ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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内容が出るのに筆が進まない(;^_^A


乗り越えるべき壁

ハンターベース メディカルルーム

 

重傷を負ったゼロは、ハンターベースに着くなり急いで集中治療室へと運ばれていった。幸い急所は外れていたものの長時間高温の中でさらされていた影響で各パーツが融解しており、安心できない容態で治療室ではゲイトが修理を続けている

 

集中治療室の前では、アイリスたちが彼の治療が無事に終わることを祈りながら待ち続けている。

 

「・・・・・」

 

「アイリスさん、きっと大丈夫ですよ!!ゼロ隊長の事ですからきっと助かりますよ!!」

 

不安な顔をしているアイリスに対し、ホーネックは何とか元気づけようと声をかける。すると治療室のドアが開き、ゲイトが姿を見せた。

 

「げ、ゲイト・・・ゼロは・・・」

 

出てきた彼に対してアイリスは、胸が今にも張り裂けそうな思いで聞く。

 

「・・・・体の内部フレームが所々融解していたけど、動力炉に関しては臨界点直前で出力が弱まっていたことが幸いして軽傷で済んでいたよ。臨界点を越えていたらどうなっていたことやら。」

 

「じゃあ。」

 

「あぁ。しばらく安静にする必要があるけどもう心配することはないよ。」

 

「よかった・・・。」

 

ゲイトの言葉を聞いて今までの緊張がほぐれたのかアイリスは、その場でふらついてしまう。

 

「あ、アイリスさん!?」

 

ホーネックは、慌てて彼女を支える。彼女たちと一緒に待っていたアクセルは、早速とばかりゲイトに声をかける。

 

「あのさ、ゲイト。一つ聞いてもいい?」

 

「ん?」

 

「ゼロをあんなに傷だらけにしたのって・・・・」

 

「うん・・・・恐らくレッドと戦ったことはおそらく間違いないだろうね。」

 

「やっぱり・・・」

 

彼の答えを聞いてアクセルは、表情を暗くする。

 

「だけど、一つだけ気になる傷があったんだ。」

 

「気になる傷?」

 

「君も知っているだろうがレッドは近接戦闘タイプのレプリロイドだ。ゼロの体を傷を見る限りほとんどの切り傷は彼が付けたものであるのは確信できる。但し、倒れる原因となった傷は近接用武器ではなく、明らかにライフル系の物で貫通したと思われるレーザー跡なんだ。」

 

「ライフル?」

 

「それもわざと外したようにね。傭兵の集まりであるレッドアラートのメンバーならこんなミスはまずしない。レッド本人が隠し武器を持っていたとしてもね。つまり、ゼロは戦闘を終えた直後に不意打ちされた可能性がある。」

 

ゲイトが気になったのはゼロの胸部を貫通させたレーザーの傷跡だった。既にシグナスから許可を得てレッドのデータを把握していた彼は、この傷はレッドが付けたものではないとすぐに理解できた。さらに現場が閉鎖された旧レプリフォースの施設だと考えれば、他のメンバーを連れ込んで待ち伏せさせた可能性は低い。

 

「アクセル、これは飽くまで僕の仮説に過ぎないが・・・・おそらくゼロは、その『センセイ』とかいう輩に攻撃されたんじゃないかと思うんだ。」

 

「・・・確かに『センセイ』はレッドしか会ったことがないから有り得なくもない。それにもう、バウンティハンターのほとんどのメンバーが倒れた現状を考えれば辻褄が合う。だとしたら、レッドは『センセイ』に回収されたんだ!」

 

アクセルは、全てが繋がったことで合点がいく。

 

いくらゼロとはいえ、レッドをみすみす逃すはずはなく、意地でも連れて帰るか倒すかの二択を選択するはず。そして、レッドが勝っていたのならゼロを生かしたまま放置することはあり得ない。

 

だとすれば二人が決闘しているところへ『センセイ』が干渉したのは間違いない。

 

「しかし、困ったことになったね。あの状態のゼロでは、しばらく動けそうにない。残りのバウンティハンターが少ないとはいえ、追い込まれたネズミは時に牙を剥くというからね。このハンターベースに情報にあった空中要塞で強襲してくるのかもしれない。」

