サイバーフィールド
エックスがリングマンに助けられていた頃、ゼロとアイリスはサイバーフィールドの中へダイブしていた。
「ちっ、ここも違うか。」
ゼロは、舌打ちをしながら元来た道を引き返す。このサイバーフィールドは、かつてエックスとドラえもんがクジャッカーを討伐する際に乗り込んだサイバースペースとは違い、特殊な仕掛けが施されている。光るパネルの上でジャンプすると裏側の方に転送される。それだけならまだいいのだが転送時に運動回路が干渉を受けているのか、回路が逆に作動するようになり、非常に戦いづらくなってしまうのだ。
「アイリス、レイヤーとの通信は回復したか?」
中間地点にまで戻ってきた彼は、電波障害の影響で使えなくなった通信を何とか復旧しようとしているアイリスの元へ来る。質問に対してアイリスは、困った顔をして首を横に振る。
「駄目だわ、何度も周波数を合わせてみたんだけどこっちからの連絡は届かないみたいなの。」
「・・・・これなら、ライトットに通信機の性能アップでも頼んでおくべきだったな。」
ハンターベースのレイヤーと通信をすることができないまま、二人は慣れない空間の中を進んでいく。
???
光のトンネルを進み続け、ドラえもんたちはようやく出口に差し掛かった。
「ここからが本番じゃ。気をつけんとお陀仏じゃぞ。」
一同は光のトンネルから出るとトンネルは直ぐに消えてしまった。
「ここがのび太の心の世界か・・・・・って、あれ?」
スネ夫は周囲を見回しながら拍子抜けする。
一同が出た場所。
それは懐かしい空き地だった。
「ここって昔の空き地じゃないか!?」
「想像力乏しいのやら思い出に浸りたいのか・・・でも、本当に懐かしいな。」
「本当ね、今は工事現場の資材置き場になって面影も残っていないものね。」
ジャイアンたちは、空き地を見渡しながら言う。その一方でワイリーは、ポケットから何かの探知機を取り出して調べ始める。
「なにそれ?」
「何って、探知器に決まっておるじゃろう。エックスの正常な脳波に合わせて奴の意識がどの辺にいるのか突き止めておるのじゃ。」
形は、どことなくド〇ゴンレーダーに似ている。ワイリーはボタンを回しながら反応がある場所を突き止めていると大きな二つの反応が出た。
「ふむ、ここから随分離れているのう。」
「どっちがエックスなのかわかるの?」
「馬鹿者が。どっちもエックスに決まっておるじゃろう。本物偽物の違いなどないわい!」
マーティの質問に対して答えると彼はまたポケットの中に手を突っ込む。そして、一つのカプセルを目の前に投げるとドクロマークが入った移動ユニットが出てきた。
「あっ、ロックマン7に出てきたワイリーカプセル!」
「ワシも歩いていては面倒だからな。悪いがこれで移動させてもらう。フォルテ、お前はゴスペルと合体して付いて来い。シャドーマンとクイック・・・・アイツめ、もう勝手に行きおったわ。」
ワイリーが言った頃には既にクイックマンの姿だけなかった。ワイリーナンバーズきってのスピードの持ち主であるセブンスのターボマン以上ともいえる速さは伊達ではない。
ドラえもんたちもタケコプターを取り付けて移動を始める。
「のび太~~!待ってろよ~今すぐ行くからな~!!」
「のび太く~ん!」
サイバーフィールド
ゼロとアイリスは反転した床を歩きながら次の転送ポイントへと到着する。
「やっと最深部まで近づいてきたな。」
「そうね、でもここまで慣れると戻った時大変じゃないかしら?また、元の習慣に戻るまでにすごく時間かかりそう。」
やっと反転した時の動きに慣れてきた二人だったがサイバーフィールドから出た後元のように動かせなくなるのではと少し不安を感じる。人間の場合、不慣れな環境でも一週間ぐらいかかれば適応できるようになるらしいが今度は元の習慣に戻るのが大変になるらしい。
「最悪な時は、ゲイトたちに頼んで調整してもらうさ。そうすれば短い期間で元に戻れるだろう。」
二人は最深部への転送台に差し掛かろうとしたとき、背後にカプセルが設置されてあることに気が付く。カプセルを開くと早速ライトが姿を現した。
