ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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X7編スタート・・・・・・の前に前の分は多分本作をちゃんと読まないと分からない展開。


ロックマンX7
ある苦悩と決意


???

 

俺が最初に戦ったのは上司であり、後に様々な戦いを暗躍する奴との戦いが始まりだった。

 

かつて俺のことを『甘ちゃん』として見ていた多くの同僚たちが彼に着き、俺とゼロは終わることのない戦いへ身を投じることになる。

 

最初の戦いでゼロは、VAVAを道連れにするために自分の命を犠牲にした。

 

バスターを託された俺は、死闘を繰り広げながらも奴を倒し、一時の平和を取り戻した。

 

この時から俺は、『戦いたくない』という感情を押し殺しながら戦うことになる。

 

『カウンターハンター事件』

 

『ドップラーの反乱』

 

『レプリフォース大戦』

 

『ユーラシアコロニー落下事件』

 

『ナイトメア事件』

 

終わりない戦いが続いた。

 

『カウンターハンター事件』では、カウンターハンターにゼロのコントロールパーツを奪われ、奴らの基地で激闘を繰り広げることになった。

 

最終的にゼロを正気に戻すことができたがイレギュラーになったとはいえ、多くの同僚たちを再び殺めた。

 

『ドップラーの反乱』では、洗脳されたとはいえ関係のないレプリロイドたちを殺めた。

 

その中には俺が以前倒したイレギュラーの弟もいた。彼は俺のことを内心憎み、ドップラー博士の軍門に下って俺を倒そうとした。説得したものの彼は結局俺に破壊されることになった。

 

「なんで・・・・・・俺たちレプリロイドは感情を持っちまったんだろうな・・・・・感情さえなければこんなに辛い思いせずに済んだのによぉ・・・・・・」

 

彼は、断末魔に俺のことを見ながら爆散した。

 

心が今に押し潰れそうになった。

 

最終的にドップラー博士は正気には戻せたものの、彼は奴をこの世から消すために運命を共にした。

 

 

何故・・・・・何故、戦いが終わったのにこんなにも苦しいんだ?

 

 

『レプリフォース大戦』では、レプリフォースの士官たちとの戦いで彼らの考えに疑問を持った。

 

ジェネラルの掲げた「レプリロイドの理想国家」のイメージは、彼らから全くと言っていいほど湧かなかった。誰もが己の楽しみのために戦い、ある者は俺の話を聞こうともしなかった。

 

一番ショックを受けたのは、俺の部隊に配属された新入りのダブルが奴のスパイだったことだ。

 

奴は、俺がジェネラルの身柄を拘束するために衛星に向かった際に部下を皆殺しにし、最終的に俺にまで襲い掛かってきた。俺は、信じられないという感情で戸惑いながらも彼を処分した。

 

 

最初からスパイとして?

 

 

信じていたのに・・・・・・・信じていたのに何故、裏切られるんだ?

 

 

又も黒幕は奴で衛星はジェネラルの犠牲で地上に落下することなく、宇宙で砕け散った。

 

ここで救いだったのはゼロが殺めてしまったと思われていたオペレーターの少女が息を吹き返したことだ。今、彼女はゼロの専属オペレーターで彼の事を支え、俺以上に頼もしい存在になっている。

 

 

『ユーラシアコロニー落下事件』では、奴のせいでウィルスが世界中に拡散されてしまった。

 

おかげで同僚以外の多くのレプリロイドたちがウィルスの犠牲になった。俺の組織は過去の大戦のせいでほとんどのメンバーを失い、部隊制は廃止となったがそれでも喪失感は半端なかった。

 

奴に雇われた傭兵については本当に何を考えているのかわからない男だった。

 

ゲーム感覚だと?そんなもののために、こんな戦いを・・・・

 

奴の操作で地球に激突しそうになったコロニーは、俺とゼロの協力で何とか阻止することに成功した。だが、その傷跡は凄まじく、今でも復興できていないエリアが数多く占めている。