 

「そうだね・・・・アイリスだって、できればゼロの傍でついていたいはずだし。」

 

「幸い、リングマンとスカルマンの二人がいるからここの守りは大丈夫だろう。後は・・・うん?」

 

「どうしたの、ゲイト?」

 

話を中断した彼にアクセルは、聞こうとするが彼の視線を見て納得する。

 

「エックス。」

 

そこには、騒ぎを聞いて駆け付けたのかエックスが来ていた。

 

「ゲイト、ゼロの容態は?」

 

どうやら、彼もゼロのことを聞いて駆け付けたらしい。

 

「今、ちょうど修理が終わったところだよ。もう、心配する必要はないけどしばらく安静にしないといけないね。」

 

「そうか・・・。」

 

その言葉を聞いてエックスは少し安心したような顔をする。

 

「どうしたんだい?別に君の事ではないと言うのに。」

 

「いや・・・・どの世界でもゼロは人のことを本当に心配させるんだなって。」

 

「君の世界でも心配かけたのかい?」

 

「こっちのゼロ以上にね。カウンターハンター事件の時にはシグマの手先にされるし、ドップラーの反乱の時は、俺を庇って動力炉を破損させて動けなくなるし、ユーラシア事件では行方不明になるし。でも、三週間後のナイトメア事件の時はひょっこりと帰ってきて逆にびっくりしたよ。俺もそうだったけど、アイリスなんかは大泣きしたから一時ハンターベースがすごい騒ぎになったのを今でも覚えているよ。」

 

「君も向こうの彼女も苦労しているようだね。」

 

「ハハハ・・・・それでしばらくはどうする方針にしているんだ?」

 

「そこはシグナスが決めることだろうけど、彼の回復を待った方がいいと言うのが僕の意見かな。いくらリングマンたちが協力に来てくれているとはいえ、レッドアラートの本拠地が分かっていない以上下手に人員を割くことは危険だ。ダイナモやフォルテの一件もあるからね。となると数日の間は動かない方がいいだろう。」

 

「・・・・・」

 

「ん?何か気に障ることを言ってしまったかい?」

 

「いや・・・・俺も本当なら自分の世界で戦わなくてはいけないはずなのにって少し考えていたんだ。あっちはこの世界以上にハンターの数も少ない。それに・・・・」

 

エックスは、暗い表情で自分の世界の心配をしていた。

 

あの世界は、こちらの世界以上に荒廃している。ユーラシア事件とナイトメア事件の影響でハンターの数は全盛期の半数以下に減少し、その中でも実質的に戦闘員であるのは自分とゼロ。そして、新しく入ろうとするアクセル以外にいない。

 

居てもいなくても同じかもしれないが自分がいなくなったことで余計な心配をかけてしまっているは間違いない。

 

(向こうでゼロは大丈夫なんだろうか。アクセルが俺の代わりをしているなら心配ないかもしれないけど・・・・・)

 

そして、ふといつも自分のことを気にかけていたエイリアの顔が脳裏をよぎる。

 

「エックス、大丈夫かい?随分悩んでいるようだが。」

 

「えっ?」

 

ゲイトに声をかけられて、エックスは我に返る。

 

「まだ、デボニオンとの戦闘の疲労が残っているんじゃないか?今日は、もう休んだ方がいい。」

 

「あ、あぁ・・・・。」

 

そう言われるとエックスは、元来た道を戻って行く。

 

(ここにいれば戦わずに済む。誰も俺を嫌な目で見ようとしない。・・・・でも、俺がこうしている間にもあっちの世界では、ゼロとアクセルが戦い続けている。確かに俺がいなくても十分やっていけるかもしれない。・・・だが・・・・この状況に甘えているだけで・・・・・本当にそれでいいのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンターベース(原作エックスの世界)

 

一方、こちらのハンターベースの方では

 

「アイリス、もういい加減いいだろ。せめて射撃の訓練ぐらいさせてくれ。」

 

ゼロは、傍で付きっ切りの彼女に対して困った顔で言う。だが、この間のブラックゼロの件もあってかアイリスは首を横に振る。

 

