ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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注意:ほぼギャグです。


リングマン・ビギンズⅠ

22世紀初頭 ロボット病院

 

「・・・・・・・・」

 

リングマンは意識を取り戻してから漠然と虚ろな目で病室の窓から外を眺めるようになった。記憶がないショックで落ち込んでしまっているということもあるが病院においては特にすることもなくただ時間が過ぎていくだけだった。

 

「お昼持ってきましたよ。」

 

そこへエリカが昼食を運んできてくれた。既に太陽は空高く昇っており、彼の目の前の台座には手つかずの朝食が盆に乗せられたままだ。

 

「あら?なんで食べないんですか?」

 

「・・・・・これで何をしろというんだ?」

 

「・・・・・えっ?」

 

困った顔で聞くリングマンに対してエリカはきょとんとする。

 

「どうすればって・・・・・・・普通に食事をすればいいんですよ?」

 

「食事?食事ってE缶かW缶にストローを挿して飲むことじゃないのか?」

 

「E缶?何ですかそれ?」

 

リングマンは僅かに残っている記憶を頼りにスケッチを描いて見せる。

 

青い小さなドラム缶に「E」と書かれており、そこにストローが挿しこまれているものだが明らかに食事とはいいがたい代物だった。

 

「こんなものを見たことはないか?」

 

「い、いや・・・・その・・・・・ねえ・・・・・(一体どんな生活をしていたのかしら?)」

 

考えてみれば摘出された動力炉自体が自分たちとは全く異なった仕様になっていたのだ。もしかしたら、作業効率をよくするために一昔前のガソリンや開発自体がストップした液体燃料を使っていたのかもしれない。

 

「じ、実は貴方を修理する際に動力炉を変えたの。だから、こういうものからでもエネルギーを摂取することができるようになっているの。」

 

「は、はあ・・・・・・・」

 

「とりあえず・・・・・・お箸持てますか?」

 

エリカは少し困った顔をしながらリングマンに言う。リングマンは箸を手に取ってみるが今まで使ったことがないらしく、ただ握っているだけだった。

 

「・・・・一から教えないと本当にダメみたい。」

 

エリカは仕方なく彼の口に食事を運んであげるが食べたことがないのかかなり抵抗感があって中々進まなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数週間ぐらい経ち、流石に慣れたのかリングマンはそれなりに食事の作法が身に付いた。

 

ちなみにエリカは仕事の合間を縫って「E缶」なるものを調べてみたが歴史資料などを通してもそれらしいものは見つからなかった。ただ、彼から摘出した動力炉に残っていた液体が高純度の擬似太陽エネルギーらしく、これがその「E缶」の中身ではと思われるが残念ながら再現は困難らしい。事実、石油が枯渇し新エネルギー開発競争時代においてもこれに似た代物は有害物質を発生させてしまうため開発中止になったものぐらいしかない。

 

タイムパトロールの方でも彼の正体について調べまわっているが依然として謎だ。

 

彼みたいな極めてヒューマンタイプに近いモデルでありながら戦闘能力を持つロボットは開発されておらず、過去に作られたのではと研究資料及びすべてのデータを確認してみたがどこにも彼のデータは存在しなかった。

 

上層部は、現段階では処遇に関してはロボット条例に違反しない限りは様子を見るということに至った。

 

治療が完了し、完治した彼は退院することが決まったのだが行く当てがないためそのまま用意されたアパートの一室で暮らすことになった。

 

 

 

 

「・・・・・・はあ、結局何も思い出せなかった。」

 

退院して一週間後、リングマンはアパートのベランダから外を眺めながらため息をつく。本来ロボットは完治した場合、元の職場に戻るのが基本なのだが自分はどの職場のロボットで、どのような仕事をしていたのか全く覚えていなかった。幸い病院から退院が決まった後政府が用意してくれた住居で暮らせるということが分かったので住む場所には問題ない。だが、これから暮らしていくためには働かなければならない。

 

「・・・ぼやいていても仕方ないから仕事探そう。」

 

いつまでも頭を抱えているわけにもいかないため彼は支給された端末でとりあえずすぐにできそうなバイトを探すことにした。

 

