ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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記憶って思い出すと残酷に感じるものもあるんですよね・・・


リングマン・ビギンズⅢ

タイムパトロール 指導室

 

「なんでだよ!俺の何が悪かったって言うんだよ!?」

 

タイムパトロールにスカウトされてから数週間、キッドは指導室に呼び出されて目の前の席に座っているリングマンに不満をぶつけていた。

 

「何が悪かっただって?自分が何をしたのか分かっているのか?」

 

リングマンは帽子を取ってキッドを睨みつける。その目を見てキッドは思わずビビる。

 

「第一、今回の任務は犯人の逮捕ではなく人質の救出だと言ったはずだ。それをお前は功を焦って人質がすぐ近くに居たにも関わらず発砲許可を出す前に発砲した。一歩間違えれば人質を危険にさらすところだったんだぞ?」

 

「うっ・・・・・・」

 

「それだけならまだしもこの書類の量を見ろ!!」

 

リングマンは自分の机に上がっている書類の山を指さす。

 

「お前がここに入ってからずっと届き続けている被害届の数々だ!!それもお前に関する被害報告ばかりだ!お前はヒーロー気分で気持ちがいいだろうがな、俺は毎回来る苦情でお前を今すぐ養成学校へ送り返してやりたい気分だぁ!!」

 

「・・・・・・・」

 

リングマンの激怒した形相にキッドは思わず身震いする。普段の彼は温和で指導する程度で済ませるが最近のキッドの問題で神経をすり減らしていた。そして、今回の問題的な命令なしの発砲によりついに堪忍袋の緒が切れていた。

 

「す、すまねえ・・・・リング先輩。」

 

「すまねえすまねえってその言葉を聞いたの何度目だぁ!?」

 

「うぅう・・・・・」

 

ブチ切れているリングマンを相手にキッドは縮こまる。そんな時、彼の携帯がアラームを鳴らした。

 

「ん!?ちょっと待て。」

 

リングマンは携帯を取り出して電話に出る。

 

「はい、もしもし・・・・・あぁ、エリカじゃないか。・・・・・・えっ?次の日曜?ちょっと待ってくれ・・・・・・・・・うん、確かに俺は非番だけど・・・・・あぁ、わかったよ。10時前な。うん、じゃあまた今度。」

 

リングマンはスケジュール表を書き始める。

 

「彼女さんからの電話スか?」

 

「別に誰だって構わんだろ。それよりもだな、キッド。お前という奴は・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボット病院 

 

「・・・・・・・」

 

リングマンとの連絡を終え、エリカは携帯をしまうとナースステーションへと戻る。

 

「あっ、エリカ先輩。休憩もういいんですか?」

 

「えぇ、用事はもう済んだから。」

 

エリカがそう言うと後輩たちはニヤニヤしながら話を続ける。

 

「それでそれで?どうだったんですか?」

 

「どうって・・・・・何が?」

 

「やあぁだぁ~!!彼氏のことに決まっているじゃないですか~!」

 

「えっ!?」

 

「先生方から聞いているんですよ?先輩に彼氏がいるって。」

 

後輩たちの言葉にエリカは思わず顔を赤くする。

 

「な、何を言っているの!?私、別にそんな・・・・・・」

 

「隠してもダメですよ~。」

 

「何の話?何の話?」

 

エリカの慌ただしい声を聞いて他のナースロボたちも集まる。

 

「聞いてよぉ、エリカ先輩が彼氏と・・・・・・」

 

「えっ!?先輩、彼氏がいたんですか!?」

 

「だから・・・・・もう~~~~!!早く仕事に戻りなさい!!」

 

 

エリカは恥ずかしそうに叫ぶ。

 

実はというと彼女はリングマンがタイムパトロール隊員になってから付き合い始めていた。元々エリカが彼の身を案じて接近していたのだがドクターが気を使って裏で手を回しているのか毎回任務で負傷した彼を担当している内に本格的に交際するようになった。病院でもその様子が度々見られているため新入りを除けば二人は公認カップルとして見られ、何時くっ付くんだと聞かれている始末だ。

 

「別に空いている日だからよかったら一緒に映画を見ないって声をかけただけよ。ちょうどチケット二枚あったし。」

 

「もう、恥ずかしがらなくたっていいじゃないですか~。」

 

「もっと素直にならないとその彼氏さん、誰かにとられちゃいますよ~?」

 

「・・・・・・・」

 

エリカは顔を真っ赤にしながら業務に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 

 

「A班、ルートNo.02を封鎖!ターゲットを取り逃がすな!B班はポイント7を押さえろ!奴の逃走ルートを潰すんだ!!」

 

