ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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ドラえもんズサイドもそろそろ動かさなければ・・・・


トーチマン

22世紀 タイムパトロール本部

 

「いよいよ暴れているロボットは後二人か。」

 

ツンドラマンが病院へ運ばれた翌日、ドラえもんたちは残りのロボットとそのエリアを確認していた。

 

「トーチさんはキャンプ場、ブラストさんは遊園地のアトラクション施設を中心に陣取っているけど、キャンプ場は気を付けて戦わないと山火事になっちゃうわ。遊園地の方もブラストさんのことだからあちこちに爆弾をセットしていそうだし。」

 

「今までの場所も十分きつかったがこの二人は気を付けて戦わなければならないな。」

 

現在確認されている情報ではトーチマンは改造された副作用なのか戦闘狂へと変貌し、キャンプ場周囲は彼の攻撃で火の海と化してしまっているのだという。

 

「それに依然としてドラパンに捕らえられたと思われるキッドたちの手掛かりも全く掴めていない状態だ。この二人で何か見つかればいいのだが・・・・」

 

リングマンは二人がいるポイントを確認しながら言う。現在までに6人を倒して正気に戻させたがどのロボットも捕まった後の記憶は曖昧でよく覚えておらず、ツンドラマンに関してもドラパンが関わっているのは間違いなさそうだが更に彼すらも従えさせる何かがいると言っていた。話によればその者が彼にタイムマシンの取引を持ち掛けて来たらしく、VAVAやペンギーゴたちも彼が手駒として復活させたようだ。

 

「少なくともドラパンとか言う怪盗が何かを狙って組んでいるのはほぼ間違いないだろう。残りの二人を倒せば大方向こうから場所を教えるかもな。」

 

「・・・・・流石にワイリーみたいにやってくれるとは思えんが・・・・・」

 

四人の目の前でリングマンはパソコンを操作しながら言う。ちなみにいつもそばで遊んでいたリングは今日はいない。エリカと一緒に入院しているツンドラマンに会いに行ったのだ。自分に叔父がいたのに驚きながらも喜んでいたようで朝、彼女に連れられて出かけた。

 

「じゃあ、早速誰から・・・・・」

 

ドラえもんは今日はどっちから先に行くかを言いかけた直後、部屋に寺尾台校長が何かを持ってきた。

 

「いやいやいやぁ、ついにできたぞ!」

 

「ん?校長先生、何ができたんです?」

 

慌ただしく入ってきた校長を見てドラえもんは首をかしげる。

 

「うん、タイムパトロールで君のアーマーのデータを取らせてもらったじゃろ?何とか警官ロボット向けにチューンしたかったんじゃが思うようにいかなくてな。そこで方針を切り替えて君たちと現場に向かうドラミ君が装着することを前提に再調整してみたんじゃよ。」

 

校長は早速それを一同に見せる。

 

「これは・・・・・」

 

「あぁ!」

 

「寺尾台校長、何とか複製できたんですか?」

 

そこにあったのはかつてドラえもんがイレイズ事件で装着していたアーマーだった。オリジナルは既にライト博士に返却し、アップデートされる形で今のフォースアーマーへと変えていたがその前身ともいえる姿をしたアーマーが目の前に置かれていた。

 

「懐かしいな。ラグズランド島の事件の時もこれを着てたっけな。」

 

「あの時巨大化したドラえもんさん見た時、みんなびっくりしてたわよね。」

 

ゼロとアイリスはイレイズ事件の出来事を思い出しながら言う。

 

「でも、校長先生。まさかですけどこのアーマーをドラミに着せるんですか?」

 

「そもそも今まで現場に向かう際、丸腰だったのが危なかったからのう。飽くまでデータを基に何とか作ったものじゃから心もとないかもしれんが着けていかないよりはマシなはずじゃ。」

 

ドラミは恐る恐るアーマーを試着してみる。

 

「どうじゃね?」

 

「はい・・・・・着た感じは思っていたよりも軽いです。」

 

ドラミはジャンプしながら言う。

 

「では、続いてはバスターの性能じゃ。自分で念じてみてくれ。」

 

校長の言う通りにドラミは試しに念じてみる。すると右腕のパーツが変形し、バスターへと変わる。

 

「バスターはチャージできるのか?」

 