 

この戦いでゼロは危うく何かに目覚めそうになったが何とか振り切り、俺たちは死にかけながらもなんとか奴を倒すことができた。

 

このとき、ゼロは一時生死不明となり、俺は彼のセイバーを握り締めながら彼女に謝った。

 

「大丈夫、彼はきっと帰って来るから。」

 

彼女は、そう言って俺を慰めると形見ともいえるセイバーを預けた。

 

俺は、ゼロの生存を信じて戦う覚悟を決める。

 

 

『ナイトメア事件』では、正体不明のナイトメアの被害を食い止めるべく単独で調査員のエリアへ乗り込んだ。

 

調査員もまた俺の手で破壊することになった。

 

ある者は被害者なのにもかかわらず、説得ができないと判断して止むを得ず処分する。

 

 

なんでだ?なんで戦おうとするんだ?俺は戦いたくないのに。

 

 

途中で行方不明だったゼロと合流し、俺は無事に事件を収束させることができた。

 

ただ・・・・・本当にこれで良かったのだろうか?

 

エイリアの同僚だったゲイトを助けることもできず、彼の作ったレプリロイドたちも何もしてあげられなかった。

 

俺はその場で前向きに言ったものの心は既に限界へと近づいて行った。

 

 

 

その後も何度もイレギュラーは、現れ続けた。

 

話をしても聞く耳を持たず、最終的には俺自身の手で破壊する。

 

同じレプリロイドであるはずなのに。

 

どうしてわかってくれないんだ。

 

 

 

どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして

 

 

戦いたくない。

 

戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない戦いたくない

 

 

俺は、とうとう限界を迎えて自ら引き金を引くことを恐れるようになった。

 

もっと別の方法があるのではないか?

 

何故戦うことしか選ばない?

 

何故?

 

何故!?

 

どうして!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、エックス!しっかりしろエックス!おい!!」

 

俺はある日、相手の目の前で引き金を引けなくなりイレギュラーに撃たれた。

 

幸い致命傷にはならず、すぐに復帰できるほどになったが俺は自ら前線から離れることを選んだ。ゼロは特に何も言わなかったが他のみんなは不思議そうな顔をしていた。

 

唯一エイリアは、俺に気遣ってくれている。ゲイトを助けられなかったのに。

 

それ以来、俺は前線には出ず、後方からの隊員の指導に回るようになった。

 

ここ最近、奴も現れていない。できるなら、もうこのまま戦いから身を引きたいとも考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのに、今日ときたら、また災難が転がりこんてきた。

 

俺が前線を退いたことで台頭し始めた非合法組織の自警団から逃げてきたレプリロイドが亡命してきたのだ。

 

そのレプリロイド アクセルの言い分は騒動を起こしたにも拘らず、仕方ないと言ってきたのだ。これには頭に来たがここで最も厄介だったのはコイツの下の所属先であるレッドアラートからのハンター勝負と言う明らかに無駄な争いの提案だった。

 

組織のリーダーであるレッドは、俺のことを煽っていたがそのことはどうでもいい。アクセルと俺たちは無関係なんだ。戦う理由なんてない。どうして・・・・・・

 

「そうだ!さっき、罪を償えって言ったよね、エックス!じゃあ、僕をイレギュラーハンターにしてよ!ゼロとのコンビネーションもバッチリだし!なんと言ってもレッドアラートの事なら任せてよ!」

 

アクセルのあまりにも感じる言葉についに俺の堪忍袋の緒が切れた。俺は、無意識に非武装の彼の顔面を殴り飛ばした。その光景にエイリアは愚かシグナスたちも呆気に取られていたが俺の爆発した感情は収まらない。

 

「罪を償うだと?ふざけているのか!?元はと言えばお前がレッドアラートを脱走してきたことが原因じゃないか!!」

 

俺の顔を見て何かを恐れたのかアクセルの顔色は急に悪くなったように見えたが俺は話をやめない。

 