「『話題のブラックラーメン店「Darkメン」』、皿洗い、出前のバイト・・・・土日限定の野外での屋台店舗の手伝い・・・・昼食では、賄いとして本店特製ブラック半チャーハンが付きます。んん・・・・・・ラーメンは食べたことがないからどう反応すればいいかわからない。・・・・『ロボットTVオーディションで貴方もスターロボットを目指してみませんか?』、挑戦者募集中・・・・・・胡散臭いな。」

 

とりあえず生活していけそうな収入のバイトを検索し始めるがピンとくる仕事が中々見つからない。

 

「ん~~~~~~私はどの仕事が向いているんだ?」

 

悩んでいると玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けてみるとそこには私服姿のエリカが来ていた。

 

「エリカさん。どうしてここに?」

 

「今日はオフの日なんです。特に他の用事もないので貴方の様子を見に来たんですけど・・・・どうですか?」

 

彼女は少し恥ずかしそうに言うが本当のオフ日は明日である。

 

にもかかわらず、何故今日になったのか?

 

実は、リングマンが退院した後通常勤務に戻ったのだが自分がまともに治療した初めての患者だったということもあってなのか常に気になっていたため、それを見ていたドクターたちが一日繰り上げてオフにしてくれたのだ。

 

「いや・・・・恥ずかしいことなんですけどいい仕事が中々見つからなくて。」

 

そんな彼女を見ながらリングマンは苦笑いしながら答える。

 

「そうですか・・・・・・・・・あっ、もうすぐ昼ですからよかったら一緒に食事に行きませんか?」

 

「えっ?いや・・・・悪いですよ。私・・・・・まだ仕事が見つかっていないからお金をそうそう・・・・」

 

「私が御馳走するので大丈夫ですよ。たまには外に出た方がいいですし。」

 

「う~ん~」

 

エリカに言われてリングマンは考えるが確かにここに来てから一回も外出していなかったのでそれも一理あると考えた。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。支度するんで少し待っててください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーメン屋『Darkメン』

 

身支度を整えてアパートを出た二人はある一軒のラーメン店へ来た。

 

「ここですここです。ここがバイト募集していた店です。」

 

「ここでいいんですか?確かに話題の店ですけど・・・・・」

 

二人は店の中へと入っていく。中では客席をむき出しの電子頭脳をクリアパーツで覆い、体に「2」と書かれているロボットがテーブルを拭いていたところだった。

 

「へい!いらっしゃ・・・・・・!」

 

店員は、リングマンを見るなり持っていた台ふきを落とす。当のリングマン本人はどうしたのかと思った。

 

「あのすみません。二人なんですけど・・・・・・」

 

「え、えっ!?あ、あぁあ!!お二人様ですか!?はいはい!お二人様入りました!!」

 

店員は二人を席に座らせるとオドオドしながら水を出す。

 

「え、え、えっと・・・・・・ご注文は何にしましょう?」

 

「そうですね・・・・・・・あら?店員さん、なんでそんなに手が震えているんですか?」

 

エリカは店員の様子がおかしいことに気が付く。

 

「えっ!?そ、そんなことはありませんよ!?ところでお嬢さん、そちらの方は・・・・・彼氏か何かで?」

 

「彼氏?」

 

「い、いや!そ、そういう関係じゃありませんよ!?ただ、ちょっとした関係なだけですよ!?えっと・・・・ダーク塩ラーメンと・・・リングさん、何にします?」

 

「そうだな・・・・じゃあ、普通のダークラーメンで。」

 

「り、リング?」

 

「えっ?」

 

「いや・・・・・お宅・・・・どっか会わなかった?」

 

「い、いいえ・・・・・」

 

「そうですか。」

 

店員は注文を受けるとそのまま厨房の方へと逃げるように去って行った。

 

「どうしたのかしら?」

 

「さあ?・・・・・でも、なんか見たことあるようなないような・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

厨房

 

「ナニッ!?コサックロボが彼女を連れて店に入ってきた!?」

 

