???
「ドクター、マシンの発進準備はまもなく最終シークエンスへと移ります。」
「うむ、ご苦労。」
エックスたちと別れた後、ワイリーは自分のタイムマシンと思われるブリッジに上がり、椅子に腰かけていた。
「いよいよじゃ。このワシ、Dr.ワイリーが初めて時間旅行する瞬間。そして、この世界で初めて別世界へ行く瞬間がな。」
「ですが、ドクター。ゼロの回収はいかがなさるおつもりですかな?」
シグマはワイリーのそばに着陸しながら聞く。
「なぁに、手はいくらでもある。それに・・・・ん?」
ワイリーは、コントローラーパネルをいじりながら意外そうな表情をする。
「どうなされましたかな?」
「ふむ・・・・この期に及んで懐かしい奴が連絡を入れてきおったわい。」
ワイリーはそう言うとモニターに映す。そこにはかつて同じ道を歩み、それぞれの考えの違いから決別して宿敵ともなった男の姿があった。
「お前から連絡しに来るとは驚きじゃのう、ライト。」
『ワイリー・・・・・・』
皮肉そうに言うワイリーに対してライトは複雑そうな顔をしていた。
「ワシに構っててもよいのか?今、上でお前のエックスが戦っておるのだぞ?」
『ワイリー・・・私たちはもう過去の存在だ。それなのに何故お前は今の時代になっても干渉してくるのだ?お前の子供ともいえるゼロにまで・・・・・』
「黙れい!偽善者めが!どのみちエックスがこの世界に解放された時点でどの道こうなる運命だったのじゃ。それに・・・・・お前は逃げた。懐かしきあの時代からな。」
『お前がそれを言うのか!』
「言えるとも。ワシの度重なる世界征服計画であの時代の人間どもはロボットに対する不信感を強く持つようになった。そして、ロボット連盟も過激派が大半を占めたことによってロボットに対する圧力が強くなった。おかげであの時代のロボットはほとんどが粛清された・・・・ロボット狩りでな。じゃが、ライト。お前は何をした?自分の子供たちであるロックマン含めるライトナンバーズを封印処置して姿を暗ませ、他のロボットたちを助けてやったか?んん?」
『・・・・・・・・・・』
「例え、取り締まりが始まろうともお前には今までワシの計画をことごとく阻止してきた『ロックマン』というとっておきのカードがあった。ロックマンの今までの功績を利用すれば、ロボット狩りにまで事態が至らなかった可能性も十分にあった・・・・・・にもかかわらず、お前は自分のロボットたちだけを先に保護して他のロボットたちを見殺しにした。世界ロボット連盟のロボットもコサックのロボット共もな。」
『・・・・・確かにあの時の私の判断は誤っていたのかもしれん。だが、この時代でお前は何をした!?ゼロのロボット破壊プログラムでシグマウィルスを生み出し、多くのレプリロイドたちを死なせ、世界を壊していく・・・・・お前はこれが望みだったのか!?ワイリー!!』
「そもそもエックスをベースにした時点でこの運命は抗えなかったんじゃ。じゃが、ワシは違う。お前の最後の作品であるエックスを破壊し、この世界に新たにワシの流れを汲んだロボットたちを繁栄させる。そう、お前の偽りの共存ではなく、真の意味でロボットと人間の境界線が存在しない理想の世界をな!」
『ワイリー!!』
「ワシはこのタイムマシンでゼロを迎えに行く。お前は精々取り残されるであろうエックスたちに慰めの言葉でもかけてやるのじゃな。」
『・・・・・・・』
「ワシからは以上じゃ。どうしてもというのならお前も動くがいい。昔のようにな。」
そう言うとワイリーは通信を切る。
「よろしかったのですか、ドクター。」
「ふん、ライトのことは理解しておる。あそこまで発破を掛ければじっとしてはおるまい。」
「っといいますと?」
「奴が動いてくれなければ歯ごたえがないからな。じゃから挑発したまでよ。」
「ほう、流石ドクターですな。」
21XX年 ゲイトの秘密研究所
『消エロォオオオオオオオオオオオ!!!!』
ヘルシグマは口を大きく開いて極太の破壊光線「カルネージ・エヴォーク」を放つ。エックスとマーティはしゃがんで回避すると反撃に出る。
「グランドダッシュ!」
目の前に巨大な岩を発生させ、タックルしてヘルシグマにぶつけるがヘルシグマはダメージを受けている様子はない。
『ムダダ!!』
ヘルシグマは更にスライム状のボイドを召喚して二人に向かわせる。
「くっ・・・・・いくら攻撃してもビクともしないわ!!」
マーティはバスターショットを二丁同時に使ってボイドをいくつも破壊するが次から次へと湧いて出てくるため、徐々にエネルギー残量が少なくなって行く。
