Darkメン
エリカがようやく落ち着いて泣き止んだ後、ダークマン一同は彼女を囲むように座って話を聞いていた。
「なるほどなるほど・・・・・・一方的に別れさせられたということか。それはかわいそうに。」
「それで一度は忘れようかと思ったんですけど・・・・・・なんか彼のことが気になって。」
ちなみに先ほど一同の後ろの客席ではキッドが注文した品をガツガツと食べながら話を聞いていたが昼休みが終わってしまうため、帰りの間際に現在のリングマンの住所先を教えていった。
「それで教えてほしいんです。彼が何故あんな風にして私を突き放したのか?どうして、何も教えてくれないのか・・・・貴方たちは何か知っているんじゃないんですか?」
「・・・・・」
エリカの言葉を聞いて4号は他の3人と顔を合わせながら向き直る。
「お嬢さん・・・・・悪いけどそれは聞かない方がいいと思うよ?なんせ、地獄のような体験をしたんだからな。」
「どういうことですか?」
「我々と奴は、元は敵同士だった・・・・・けど、こっちに来てからは同じ世界のロボット同士で唯一何も気にせずに話せる仲なんだ。だから、アンタみたいな娘に言えないことも聞いちまう。」
「・・・・やっぱり、何か知っているんですね。」
「・・・・3号、今日は店じまいだ。」
「はいはい。」
3号は店の外に出て暖簾を取ると「本日 終業」と札をかけた。
「・・・・・この話を聞いたらアンタはショックのあまりにアイツと顔を合わせられなくなるかもしれない。それでもいいって言うんなら・・・・・我々の知っている限りの話はしよう。」
「・・・・・・・・」
エリカは緊張した表情をしながらも頷いた。
「・・・・・・・・」
リングマンは、映画館で映画を鑑賞していた。平日であまり人気のない映画館であったこともあり、周囲には2、3人ぐらいしかおらず、本来ならここでひと眠りしたいところだった。
「・・・・・・・・」
見ている映画は、戦争で一度離れ離れになった親子が終戦を迎えてから数年後にようやく再会するという家族愛をテーマにした映画でその映画に出ている主演の親子がどことなく自分の生みの親であるコサック親子と重なった。
「・・・・・」
続いて上映されたのは恋愛もの。
ある事件をきっかけに別れたカップルが互いの思い出を巡る旅をしていくうちに和解して結ばれるというものだった。
「・・・・・・彼女には悪いことしたな。」
結局、居眠りすることなくリングマンは5本の映画をぶっ続けで見て帰路についた。
映画を見た後もあって少し落ち着きを取り戻したのか歩きながら自分の手を見てみる。
「・・・・・・!?」
しかし、記憶のフラッシュバックが重なって自分の手に血の如く自分と兄弟のエネルギーが大量についていたことを思い出し、震えが止まらず押さえる。
「ハア・・・・ハア・・・・・・」
明日は仕事が控えている。
また、眠れなくなることを恐れた彼はその足でロボット病院へと向かう。
「ワァーォ!誰かと思ったらエリカ君の彼氏が来ちゃったね~!残念だけどエリカ君、今日はお休みなんだよね~!昨日だったらいたんだけどね~!ところで今日は何の御用~?」
ドクターはいつものペースでリングマンに声をかける。
「・・・・・・睡眠剤の処方をお願いします。」
「ん~?睡眠剤~?もしかして寝不足かな~?」
「あぁ・・・・・ここ最近うなされてよく眠れないんだ。」
「それは大変だね~!じゃあ、早速・・・・・」
「あっ、ちょっと待ってくれ。」
「あはん?」
ドクターが処方箋を書こうとする所をリングマンが止める。
「この間、もらったものは効き目が薄すぎて途中で目を覚ましてしまったからもっと強力なものを出してくれ。」
「えっ?でも、あれ結構強めの方なんだけど・・・・・」
「頼む、明日は仕事を控えているんだ。」
リングマンが困った顔をして言うとドクターは断り切れず処方箋を書き終えるとロボット用の睡眠カプセルが入った薬瓶を手渡す。
「一応最新の即効性タイプを処方しておくからねー。でも、このタイプはかなり強力だから服用量は守ってねー。大量にとったら一生起きれなくなるかもしれないから。」
ドクターに念入りに言われるとリングマンは薬瓶を受け取って新居のアパートの一室へと帰る。
「はあ・・・・・・」
途中のコンビニで買ってきたビールを飲みながらリングマンは誰もいないはずの居間を見渡す。確かに誰もいない。だが、彼の目には死んだ兄弟が呪うように這いずりながら動き回っていた。
「・・・・・・・俺は何のために生き残ったんだ?」
消えることのない罪悪感と後悔、自分がどこの世界においても最後のコサックナンバーズになってしまったことが何よりも悲しかった。それは危険性ゆえにカプセルに封印されたスカルマンの感じたものとは別の孤独感だった。例え眠って、再び目を開けてももう兄弟はそこにはいない。生みの親の博士も。
「・・・・・・今日はもう寝よ。」
リングマンは空き缶を袋に入れて片づけると睡眠剤の入った瓶からいつもの感覚で4,5錠取り出し、飲んだ。
「ハア・・・・・また、逮捕した人間を殴らなければいいけ・・・・・ど・・・・・・・」
リングマンはその場で倒れてしまった。落とした薬瓶には以下の注意事項が書かれていた。
[本商品は非常に強力な成分が含まれています。]
[多量に摂取されると体に害をなす場合があるため、摂取量は厳守してください。]
[一日の摂取量の目安 1錠 ]
[決して、一日に3錠以上は服用しないでください。]
その後、彼のことが気になって訪れたエリカは、睡眠薬多量摂取で昏睡状態に落ちていたリングマンを見て悲鳴を上げた。
???