「そう言っていつもオーバーワークするからダメ!レッドアラートの拠点も分かるまでやらせません!!」

 

「・・・頑固なところがだんだんカーネルに似てきたな。」

 

「兄妹なんだから当然でしょ。今度同じ事したら絶対に許さないんだから。」

 

ゼロは、膨れっ面で言うアイリスに頭を抱える。訓練室の方へ近づくと銃撃音がドンドン響いてくる。

 

「アクセルの奴、随分気合が入っているな。」

 

「・・・やらせないわよ?」

 

「わかっている。」

 

そもそも利き腕にガッチリと抱き着かれているためできるわけがない。ゼロは、そう思いながらせめてアクセルにひと声をかけようと訓練室の中へと入る。

 

「ん?」

 

だが、中では訓練していると思っていたアクセルが口を開けながらポカーンとしていた。

 

「おい、アクセル。お前なにやってるんだ?」

 

「あっ、ゼロ。」

 

彼に声をかけられたことでアクセルは、二人の方へ振り向く。

 

「随分派手な音がしているから訓練に励んでいるかと思って来てみたが誰がやってるんだ?」

 

アクセルは、黙ってシミュレーションルームのモニターに指を差す。中ではエイリアが、バスターを展開して模擬戦闘を行っている姿が確認できる。

 

「エイリアがやっていたのか。」

 

「うん、僕が使おうと思ってきたときには既にね。一体いつまでやってんだろう・・・。」

 

ゼロは、部屋のドアのすぐ近くにある使用時間を見てみる。

 

「よ、四時間だと!?」

 

部屋に入ってから既に四時間以上が経過していることにゼロは驚く。

 

通常、シミュレーションルームでのトレーニングは、ランクに関係なく使用時間が設けられている。これは過去のイレギュラー並びに環境をデータを基に再現しているため、実際にダメージも受け、新人ハンターの場合は大抵痛い目に合うからだ。

 

更にこの再現度は難易度レベルの応じて変更が可能で最大まで挙げるとほぼ実戦と変わらない仕様になる。

 

これはどう意味かと言うと新人ハンターが最大レベルで挑んでしまった場合、五分もしないうちに屑鉄の塊になってしまうようなものだ。

 

よって、このレベル調整はハンター側からは制限がかけられており、基本的にオペレーターたちの認可で行われる。

 

しかし、中で訓練をしているエイリアは、少し前まではオペレーター。当然だがレベル調整をする権限は持ったままだ。

 

つまり、最大レベルで四時間訓練をしているということは普通なら死んでいてもおかしくない状況なのだ。実際に中で戦闘をしている彼女はかなりダメージを受けており、後数発でも直撃すれば命取りとなる。

 

「何を考えているんだ・・・アクセル、すぐに訓練をやめさせろ!このままだとエイリアが危ないぞ!」

 

ゼロに言われてアクセルは、急いで訓練プログラムを中止しようと動く。ゼロもシミュレーションルームの中へ入ろうとするがドアが開かない。

 

「エイリアの奴、内側からロックをしやがったな。」

 

「まずいよ、こっちも制御不能だよ!?」

 

どうやら邪魔されないように細工を施していたらしい。

 

「仕方ない。アイリス、悪いが訓練プログラムのエラーで制御不能になっていたとかで処理しておいてくれ。」

 

「え、えぇ・・・・。」

 

アイリスに確認を入れるとゼロは拳を叩きこむことで制御装置を破壊する。同時にプログラムが強制終了し、室内の戦闘も終わる。

 

「す、少し強引すぎない?」

 

「それどころじゃないだろ、次。」

 

力づくでプログラムを止めたことで表情を引き攣るアクセルを他所に彼は、引き続いてセイバーを展開し、部屋のドアを焼き切る。破壊するとそこには膝をついたエイリアの姿があった。

 

「エイリア、大丈夫か!?」

 

三人は、膝をついている彼女へと駆け寄る。エイリアは、三人のことに気が付くと申し訳なさそうな顔をする。

 

「・・・ごめんなさいね、私がやったことなのに。」

 

