21XX年 ???
「プレイヤーに続いてタートロイドからも連絡が途絶えた・・・・イレギュラーハンター、そして、ゼロそっくりの謎の存在・・・・一体どこまで僕の計画を邪魔すれば気が済むんだ!」
ゲイトはリサイクル研究所とイナミテンプルの調査員の反応が消えたことにひどくイラついていた。既に残された調査員はレーザー研究所に待機させているシールドナー・シェルダンのみ。彼がやられるのも時間の問題である。
「シェルダンなら心配はないと思うがタートロイドすら短時間で仕留めた奴らだ。研究所の防衛システムもまだ万全じゃない。」
ゲイトは、レーザー研究所へ回線を回してシェルダンを呼び戻すことにする。幸いなことにシェルダンとはすぐに繋がった。
『こちらシェルダンです。』
「まだ、そちらにイレギュラーハンターは来ていないか?」
『いいえ。ですがご安心くださいゲイト様。このシェルダン、いかなることがあろうとゲイト様への忠誠は捨てません。最後まで任務を全うしてご覧に入れましょうぞ。』
「そのことに関してだが予定が変わった。」
『ん?』
ゲイトの一言でシェルダンは表情を変える。
「既にお前を除いて調査員は全滅だ。」
『ぜ、全滅っ!?まさか、そんなはずは・・・・・・』
「僕にだって信じられないことだが紛れもない事実だ。悔しいがイレギュラーハンターの方が一枚上手だったようだ。この研究所がバレるのも時間の問題・・・・・・お前にはこっちに戻ってきて守備についてほしい。できるな?」
シェルダンは思わぬことに動揺するもののすぐに表情を引き締め直し、ゲイトの顔を見て答えた。
『・・・・・・わかりました。そちらに戻り、ゲイト様の護衛に付きます。』
「それでいい、転送装置は自爆装置を作動させて追跡できないようにしてくれ。時間稼ぎにはなるからな。」
『了解しました。では、また。』
そう言うとシェルダンは敬礼をして通信を切った。
「・・・・・・さて、僕の方も早く動かなくては・・・・。それにしてもアイゾックはどこへ行ったんだ?まあ、ハイマックスををオーバーホールで済ませる段階まで修理していってくれたからいいが。まだ、あのゼロモドキを探しているのか?」
ハンターベース メディカルルーム
一方、ハンターベースでは戻ってきたエックスが集中治療を受けているところだった。
「ふむ・・・・・・外傷もひどいが内部の破損も思っていたよりもひどい状況だな。」
眠っているエックスの傍らドップラーはスキャニングで撮れたエックスの内部写真を見て首をかしげる。その後ろでは手当てを終えたマーティが複雑そうな表情で見ている。
(やっぱり、言えない・・・・・戦った相手が調査員じゃなくて博士が作ったヴァジュリーラだったなんて。)
ドップラーは、あの反乱時ヴァジュリーラがエックスに破壊されたと思っている。シグマに洗脳されていた時に作ったとはいえ自分が作り出したレプリロイドが再び姿を現してエックスたちに襲い掛かってきたと知れば強いショックを受けてしまうだろう。それ故にマーティは聞かれた場合どう答えればいいのか悩んでいた。
「・・・・・・」
「あ、あの博士・・・・・・・」
「マーティ、君も休んでいなさい。君も軽微だったとはいえ休息が必要だからね。」
「・・・・・・・」
「この切れ味・・・・・調査員との戦いの傷ではないな?」
「!」
ドップラーの一言にマーティは内心焦りを感じる。
「君たちが行ったリサイクル研究所の調査員メタルシャーク・プレイヤーは斬撃武器は装備されていない。この傷はZセイバーなどの斬撃武器やかぎ爪のようなものでなければならない。だが、ゼロナイトメアは既になく、ゼロもいない今、エックスほどのハンターにここまでのダメージを与えられる輩はいない。それにこの腹部を貫通した傷の拳の痕・・・・・私が作ったマンダレーラと手形が一致している。奴のパーツと互換性を持っているレプリロイドはこの世で一人しかいない。マンダレーラ本人を除けば。」