「う、うぅ・・・・・・・・」
リングマンが目を覚ました時、そこは自分の部屋ではなかった。
「うん?ここは・・・・・」
起き上がってみるとそこは今は懐かしいコサックの研究室だった。
「ここは博士の研究室・・・・私は自分の部屋で寝ていたはずだが・・・・」
「リングマン、調子はどうだ?」
「えっ!?」
リングマンが声のした方を見るとそこには懐かしいコサックの姿があった。
「は・・・・・博士?」
「メンテナンスは終わったよ。遅くなってすまなかったな。」
コサックはにっこりと言うがリングマンは、呆然と彼を見ていた。
「ん?どうしたんだい?何か不具合でも・・・」
「は、博士・・・・・貴方は、本当にコサック博士ですよね?」
リングマンの言葉を聞いてコサックはキョトンとした表情をする。
「何を言っているんだ?突然。」
「あの・・・・・俺はなんでここに・・・・」
「あぁ、ロボットポリスの方で急に倒れたと聞いたからどこかに不具合があるかと思ってメンテナンスと修理を行ったんだよ。そしたら、頭脳回路に破損があったからバックアップを取って新しいものに取り換えたんだよ。」
「・・・・・・」
リングマンはオドオドとしながら部屋を見渡す。
「あの、他のみんなは?」
「みんな帰ってきているよ。今日はカリンカの誕生日だからな。」
「そうだった・・・・・あっ、すみません博士。私は」
今までのことが夢だったのかと思い、リングマンはホッとしかけるが肝心のカリンカの誕生日プレゼントを用意していなかったことに気づく。
「はっはっはっはっ、別に構わないさ。最近は忙しくてこっちに帰ってくることも大変になったんだ。会いに来てくれただけでカリンカも喜ぶ。」
「はあ・・・・・」
リングマンは、コサックと共に部屋を出る。
「博士、そう言えばあのロボットを暴走させるウィルスの事件に関してですが・・・・・・・」
「そのことに関してだが世界ロボット連盟の方でもかなり揉めているよ。対ウィルスワクチンプログラムの開発を優先するか、それとも現存のロボットの取り締まりを優先するか・・・・・」
そんな話をしながら二人は、大広間の入口へと着く。ドアを開けると既に他の兄弟たちがカリンカのことを祝っていた。
「あっ、お父様!リングマンもやっと来たのね!」
「いや、すまない。遅くなってしまった。」
「お嬢様・・・みんなも無事だったんだな・・・・・」
コサックに続いてリングマンも中へ入ろうとする。
「・・・・ん?」
その時、部屋の中へ行こうとした自分の腕を何かが掴んだ。
「誰だ?」
後ろを振り向いても誰もいない。改めて自分の腕を見てみると見た覚えのある女性型ロボットの手が自分の手を握っていた。
「なんだ、この腕は?」
リングマンはその手を取ろうとした。しかし、断じて離れようとしない。
「なんなんだ?どうして、取れないんだ?」
「リングマン、どうしたの?」
「お前も早く来いよ!」
「お嬢様の誕生日なんだから一緒にお祝いしようぜ?」
部屋の中からカリンカと兄弟たちの声が聞こえる。リングマンは急いで女性型の手を放そうと急ぐ。
「くそ!一体何だって言うんだ!?この手は!?やっと悪い夢から覚めたというのに!!」
『そいつを放されたら本当にお前は終わっちまうぜ?』
「!」
その声を聞いてリングマンは驚く。手を外すのをやめて前を見るとそこにはフードを被り、巨大な鎌を担いだいないはずの兄弟がいた。
「す、スカルマン!?」
『俺はスカルマンじゃねえ。死神様だ。』
「死神?どういうことだ?」
『そのまんまの通りだよ。お前・・・・・生者のくせになんであの世に逝きかけているんだよ?』
スカルマン似の死神は呆れた表情でリングマンを見る。
「あの世?何を言っているんだ!ここは私の生まれた場所だ!それに博士や兄弟たちも・・・・・・」
『ふ~ん~、そんな奴いたのか?俺には、お前が一人で喋っているようにしか見えなかったが。』
「そんな馬鹿な・・・・現に私の後ろに・・・・・!?」
再度後ろを見たリングマンは愕然とする。そこには誰も居なかった。
「は、博士!?お嬢様!?みんな!?ど、どこへ行ったんだ!?みんな私を置いてどこへ行ってしまったんだ!?」