後日、リングマン達タイムパトロールは強盗ロボットを追っていた。ロボットは銀行を襲った後、近辺にあった車を強奪し、逃走。そして、リングマンの指示でタイムパトロールは逃走ルートを封鎖し、犯人を追い込んでいた。

 

「畜生!ここも塞がれていやがったか!?」

 

強盗ロボットは、強行突破を狙い車のスピードを上げる。

 

「電磁キャプチャーネット用意!」

 

「了解!!」

 

隊員の指示でキッドはキャプチャーネットの安全装置を解除し、スコープで狙いを定める。

 

『キッド、よく狙って撃てよ。またいつものように調子に乗って撃ったりしたら本当に養成学校に送り返すからな!!』

 

「わかってるよ!今回は言う通りにするって・・・・」

 

キッドは迫りくる車に照準を合わせ、逃走車を狙い撃つ。

 

「な、なんだっ!?」

 

強盗ロボットは車に張り付けられたネットを見て動揺する。

 

「よし!電磁キャプチャー機能を作動させろ!」

 

「はい!」

 

電磁キャプチャーが作動し、車の機能が麻痺する。

 

「ウオッ!?クソ!コントロールができねぇ!?」

 

車はそのまま近くの店頭に衝突し、停止する。それを見計らってリングマン達は包囲網を縮めていく。

 

「クソッタレめ!」

 

強盗ロボットは車を捨て、隠し持っていたミサイルランチャーで包囲網の一部を崩して逃走を図る。

 

「怯むな!奴を追い込むんだ!」

 

包囲網が突破されながらもリングマンは落ち着いて追跡を行う。

 

「逃げるのをやめろ!大人しく投降しろ!!」

 

「べらぼうめ!今まで散々安い給料で働かされてきたんだ。もう、ヘコヘコするなんて御免だぜ!!」

 

強盗ロボットは走りながら道を空けるためにミサイルランチャーを撃つ。

 

「ちっ、弾切れか。こんなんだったら、補充しておけばよかったぜ。」

 

仕方なく、近くの公園に逃げ込む。丁度、春休みに差し掛かったこともあり、公園では子供たちが遊んでいた。

 

「しめたぜ・・・・・このガキどものうちの一人を人質にするか。」

 

「待て!!」

 

遅れてリングマン達が公園の中へと侵入する。それを見計らって強盗ロボットは、近くにいた少女を捕らえて彼女に銃を突きつけた。

 

「動くんじゃねえ!動くとこのガキの命はねえぞ!!」

 

「「なっ!?」」

 

急に人質を取られたことに全員が唖然とする。動揺しているのを機に強盗ロボットは距離を取り始める。

 

「いいか、動くんじゃねえぞ。このガキの命が惜しかったら俺の言う通りにしろ!」

 

「ひ、卑怯な・・・・・」

 

リングマンは周囲の状況を見ながら策を練ろうとするも相手が武装をしている上に子供を人質に取っている以上迂闊に手を出せない。捕まった少女は突然の出来事に混乱し、泣き始めていた。

 

「ママ・・・・・怖いよ・・・・」

 

「騒ぐんじゃねえ!ぶっ殺されないだけありがたく思え!!」

 

「くっ・・・・・・・!?」

 

泣いている少女を見ながら表情を曇らせるリングマンであったが一瞬脳裏にフラッシュバックが起こる。

 

 

それは目の前の光景とは違うものの、少女が人質に取られている光景だった。

 

(何だ・・・・・これは?また、俺の記憶の一部なのか?)

 

『さあ、コサックよ。お前の可愛い一人娘はワシの手の内にある。大人しく従った方がいいぞ?』

 

見覚えのある少女を人質に取っている老人の姿が浮かび、リングマンは何も覚えていないにもかかわらず殺意が湧いた。

 

『Dr.ワイリー、なんと卑怯な!!用があるのは私のはずだ!カリンカは関係ない!』

 

『最初の警告の時にワシに従っておればな。だが、お前はそれを断った。なら、かわいい一人娘に協力してもらうしかあるまい。』

 

『『『貴様!カリンカお嬢様を!?』』』

 

自分のすぐ脇には兄弟と思しきロボットたちの姿もあった。だが、記憶がそこで一部吹き飛び、自分たちが強化改造を施され、あの青い少年と戦うところが映った。そして、徐々に自分の無くした記憶が浮き上がってくる。

 

 

 

「はあ・・・・はあ・・・・・・」

 

「ん?先輩?」

 