「全身のいたるところに攻撃を仕掛けてみたけどどこもダメージを受けている様子がない・・・・・奴の急所はどこだ?」
エックスはヤンマーオプションを展開すると同時にフルチャージメテオレインで攻撃を続行する。このままだと二人揃ってエネルギー切れを起こしてしまう危険性がある。
『喰ラエェ!!』
ヘルシグマは、口を大きく開けて二人の足元に光淵を発生させ、緑色のエネルギーの激流で攻撃する。
「フルチャージメタルアンカー!!」
エックスはマーティを抱いて、ジャンプして激流を回避すると大量の鋼鉄製のイーグリード軍団を召喚して突撃させる。ほとんどはヘルシグマのボディに弾き返されてしまうが一部は開いた口の中へと突入する。
『ヌッ、ヌグッ!?』
「ん!?口に入った瞬間苦しんでるわよ!」
「そうか・・・・・奴はそもそも死にかけの状態から無理に動いているんだ。いくら装甲が頑丈でも中身は脆いままなんだ!」
エックスはマーティを抱いたまま、マッハダッシュで一気にヘルシグマの懐に迫ると同時にバスターを連射する。
接近してきたのをヘルシグマは一気にとどめを刺そうと口を開いてバグエネルギーを発射する。エネルギーは二人の後ろに回ると左右に分裂し、一方が二人に直撃した。
「うわあっ!?」
「きゃあっ!?」
衝撃でブレードアーマーのフットパーツから煙が噴き出しながら不時着する。
「今ので故障したか。」
エックスは着陸すると瞬時にアルティメットアーマーに換装し、ノヴァストライクを駆使して攻撃を回避する。しかし、そのたびに起こる衝撃波が二人の身体に大きな負担を与える。
『失せろ!!』
「ぐうう・・・・」
身体がギシギシ悲鳴を上げながらもエックスは、ノヴァストライクでシグマに近づいて行く。
『これで終ワリ・・・・・』
「今だ!」
エックスはヘルシグマのすぐ目の前に到着するとシャドーアーマーに切り替え、マーティと同時にZセイバーを展開してシグマの口の中へと飛び込んだ。
『ムグッ!?』
ヘルシグマは思わず口を閉じてしまうがエックスはセイバーで何度も攻撃をする。マーティは槍がダメになるとすぐにパイルバンカーに武装を変えて内部機能を破壊していく。
『ム、ムッ、ムグガァッ!?』
顔のいたるところから煙を引き出してヘルシグマは口を開く。同時に二人はそこから飛び降り、置き土産にとエックスはフォースアーマーに変わってプラズマチャージを放った。
『ガアアアァァァァァァァァァァアアアッ!?』
口が閉じるとヘルシグマは両目が吹き飛び大爆発を起こす。
「ハア・・・ハア・・・」
「何とか倒せたわね・・・・・・」
二人は尻餅をつきながらヘルシグマを見る。
『ガ、ガアァ!?無駄だぁ・・・・・・無駄だぞエックス!!もう、既に・・・・・テオクレダァ!!』
ヘルシグマから起こる爆発は範囲を広げて研究所を丸ごと吹き飛ばそうとしていた。
「まずい・・・・マーティ、走れるかい?」
「ごめん、さっきの攻撃で左足にダメージが・・・・・」
『ワンワン!』
そこへラッシュがラッシュジェットの状態で二人の元へと駆け付けてきた。
「ラッシュ!」
「助かった。これで何とか脱出できそうだ。」
二人はラッシュに捕まってそのまま研究所から脱出する。
研究所の外
研究所から2、3キロ離れた地点でスネ夫たちは双眼鏡で研究所の方を見ていた。
「研究所が爆発し始めた。」
「何っ!?本当か!?」
その言葉を聞いてジャイアンは双眼鏡を借りて見てみる。
「本当だ!のび太たちの奴、何やってんだ?急いで脱出しないと間に合わねえぞ!」
「一応、ラッシュを戻らせたから心配はないと思うけど・・・・・」
後ろではカリンカがエイリアや調査員たちと共にゲイトの修理を試みていた。
「ハア・・・・・・・ハア・・・・・・」
「ゲイト、諦めちゃダメよ。最後まで諦めないで。」
エイリアは、破損してしまった彼の動力炉を代用するため、自分と調査員たちの動力炉にケーブルで繋げてゲイトにエネルギーを供給する。
「も・・・・・・もう・・・・・・いいんだ・・・・・もう・・・・・」
「貴方は貴方の犯した罪を償う義務があるわ。それにあなたのことを大切に思っている人たちもいるんだから、そんなことを言ってはダメ。」
カリンカはエイリアをサポートしながら、脱出する際に集めてきたメカニロイドの残骸から代用できそうなパーツを使って修理を進める。
研究所が爆発する寸前、ラッシュジェットに捕まった二人が研究所から出てくるのが確認できた。