「俺は、イレギュラーハンターとして今まで戦ってきた!同じレプリロイドを!何度もこの手で!!」

 

司令室で怒鳴り散らす俺を見てエイリアも止めようとしたが余程俺が恐ろしい形相をしているのか怯えて近寄ってこない。

 

「だが、何度も戦いは終わらない!!残るのは罪悪感と相手を破壊してしまったことへの後悔だけ・・・・お前はそれを感じたことがあるのか!!かつて、同じ同僚だった・・・・・仲間たちを自分の手で・・・・・・お前は同じことをしようとしているんだぞ!!」

 

「・・・・・・・」

 

「聞いているのか!!」

 

「エックス。」

 

ゼロが俺の肩に手を置く。俺は、我に返りアクセルに怒鳴るのをやめて彼の方を振り向いた。

 

「ゼロ・・・・・」

 

「お前の言い分は分かっている。お前と一緒に戦ってきた仲だからな。確かにアクセルがこれからやろうとしていることはかつての俺たちがやることと同じことだ。だが、それをどう受け止めるかはコイツ次第だ。」

 

「・・・・・けど。」

 

「少し落ち着け。その状態じゃ、連中にいいように付け込まれるぞ?」

 

「・・・・・・すまない。」

 

俺は、アクセルから手を放して司令室から出ようとする。その際、尻餅をついて拍子抜けになっていたアクセルの方へと向きなおる。

 

「悪かったな。流石に今のは言い過ぎたよ・・・・・けど、戦った後に後悔するのは・・・・もう嫌なんだ・・・・」

 

それだけ言うと俺は司令室を逃げるように出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か、アクセル。」

 

エックスが去った後、ゼロはアクセルに手を貸す。

 

「う・・・・うん、ありがとう。」

 

エックスの態度を見て唖然としていたアクセルだったがゼロに手を差し出されたことで我に返り、立ち上がる。

 

「あのさ・・・・エックスって、いつからああなったの?」

 

「前の事件が終わってから少し後だ。戦いばかり続けてきたせいですっかり荒れてしまってな。」

 

「ゼロ!いくらあなたでもその言い方はあんまりよ!!」

 

冷静になれたのかエイリアは、ゼロの言った言葉に対して注意する。

 

「わかっているさ。アイツは、俺よりも傷つきやすい。それだけにかつての仲間や知っている奴を倒すとなるとそれだけで心がすり減って行く。助けられなかった後悔と罪悪感でな。」

 

「ゼロ・・・・」

 

「俺も一時はそうなりかけた。友をこの手で倒したあの日以来からな。今はある程度けじめをつけているが。」

 

ゼロはそう言うと、預かっていた彼の銃を手渡す。

 

「えっ、いいの?」

 

「ここで指を咥えていても仕方ないからな。アイリス、ここから一番近い奴の座標を確認してくれ。」

 

「はい。」

 

ゼロに言われてアイリスは、すぐにレッドアラートの構成員の座標ポイントを割り出す。

 

「ここからだとラジオタワーの方かしら?」

 

「そうか。」

 

「でも、今転送装置のメンテナンス中だからライドチェイサーでの移動しかないわ。」

 

「わかった。すぐに2台発進できるよう手配してくれ。」

 

「えぇ。」

 

ゼロは、彼女の方を一目見るとそのまま司令室から出て行く。

 

「ぼ、僕も一緒に付いて行っていいよね?」

 

「勝手にすればいい。だが、捕まっても助けたりしないぞ?」

 

「言ったね?さっきだって見せたでしょ?僕の実力をさ!!」

 

そう言うとアクセルも彼の後を追って司令室を出ようとする。その際にアイリスに呼び止められた。

 

「アクセル。」

 

「ん?何?」

 

「・・・・ゼロのことをよろしくね。」

 

「うん!任せてよ!!」

 

アクセルは返事をすると走って格納庫へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・俺としたことが会ったばかりのアクセルに八つ当たりをするなんて。」

 