キッドは隣にいるリングマンの様子がおかしくなったことに気づく。そんなキッドを他所にリングマンは頭を押さえ始める。

 

「博士・・・・・・お、お嬢様・・・・・・・・・」

 

「せ、先輩?」

 

「け、警部?」

 

目が虚ろになったこともあり、キッドどころか周囲の隊員たちも動揺し始める。

 

「ダイブ・・・・・トード・・・・ドリル・・・・・」

 

リングマンは混乱しているのか強盗ロボットに近づいていく。

 

「うん?お、おい!?てめえ!!こっちに近づくんじゃねえって言っただろう!!」

 

強盗ロボットはそう言いながらリングマンを脅すが彼の目は何か別の物を見ているようだった。

 

「みんな・・・・・・・みんな・・・・・あのとき・・・・・」

 

あの悲惨な光景が再び彼の目の前に浮かんだ。そして、強盗ロボットはかつて自分を殺しかけた存在と同じように映っていた。

 

「アイツ・・・・・・アイツのせいで・・・・・・」

 

「おい、聞いてんのか!?聞かねえと・・・・・」

 

強盗ロボットは引き金を引こうするしぐさを見せようとした直後、自分の腕に感覚がないことに気づく。自分の手を見てみるとそこには銃を持っていたはずの右腕と少女を捕らえていたはずの左腕はなく、再び顔を上げるとそこには怒りの形相をし、今すぐにも襲い掛かってきそうなリングマンの顔があった。

 

「なっ!?いつの間に・・・グベラッ!?」

 

強盗ロボットが言いかけた時、リングマンは捕らえられていた少女を抱えたままリングブーメランで彼の身体を切り裂いた。

 

「ガッ!?」

 

「リング先輩!?」

 

「「「警部!?」」」

 

「貴様の・・・・貴様らのせいだぁ!!貴様らのせいでぇええええええ!!!」

 

少女を逃がし、キッドたちの目の前でリングマンはまるで人が変わったかのように強盗ロボットをリングブーメランと自分の拳で暴行を加える。その変貌ぶりに隊員もキッドも唖然としていた。

 

「許さん!!絶対に許さん!!!」

 

「た、助けてくれ~!!!」

 

凄まじい形相と暴行で強盗ロボットは泣きながら命乞いを始める。流石にこれ以上はまずいと思い、隊員たちはリングマンを強盗ロボットから放す。

 

「放せ!放せ!!」

 

「警部、落ち着いてください!!」

 

暴れまわるリングマンを止めようと隊員たちは彼を拘束する。

 

「先輩、どうしちまったんだよ!?相手を殺す気かよ!?」

 

「コロシテヤル!殺してやるぞ!!兄弟を殺したように!!!!兄弟・・・・・」

 

メモリーがオーバーヒートしたのかリングマンは頭から煙を吹いて気を失ってしまった。

 

「・・・・・先輩?」

 

今まで見たことがなかった彼を見てキッドは戸惑うもののすぐに救急車を呼び出すように指示を出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次にリングマンが意識を取り戻したのは、病院のベッドの中だった。目を開けると目の前にはエリカが心配そうに自分のことを見ている姿が映り、うなされていたのか何かあったのかと聞かれたが彼は「なんでもない」と言って彼女を下がらせた。

 

「・・・・・・」

 

病室で一人になったリングマンは、カーテンを開けて外の光景を見る。

 

「・・・・・・私は・・・・・本当に生き残ってしまったのか。自分だけ・・・・くっ。」

 

記憶が戻り、眠っている間に整理がついたのか先ほどのように暴れはしなかったが、同時に兄弟を皆殺しにした人間たちへの憎しみと兄弟を死なせてしまったことへの後悔が一気に彼を追い込んでいた。

 

「何故だ・・・・・何故私だけ生かされたんだ・・・・何故、私も死なせてくれなかったんだ!!何故だぁ!!」

 

彼は膝を付いて泣き始めた。

 

誰にも悟られぬように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日以来、リングマンの生活は荒んでいった。

 

仕事の都合とはいえ人間の犯罪者を逮捕し、その人間が自分たちに対して罵倒を喰らわせたときは思わず殴り掛かった上に危うく半殺しにしようとしたり、夜中に死んだ兄弟たちの恨めしい声が聞こえ眠りにつけなくなったり、終いには今の自分には資格がないとばかりにデート中にもかかわらず唐突にエリカに別れ話を持ち出してその場から逃げ出して行ってしまった。

 

そして、早くも半年。

 

 

「・・・・い・・・・・・・おい・・・・・・おい!リングマン!!」

 

「うっ・・・・・・・・」

 