ドップラー自身何かを察していると分かり、これ以上隠しても意味がないと考えマーティは口を開いた。
「・・・博士の言う通りよ。私たちは調査員とは戦っていない。奴は既にそいつに殺されていたの・・・・・・・ヴァジュリーラに。」
「あの反乱の後、研究所を調べた時から疑問に思っていた。あの時、破壊されたイナリーの残骸でヴァジュリーラのパーツ分だけ足りないのを違和感を感じてはいたが・・・・・・・やはり生きておったのか・・・・。」
「えぇ・・・・それも今まで見たこともない機能でパワーアップしていたわ。エックスに復讐するために。」
「うむ・・・・・」
ドップラーは複雑な顔をしながらもある書類を見せた。
「これは?」
「コロニー落下未遂事件でレプリロイドの墓地から何体か盗まれたという報告があっただろう?私にはどうもヴァジュリーラと関係ないとは思えないんだよ。」
リストに目を通してみるとクワンガーも含め、何体かのレプリロイドの遺体が何者かに盗まれたことが載せられていた。中には残骸が確認されていないイレギュラーもある。
「アーマー・アルマージにペンギーゴ、アリゲイツに至っては要塞から落ちた場所を探しても確認できず、さらにヒャクレッガー・・・・・レプリフォースの方からも。」
「最初は解体して部品を裏で売りさばくバイヤーの仕業だと考えていたが盗まれたのが同じ日なんだ。しかも僅か短時間ときた。」
「それって・・・・・・・・」
「シグマがイレギュラーを再生させたという可能性も考慮してみたがエックスとゼロに敗れた者を復活させるとは考えられない。今回の事件の黒幕であるゲイトの仕業とも思えん。」
「・・・Dr.ワイリーは?」
「奴は自分の制作したロボットに強くこだわりを持っている。ないとは言えないが態々墓荒らしをすることはないだろう。」
「じゃあ、一体誰が・・・・・・」
「私にもわからん。少なくともワイリー、シグマとも違う別の勢力・・・・・・もしかすればこの世界の存在ではない何かが動いているのかもしれん。」
ドラえもんたちがかつてこちらの世界に迷い込んだ時のように別世界の存在がこちらの世界に来てもおかしくはない。現に100年前に滅んだと思われたDr.ワイリーが姿を見せないとはいえ、生きているのはフォルテがハンターベースを襲った時に明らかになった。何が起こっても不思議ではない。
「う、うぅ・・・・・・」
「エックス?」
ダメージの影響か眠っているエックスは苦しい表情を見せた。
「この件に関してはシグナスにだけ報告をしておこう。今はゲイトの潜伏場所を見つけ出し、彼の計画を止めなければならないからな。」
ドップラーはそう言うと部屋から出て行く。それを確認するとマーティは自分のベッドに寝っ転がり、眠っているエックスを見る。
「・・・・・別世界か。」
ハンターベース 整備室
「やれやれ・・・・・・エイリアが動けねえって時にエックスもエックスで派手にぶっ壊してくれたな。」
ダグラスは大破したブレードアーマーを見ながら頭を抱えていた。ヘッドは完全に壊れ、ボディの方も新造した方が早いというほどのダメージを負っている。アームは配線が焼き切れた程度でこちらは簡単に修理できるが無傷のフット以外は、全部作り直しになる。隣りでは復元作業を中断して手伝いに来てくれたミディが割れたヘッドパーツを手に取って見ている。
「一応前作った時のバックアップデータはエイリアさんが残してくれていますけど・・・・・元々エックスの強化アーマーは一度作るのも大変だからどのくらいかかるやら。」
「全く、死にかけで帰ってきて文句は言いたくはねえけどこっちの身にもなってくれって言いたくなるぜ!」
ダグラスはそう言うと先に無事なフットの破損状況のチェックから始める。
「俺はとりあえず破損が軽いアームとフットの整備から始めるからミディは壊れたボディとヘッドのプログラムの再構築を頼む。出来たらできたでこっちに回してくれ。時間がかかるときはマーティの武装の手直しをしておく。」