厨房の中では頭部が全く同じロボット四人が取り囲んで客席の二人を見ていた。

 

「4号様、間違いありません!あれは、コサックロボのリングマンですぜ!!」

 

「ぬぬっ・・・・・・コサックロボめ、運よくこの別世界に逃れた我々をそこまで捕まえたいと思って追ってきたのか!ロボット狩りに魂を売った悪党め!」

 

リーダー格の「4」と書かれたロボット ダークマン4号は拳を震わせながら言う。だが注文を請け負っていた2号は首をかしげる。

 

「しかし、変でしたよ?アイツ、俺のことを見て何とも反応が・・・・なんて言うか『お前は誰だ?』とでもいうかのように。」

 

「騙されるな2号。これは奴の作戦だ。奴め・・・・・・助手の暗殺ロボットを彼女に見せて、我々を油断させたところで一気に片づけるつもりだ。」

 

1号はキャタピラを動かしながらあるものを取り出す。

 

「い、1号さん、それはまさか!?」

 

「我々の存在を知った以上、生かしておくわけにはいかん。我々は何のためにこの世界で生きて行こうと決めたんだ?ワイリー軍団が全滅(多分)してしまった以上、帰る場所はもうない。そして、我々を助けてくれたラーメン爺さん(仮名)の遺志を継いでこのDarkメンを開き、いずれは店舗を増やし、日本の常食をすべてラーメンにしてしまうのが我々の野望なのだ!!世界征服を狙ったワイリー軍団の時と比べて細やかな野望ではあるがここが潰えるわけにはいかんのだ!!」

 

取った瓶には「ポイズンアシッド」と書かれている。

 

「この薬品はかつてワイリー博士がロックマンのE缶に混ぜて奴の動力炉を腐食させて倒そうと作ったものだが・・・・・まさか、こんなところで役に立つとは。」

 

「待て1号!そんなものを出したら女の方まで殺してしまうぞ!?」

 

「そんなことを言っていられるか3号!思い出せ!我々はここに来る前にハンター共に危うく殺されるところだったんだぞ!?奴がいるということは・・・・・おそらく・・・・」

 

1号と3号が言い合いになっている中、4号は二人の様子を見ながら調理を始める。

 

「だから、この際止むを得んが二人とも・・・・・・」

 

「もういい、1号。そんな物騒なものはしまえ。」

 

「えっ?」

 

話をしている間に作ってしまっている4号を見て1号は唖然とする。

 

「爺さんから教わっただろ?人に出すものにそんな物騒なものは入れるなと。俺たちは最早ワイリー軍団ですらなくなっちまったんだ。昔のことはもう忘れろ。」

 

「しかし、4号様・・・・・・・・」

 

「奴が襲ってきたときは対応するさ。それに・・・・・・それ多分、博士がコッソリ隠していたただのマスカット味の水あめだぜ?」

 

「なぬっ!?」

 

1号は瓶のふたを開けて中身を手に取ってみる。ほんのりマスカットの香りがする。

 

「うっ、これは・・・・・・ただの賞味期限切れの水あめ・・・博士・・・・まさか、薬品と見せかけて自分のおやつを入れておくなんて・・・・・反則だ。」

 

「2号、これを二人に持ってってくれ。」

 

「はいはい。」

 

ショックを受けている1号を他所に2号はできた品を二人の元へ持って行く。

 

「お待たせしました。こちらが、ダーク塩ラーメン。こっちがダークラーメンになります。」

 

二人はさっそく出されたラーメンを食べ始める。

 

「あっ、スープが味に関係なく黒いからしょっぱいかなっと思ったけどそこまでくどくなく、味わいが深い。」

 

「麺もモチモチでくせになりそう・・・・・・」

 

「あったりまえですよ。家は麺もスープもこだわってんですよ。」

 

二人が味わいながら食べている姿を見て2号はやはり目の前にいるリングマンに違和感を覚えた。

 

「・・・・・あの、お客さん。」

 

「はい?」

 

「貴方・・・・兄弟とかいないんですか?」

 

「兄弟・・・・・ですか?」

 

