまった。そして、目的を失ったお前はシグマに使われ破壊されたというわけじゃ。」

 

アイゾックの言葉にブラックゼロは黙る。よほどのショックを受けて言葉を失ったのかそれとも・・・・

 

「さて、次はワシから聞かせてもらおうかのう?お前に組み込まれているダブルギアシステム、それを盗んだ愚かも・・・・・ブベラッ!?」

 

アイゾックが言いかけた直後、彼の顔にバスターの光弾が命中する。撃ったのはブラックゼロ本人だ。

 

「えっ?」

 

ダイナモが目の前でバスターを戻しながらアイゾックに近づいていくブラックゼロを見て唖然とする。ブラックゼロはアイゾックの襟を掴むと凄まじい怒気を見せながら嘲笑う。

 

「そうかそうか・・・・オリジナルの性能テストとか、エックスを欺くためとかで作ったと思っていたが・・・・・・・・どうやら俺の考えは甘かったようだな。よりによってオリジナルの人格の避難場所として作られたとは。」

 

「あ、あわわわわわわ・・・・・・・・」

 

「今まで苦悩していたのが馬鹿馬鹿しくなった!!一発殴らせろ!!いや、俺の気が済むまで殴らせろ!!」

 

「ヘブッ!?」

 

アッパーを喰らい、アイゾックは空に突き上げられる。ハイマックスを研究所に転送させたシャドーマンはその光景を見て唖然とする。

 

「ど、ドクター!?」

 

アイゾックは地面にめり込むと近づいてくるブラックゼロに対してジャンピング土下座をして命乞いをする。

 

「ひ、ひい~~~~~~!!!許してくれ~!!わ、ワシだってあの後お前を回収しに行こうとしたんじゃぞ!?その後・・・・・・」

 

「その後は実験台のサンドバックか?それとも分解して奴の予備パーツにでもするつもりだったのか!!」

 

「そこまで言っておらんじゃろうが~!?」

 

アイゾックは蜘蛛の子を散らすかのように逃げ出す。対するブラックゼロは、バスターを連射して攻撃する。

 

「待て老いぼれ!!俺の苦悩して無駄にした時間を返せ!!」

 

「無茶なことを言うな~!!フォルテと言い、最も手を込んで作ったやつは何故、皆ワシに反抗的な奴ばかりなんじゃ~!!」

 

アイゾックは神回避で避け続けるがブラックゼロの攻撃はさらに激しくなる。

 

「こうなったら、そのトイレットペーパーのような頭にアースクラッシュを喰らわせてやる!!」

 

「ひい~~~~!!!」

 

行き止まりに差し掛かり、アイゾックは逃げ場を失う。

 

「覚悟しろ、この老いぼれ!!」

 

「た、助けてくれ~~!!」

 

そこへ影を通じてシャドーマンが間に割り込んだ。

 

「シャドーブレード!!」

 

「くっ!?」

 

突然の乱入にブラックゼロが怯んだ隙にシャドーマンはアイゾックを抱えてその場から離れる。

 

「おぉう!シャドーマン!!」

 

「ドクター、ここはひとまず引き揚げましょう。奴を直接相手にしては分が悪い。」

 

シャドーマンは更に煙幕を張って転送装置で離脱する。煙が晴れた頃にはその場にはブラックゼロとダイナモしか残されていなかった。

 

「・・・・・・チッ、逃げられたか。」

 

ブラックゼロは腹の虫がおさまっていない様子で歯ぎしりをする。

 

「あ、兄貴・・・・・」

 

「フウ、帰るぞ。」

 

ダイナモはどう接していいのか戸惑ったがその直後の返事で思わず口を開いた。

 

「・・・・・・えっ?」

 

「おそらく、あの爺を追いかけるのは時間の無駄だ。早く親父とベルカナのところへ帰るぞ。あの二人だけにしておくとどんなドジをしでかすかわからないからな。」

 

「あ、あぁ・・・・・・・・ん?親父?」

 

ダイナモは呼び方が変わったことに少しばかり驚いたがブラックゼロは気に掛けることもなく転送装置で離脱する。

 

「・・・・・・まっ、丸く収まったような感じだし。これでいいっか。」

 

少し考え、納得したのか彼もその場から離脱していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 発電所

 

「消灯~~!!」

 

その頃、22世紀の発電所ではドラえもんたちがヒューズマンとの戦いを終えていたところだった。高圧電流を自在に操る能力を巧みに使い、電光石火の如き瞬間移動でゼロたちの死角に回り込んでの電撃弾の攻撃、更にスピードギア発動時には雷と化し、危うく感電して動けなくなるほどのダメージを負いかねなかったがビートの体当たりで一時的に怯んだ隙にアイリスとゼロが滅閃光でダメージを与え、ギア切れと同時にドラえもんがバウンスボールをいくつも周囲に投げて移動を封じたため、何とか撃破することに成功した。