「いや、残念ながらバグの修正やプログラムの調整で普通のショットしか撃つことができん。ただ、ドラえもんの特殊武器を共有できるようトレースシステムの復元や連射速度を向上させたりすることには成功しておる。」

 

「つまり、最低限の戦闘力はあるというわけか。」

 

校長の言葉にゼロはなんとなく理解できた。

 

エックスのアーマーですら再現が困難だったのだ。それをドラえもんからデータを取ったとはいえ、この非常事態に戦闘に耐えられる程度にまで仕上げたのだ。

 

それにバスターのチャージ機能は、かなり複雑な構造になっている。

 

 

かつてDr.ワイリーと戦っていたロックマンは戦いのたびに自分の主武装である「ロックバスター」のアップデートを繰り返してきた。その中で初めてチャージ機能を追加したのが第四次世界征服計画時に使用した「ニューロックバスター」だった。だが、チャージショットは通常のバスターよりもエネルギーを凝縮して放つものでそれはロックマンのバスターに大きな負担をかけるものでもあった。

 

そのため、第五次世界征服計画時に強化した「スーパーロックバスター」は威力が大幅に向上したものの周囲への被害の拡大及びにロックマンの体力を大きく消耗してしまうことが発覚したため、以降のロックバスターではチャージの出力を抑え、第九次世界征服計画前では平和だったこともあって一時的に機能を取り外したこともあった。

 

エックスの場合はそのロックマンの問題点を見直してバスターを改良した。

 

エックス自身の出力をロックマンよりも高めにし、エックスバスターはロックバスターよりもチャージショットの出力を自由に変更できるように設計し直した。彼が戦いのたびにアームパーツで多彩なチャージショットを撃つことができるのはこの設計のおかげでもある。

 

一方のワイリー製であるゼロは多彩性を犠牲にし、破壊力に特化させた。通常のチャージショットはエックスの物よりも出力が高めに設定され、敵への殺傷能力を高めているため最大出力時は分厚い装甲でも貫通できるようになっている。しかし、その分バスターにかかる負荷も大きく、一度破損した場合は修理が困難になるという傾向がある。それは、バスターに組み込まれているICチップとバスターの変形機構との互換性にある。このICチップは非常にデリケートなものであり、相性が悪いとバスターが正常に機能しなくなってしまう。ドップラーの反乱での負傷以降正常に稼働しなくなったのは修復が不完全だったICチップがバスターの変形機構ととうまくかみ合わなかったのが原因と言える。

 

このように大きな違いのある二種類のバスターではあるが、基本的な構造は同じでエックスが最初のシグマの反乱の時にゼロのバスターが使用できたのもこれのおかげだ。

 

 

話は戻るがドラミのアーマーにはチャージ機能がない代わりにドラミ自身に大きく負担をかけないような仕様になっている。ヘッドパーツに関しては以前のドラえもん同様にヘッドクラッシュが使用できるようになっており、ボディに関してはギガクラッシュ及びディフェンスシールドを張れない代わりにダブルギアシステムを組み込むことに成功した。アームパーツは、ゼロの兄とも呼べるフォルテのバスター同様に連射速度が高められている。フットはヴァリアブルエアダッシュの他に短時間だけホバー移動が可能になった。仕様上、特殊武器のチャージも不可能ではあるがそれでも最低限の戦闘能力の確保はしている。

 

「これでドラミ君だけ一人危険に晒すことは少なくなるじゃろう。」

 

「う~ん~。私、こういうのちょっと苦手なんですけど・・・・・」

 

ちなみにカラーリングは女の子だということもあってドラえもんが装着していたものとは違いピンクと赤で統一されている。もし、エックスサイズの物で作られていたらマーティがお揃いと称して喜んで着たのかもしれない。

 

「まあ、色は目立つな。」

 

ゼロも少しばかり同情して言う。

 

「じゃあ、今回はキャンプ場エリアのトーチマンだ。戦闘狂と言えばVAVAやフォルテもそうだが一筋縄には捕まえられないだろう。ツンドラマンほどにする気はないがダメージを負わせてでも連れ戻すぞ。」

 

「「「おう~!」」」

 

「ぴ~!!」

 

四人は早速転送装置で現場へと転送される。

 

「・・・・・」

 

「ん?リング警部、どこへ行くんじゃね?」

 

パソコンを閉じて部屋を出るリングマンに対して校長は聞く。

 