動揺しているリングマンを見ながら死神は再度ため息を吐く。
『はあ~。だから、最初っからそんな奴らは居なかったって言っただろう?お前は自分の幻覚に導かれてあの世の入口に行きかけていたんだよ。』
「そんな・・・・・・」
リングマンは膝を付いて落胆する。
「嘘だ・・・・・・嘘だそんなことぉおお!!!」
『事実だよ。』
「みんな・・・・・みんな確かにここにいたんだ!!ロボット狩りにも遭わず・・・・・あの悪夢のような出来事もなく・・・・みんなで研究所に帰ってきていたんだ!!」
ボロボロと涙を零しながらリングマンは泣き始める。
『ふう・・・・死神の俺にはよくわかんねえけどさ。できれば自殺は勘弁してほしいんだよな。』
呆れた顔で懐から大きな手帳を出すと彼はページを開いて確認する。
『お前さ・・・・・ロボットだから基本的な寿命ないからあの世の裁判で裁きづらいんだよ。生き物じゃあるまいし。それにこの「死者リスト」にお前の名前ないんだよ。だからさ、できればさっさと向こうに帰ってくんねえかな?』
「う、うぅ・・・・・だったら、他の兄弟たちも返してくれ!」
『メモリーが残ってんなら可能かもしれねえけど無理だな。お前の兄弟、みんな八つ裂きにされてたじゃん。』
「嫌だぁ!!俺は帰らない!!向こうに戻ったところで結局は酒に溺れて忘れようとするのが落ちだ!!それならいっそあの世に逝った方がマシだ!!」
『だからさ・・・・・お前、生者じゃん。ロボットでも生者はこっちに来ちゃいけないんだよ。』
「俺にまた酒に溺れた生活を続けろと言うのか・・・・・・なにもない・・・・・」
『・・・・・・なにもねえならさ、なんで女の手がお前の手を握ってんだよ?』
「えっ?」
リングマンは自分の手を握っている手を見る。よく見てみると何度も握ったような気がする。
「この手・・・・・まさか・・・・・・エリカ?」
『なんだ、知り合いの手かよ。だったら、早く戻ってやんな。奴さん、お前の手を握っているほど心配しているんだろうぜ?』
「いや・・・・・でも、別れたし。」
『つべこべ言わずにさっさと帰れ!今度完全に木っ端みじんになったらあの世に案内してやる!!それまでは向こうで石にかじりついてでも生きてろ!!』
「うわぁっ!?」
死神の鎌に打たれてリングマンは手に導かれるかのように光の中へと消えて行った。
ロボット病院
「・・・うっ、うぅ・・・・・・」
リングマンは目を開けるとそこは病室の天井が見えた。周囲を見ると自分はどうやら病院に運び込まれたのかと理解した。
「夢だったのか・・・・・・!」
体を起こそうとすると自分の手を誰かが握っていることに気づく。よく見るとエリカが自分の手を握りながらすうすうと寝ていた。
「エリカ・・・・・・」
自分から別れて関係を断ったというのに彼女が看病をしてくれたのかとリングマンは申し訳ないと感じた。
「うん・・・・・・・」
そんなときエリカがゆっくりと目を覚ました。彼女は起きたリングマンを見て一瞬動揺したもののすぐに落ち着いたのかふくれっ面で彼の顔をはたいた。
「うっ!?」
あんな強引な別れ方をしたのだから無理はないと思いリングマンはそのまま受けたがその後、どういうことなのか彼女は泣き出して自分に抱きついてきた。
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ~!!」
「ご・・・・・・・ごめん・・・・・」
てっきり本気で別れさせられるかと思っていたがそれだけ自分のことを大事に想ってくれたんだなと思い、泣いている彼女の頭を撫でながら強く抱きしめた。
「ごめん。本当に・・・・・ごめん・・・・・」
ちなみにこの時の二人の様子をドクター及び後輩看護婦型たちが見ていたということを知って二人揃って顔を真っ赤にしたのは、それからしばらく後のことである。
後日、リングマンは退院後エリカと再び付き合うことになった。
彼女からは付き合い直す条件に隠し事を一切しないということを告げられ、リングマンは自分の過去を隠さずに話した。
この世界とは別の世界で作られたロボットだということ。
一度とはいえ、世界征服の手先として使われたこと。
他の兄弟もいたこと、全部を話した。