『ゼロ。』
「また会ったな、Dr.ライト。まさかこんなところにまで来るとは。」
『うむ、実は少し調べたいことがあってな。ちょうど君たちの反応があったからここで待っておったんじゃよ。』
「調べたいこと?」
『別世界のエックスのことについてね。君の話を聞いた情報ではエックスは転送装置の誤作動でこの世界に飛ばされてきた。だが、わしにはただの偶然とは考えられないのじゃ。』
「だから、独自に調べているというわけなんですね。」
『その通りじゃ。このカプセルにはグライドアーマーのヘッドパーツが入っておる。このヘッドパーツは、エネルギーの吸収をより強化しており、ボディパーツと併用して使えば長期の戦闘を可能にすることができる。』
「そうか。だが、俺達にはまだ先にやることがある。」
『わかっている。カプセルは君たちが戻ってきたとき、パーツを受け取れるようにここに残しておく。この件が片付いたらわしもエックスと話したいと思っておる。その時までロールに負担をかけてしまうがあの子にもそれまで頼むと言っておいておくれ。』
「あぁ・・・・ところでDr.ライト。一つ気になる質問をしたい。」
『ん?』
「アンタも把握しているだろうがジジイの奴がこの世界に戻ってきたという情報はないか?」
『ワイリーが?』
ゼロの質問にライトは口を開けて驚く。
「あのジジイ、俺たちの結婚式のときに兄弟をよこして以降、何の音沙汰もないからな。もしかして、こっちの世界に戻ってきて何か企んでいるんじゃないかと思ってな。何か知らないか?」
『いや、わしも彼がドラえもん君たちの世界に行ったのは把握しておるがこっちの世界に戻ってきたという情報はない。ただ・・・・』
「ただ?」
『情報収集目的だと思われるがシェードマンがこっちの世界に戻ってきておる。ワイリーの命令で動いていると考えられるが彼が何を企んでいるのかはわしにもわからん。』
「・・・わかった。少なくとも今回の件は奴じゃないのは間違いなさそうだ。時間を取らせて悪かったな。行くぞ、アイリス。」
「えぇ。では、ライト博士。また。」
『二人とも気を付けるんじゃぞ。』
ライトは去っていく二人を見送るとカプセルを閉じる。
転送装置を通じて先へ進むとそこにはアリクイ型のレプリロイドが待ちかまえていた。
「フォ、フォフォフォッ・・・・よく来たのう。真の運命を忘れし者よ。」
彼は、何もかも知っているような目で二人を見つめ、意味深な言葉を吐く。
「真の運命を忘れただと?悪いが運命なんて言うのは信じる気はない。例え決められたものでもな。」
「幾重にもプロテクトされていたお前さんのデータから垣間見えたのは・・・未来の記憶か、あるいは過去の虚像か・・・・」
「何を意味の分からないことを言っている?無駄な抵抗はやめて投降しろ、スナイプ・アリクイック。」
「ワシの情報も既に把握済みか。フォッ、フォフォフォ。」
「何がおかしい?」
笑い始めるアリクイックに対してゼロは、眉をしかめる。
「フォフォフォ。いやぁ、すまんすまん。ここまでワシが見たものと大きく異なるのは驚きでの。特にそこのお嬢さんについてはかなり驚いたわい。」
「私?」
「何故かわからんがワシの見たものにはお前さんはこの場に来るというものはなかった。データが狂ったのかそれともワシの能力が衰えたのか、それはワシ自身にもわからない。」
「・・・・」
アリクイックの言葉を聞いてアイリスは、無言になる。
「アイリス、アイツの言うことを気にするな。」
「大丈夫よ。あの人が言っていることは本当かもしれない。でも、運命なんて言うものはどうなるかなんて最後まで誰にも分らない。例え見えたとしても見たものがすべて現実になるとは限らないわ。」
彼女の言葉にアリクイックは少しばかり驚きの表情をする。
「ほう?強く出たのう。その自信はどこから湧いてくるのか・・・・」
「さあな、お前には見えるんじゃないのか?」
「フォフォフォフォ、言ってくれるわ。では、そろそろ始めるとするかのう。全力で来るんじゃぞ?これ以上データを狂わせたくないのでな。」