「・・・・少し用事ができたので出かけてきます。もし家内が来たら少しの間留守にしていると伝えといてください。」

 

そう言うとリングマンはコートを着てその場を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 アチモフ城

 

「ミスターVAVA!どういうつもりだ!あんなことをして!!」

 

その頃、アチモフ城ではバーボンを飲んでいるVAVAのところへドラパンが文句を言いに来ていた。

 

「形はどうあれ、ツンドラマンはドラえもんの確保までは達成していた!ゼロとの戦いに入る前に錯乱していたのはこちらの失態ではあるが、何故彼を破壊した!?」

 

「・・・・・・フン。動揺した奴がまともに戦えると思うのか?」

 

そんなドラパンに対してVAVAは何の反省もなく答える。

 

「あのタヌキは、奴と同様にダブルギアを組み込んでいた。一時的に拘束したとて自力で抜け出すのは時間の問題だった。例え、まともに戦えたとしても奴ではゼロを倒すのは到底無理だ。奴はそこら辺のポンコツとは桁が違う。」

 

「だがな・・・」

 

「それにそのテレカってやつは、本人自身が使わなければ意味がないのだろう?向こうもこっちがテレカを狙っているというのは薄々気づいているはずだ。使えるような状況にしなければ意味がない。」

 

「くっ・・・・・・」

 

「それよりも俺に時間を割いてもいいのか?そろそろこっちの庭に放した二匹が動き出すだろ?」

 

「い、言われるまでもない!!」

 

ドラパンはそう言うとマントを靡かせ、その場から姿を消した。

 

「・・・・・この世界のロボットはどうもあいつと同じ思考の持ち主が多いようだな。名を轟かした怪盗とて小娘一人でこの様だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンプ場エリア

 

「わ、わ、わあああああああ!?」

 

「全員、走れ!!呑まれたらひとたまりもないぞ!!」

 

「ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ~~~!?」

 

ドラえもんたちはキャンプ場エリアのアスレチックコースを急いで駆け抜けていた。背後からは巨大な炎の柱が四人に向かって迫って来ていた。

 

「まさか、こんなトラップを仕掛けているとはな・・・・・これならドラグーンの時に行った火山の方がまだ優しく見えるぜ。」

 

実際、レプリフォース大戦時に向かったドラグーンの潜伏していた火山地帯はここよりも暑かった。しかし、すぐ後ろから迫ってくる火柱に呑まれてしまえば確実に燃え尽きるまで体を焼かれてしまうだろう。

 

「まずいわ。ここから先は狭くて一人ずつしか入れない!」

 

必死に走っていた矢先、目の前に木製の狭い潜り抜け用の通路が見える。スライディングや伏せて移動すれば通れないこともないがそんな時間はない。

 

「ちっ。アイリス、ドラミと一緒に先に進め!」

 

「でも・・・・・」

 

「俺に考えがある。ドラえもん。」

 

「ちょうど僕も同じことを考えていたところ。」

 

ドラえもんは、早速パワーギアを使って本部を出る前に受け取ったツンドラマンの武器データをインストールする。

 

「パワーギアツンドラストーム!!」

 

ドラえもんを中心に絶対零度のブリザードが発生する。一瞬、ドラミとアイリスは身構えるが冷気が通り過ぎると同時に目の前を見ると火柱は凍り付いてその動きを止めていた。

 

「すごい・・・・・」

 

「急いで!一時的に凍らせただけだから。時間が経つとまた動き出すよ!!」

 

四人は順番に通路の中を潜って行く。その間にも凍り付いた火柱は亀裂を発しながら今にも動こうとしていた。

 

「よし、何とか抜けられたな。今のうちに奥へ急ぐぞ。」

 

最後にゼロが通路を潜り抜けると四人は、火柱が迫って来る前にその場から移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アチモフ城 外

 

ドラえもんたちが何とか進んでいるのと同じ頃、ドラメッドとドラリーニョはようやく目を覚まして外を眺めていた。

 

「吾輩としたことが食べた後ぐっすり眠ってしまっていたである。まさか、眠り薬が入っていたとは・・・・」

 

「でも、おかげでスッキリしたね!」

 

困惑するドラメッドに対してドラリーニョは相変わらずマイペースだった。

 

「・・・・・しかし、幸い目を覚ましたのが昼間でよかったである。もし、夜なんかに目を覚ましていたら周りの状況が分からなくなっていたところだったぞよ。」

 