「全く、無茶してくれるもんだぜ。訓練のやり過ぎはやめるようにと言っておきながら自分が動けなくなるほどするんだからな。」

 

「「ゼロも人のこと言えないでしょ。」」

 

二人から盛大なツッコミを入れられながらもゼロはぐったりとしている彼女に肩を貸して持ち上げる。

 

「特A級である俺でさえ、二時間ぐらいが限界の訓練を四時間以上やっていたにしてはよくこのくらいの怪我で済んだものだ。アイリス、エイリアをメディカルルームへ運ぶから手伝ってくれ。」

 

「うん。」

 

「あの、僕はどうすればいいの?」

 

一人訓練室に残されそうになったアクセルは、困ったような顔をして言う。

 

「そうだな・・・・幸い射撃訓練はできるから的の相手をするので我慢してくれ。後でダグラスに修理を頼んでおく。」

 

「わ、分かったよぉ。」

 

三人が去っていくのを見届けると彼は、シミュレーションルームの中を除く。部屋の壁にはいたるところにレーザーや実弾、そして、エイリア自身が撃ったと思われるバスターの光弾の跡が焼き付いていた。

 

「うわぁ・・・・・・こりゃ、ダグラスが悲鳴を上げそうだな。」

 

アクセルは、これから修理するであろう彼を哀れに思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンターベース(のび太エックスの世界)

 

「・・・・・」

 

ベッドで横になっているエックスは、中々寝付けずにいた。すぐ傍ではミニドラがいびきをかきながら眠っているが原因はそれではない。自分はこのままでいいのかと悩んでいたのだ。

 

(いくらこの世界が荒廃していないとはいえ、イレギュラーの発生が後を絶たないことは変わりない。俺は今こうしているけどゼロもアクセルもみんな戦っている。・・・・そして、今はいないこの世界の俺も。)

 

落ち着かないのかエックスは、ミニドラに毛布を掛けなおすと部屋から出て、外の空気を吸おうと屋上へと向かう。

 

(どうして戦えないんだろう?戦わなければ解決できないことだってあると分かっているのに。ただ単に俺が我儘なだけなのかな。情けない。)

 

そう思いながら屋上に出ると既に先客らしい人影がうっすらと見えた。

 

「ん?こんな時間に誰が・・・・・」

 

ドアのしまった音が聞こえたのか人影がエックスの方を振り向く。

 

その顔はガイコツだった。

 

「うわあっ!?」

 

まさかの骸骨にエックスは驚きの声を上げ、その場で尻餅をついてしまった。

 

「いきなり、人様の顔を見て悲鳴上げるとは何事だよ。」

 

顔を見られるなり悲鳴を上げられたことに先客であったスカルマンは不機嫌そうに言う。改めてみてロボットだということが分かり、エックスは慌てて謝罪する。

 

「す、すみません・・・・。」

 

「ったく、こんな時間に悲鳴なんか上げたら誰かが起きちまうだろうが。まっ、俺の顔つきで驚くのは無理ないだろうけどな。お前がリングの奴が言っていた別世界のエックスか。」

 

「は、はい。えっと、貴方は?」

 

「スカルマン。リングの奴から聞かなかったか?俺とアイツは兄弟なんだが。」

 

「えっ?・・・あっ!確か写真で!!」

 

エックスは、リングマンの持っていた写真に彼も写っていたことを思い出す。スカルマンは肩を鳴らしながら改めてエックスを見た。

 

「んで、客人のお前さんがこんなところへ何しに来やがったんだ?チビドラの寝相で起きちまったのか?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・訳アリってことか。」

 

スカルマンは、事情を察したのか胸カバーを開いて『S』という表示が付いた缶を彼に投げ渡した。

 

「これは?」

 

「いいから、そこのベンチに座れ。話はそれからだ。」

 

「はい・・・。」

 

言われるがままにベンチに座らせられるエックス。スカルマンは彼の隣に座るとE缶を取り出し、蓋を開けて飲み始めた。

 

「・・・・・」

 

「ん?何、俺のこと見てんだ?せっかくやったんだからお前も飲めよ。」

 