「あっ!出てきた!!」
「やった!」
ジャイアンたちは、こっちに向かってくる二人を迎える。ダメージはかなりあったようだが無事に戻ってきただけでもよかったことだ。
「よかったよかった~!!無事で何よりだぜ!」
「あぁ・・・・・でも、ワイリーたちは・・・・・・」
エックスが言いかけた直後、大きな揺れが起こる。
「じ、地震か!?」
「いや、研究所の方からだよ!!」
一同は、爆発している研究所の方を見る。研究所が爆発している中、その下から何か巨大なものが上昇しているのが分かる。
「あっ!あれってもしかして!!」
スネ夫は、その物体に見覚えがあった。
正確には本家ロックマンシリーズとはパラレルの「ロックマンワールド」シリーズに登場する、一部ではマイナー気味な知名度だが当時の流行に影響してデザインされていたこともあって一目でわかる。
「ワールド4に出てきたワイリー戦艦!?」
「「ワイリー戦艦!?」」
外伝シリーズにあまり詳しくないのかジャイアンもエックスと同時に驚く。しかし、戦艦には堂々と「W」のマークが刻まれたドクロがあり、明らかにワイリーを象徴するような造形だった。
艦橋のブリッジからワイリーは、ナンバーズ、シグマと共に地上にいるエックスたちを見ていた。
「ドクター、どうやらエックスはもう一人の私を撃破したようですぞ。」
「ふむ・・・・やはりあの程度では時間稼ぎぐらいにしかならんか。じゃが、もうこの大型タイムマシン『ワイリータイムバトルシップ』が動けばこちらの物よ!ワシらを止めることは最早できんのじゃ!ガッハッハッハッハッハッ~!!」
ワイリーは大笑いする中、ワイリー戦艦はタイムホールを展開してその中へと入って行く。
「くっ!何とか船を止めないと!」
エックスは、バスターを構えて戦艦のエンジンを狙うが既に活動維持が可能ぐらいまでにエネルギーを消耗してしまっているため、撃つことができなかった。
『ガ~ハッハッハッ!!残念じゃったな、エックスよ!!ワシらはこのままゼロを迎えに行く!お前たちはそこで今度は敵となるゼロが現れるのをゆっくりと待つのじゃな!ハ~ハッハッハッハッハッ!!』
マイクでワイリーがエックスたちに言うとワイリー戦艦はタイムホールの中へと消えて行ってしまった。
「くそ!クソォオオオオオオオオオオオオオオ!!」
エックスは止めることができなかった悔しさのあまりに大きく叫んだ。
22世紀 タイムパトロール本部
「校長先生、ドラパンの居場所について何かわかりましたか?」
本部へ戻ってきたドラえもんたちはブラストマンを治療室へ運んだあと、コンピュータールームでドラパンの居場所を割り出そうとしている校長の元へと来た。
「ふむ・・・・・残念じゃがまだわからんのじゃよ。改造されたブロックマン達の身体から摘出された装置を基に割り出そうとしているのじゃが・・・・・・ん!?」
困った顔をして操作をしていた寺尾台校長の表情が突然険しくなりだした。
「どうしましたか?寺尾台校長?」
「何者かがこのメインサーバーに不正なアクセスを仕掛けてきておる!?」
校長の言葉を聞いてリングマンは思わず目を丸くする。
「馬鹿なっ!?この本部のメインサーバーのセキュリティーがそんな易々と突破されるなんてことは・・・・・・」
『それができちゃうんだよな~~~~~これが!!私は逃げも隠れもせんよ!』
その瞬間、モニターに不審な猫のマークが表示され、その後に覆面を付けたドラパンの姿が現れた。
「お前がドラパンか!?」
『いかにも。ドラえもん、そして、タイムパトロールとその協力者の諸君。まさか、私が送り込んだロボットたちをこうも蹴散らしてしまうとは・・・・・流石と言いたいところだよ。』
「流石だと?ふざけるな!罪もないロボットたちを改造した上に操って言うことか!」
ドラパンに対してゼロは思ったことをぶつける。自分たちのいた世界と違い、平和であるこの世界が彼のために混乱に陥れられたことが何よりも気に入らなかったからだ。
『怪盗は手に入れたいものはどうしても手に入れたい質なのでね、それには手段は選んでいられないのだよ。現に彼が私の招待状通りに来てくれればこんな事態にはならなかったのだがな?』
「キッドたちをすぐに開放するんだドラパン!!」
通信越しでドラえもんはドラパンに言う。