ドラメッドは、周囲を確認すると自分の懐から親友テレカを取り出す。

 

「・・・『親友テレカ』。不滅の友情を誓った者にしか使えない伝説のひみつ道具。吾輩たちが眠っている間に盗まなかったということはドラパンはこの道具の性質を知っているということである。」

 

親友テレカは七枚同時に選ばれし者たちが使わなければその効力を発揮することができない。これはドラえもんズとドラミぐらいしか知らない。

 

「おそらくドラパンはこのテレカのパワーを何かに利用するつもりである。でなければ眠っている吾輩たちを放置するはずがない。」

 

「僕たちはテレカを使わなかったから元の姿に戻されたんだね!」

 

「まあ・・・・偶々だけど。しかし、ドラパン!同じネコ型ロボットのくせに友情パワーを奪おうとするとはとんでもない奴!!」

 

「うん!早くドラパンをやっつけてみんなを助けに行こう!!」

 

「うむ!さて、その前に・・・・・・」

 

ドラメッドはテレカをしまうと今度はタロットカードを取り出して自分たちの行くべき場所を占う。

 

「ドラメーディア・タロトーリア・ウラナイーノ・・・・パッ!」

 

タロットがドラメッドの手元に戻り、その中の一枚が飛び出して彼の右手に入った。カードは「Tower」。塔を差し、二人のいるところから大分離れたところに巨大な塔が建っていた。

 

「『塔』のカード・・・・・どうやらあの塔に差しているようである!」

 

「じゃあ、魔法のじゅうたんで飛んでいこう!」

 

「よおぉっしゃ、マハラージャ!!」

 

ドラメッドは魔法のじゅうたんを取り出し、二人揃ってその上に飛び移る。

 

「・・・・・・あっ、そう言えば道具は使えないのでは・・・・・」

 

気づくのが遅く、二人は飛ばぬ魔法のじゅうたんに乗ったまま落下する。下は水路で水に飛び込むなりドラメッドはパニック状態へとなった。

 

「水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い水怖い!!!!」

 

危うく溺れかけるが彼の下にドラリーニョが沈んていたのと思っていたよりも水深が浅かったためドラメッドは溺れることなく、ドラリーニョの頭に乗っていた。

 

「もう~ドラメッドは相変わらず水が苦手なんだね!」

 

「そういうドラリーニョも相変わらず物忘れが激しいである・・・・・・」

 

二人は水路から出て濡れた服を軽く絞る。

 

「やれやれ・・・・仕方ない。歩いて行くである。」

 

「よぉ~し~!1,2,3,4,5,6,7,8・・・・・・・・」

 

二人が歩いて塔を目指し始めているところを少し離れたところからドラパンが見ていた。

 

「少し様子を見に来たがこれは予想外の情報だな。ドラメッドは水が苦手、ドラリーニョは物忘れが激しいか。よし、フフフフフッ・・・・・・・・」

 

ドラパンは不敵な笑みを浮かべながら一旦その場から飛び去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンプ場エリア 最深部

 

「ハア・・・・ハア・・・・・流石に今回ばかりは丸焼きにされるかと思った・・・・・」

 

「ぴぃい・・・・・」

 

迫りくる火柱から逃げて疲れ切ったのかドラえもんはビートを頭の上に乗せながらようやく最深部へと到着した。

 

「フウ・・・・今までマグマの煮えたぎった場所や戦艦に乗り込んだことはあったがここまで走らされたのは久しぶりだな。」

 

そう言いながら奥へと入っているとキャンプ場を今の灼熱地獄へと変えたトーチマン本人が座禅を組みながら瞑想をしていた。

 

「あれがトーチマンか?」

 

「えぇ・・・・トーチさん?」

 

戸惑いながらもドラミは、トーチマンに声をかけてみる。

 

「・・・・・・新たな挑戦者が来たか。」

 

トーチマンは目を開けてドラミたちの方を見る。

 

「ひ、ふ、み・・・・ざっと四人か。面白い、受けて立つ!」

 

「トーチさん、落ち着いて聞いてちょうだい!貴方は・・・・・・」

 

「ドラミ、どうやら話は聞いてくれなさそうだ。アイツの目を見てみろ。」

 

ゼロはトーチマンに指をさす。トーチマンの目は何かに支配されたかのように真っ赤になっており、今にも飛び掛かってきそうだった。

 