「えっ?で、でも・・・」

 

「ただのエネルギーボトルだと思って飲めばいいんだよ。」

 

「・・・・」

 

エックスは、彼の言われた通りに蓋を開けて思いっきり缶の中身を飲む。

 

「んぐっ!?」

 

その瞬間、これまでにない凄まじいエネルギーの爆発のようなものが彼の体の隅から隅まで駆け抜ける。あまりの衝撃にエックスは、口から吹き出しそうになり咳き込んでしまった。

 

「ゲホッ、ゲホッ!?」

 

「おっ、一気にいったな。結構効いたか?」

 

「な、なんなんだこれは!?」

 

「『S缶』だよ。俺が飲んでいるE缶の上位互換でエネルギーを補充するだけじゃなくて、疲労を一気に吹っ飛ばす代物だ。ハッハハハ、面白いだろ?」

 

「よ、よりによってそんなものを・・・・・」

 

「お前が結構自分のことで悩んでいるようだからな。」

 

「!」

 

笑いながら言う彼の言葉にエックスは心の中を見透かされたように動揺する。

 

「・・・・・どうしてそれを。」

 

「何、話は大方リングの奴から聞かされていたからな。しっかし、敵に対しても情けをかけちまうのは兄弟の遺伝なのかね~。お前を見るとあの時のロックマンのことを思い出すぜ。」

 

「ロックマンって、あの伝説の『ROCKMAN』?」

 

「あぁ。俺も昔アイツの相手をしたことがあってな。俺が破壊される最後の最後まで手を差し伸べようとしていたぜ。取ることなく振っちまったがな。」

 

スカルマンは、苦笑しながら思い出話を語る。

 

「・・・・でも、何も救えなかった。ドップラー博士もレプリフォースも、ゲイトも。」

 

「戦えば救えるものも救えないものも出てくる。お前さんだけのせいじゃないさ。」

 

「それに今の俺は戦うことすら怖がっている。みんなが戦って俺も動かなくちゃいけないっていうのに。」

 

エックスは、両手を見ながら辛そうに言う。そんな彼を見てスカルマンは、残りのエネルギーを飲み干し缶を握り潰しながら声をかける。

 

「エックス、一つ大事なことを教えてやるよ。」

 

「大事なこと?」

 

「馬鹿。」

 

「・・・・・はっ?」

 

大事なことを言うのでどいうものかと思いきや拍子抜けする一言だったため、エックスはポカーンとする。

 

「どういう意味だ?」

 

「そのまんまの意味だ。お前は周りと自分が傷つくことを恐れて戦うことを拒むようになった。だから、馬鹿と言ってやったんだ。」

 

「けど、それじゃあ・・・・」

 

「そこだ。お前は助けることができなかった過去をいつまでも引きずり続けている。」

 

「うっ。」

 

「お前がクヨクヨして立ち止まっているのは勝手だ。だがな、世界は常に進み続けている。未来に向かって。だがな、その未来へ続く今を誰が守る?ゼロか?アクセルか?」

 

「・・・・・」

 

「お前の力も必要なんだよ、エックス。確かに戦うことは犠牲しか生まないかもしれない。積み上げたものを何度も崩されて挫けそうになっちまうことだって何度もあるんだ。けどな、振り返ってばかりで動かなければ何もできない。守ることもな。」

 

スカルマンは、夜空の星を見ながら話を続ける。

 

「リングの話も聞いただろうが人間なんて言うもんは色とりどりだ。俺たちをただの道具としか見ていない野郎もいればむしろ疫病神だと思っている奴もいる。だが、こんな世界になっても生きている。その先の未来できっと平和な世界が来ることを信じながら見えない明日を探してながら必死にな。」

 

「見えない・・・・・明日?」

 

「未来の事なんて誰にもわかることじゃねえ。純戦闘用として作られて恐れられていた俺がこうしているようにな。死んだ博士もまさかこうなるとは予想もできなかっただろう。」

 

「・・・・」

 

スカルマンは、それだけ言うとエックスの肩を軽く叩いて最後に一言言う。

 