リングマンは酔いつぶれた顔を上げる。

 

「いい加減にしろよ。本来の我々の店はラーメン屋で居酒屋は夜限定なんだぞ!それに昼間から酔いつぶれて恥ずかしくないのか!?」

 

4号はそう言いながら酔い覚まし用に水をくれるがリングマンは飲まなかった。

 

ワイリーロボとは言え、元は同じ世界出身のロボット。

 

記憶が戻り、ショックから立ち直れないリングマンは仕事を休んでダークマン達の元へやってきては酒に溺れるようになっていた。

 

「酔わないと・・・・聞こえてくるんだ・・・・・・なんで私だけ生きているんだと・・・・・どうして自分たちが死ななくちゃいけなかったのかと・・・・・・・・」

 

「全く・・・今を見ろ、今を。我々なんかワイリー軍団の幹部になるのを諦めて前向きに生活しているんだぞ?いつまでも気にしていてはあの彼女に申し訳が立たないぞ。」

 

「エリカとは別れた・・・・・もう関係ない。」

 

「そうかそうか・・・・・って、えぇっ!?別れたっ!?」

 

下ごしらえをしながら4号は飛び上がる。同時に1号と3号も唖然としていた。

 

「うわっ・・・・・コイツ飛んでもねえ奴だ。あんなきれいな彼女と別れるなんて・・・・・」

 

「もしかしてあれか?別の彼氏ができたとか?」

 

「もういいんだ・・・・・・・オレがどうなろうと知ったこっちゃない・・・・・・・」

 

リングマンはそう言うとまた酒を飲もうとする。

 

「ゲッ!?コイツまだ飲む気か!?」

 

4号は慌てて酒瓶を取り上げる。

 

「うぅ~~~」

 

「いい加減にしろ!もう、これ以上飲むって言うんだったら今後出禁を喰らわせるぞ!」

 

「・・・・・」

 

かなり酔っているのかリングマンはそのままふて寝する。

 

「・・・・・そう言えばだが・・・・・」

 

「今度はなんだ?」

 

「お前たちはどうやってこの世界に来たんだ?オレはたまたまタイムホールに落ちて拾われたらしいが・・・・」

 

「うん?そうだな・・・・・・」

 

4号は椅子に座って思い出すように言う。

 

「あれはそうだな・・・・・・博士との連絡がすっかり着かなくなった時だな。我々は変なスナイパージョーモドキどもに襲われて各地を転々としながら逃げていたんだ。」

 

「やはりハンターたちに追われていたのか・・・・・・」

 

リングマンは酔いながらも話を聞く。

 

「んで、追い込まれた我々はかつて放棄されたワイリー基地に逃げ込んで籠城したんだ。でも、結局数に押されて脱出艇の一つでもないかと地下ドックに行ったらたまたま博士が製作を中止したタイムマシンがあったんだ。」

 

「タイムマシン?確かに昔ワイリーはタイムマシンを奪ったというがあれは失敗作ですぐに処分されたはずだぞ?」

 

「表の事情ではな。でも、博士は諦めきれずに途中まで制作していたんだとさ。まっ、ロックマンが基地に乗り込んできたせいでそのまんま捨ててきたけど。」

 

「・・・・・・」

 

「話は戻して俺たちは追い込まれていたこともあって無我夢中にタイムマシンを作動させた。幸いテスト用にエネルギーが充電されたままだったから動かすのには問題なかったが、もし失敗すれば基地諸共アボーンだ。その後、奇跡的にタイムマシンは作動して気が付けばこの世界に到着したってわけよ。」

 

「・・・・・そのタイムマシンはまだ残っているのか?」

 

「ん?あるにはあるけど。」

 

「ちょっと見せてくれ。」

 

「・・・・・別に構わないがはっきり言って使い物にならんぞ。こっちにたどり着いたとき完全に壊れてしまったんだ。」

 

4号は酔ってまともに立てないリングマンを引っ張って店の地下倉庫へと連れて行く。そこには確かにワイリーカプセルに酷似した壊れたタイムマシンが置かれていた。

 

「・・・・・・これがそのタイムマシンか。」

 

「おう、元々ワイリー博士が一人で乗るのが前提での設計だったからな。我々が無理やり乗ったおかげでこの様よ。タイムマシンとして使うんならこっちの中古を買った方がまだ安心だ。」

 

リングマンは感慨深そうにタイムマシンを見るとそのまま店の方に戻って勘定を済ませる。

 

「今日はどうするんだ?」

 

「映画館で寝て、酒買って家に帰る。」

 