「あんな目をするのは『鬼』になりかけたエックスかフォルテ以来だ。あの様子だと五体満足で連れて帰るのも大変だぞ。」

 

「我がトーチ火炎拳の力、とくと味わうがいい!!」

 

トーチマンは早速巨大な火炎弾を高速で撃ち出してきた。

 

「ハイヤー!ハイハイハイ!!」

 

「コイツ・・・・ドラグーンと少しばかり戦闘法が似ているが弾速が速い!」

 

ゼロは飛んでくる火炎弾を避けながらもバスターで応戦する。

 

「ショットガンアイス!」

 

ドラえもんは、氷塊をトーチマンに向かって放つが氷塊は彼に届く前に高熱で溶け、消えてしまった。

 

「と、溶けちゃった・・・・・」

 

「そんなちんけな氷、我が火炎拳の前では無意味だ!!」

 

トーチマンは上空にジャンプし、ドラえもんに向かってキックを繰り出す。

 

「うわあっ!?」

 

「お兄ちゃん!」

 

ドラミはバスターを展開してトーチマンに近づく。

 

「遠くからダメなら・・・・・」

 

「ヌッ!?」

 

「フロストタワー!!」

 

ドラミはギリギリの距離まで近づいてトーチマンの真上でフロストタワーを展開して巨大な氷塊を彼の頭上に落とす。

 

「ムン!!火力最大!!」

 

トーチマンは両肩の松明部分から出る火炎の出力を高めて瞬く間に氷塊を溶解させ、拳で粉々に砕いた。

 

「そんな・・・・・あんな近くから撃ったのに。」

 

「隙あり!!」

 

トーチマンは動揺しているドラミに一気に近づき、回転蹴りを繰り出す。

 

「キャッ!!」

 

「ドラミ!」

 

「ダブルチャージウェーブ!!」

 

ゼロは両腕をバスターに変形させてダブルチャージショットを放ち、サーベルから斬撃を飛ばす。

 

「ヌウッ!?」

 

トーチマンは両手をクロスしてバスターの光弾を防ぐが斬撃波で後方に吹き飛ばされた。

 

「やるな!ならばこっちも本気を出すまで!!」

 

トーチマンは、体を赤く発光させる。すると松明の炎は遥か上空に上るかのように燃え上がる。

 

「パワー最大!!」

 

「まずい!パワーギアで炎が一気に強くなった!?」

 

ドラえもんが言うのと同時にトーチマンは今までにない巨大な火炎弾を放ち、跳んだかと思いきや反対側に回り、更に火炎弾を撃ち出して四人の逃げ場を無くした。

 

「逃げ場がなくなってしまったわ!?」

 

「だが、奴の狙いはこのまま俺たちを焼き尽くすことじゃない。」

 

アイリスのそばでゼロはトーチマンの様子を見る。

 

「ウオォオオオオオオオオオ・・・・・ヌ、ヌグッ!?」

 

「ん?」

 

体全身が炎に包まれたトーチマンが胸を抑えながら苦しむのを見てゼロは何事かと思った。

 

「アイツ・・・・・苦しみだしたぞ?」

 

「何があったのかしら?」

 

よく見てみるとトーチマンの胸部装甲が赤く発光して溶解し始めていた。

 

「胸部装甲が溶けている?」

 

「そう言えばロボット学校時代に先生に注意されたことがあるわ。トーチさんをあまり怒らせないようにしてって。炎を調整する機能が弱くて、感情が高ぶると自身の体から吹きあがる炎が制御できなくなっちゃうから。」

 

「・・・・・そうか。だとすれば感情が高ぶり過ぎたことで奴の身体が耐え切れなくなるほど体温が異常に上がっているということか。」

 

ゼロはトーチマンの様子を見ながら言う。

 

「ゼロ、それってどういうことなの?」

 

「以前、死んだドラグーンがよく定期メンテナンス以外でメンテナンスを受けに来た時聞いたことがあるんだ。炎を使うレプリロイドは動力炉自体が通常のレプリロイドよりも熱が上昇しやすく、最高出力で行動し続けると動力炉が溶解し始めて最悪な場合爆発する危険性があるそうなんだ。だから、火炎放射器などを組み込んでいる奴らは耐久性に問題が起こらないよう小まめにメンテナンスを受けなければならないと言っていたんだ。」