俺は、歩きながら自分のやった行為を後悔した。

 

あの罪悪感をあまり感じさせない態度に腹が立っていたのか、それとも自分と同じ思いをさせたくないと感じてやってしまったのか今の俺にはわからない。

 

あそこまで怒鳴ってしまっては今後誰も俺に口聞いてくれなくなるだろうな。メディカルルームで仮眠でも取るか。

 

「おっ、エックス。丁度いい所へ来たな。」

 

メディカルルームへ向かう途中で差し掛かった転送装置の部屋の前で俺はダグラスに呼び止められた。

 

「ダグラス・・・」

 

「いや、実は転送装置の調子が悪くてメンテナンスしてるんだけどよ・・・・人手が足りなくてさ。ちょっと手伝ってくれないか?」

 

「俺でいいのか?そこまで詳しくないけど・・・・・」

 

「心配ねえよ、飽くまで基本的な部分の部品を交換するだけだから。」

 

「そうかい?」

 

さっきのこともあって俺は、気を紛らわすため彼の手伝いをすることにした。

 

ハンターベースは、設立した当初は全てが当時の最新鋭の設備として使われていたが過去の大戦や事件で人員が多く減少したこともあってかつてこの部屋で働いていたメカニックも彼を含めて僅か数名になっていた。

 

「ここのパーツは、こっちと取り換えればいいのかい?」

 

「おう、後そこの配線は切らないようにしてくれよ。そんなことしたらエネルギーが逆流して変なところへ転送されちゃうからな。気を付けて扱ってくれよ。」

 

そう言えばダグラスと話すのはずいぶん久しぶりだったような気がする。前線で戦ってた時はよくメンテナンスとかしてもらっていたから会っていたけど、退いてからは顔合わせ程度しかなかったからな。

 

「エックス・・・・お前、最近本当に前線に出ていないようだけど大丈夫なのか?」

 

「・・・・」

 

「勘違いするなよ?俺は、別に戦って来いって強制しているわけじゃねえんだ。でもよ・・・・・・ここ最近、ゼロが一人で頑張ってくれているようだけどそれでも手に負えねえところが増えてきているらしいんだ。」

 

「そうなのか?」

 

「あぁ、エイリアの方もお前のことを気遣って最近、戦闘できるようにボディの改修受ける予定を考えているようだし。」

 

「エイリアが!?」

 

「聞いてないのか?オペレートはアイリスに任せられるから一人でも戦える奴が多い方がいいって・・・・」

 

聞き覚えの無い話を聞いて俺は、動揺する。自分が知らないところで彼女がそんなことを考えていたとは知りもしなかった。

 

そんなことを聞きながらもとりあえず転送装置のメンテナンスが完了した。

 

「よし、何とか直ったな。最近は部品の互換性で接触不良を起こすことが多かったが今回は問題なさそうだな。」

 

ダグラスはそう言うと電源を接続し、転送装置を起動させる。

 

「エックス、早速で悪いけど転送のテストを行いたいから装置の上に乗ってくれないか?」

 

「あぁ、わかったよ。」

 

俺は、転送装置の上に乗る。

 

「転送先は・・・・・まあ、そう遠くないセントラルハイウェイでいいな。あそこなら、ゼロがイレギュラーを倒した後だし戦闘もないだろ。」

 

ダグラスは、そう言うと転送先を登録し、俺を現場に転送しようとする。

 

だが、装置の上に乗っていた俺は何かおかしいことに気が付く。

 

「なあ、ダグラス。なんか調子が変じゃないか?」

 

「それはないはずだ!?だってパーツは全部・・・・・・あっ。」

 

ダグラスは足元に取り付けたはずのパーツが転がっているのに気が付く。最終点検の際、取付忘れたのだ。

 

「ヤバッ・・・・・エックス、早く装置から降り・・・・」

 

ダグラスが何かを言いかけた直後、俺はどこかへと転送されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドラえもん のび太の転生ロックマンX7 ニューヒーローと二人の青い英雄』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21XX年