「また酒か・・・・・あのお嬢さんがかわいそうに見えてくる・・・・・ってか映画ぐらい見ろ。」

 

「なんでエリカの話が出てくるんだ?もう別れたんだからいいだろう?」

 

「そんなものか?」

 

リングマンはフラフラふらつきながら店を後にしていった。

 

「・・・・・・」

 

酔いが覚めかけているのか脳裏に懐かしい研究所のことが思い浮かぶ。そして、そこには自分の兄弟、生みの親であるコサックとカリンカの姿が見える。

 

「・・・・博士・・・お嬢様・・・・・何故私なんですか?私だけ・・・・・・」

 

彼は頭を抱えながら街の中へと消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイムパトロール本部

 

「警部は本日お休みです。」

 

受付でリングマンのことを聞こうと訪れたエリカはため息をつきながら入口から出てきた。

 

「どうして、あんなこと言ったのかしら・・・・。」

 

思えば数か月前、唐突にリングマンの方から別れ話を持ってこられた。

 

『別れてほしいんだ。』

 

どうしてと聞いても教えてくれず、自宅に聞き込もうとしたら追い返されて次に来たときは別の場所へ引っ越していた。一度は、後輩の言葉で忘れようと考えていたがそれもできず、数日休みをもらって彼の仕事場へと訪れた。しかし、彼は調子が悪いことを理由に有休をとっていた。

 

「どうしよう・・・・後は知っている知り合いなんていないし・・・・」

 

新しい住所もわからないため、探しようがない。困り果てた彼女は何か手掛かりはないかと頭を抱える。

 

「う~ん~~~何か・・・・・・・!」

 

目の前のDarkメンの看板を通り過ぎようとしたとき、エリカはふと思い出す。

 

この店のロボットたちはやけにリングマンのことに詳しかった。

 

ましてや元はポリスロボットだったとまで発言していたのだ。

 

恐る恐る彼女は店の方に戻って入口を開けた。

 

「あの~~~~」

 

「あっ!噂をすれば来た!」

 

エリカの姿を見るなりダークマン達は、顔を合わせる。

 

「少しお聞きしたいことが・・・・・」

 

「お嬢さん、新しい彼氏の方はどうだい?」

 

「えっ?」

 

聞こうとしたところを唐突な言葉を受け、エリカはキョトンとする。

 

「いやぁ、あの頭の固いリングマンに愛想尽かしたようだけど・・・・まあ、これからはせめてアイツの友達でいてやってくれよ。」

 

「まあ、ここで毎日酔いつぶれてもらっても困りますからね。今後とも復縁しろとは言わないのでよろしくお願いします。」

 

席に誘導させ、水を出しながら3号と2号が言う。

 

「あの、なんのことか・・・・・・・」

 

「さっさ、今日は我々の奢りで振舞うので遠慮なく何でも注文してください。」

 

1号からメニューを渡される。

 

「私の話を・・・・・」

 

「新しい彼氏はどんな方ですかね?こんなきれいな人なんだからさしづめあの輪っかロボットよりはマシな方なんでしょうな。」

 

「話を・・・・・・」

 

「アイツは今は不貞腐れちゃっているんですが自分のことを責めているだけなんですよ。せめて話し相手ぐらいにはなってください。」

 

「・・・・・・・」

 

彼女に篤いおもてなしをしている最中、昼休みなのかキッドは店の扉を開けて入ってきた。

 

「大将、いつもの大盛りで一杯!つまみのメンマもケチャップとマスタード付きね!!」

 

「おい、ガン公!今、我々は彼女と大事な話をしているんだ!!少し待ってろ!それに家のメンマにケチャップとマスタードは付けねえって言っただろう!!邪道め!!」

 

ダークマン一同はキッドに対して言うと改めてエリカの方を見る。

 

「さっ、ご注文を・・・・・・」

 

「うぅう・・・・・」

 

「あれ?」

 

話を全く聞いてくれないのでエリカはとうとう泣き出してしまった。

 

「何故だっ!?我々は何かまずいことでもしたのか!?」

 

「いや、我々は手厚いおもてなしをしていただけです4号様!」

 

「なんででしょうか!?なんで彼女は泣き出してしまったのでしょうか!?」

 

「もしや新しい彼氏が浮気を・・・・・」

 

「あれ?あんた確かリング先輩の彼女さんじゃないスか?」

 

キッドも囲み、店はエリカが泣き止むまで一旦一時休業となった。




次回辺りでとりあえず回想回は終わりの予定です。

X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)

  • ネジ巻き都市
  • 雲の王国
  • 鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
  • ロボット王国
  • このままX7編へ

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