『フン、私は君も含めるドラえもんズの友情が欲しいのだよ、ドラえもん!!よって、君の仲間たちを解放したければ我が居城 アチモフ城に来るがいい!!ポイントはそちらに送る。おっと、だからといってタイムパトロール総出で行こうとは思わないことだな!そうした瞬間・・・・・・・君たちが私に近づくたびに一人ずつドラえもんズを破壊する。これを見るがいい!!』
ドラパンはマントを靡かせながら後ろを見せるとそこには黄金像と化したドラえもんズがいた。
「キッド!?」
「なんてひどいことを・・・・・・」
その姿を見てドラミとアイリスは唖然とする。
「うぅ・・・・・・わ、わかったよ。僕たちだけで行く。」
『フフン、いい返事だ。君たちのことを手厚く歓迎するぞ。ナ~ッハッハッハッハッハッ~!!』
そう言い終わるとドラパンからの通信が切れる。
「・・・・校長先生、僕たち行ってきます!」
「うむ。どうやらドラパンの居城は送られた座標を見る限り、常に移動しているようじゃ。奴がわし等のことを警戒しているのはほぼ間違いない。気を付けていくのじゃよ。」
「はい。」
「早いところ、アイツらを解放してやらないとな。」
ドラえもんたちはそう言うと座標がインプットされた転送装置に乗り始める。
「私も行こう。」
「リングマン?」
「・・・・・・この際だ。言おうと思っていたことを言おう。ドラパンが狙っているのはドラえもん・・・・・君の所持している親友テレカだ。」
「親友テレカが!?」
「どうやら彼は親友テレカの未知なるエネルギーを使ってシグマウィルスを改造して、世界中のロボットに感染させて奴隷にしようとしているんだ。」
「シグマウィルスだとっ!?」
リングマンの言葉を聞いてゼロは思わず驚くものの、これで死亡したはずのVAVAたちがこの世界に連れてこられた理由が納得できた。
「でも・・・・その情報は誰から教えてもらったんですか?」
「・・・・・以前ゼロには話したが私にはツンドラマンも含めて8人の兄弟がいた。」
「だが・・・お前のいた世界で起きたロボット狩りでお前と奴を除いて全員破壊されたんじゃないのか?」
「ビートがいるだろ?実はビート自身も博士たちとは合流していなかったんだ。飽くまでも仮説だが機能停止していたことが幸いしてロボット狩りから免れた兄弟の近くにいたおかげで一緒に回収されたのだろう。私たち兄弟の中で唯一本格的な戦闘型として生み出され、皆に看取られて安らかな眠りについたはずの男・・・・・スカルマンだ。」
「会ったのか!?そいつと?」
「うむ。アイツは、自分の身の危険も顧みずに私にこの情報と僅かだがワクチンプログラムを提供してくれた。だから、同じ兄弟として止めたい。・・・・・・もう、あの時のようなことはしたくないんだ。」
リングマンは真剣な顔で真実を言う。
「でも、親友テレカを狙っているとなると確実にドラえもんさんが狙われることになるわ。」
「そうだな、ドラえもんにしか使えない道具なんだろ?だとすれば、行ったとしても・・・・」
「ちょっと待って!」
ドラミは何か突然閃いた。
???
『ワイリー・・・・・どうしても、お前が考えを変えないと言うのならわしにも考えがある。』
電脳空間の中でライトはどこかのサーバーへと入り何かを操作していた。
『うむ・・・・・アレを遠隔操作するにはやはり誰かを起こすしかないか。』
ライトはコードの入力を始める。
『あれに戦闘力はないが・・・・・・改修すれば、タイムマシンとして運用することが可能なはずじゃ。』
電脳空間の中でライトはひたすら作業を続けるのであった。
とりあえずX6に当たる内容はここで終わりますがまだ終わりません。
ヘルシグマ・・・・・・ノーマルエックスだと十分強いけど余程の縛りをしない限りは・・・・・・・おそらく歴代シグマの中で一番弱い(汗)。
自分もアルティメット、シャドー(ブレードも一回)で何度も倒したのであまりにも強敵感がない。
X6編後に展開予定の劇場版編で次のうちどれがいいと思いますか?(飽くまで現在投票の中で二票以上入っているものの中での取り決めです)
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雲の王国
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鉄人兵団(現段階ではリメイク版)
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ロボット王国
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