「自分を乗り越えろ、エックス。過去の事ばかりに囚われちゃそれこそ前へ進むことができなくなる。それを越えたものがようやく明日を掴む権利が手に入るんだ。忘れるなよ。」

 

彼は、そのまま屋上から去る。

 

一人残されたエックスは、呆然としていたがしばらくすると彼もまたその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 ハンターベース 通路

 

「ごめんね、パレット。また、色々頼んじゃって。」

 

アクセルは、アクセルバレットをいじりながら隣で歩いている彼女に言う。

 

「別にバレットの修理ぐらいお安い御用よ。一部の部品が劣化していたから一応新しいのに取り換えておいたからね。これで突然不調になったりすることはないと思うわ。」

 

「ここ最近調子悪かったからさ。新しい武器に変えるにも僕はこのスタイルの方が一番慣れているからね。替えがないから助かったよ。」

 

二人は、訓練室へと入る。そこには先客がいた。

 

「あれ?なんでみんな揃いにそろってここに集まっているの?」

 

そこには、ゲイトとライトット、エイリアの他にシグナスと言った面子が来ていた。後ろの方では壁に寄りかかっているスカルマンにミニドラを抱いているロールが心配そうな表情をしている。

 

「アクセル、訓練しに来たのかい?」

 

「まあね。シミュレーションルーム使いたかったんだけど・・・誰か使うの?」

 

「あぁ。ちょっとね。ライトット、アーマーの方に関しては?」

 

「問題ないダスよ。でも・・・・本当に大丈夫なんダスか?」

 

「彼の要望だ。エイリア、データの調整は?」

 

「したけどいきなり実戦レベルにして大丈夫かしら。しかも相手が。」

 

黙々と作業をしているゲイトに対してライトットとエイリアの反応は微妙だった。しかし、そんな二人に対してシグナスは、以前と態度を変えずシミュレーションルームのモニターを見ている。

 

「不安に感じるのも無理はないが我々が言ったところでどうこうできる問題ではない。この問題は、彼自身が乗り越えなくてはいけない問題なのだからな。」

 

「あの・・・・さっきから置いてけぼりになっているんだけど誰がやるの?」

 

会話に入れずに困ったアクセルは、ゲイトに聞く。

 

「見ればわかるさ。じゃあ、これから訓練を開始する。部屋に入ってくれ。」

 

ゲイトが言うとシミュレーションルームの中に誰かが入る。

 

「えっ?」

 

アクセルは、入った人物の顔を見て驚く。パレットも同じ反応をした。

 

「え、エックスさん!?」

 

中に入ったのはファーストアーマーを身につけたエックスだった。久しぶりに強化アーマーを身につけたせいなのか彼の表情は少し硬いように感じる。

 

「エックス、これから実戦シミュレーションを行う。君の世界でもあると思うから説明の必要はないと思うけどこのプログラムは実戦のデータを基に作られた擬似体験訓練で攻撃を受ければ当然体にもダメージが入る。」

 

『分かっている。』

 

「・・・・じゃあ、始めるよ。エイリア、ハンターデータ『ファイルX』で起動させてくれ。」

 

「了解。」

 

エックスの返事と共に訓練が開始される。

 

「まともに戦える状態じゃないと思うのに・・・・一体誰を相手にするんだろう。」

 

アクセルは、相手が誰なのかと考えながらモニターを見る。

 

エックスの周囲の背景が広い荒野へと変わり、目の前にデータを元に構築されていく相手の姿が露になる。

 

「・・・・・へっ!?」

 

「エイリア先輩、これって。」

 

「彼の要望なのよ。私はやめた方がいいって止めたんだけど。」

 

エックスの目の前に現れたのは、同じアーマーを身につけたエックスだった。

 

『・・・・・』

 

「それは、過去のデータをまとめてできる限りオリジナルに近い状態に再現したこの世界の君だ。極めて強いが急所に一撃でも当てることができれば倒れるようにセットしてある。くれぐれも無理をしないでくれ。」

 

『あぁ、始めてくれ。』

 

「エイリア、『プログラムエックス』を待機モードから戦闘モードへ移行。」

 

「プログラム移行!」

 

かくして訓練が開始された。

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