 

ナイトメア事件からしばらくの月日が流れ、人類都市並びに再建中のチャモチャ星へと移り住み、レプリロイドはイレギュラーハンター、そして、再編されたレプリフォースの連携により地上の復興作業は順調に進められていた。

 

だが、Dr.ワイリー並びにこれまで大戦の黒幕であったシグマの不在にも拘らずレプリロイドによる犯罪も増加の傾向を辿っていた。この裏には時間犯罪者も関与しているのではないかと言われている。

 

イレギュラーを取り締まる公式組織「イレギュラーハンター」。

 

これまで前線で幾度となくイレギュラーを討伐してきたエックスはある日を境に突如と第一線に姿を見せなくなった。

 

これまで組織の中心を担ってきたエックスが欠けたことでイレギュラーハンターは、戦力がダウン。そこを付け込むかのようにレプリロイドのみで構成され、非合法にイレギュラーを狩る自警団「レッドアラート」が活躍を始める。

 

経歴不明のリーダー「レッド」を中心とする「レッドアラート」は、一般レプリロイドたちからも一目置かれる存在にまで成長する。

 

そして、この日も・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セントラルハイウェイ

 

夜。

 

曇り空で星が光らぬ中、セントラルハイウェイの傍にそびえる高層ビル。

 

そのビルを見る二人の人影があった。

 

「始めるぞ、準備はいいか?」

 

一人は、大鎌を持った紅いアーマーのレプリロイド。もう一人は漆黒のアーマーに後頭部から癖の強い頭髪を出した少年型レプリロイドだった。

 

「いつでもOKさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らが乗り込もうとしているビルの中の一室では、ある取引が行われていた。

 

机には二人の男が座っている。相手をしているのは帽子とコートを纏った老人のような風貌のレプリロイド “アルス”。イレギュラーの業界の中では、ギャングとして知られている男だ。彼の傍には長年彼に付き添い、右腕である紫の長髪に頭部にヘッドギアを付けた青年タイプのレプリロイド シーダが取引を見守っている。

 

そして、相手はなんと人間であった。

 

彼は黒いスーツに黒マスク、そしてテンガロンハットを被った男で後ろには帽子を除いてはほぼ同じ容姿の数名の部下を引き連れている。

 

彼らは、かつて『恐竜ハンター』と言う太古の時代において古代生物を捕まえ、非合理にマニアである富豪たちに売りさばく犯罪組織だった。だが、ある失敗により白亜紀時代の基地はタイムパトロールに発見され、この男も逮捕。他の時代の基地は残っているとはいえ、中心を担ってきた彼の損失で組織は弱体化してしまっていた。しかし、ここ最近リーダーであるこの男が脱走したことにより、組織は再編され、今は別の仕事を請け負いながら活動を再開していた。

 

「これが例の品だ。」

 

アルスは、男の目の前に持っていたアタッシュケースを置く。男はゆっくりケースを開けると中の品を確認する。

 

「ほう、これがウィルスプログラム『Σ-02』。確かに受け取りました。」

 

男は物品を確認すると後ろにいる部下に手渡し、今度は自分たちの方から別のケースを彼に渡す。アルスはケースを開けると中には金銀以外にこの時代では手に入らない最新の武装が入れられていた。

 

「これは・・・・・」

 

「お約束通り、取引は成立です。その最新の装備は貴方方に差し上げましょう。しかし、流石アルス殿ですな。特S級の非合法品であるこれを予定通りに手に入れてくるとは、お見事なものです。」

 

男は、取引を終えると次の話を持ち出してきた。

 

「さて、アルス殿。貴方ほどの人材をこの世界に置いておくには実に惜しい。よろしければ、今我々がやっているビジネスに手を貸していただけませんかね?」

 

「なんじゃと?」

 

「我々の世界ではあなたの護衛のようなロボットは生産が厳しいものでしてね。貴方方レプリロイドのような人材を欲しているのですよ。シーダ殿のような者がこちらに来ていただければタイムパトロールの事を気にせずに取引を行えます。」