 

「つまり、彼は常に高温度の状態で動き続けているから・・・・・」

 

「・・・あぁ。いつ爆発してもおかしくない。」

 

不安そうに聞くアイリスの言葉をゼロは堂々と答える。そんな中、トーチマンは態勢を整えとどめを刺そうと動き出す。

 

「燃え尽きろ!!」

 

前身に炎を纏い、火の玉と化した彼は上空へと飛び上がる。

 

「あのままだとこっちに突っ込んできたとき大爆発するぞ!」

 

「でも、ツンドラストームのエネルギーはここに来るまでに全部使い切っちゃったよ。」

 

ドラえもんは困った顔をして言う。

 

この状況を打破できるのはツンドラマンから受け取ったツンドラストームしかないのだがここに来る道中、迫っていた火柱を止めるために既に使い果たしてしまった。

 

他にショットガンアイスとフロストタワーがあるがこちらでは防ぎきることができない。

 

万事休すか。

 

その間にもトーチマンが四人の真下へと落下を始める。

 

「これで終わりだ!!」

 

トーチマンは高速で四人に向かって突っ込んでくる。

 

「・・・・そうだわ!」

 

咄嗟にドラミは、自分のアームパーツからケーブルを取り出して、ドラえもんのバスターに接続する。

 

「どうするのドラミ!?」

 

「私の方はまだ使っていなかったからそれをお兄ちゃんの方に回すわ!」

 

アームパーツを通じて武器エネルギーが補充される。

 

「ドラえもん、この状況だとパワーギアだけじゃ抑えきれない。チャージも実行しろ。」

 

「うん!」

 

ゼロに言われてドラえもんは武器をツンドラストームに切り替えてチャージを開始し始める。

 

「ドラミ、エネルギーは?」

 

「今一回分なら何とか終わったわ。」

 

「よし、パワーギア!!」

 

最大までチャージするとドラえもんはパワーギアを発動させて迫りくるトーチマンに向かってジャンプする。

 

「無駄だ!我が火炎拳の前に氷など・・・・・」

 

「氷はダメでも風と一緒ならどう?」

 

「何?」

 

「パワーギア&フルチャージツンドラストーム!!!」

 

ドラえもんは一気に冷気を解放して大規模のブリザードを発生させる。

 

「ヌ、ヌオオオオオオッ!?」

 

トーチマンは一瞬防御しようとするが一瞬で纏っていた炎は掻き消され、同時に全身が瞬く間に氷漬けにされてしまった。

 

「ガッ!?」

 

身動きが取れないまま彼は地上に落下し、そのまま一時機能停止へと陥った。

 

「ハア、ハア、ハア・・・・・・」

 

ドラえもんは冷や汗をかきながらホバリングをして着地する。

 

「だ、大丈夫だった?」

 

四人は恐る恐るトーチマンへと近づく。

 

「・・・・・凍り付いていることを除けば問題はなさそうね。」

 

「だが、内部の温度はまだ高いはずだ。今のうちに運び出すぞ。」

 

幸い彼が機能停止したことによって灼熱地獄と化していたキャンプ場に涼しい風が吹き始めていた。

 

「ぴっ?ぴぃ~!!」

 

「涼しくなってビートも喜んでいるみたいね。」

 

「フフフフ、そうだね。」

 

四人は一旦トーチマンを近くの川へ連れて行き、氷を溶かしながら体内の温度を落とすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22世紀 アチモフ城 外

 

「フン、フフン。フン・・・・・・」

 

その頃、ドラメッドとドラリーニョは塔を目指して迷路の中を歩いていた。

 

「ム~ン、随分歩いたであるがいまだに塔は遠いままであるな。」

 

道具が使えないこともあって二人は歩き続けていたが途中からゴウゴウと妙な音が近づいていた。

 

「ん?この音は一体・・・・・」

 

「音?」

 

ドラメッドは後ろを振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

後ろでは大量の水が今にも二人を呑み込むほどの勢いで迫って来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずトーチマン戦終了。
流石にドラミを丸腰のままにするわけにもいかなかったのでソウルイレイザー版に近いアーマーを着せました。性能は「ロックマン3」のロックマンぐらい。

X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)

  • ネジ巻き都市
  • 雲の王国
  • 鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
  • ロボット王国
  • このままX7編へ

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