 

「・・・・・・・」

 

「ヒューズさん、大丈夫?」

 

倒れたヒューズマンに対してドラミは心配そうに声をかける。来たときは頭部のヒューズが異常なほど放電していたが先ほどの攻撃で出力が安定し、表情も落ち着いていた。

 

「お、俺は・・・・・・・今まで何を?」

 

「よかった、元に戻ったみたい。」

 

ドラミは彼に手を貸して立ち上がらせる。ヒューズの出力が突然安定した反動なのか頭痛を感じているようだ。

 

「うぅう・・・・・思い出せん・・・・・・一体俺は何をしていたんだ・・・・・・」

 

「大丈夫よ、ここから出て治療を受ければ思い出すから。」

 

ヒューズマンが正気に戻ったことにより発電所の防衛システムは正常に戻っていた。これで帰りはシステムの妨害を受けることなく戻ることができる。

 

「それにしても休暇を取ってから何をしていたの?みんな心配していたけど・・・・・」

 

「うぅ・・・・確か・・・・・ツンドラと久しぶりに会って飲んでいたんだ。その中で酔いが回ったのかそこから先のことがよく思い出せない・・・・・」

 

「ツンドラさんも一緒だったのね・・・・彼も貴方みたいに暴走しているのかしら?」

 

ドラミの予想とは裏腹に黒幕は次の手を動かそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 アチモフ城

 

中央ホールの中でドラパンは並べられたドラえもんズの四人の黄金像を眺めていた。

 

「ヒューズマンも敗れて残りのロボットたちは3人。時間稼ぎにはまだ十分だが外をうろついているあの二人に親友テレカを使わせられない以上キンキンにしても意味がない!!それにどういうことだ、ドラえもんズのリーダーは他のメンバーと違って安全な子守型だと聞いていたんだぞ!クソ!!」

 

彼は腹を立てながら持参のカマンベール入り特製どら焼きを頬張る。

 

「んん・・・・・・リーダーがここに来る前に何とか使わせる手はないものか・・う~ん~やはり、どら焼きはカマンベールチーズ入りが最高だ~!!」

 

『ドラパンよ。』

 

「ん!?」

 

突然の声にどら焼きで顔がにやついていたドラパンの表情が一変する。向こうを見るとスポットライトのせいで姿は公には確認できないが一人の影がベルカナを連れて立っていた。

 

『残り3枚の親友テレカはいつ揃う?親友テレカは7枚、それも選ばれた7人が使わなければ強力なエネルギーを生み出せんのだぞ?』

 

「貴方に言われなくてもわかっている!!」

 

ドラパンはややヒステリックに答え、どら焼きを口に入れる。

 

「アンアン・・・・・・フランスの大怪盗ドラパンの名に懸けて・・・必ずや、ドラえもんズの友情を奪って見せようぞ!!・・・・ングッ!?ゲホッ。」

 

ドラパンはそう言うとホールから出ていく。

 

『・・・・・・・ベルカナ、どう思う?』

 

「どうって、そうね・・・・・あのタヌちゃんの能力は侮れないわ。秘密道具を封じているからと言ってもアーマーを付けている以上あの怪盗が勝てると保証できないし。現にあの赤い坊やと一緒にダブルギアを付けたロボットたちを倒しているんですもの。」

 

『奴を使うか?』

 

「どうかしらね?彼は復活したばかりよ。それにあの性格を考えて私たちに協力するとは思えないわ。」

 

『ゼロを餌にすればいいことしょっ。まあ、武装の修復が終わるまではまだかかる上に出番はまだまだ先になるが。』

 

二人はそのまま部屋を去っていく。

 

 

 

 

 

 

ところ変わって城の一部屋で一体のロボットが酒をグラスに入れながらテレビで何かの記録映像を見ていた。

 

「・・・・・・ROCKMANか。」

 

彼が見ていたのはどこで撮ったのかフォルテとエックスの身体を使ったロックマンの戦闘映像だった。

 

「俺が眠っている間に面白いことが起こっていたようだな・・・・・クックックッ。エックス、ゼロ、ROCKMAN、そして、ワイリーナンバーズ・・・・・だが、奴らとやり合うにはまだ力が足りねえ。」

 

ロボットはグラスを割り床に酒を零す。

 

「エックス・・・・・・今度は俺がお前を地獄に堕としてやる。力をつけて必ずな・・・・・」

 

ロボットは酒で濡れた拳を強く握りしめた。

 

 

 




アイツが帰ってきた?

X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)

  • ネジ巻き都市
  • 雲の王国
  • 鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
  • ロボット王国
  • このままX7編へ

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