 

「アルス、どうする?」

 

男に持ち掛けられた商談にシーダは、アルスの方を見ながら聞く。

 

「・・・・して、見返りは?」

 

「勿論、これまで以上に合う対価を差し上げましょう。それだけではありません、貴方をこの荒廃した世界から優雅な生活を送れる世界へお連れすることも構いませんよ?如何ですかな?」

 

「ふむ・・・・・・・」

 

アルスは、少し考える。この世界にいればいずれはイレギュラーハンターの手で処分されかねない。ギャングの中で名を馳せているとはいえ、彼自身そこまでの戦闘能力を持っているわけではない。なら、自分が優雅に暮らせる安全な場所に映るのも一つの手ではないかと言う結論が出た。

 

「・・・・シーダ、メンバーのリストを製作するのにどれだけ時間がかかる?」

 

「そうだな・・・・連絡を取り合わなければならないが一週間でなら20名以上は集められるだろう。」

 

「うむ、ならば問題ないな。」

 

どうやら商談に応じるようだ。その様子を見て男は満足そうだった。

 

「では、交渉成立ですな。」

 

男とアルスは握手を交えようとする。

 

 

 

だが、その直後近くで爆発の音がすると同時に振動が部屋を襲った。

 

「な、なんだ!?」

 

この取引計画は、厳密に立てたもので外部から漏れることはないはずだ。爆発の振動に男たちの方も動揺していた。

 

「何が起こったんだ?」

 

「わかりません。」

 

「様子を見てくる。ここで待っていてくれ。」

 

シーダはそう言うと取引で入手したレーザーライフルを手に取り部屋を後にしていく。

 

「アルス殿、この商談はまた次の機会にしましょう。」

 

男は、そう言うとタイムゲートを開けて撤収を始める。

 

「止むを得んな。」

 

「次の取引は一週間後、腕利きのいい者たちを期待していますよ。」

 

そう言うと男はタイムゲートの中へ入り、その場から消えて行った。それを見届けるとアルスはケースを手に持ちシーダが戻ってくるのを待とうと思ったが爆発音が近づいてきたため、仕方なく事前に何か起こった場合に合流する予定だったポイントへと逃げて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ、何故ここが分かったんだ!」

 

シーダは、舌打ちをしながら爆発が起こった方へと急ぐ。この計画は自分とアルスのみにしか知らないはず。外部から漏らした覚えもない。にもかかわらず、何故ここが襲撃されたのか見当もつかない。

 

やがて、爆発した現場に着くと彼は煙の方を見ながらレーザーライフルを構える。

 

「何処から知ったか知らないが・・・・消えてもらう!」

 

彼は標的を捉え、引き金を引いた。

 

だが、レーザーは標的に届く寸前に何かに弾かれる。

 

「何!?」

 

正確に狙ったものが跳ね返されたことに動揺したシーダは、もう一度撃とうとするがその前に煙の中から飛んできた何かが体に突き刺さる。

 

「グワッ!?」

 

彼はそのまま壁に衝突する。煙の方を見ると二つの人影が見えるのが分かる。

 

「何だ・・・・・お前たちは・・・・・他の手のものか?」

 

シーダは、突き刺さったビームサイズを引き抜こうとしながら相手に聞く。向こうは銃を構えながらこう言った。

 

『・・・・・・「レッドアラート」。聞いたことぐらいあるよね?』

 

その声と同時に銃声が辺り一帯に響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、アルスは合流ポイントである倉庫へ無事到着していた。

 

「ハア・・・ハア・・・・ここなら安全か?」

 

元々早く動けるように作られていない彼は、息を荒くしながら周囲の安全を確認する。

 

「ぬう・・・・・誰かが情報を漏らしたこと以外考えられん。」

 

そう言ったのも束の間後ろに何者かの気配を感じた。

 

「ん!?だ、誰だ!?」

 