「わかりました。同時に二人から受け取った別のアーマーのプログラムデータの構築も進めておきます。」
ミディはプログラムデータを受け取ると部屋を出ようとする。ところが部屋の外には安静を言い渡されていたはずのエイリアが来ていた。
「あっ!エイリアさん!?」
「何っ!?」
ミディの声でダグラスは入口の方を見る。顔色はいくらか良くなってはいたがやはり、少し危ないように感じられた。エイリアは、自分を見て驚いている二人を気にしながらも持っていたプログラムデータを取った。
「ごめんなさいね、二人とも。私が倒れたばかりに・・・・・・もう、大丈夫だからプログラムの構築は私に任せてちょうだい。」
「エイリア・・・・・・お前、またぶっ倒れたいのか?」
「そうですよ!まだ休んでてください!仕事は僕たちで何とかやりますから。」
二人は、彼女からプログラムデータを取り返そうとするがエイリアは頑なに渡そうとしない。
「ダグラスもミディも目の前のことで大変でしょ?私が寝ているわけには・・・・・」
「それはそうだけどよ、そんな無理していたら同じことの繰り返しだぜ?」
「いいえ、私も動かなくちゃいけないの・・・・・・・彼の凶行を止めるためにも・・・・・」
「!」
暗い顔をしたエイリアの言葉にダグラスは少しばかり驚く。
「・・・・・誰に聞いたんだ?」
「見舞いに来てくれたパレットが口を滑らせたところを無理やり頼んで教えてもらったの・・・・・・ヴォルファングが再生させられたのも驚いたけど・・・・・・」
「パレットの野郎・・・・・・」
ダグラスは顔を押さえる。
「ナイトメアも彼が作り出したものなら何か裏があるのは事実よ。でも・・・・・・」
エイリアは焦りを感じているのを察しているのかミディはプログラムを取り返した。
「ちょっと、ミディ!」
「こっちは僕たちがやるから大丈夫です。エイリアさんは、ナイトメアの解析を再開してください。」
「・・・・・まあ、お前のことだからどうせ止めたってやるんだろ?なら、先にお前にしかできないことをやってくれ。奴の野望を止めるためには一番の重要な仕事だからな。」
「二人とも・・・・・・・」
「ゲイトがやろうとしていることを止めたいんだろ?エックスもそうだけど自分一人でなんでも背負い込もうとするな、俺たちもそうだけどシグナスや博士、ほかの仲間がいるんだからよ。少しは頼ってくれよ。」
ダグラスはそう言うとアーマーの修繕作業に戻る。
「ダグラス・・・・・」
「オペレーターの方はレイヤーとパレットがやってくれている。無茶したら博士に完治するまで鎖で拘束するように言っちまうからな。」
「僕も自分の仕事に戻ります。エイリアさんも無理しないでくださいね。」
ミディもまたデータを持って自分の部屋へと戻って行った。二人の言葉に動かされたのかエイリアは、胸の奥で感じていた重たい何かが少し軽くなったような気がした。
「・・・・・・ありがとう、二人とも。」
エイリアもまた自分の部屋へと戻って行った。
イナミテンプル
「パレット、パレット~。」
『はい、何ですか?』
「こっちの天気~曇り?」
エックスとマーティがハンターベースに到着したころ、ジャイアンたちはアルバイターのうち、グラビティーマン、ストーンマンと共にイナミテンプルを進んでいた。
『確か情報では雨が降っているはずなんですけど・・・・』
「あり?雨降ってないよ~?」
パレットの返答にグラビティーマンは不思議そうに言う。実際、イナミテンプルでは酸性雨の雨と所々が暗闇に包まれて視認できないなどの現象が確認されていたのだがここにきてしばらく酸性の池はいくつも見られたが酸性雨は愚か、暗闇の現象は一切起きていなかった。
「さっきからあちこち見ているんだけど人工雨発生装置が壊れているってところ以外は何の異常もないよ。」
「それどころか、ナイトメアが一匹たりともいないぜ。一体どうなっていやがんだ?」