アリクイックは、ゆっくりと立ち上がる。
「投降には応じる気はないようだな。仕方ない!」
二人は、バスターを展開してチャージショットをお見舞いする。アリクイックは、避ける間もなくまともに受けてしまうが焦る様子はない。
「この老体にこの攻撃は結構ひびくわい・・・・じゃが、ワシはこれでも傭兵なのでな。お主たちの攻撃エネルギーを利用させてもらうぞ。」
アリクイックは目の前に蟻型のメカニロイドとホーミングミサイルを複数召喚する。
「まさか、俺たちの攻撃で受けたダメージで!?」
「ワシのダメージを0にすることは出来ん。だが、受けたエネルギーを無駄にはせんよ?お主たち二人にこの攻撃が避けられるかのう。」
アリクイックの合図と同時に一斉に攻撃が開始される。
「ちっ、厄介な能力だな!」
ゼロは床に拳を打ち付けアースクラッシュを発生させる。衝撃により蟻型メカニロイドは次々と爆発する。
「フォフォフォ、一気に片付けようと動いたか。じゃが、これで終わりではないぞ。」
アリクイックがそう言うとメカニロイドは再び同じ数だけ精製されていく。二人はバスターを連射へと切り替え、数を減らそうと試みる。
「斬光輪!!」
ゼロは、セイバーから車輪状のエネルギー弾を放つ。エネルギーの車輪は回転しながらメカニロイドを破壊し、アリクイックの左腕を斬りつけた。
「むう・・・流石というべきか。」
「悪いが俺は、あまりお人好しじゃないぞ。考え直すなら今がチャンスだぞ。」
「フォフォフォ、残念じゃがそうもいかんのだ。」
今の攻撃でさらにエネルギーを受けたアリクイックは、自分の周囲にレーザーポッドを複数召喚する。
「この攻撃は躱せまい。」
ホーミングミサイルと共に一斉にレーザーを発射する。
「クッ!!」
「キャアッ!!」
ミサイルとレーザーの雨は容赦なく二人に降り注ぐ。庇い合うかのように寄せ合うが為す術はなく、二人の体が徐々に傷だらけになっていく。
「紅き邪神よ、ワシが見たお前さんならそこのお嬢さんに構うことなく、倒せただろうに。フォフォフォ・・・・蒼き英雄と並んだことで本来の使命を忘れ、傲慢な人間達の都合で動かされる哀れな者よ。」
「・・・傲慢か。随分言ってくれるじゃないか。」
一旦、レーザーとミサイルの雨が止んだことで膝をついていたゼロはアイリスと支え合いながら立ち上がる。二人の瞳に迷いはなく、観念したと考えていたアリクイックは驚きを隠せなかった。
「確かに人間は傲慢な奴が多い。ジジイのように他人のことを考えず世界中の人間を巻き込むような輩もな。・・・だが、俺はそれが人間すべてに当てはまることだとは思っていない。」
「・・・意外じゃのう。レプリロイドであるお主がそんなことを言うとはな。」
「色んなものを見てきたからな。」
「そう、それに人間には時に私たち以上のものを持っている人たちだっている。貴方に過去と未来が見えていたとしても私たちには関係ない。だって、未来は・・・・変えることだってできるから。」
「さっきの言葉の答えか・・・ならば、ワシはワシで自分のデータが正しいことを証明せねばならんな。」
アリクイックは、止めていたレーザーポッドを再起動させ、ミサイルとメカニロイドを大量に精製し、攻撃を再開しようとする。
「やるぞ、アイリス。アイツに見せてやるんだ。俺たちの・・・・未来を。」
「・・・うん。」
二人はセイバーを展開し、アリクイックと対峙する。それを確認すると彼は一斉に攻撃を始める。
「さらばじゃ、己の運命を忘れたまま果てるがよい。」
「その答えは・・・・・お断りだ!」
ゼロは最初にダブルチャージウェーブでミサイルとメカニロイドを一掃する。
「獄門剣!!」
更にレーザーをアイリスはセイバーを構えて受け止めると同時に反射させ、レーザーポッドを次々と破壊する。
「むっ!?」
特殊金属でできたポッドが自分の攻撃で破壊されたことでアリクイックは動揺する。だが、それで終わりではない。動揺している隙を見て二人が一気に間合いを詰めていた。
「なぬっ!?」
「「破断撃!!」」