不意に言われてリングマンはきょとんとしたが不意と脳裏に何かがよぎった。

 

「うっ!」

 

「リングさん?」

 

突然頭を押さえ始めたリングマンを見てエリカは心配そうに見る。

 

「あら?お客さん大丈夫・・・・・・ん?」

 

2号は外が何か騒がしいことに気が付く。入り口を開けて外に出てみるとそこにはアッと驚く光景が待っていた。

 

「なっ、こ、これは!?」

 

「どうした2号!?」

 

他の三人も外に出てみる。店の外の商店街はどういうわけかトマトケチャップ、マヨネーズ、そして、大量のピザとそのピザをぶつけられて倒れた人々に溢れかえっていた。

 

「い、一体何が・・・」

 

騒ぎを聞いてリングマン達も外に出てみる。

 

「これは・・・・ぴ、ピザ?」

 

「どうして、周囲一帯がピザだらけに・・・・・」

 

「ピザ~ピザ~!!ラーメンに心を奪われた愚かな愚民どもめ!!我々の恐ろしさを思い知ったか!」

 

「「「「ぬっ!?その声は!?」」」」

 

ダークマン達は、声のした方を見る。そこにはドでかい「PIZZA MAT」という看板とその上にピザのまんまの姿をしたロボットが部下たちを率いて立っていた。

 

「お前は・・・・かつて同じ商店街で覇権争いをし、問題作「超激辛トウガラシ&タバスコピザ」で何人もの客を病院送りにさせた責任を取らされ、ここにある本店を含めて全部つぶされたPIZZA MAT本店長 PIZZAマシーンマン!」

 

「おのれ!店が潰れた腹いせにこの商店街をピザまみれにしに来やがったか!」

 

「ピザ~ピザ~!!そうとも!この商店街は元々我々PIZZA MATの拠点だったのだ。地方に店舗を展開し、これからというときにお前たちラーメン野郎どもが店を開いたせいで激戦状態になり、あの新作で他の店舗も全滅だ!!だが、ただでは滅びん!!せめて・・・・せめて・・・お前たちの店諸共、この商店街をピザまみれにしてやがてこの日本をピザしか食えないようにしてやる!!」

 

PIZZAマシーンマンが言っていることは滅茶苦茶であったが彼の乗っている機械は次々とピザを作り出して見境なく投げつけてくる。

 

「くっ!このままではこの商店街がピザだらけになってしまう!」

 

「タイムパトロールは何をやっているんだ!?」

 

「ピザ~ピザ~!お前たちの足元をよく見てみろ!」

 

「ん?」

 

四号は自分の足元を見てみる。そこにはとろけたチーズにやられたタイムパトロール隊員たちがいた。

 

「全滅!?早すぎだろ!?」

 

「ピザ~ピザ~!このPIZZAマシーンマンを相手にするには分が悪かったな!!次はお前たちを倒してピザの具にしてやるぞ!!ダークPIZZAって名前で出してやるぞ!」

 

「くそ・・・・・おい、リングマン。お前も手を貸せ!」

 

「えっ?」

 

4号に協力を求められてリングマンは、目を丸くする。

 

「さっきラーメンそこの彼女と一緒に食べただろ?料金タダにしてやるから手伝え!!」

 

「え、そ、それは・・・・」

 

「ちょっと、彼は関係ありません!」

 

エリカは慌てて止めようとするが他のダークマン達が会話に割り込む。

 

「こいつは元々ポリスロボットだ!問題ない!」

 

「いつもみたいにリングブーメランで捕まえればいいんだよ!?」

 

「この際だ、コサックロボでもいいから協力しろ!!」

 

「一体何が・・・・・・」

 

「さっ、行くぞ!!Darkメン一同!突撃!!」

 

「「「おぉ~!!!」」」

 

「えっ!?ちょっと~!?」

 

リングマンはダークマン達に引っ張られながら強引に戦闘に参加させられてしまった。

 




本編へは・・・・数話後かな?

X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)

  • ネジ巻き都市
  • 雲の王国
  • 鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
  • ロボット王国
  • このままX7編へ

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