ジャイアンとスネ夫もおかしく思った。さらに奥地の鍾乳洞のような洞窟エリアを通り抜けるとそこには倒れたタートロイドの姿があった。
「あらっ!?こっちもやられている!?」
スネ夫は驚きながら言うものの応急処置がされており、ヒートニックスの時とは違い死んではいなかった。
「ダメージはひどいが命に別状はない。」
ストーンマンは巨体のタートロイドを持ち上げて運び出そうとする。
「グ、グゥウウ・・・・・・」
「あっ、目を覚ました!」
タートロイドの目が開いたことでスネ夫は声を上げる。
「や・・・・奴は?」
「奴?奴って・・・・・・お宅しかいなかったよ。」
「一体誰のことなんだよ?」
「ゼ・・・・・・ゼロの紛い物だ・・・・・・」
「「ゼロの紛い物!?」」
「何っ?」
「ふえ?」
タートロイドの言葉に一同は驚きを隠せなかった。
「奴が・・・・私を追い詰め・・・・・アイゾックの居場所を吐けと・・・・・」
「・・・・・おい、スネ夫。」
「もしかしてだけど・・・・・これは一大事かもしれない。」
ジャイアンたちは急いでハンターベースへと戻り始める。
22世紀 タイムパトロール本部
「既に暴走していたロボットのうち五人が保護されたが残りの三人の占拠しているエリアのうちの一つはかなり厳しい環境になっている。」
リングマンは机のディスプレイを操作してそのエリアの地形を見せる。
「北国エリアにある歴史博物館なんだがここを北極開拓チームに所属していたツンドラマンが突如現れて街の環境管理システムを暴走、氷の世界に作り変えてしまっている。」
「氷か・・・・ペンギーゴやバッファリオの時もそうだが街全体を要塞にされたらかなり面倒なことになるぞ。」
「今度ばかりは行きたくないな・・・・・寒いし。」
「もう、お兄ちゃんったら。でも、ツンドラさんがそんなことをするなんて・・・・・」
ドラミは街の被害状況を確認しながら複雑な表情をする。
「気持ちはわからなくもないがこれ以上彼に街を占拠させ続けたら取り残された住民の命に関わる。凍土へ行くのに回路が凍結する危険性があるからこの後すぐにあべこべクリームの原液でコーティングしてもらう。本当ならクリームを塗った方が手っ取り早いのだが工場の生産ラインが止まってしまった上に作戦時間を考えれば原液の方がいい。」
話を終えると四人は部屋を出て、コーティング作業へと向かう。リングマンは、その後机に座り直し、パソコンに端末を差した。ビートの足に取り付けられていたものだ。
「・・・・・・・パスワードは・・・・」
一つ一つパスワードを解きながらリングマンの表情は険しくなっていく。
「まさかだが・・・・・・いや、アイツはもう・・・・」
北国エリア 博物館内
「はい・・・・・・・そうですか、彼らがこっちに来るんですか。わかりました、必ずやって見せます。でも、分かっていますよね。もしこの作戦が成功したら・・・・はい。では。」
ツンドラマンは通信を切ると足のスケートの刃を研ぎ始める。彼は開拓ロボットでありながらかつてロボット学校時代、テレビで見たフィギュアスケートに魅了され、いつか自分もその舞台に上がりたいとコツコツ練習を重ねていた。だが、彼は自分の首にかけてあるペンダントを見てある想いを馳せていた。
「博士・・・・・・・僕は、絶対に博士との約束を果たしてみせます。この作戦を成功させて僕は・・・・・・・」
彼はペンダントの蓋を閉じて立ち上がる。
「さあ、ゲストが来場する前にもうひと踊りレッスンを始めるとしよう。」
氷の上に立ち、彼はゆっくりとその鏡のような床を滑り出した。
「帰るんだ・・・・・あの世界へ。」
最近作品が書けなくなっているような気がして不安になる。
X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)
-
ネジ巻き都市
-
雲の王国
-
鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
-
ロボット王国
-
このままX7編へ