一部の事情はダークマン達から聞いていた為エリカは、その話を聞いて
「もう、自分のことを責めなくていいんじゃないの?」
「何故だ?俺は自分の兄弟を助けられなかったんだぞ?自分だけこの世界に流れ着いて、平穏な生活を送っている・・・・・・博士とお嬢様が見たら、ショックを受けると思うんだ。」
「でも、みんな誰か一人でも生き残れるように動いたんでしょ?そして、最後は貴方が残った。だから、貴方は他の兄弟たちの分まで生きる義務があるはずよ。」
「兄弟たちの分まで?だが、私にそんな資格は・・・・・」
「資格とか関係ないわ。それは生き残った者の使命だと思うの。・・・・・こんな平和な世界で生活してきた私が言うのも変かもしれないけど。」
「エリカ・・・・・」
二人は公園のベンチで寄り添い合いながら座り、青空を見上げた。
再交際してから数年後、二人は結婚した。
その後、エリカの提案で自分たちの子供を作ろうという話が出る。
まもなくして二人の設計データをもとにリングが誕生する。
リングマンは家族との時間を作るために多忙なタイムパトロールを退職。比較的時間を作りやすい旅行会社の企画部へと転職する。
エリカは以前と変わらず、看護婦を続けているがひみつ道具の普及が進んでいくのに伴い看護婦としての仕事がだいぶ減り、帰る時間が早くなった。
リングマンは時間をかけながらも新しい家族と共に新しい時間を作りながら今を歩みだした。
そして、ゼロとアイリスが発見されたのを機に再び自分の過去と向き合うときが来た。
現在 ロボット・ノーズワーキング社
「・・・・・・・・・」
「あのリング警部・・・・大丈夫ですか?」
膝を付いて黙ってしまったリングマンを見てトロンは心配そうに声をかけてきた。
「い、いや・・・・・大丈夫。少しばかりショックを受けていただけです。」
リングマンはタイムカプセルに触れながら複雑な表情を浮かべる。
「博士の技術がこの会社のロボットに応用されていたのは酷いショックだが・・・・・しかし、博士はなぜツンドラマンを過去に送ろうとしたんだ?私たちの世界ではタイムマシンの技術が未熟すぎて実現できなかったというのに・・・・・・」
カプセルを確認していると一か所厳重にプロテクトが掛けられているところがあった。
「この個所は?」
「前社長の資料によれば何か入っているらしいですわ。ツンドラマンの認証がないと開かなかったそうですがスキャンする限りただの燃料タンクだと考えられていたので、そのまま開けられていなかったようですが。」
「・・・・・博士がそんな無駄なスペースを設けるとは思わないが・・・・」
リングマンはその箇所に触れてみる。すると
<認識、完了シマシタ。>
「ん?」
突然音声が鳴り、カバーが開いた。突然の出来事に二人は仰天する。
「これは一体・・・・」
「まさか・・・・コサックロボなら誰でも認証できるというのか?」
リングマンは中に手を入れて何かを取り出してみる。
「メッセージデータの端末?」
それは、多少古くなっていたが何かのメッセージが入っていると思われるデータ端末だった。しかも壁の端に取り付けられていたため、一目ではわかりづらかった。
「古い型だが・・・・・・読み込めるか?」
彼は携帯端末にデータをインストールして読み込んでみる。すると画面にある人影が写った。
「こ、これは!?」
多少年老いていたがそれは彼にとって懐かしい人物だった。
「コサック博士!?」
「か、彼が!?」
驚いているリングマンの横でトロンは恐る恐る見る。
『私は、ミハイル・セルゲイビッチ・コサック。このタイムマシンの制作者であり、中にいるツンドラマンは私が製作したロボットです。この映像が見られているという事はおそらくタイムマシンが無事に起動したということになります。』
年老いたコサックの声はかつてリングマンが聞いていたものよりも弱々しく感じた。
『まずはこのカプセルを見つけ、ツンドラマンを再起動した方に伝えなければならないことがあります。それは・・・・・・・』
次回からは本編に戻ります。
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