「グオッ!!」
ほぼゼロ距離からの衝撃波を受け、アリクイックはそのまま吹き飛ばされる。まともに受けたことで体のあちこちから火花を散らす。
「こ・・・・これは・・・・ワシが・・・・ここまで読み違えるとは・・・・・・」
身体のダメージを見る限り、もはや戦闘継続は不可能だった。顔を上げるとそこにはボロボロになりながらも支え合ってこちらに来る二人の姿が見えた。
「・・・・フォ、フォフォフォ・・・・流石じゃのぉ・・・遥か昔に造られたレプリ・・・・いや、ロボットよ・・・・」
最早これまでと悟り、彼は体を起こしながら二人を見る。
「どうだ?お前の見た未来の通りになったか?」
最後の皮肉なのかゼロは、真面目な顔で聞く。
「・・・・真に信じられんが・・・・ワシが見た結果とは全く異なるものじゃったわい・・・・だが、これですべてが変わるとは思わんほうが良いぞ?」
「どういうこと?」
ゼロを支えながらアイリスは、その不審な言葉に不安を感じる。
「一つ・・・・ワシを倒した褒美に・・・お前さんの未来の可能性を教えてやろう・・・・・遠い未来、この世界は廃れ、偽りの蒼とその子らによって支配される。だが、その作り上げられた紛い物の理想郷を突き抜ける斜陽の如き鮮烈な紅き光が現れる。蒼と紅は・・・・再び戦う運命にある。飽くまで未来の可能性じゃがな・・フォ、フォフォ・・・・・・オォ・・・・・・」
それだけを言い残すとアリクイックはその場に倒れ、機能停止する。
「・・・・」
「気にするな、アイリス。奴の言う未来は可能性の一つに過ぎない。そんな未来にさせてなるものか。」
「・・・・えぇ、そうね。そのためにも今の私たちがしっかりしないと。」
二人は、アリクイックの言い残した未来にさせないと誓い、サイバーフィールドから脱出する。
???
「・・・・う、うん?」
砂漠の中にそびえる廃墟の中で俺は目を覚ます。ネオ・アルカディアのエリアXを脱出して以降、俺は、どういうわけかそれまで見なかった夢を時々見るようになった。外を見ればすでに太陽が昇っていた。
「・・・・何だったんだ。今の夢は?」
夢の中で俺は、シエルと違う雰囲気のレプリロイドの少女と共に行動していた。何か懐かしい・・・今はもう見ることができない顔だった。だが、記憶をほとんど失っている俺には彼女が何者だったのかそれすら覚えていない。
「・・・・・チッ、しつこい奴らだ。」
移動を再開した俺の背後にネオ・アルカディアの追撃隊が迫ってくる。
エックスのコピーを倒してから既に1年近くが経っている。砂漠で目覚めた俺は、一度レジスタンスの基地に戻ったがシエルたちの姿はもうなかった。すでに場所割れしてしまっているからおそらく放棄して拠点を変えたんだろうな。その後、俺は追撃を撃退しながら移動を続けている。
「限界か。」
バスターの光弾を防いでいたシールドブーメランが煙を吹かしながら機能しなくなる。一年近くもメンテもなしに使ったのが響いたな。セルヴォなら直してくれるだろうが技術者でない俺にはどうにもできない。この間、トリプルロッドも折れたからな。
「・・・・」
俺は、シールドをしまうとバスターショットにセイバーの柄をセットして攻撃を再開する。こっちもチャージ機能が壊れたが通常の弾を撃つことぐらいならできる。コイツが使えなくなったら最後はセイバーだけになるが・・・・・そのことはまたあとで考えよう。
「アイツに今まで任せていたからな・・・・それに比べればまだ、俺はマシな方だ。」
アイツは、100年も孤独に戦い続けた。俺が眠り続けている間に体を失うまで。
なら、その分俺が動けばいい。100年分にはならないが少しの間でもアイツを休ませるために。
「・・・・俺の目の前に立ちはだかるなら・・・・・叩き斬るまでだ!」
バスターをしまい、俺はセイバーで向かって行った。
<・・・・・・これは有り得るかもしれない未来の可能性。彼らがこのように進むのかは定かではない。>
最後の部分にちょこっとロクゼロのワンシーンを出しました。これはゼロ2のOPステージの少し前の話といった感じです。