先ほどまで感じられなかったことにアルスは思わず後ろを振り向く。

 

「俺だよ、アルス。」

 

後ろにいたのはシーダだった。流石に緊迫した状態が続いたこともあってか、彼はホッと息をする。

 

「何だ・・・お前か。突然出てきたから驚いたではないか。」

 

「悪い。ここもいつ見つかるかわからない。場所を変えよう。」

 

二人は、急いでその場所を後にして行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し移動すると彼らは、仮のアジトの近くにまで逃げることができた。

 

「・・・・・しかし、どうして情報が漏れたんだ?完璧な計画だったのに・・・・・・」

 

アルスは、未だに計画が外部に漏れていたことに不満を感じる。取引のことについては誰にも情報を漏らした覚えはなかった。そう言って歩いているとシーダは突然足を止めた。

 

「ん?」

 

足を止めた彼にアルスは不思議そうに振り向く。

 

「どうしたシーダ?さっきから黙っているが・・・・・」

 

アルスの問いに対し、シーダは右手を構える。すると何も持っていないはずの右手に拳銃が現れた。拳銃は、自分の急所を狙っている。

 

「ど、どういうつもりだシーダ!?」

 

「・・・・・」

 

銃を向ける彼にアルスは動揺する。

 

彼は自分が手を込んで育て上げた凄腕のギャングだ。元々不採用として処分されかけたところを救ってもらったこともあって、彼はアルスに親に近い感情を持ち、アルス自身もシーダのことを息子のように思っていた。それだけに裏切るなんて有り得ない。

 

だが、彼はまるで獲物を狙った狼のようにアルスに銃を向けて、引き金を引く。

 

急所を撃ち抜かれたアルスは膝を付いてその場に倒れた。

 

「・・・・フッ、全く気付かなかったね。」

 

シーダは、倒れたアルスを見ながら言う。

 

「し、シーダ・・・・・・・お、お前が・・・・裏切っていたのか・・・・」

 

「『違うよ。』」

 

次の瞬間、シーダの声が別の声と重なった。アルスは一瞬何事かと目を見開くが目の前にいたシーダの身体が光りだし、全く別のレプリロイドの姿へと変貌した。

 

「アイツは、さっき処分した。結構な腕前だったようだけどレッドと僕が来たのが運の尽きだったね。」

 

「な・・・・・ど、どういうことだ・・・・・・その能力は・・・・一体・・・・・」

 

アルスが言おうとした直後、レプリロイドは引き金を引いて彼の頭部を貫いた。倒れたのを確認すると早速残骸をばらし、あるものを取り出した。

 

「ご苦労だったな、アクセル。」

 

「レッド・・・」

 

アクセルと呼ばれた少年型レプリロイドは、手に入れたDNAデータの端末をレッドに手渡す。

 

「まあ、こんなものか。」

 

そう言うとレッドは、引き揚げ始める。その後ろをアクセルは付いて行く。

 

「・・・・・・・あのさ、レッド。」

 

「なんだ?」

 

「そのDNAデータどうするの?」

 

「さあな。」

 

「また、センセイの所へ持ってくの?」

 

「持って行っちゃ悪いことでもあるのか?」

 

「いや・・・・そうでもないけど・・・・」

 

アクセルは、少し気まずそうに言う。そんな彼をレッドは特に気にしている様子はない。

 

「明日もまた仕事だ。今日はしっかり休んでおけよ。」

 

「う、うん・・・・」

 

レッドの後姿を見ながらアクセルは何か物悲しい顔をする。

 

(やっぱり・・・もう、元には戻れないんだね・・・レッド・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の夜 

 

アクセルは、ひっそりとレッドアラートの基地から脱走し、通称『レイ・トラップ』と呼ばれる危険地帯の前に来ていた。

 

「さようなら、レッド・・・・絶対にハンターになってやる!」

 

彼はその決意を胸に秘め、セントラルハイウェイへと続くこの地帯をひたすら走り抜ける。




次回はOPステージ。
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