???
「う、うぅ・・・・・」
ドラえもんは、ダメージの大きさのあまりその場に倒れる。
「ふん、所詮はこの程度。我の相手にはならぬわ。」
黒エックスは、それを見届けると再びエックスが言った方角へと足を動かす。
「ま・・・・・待て・・・・」
「ん?」
後ろからの声に彼が振り向くとドラえもんが再び起き上がろうとしている姿があった。
「なんだ、まだ我に挑むつもりか?」
「まだ、負けちゃいないぞ・・・・ここからが本当の勝負だ!」
ドラえもんは、バスターを構えて特殊武器を発射する。
「マグネットミサイル!」
「無駄なことを・・・何度やっても貴様では我を倒せん。」
黒エックスは、攻撃を軽く避けると返すとばかりに反撃をする。
「ショットガンアイス。」
バスターから氷塊が放たれ、ドラえもんに目がけて飛んでいく。ドラえもんはフットパーツのスラスターを利用したエアダッシュで回避しようとするが氷塊は、壁にぶつかることで拡散し、破片がアーマーに突き刺さる。
「うっ!?ストームトルネード!!」
アーマーを貫いて感じる痛みをこらえて彼は、ストームトルネードを放つ。黒エックスは、避けることも様子を見せず、右腕に闘気を溜め始める。
「ぬうぅぅ・・・・・・むうぅん!!」
振り払うと同時に自分の周囲に竜巻が起き、ドラえもんの攻撃をかき消してしまった。
「そ、そんな・・・・・ハッ!?」
驚く隙さえも与えないとでも言いたいのか黒エックスは、構えを保ったままドラえもんに急接近する。
「いかん!あんなものをまともに受ければいくらライトのアーマーを付けているとは言え、一溜まりもないぞ!?」
ワイリーが急いでドラえもんに避けるように言おうとするがその瞬間、周囲が暗転する。
同時に無数の打撃音が響いた。
ハンターベース シミュレーションルーム
『竜巻旋風脚!』
「クッ!?」
一方ハンターベースのシミュレーションルームでは、エックスがプログラムエックスと戦いを繰り広げていた。エックスは、攻撃を避けながら反撃の機会を窺っていたがプログラムエックスの動きに翻弄され、動きを読めずにいた。プログラムエックスは攻撃を避けられるとすぐに着地し、バスターを連射する。
(この射撃・・・・容赦ないほど的確に狙っている。)
アーマーのおかげでダメージは軽減できているが痛みは徐々に蓄積する。彼は攻撃をしのぐために物陰に隠れる。
部屋の外では、ゲイトたちがその様子を伺っている。
「エックス、結構追い込まれていない?やっぱり、まだ戦えないんじゃ・・・・・」
アクセルは、プログラムを相手に反撃できずにいるエックスを見ながら心配そうに言う。だがゲイトの見解は違った。
「いや、今回はバスターが使えないにしてもあの部屋には隠し武器がいくつか設置してある。普通の訓練なら彼は、デボニオンと交戦した時のように使うはずだ。」
「じゃあ、エックスさんは何故・・・」
「恐らく、同じ姿であるプログラムを相手に戦う恐怖を克服しようとしているんだろうな。」
スカルマンは、モニターを見ながら言う。実際、画面中ではエックスが何度も腕をバスターに変形させようと試みている。
(さあ、エックス。不完全とはいえこの世界のお前と戦って果たして今もお前を乗り越えられるか・・・・見せてもらうぞ。)
部屋の中ではプログラムエックスが射撃をやめ、両腕を構えてエネルギーの塊を生成し始める。
「あれはまさか!?」
『波動拳!!』
彼の両手から凄まじいエネルギーが放たれ、エックスがいた場所がキレイに吹き飛ぶ。
「あの技まで普通に使えるのか!?」
『昇龍拳!!』
プログラムエックスは、休む隙も与えず攻撃を続ける。
???
「う、うぅ・・・・」
俺は、また負けたのか。今度は黒いエックスに。
くそ・・・俺はあと何度負け続けるんだ?
ロックマンにもエックスにも・・・・・・・ゼロにさえも。
俺は最強じゃなかったのか?
体が動かねえ・・・・このまま何もできずに消えて行くのか・・・・・・
黒エックスに敗北したフォルテは、朦朧とした意識の中で倒れていた。
「最強でない俺なんか・・・・・もう何の価値もねえ・・・・・」
『たったそれだけのために戦って虚しくないのか?仲間も何もいない中で一人で戦い続けて。それだけのために。』
脳裏に戦った際に言い放たれたゼロの言葉を思い出す。
「ちっ、よりによってあんな奴の言葉を思い出すとはな・・・・・・俺もここまでか・・・」
どうせワイリーはどこかで負けた自分のことをあざ笑っているのだろう。
そう思いながらフォルテはまた意識を手放そうとした。
「いいのか?お前はそれで。」
「!?」
突然の声にフォルテは顔を上げる。
「誰だ?」
「お前はロックマンを倒すことで自分が最強であることを証明すると言ったはずだ。なのにこんなところで諦めるのか?」
「この声は!?」
彼は、後ろを振り向く。そこには赤いヘルメットにサングラス、黄色いマフラーを巻いたロボットが腕を組みながら立っていた。
「ブルース!?」
そこにはルーラーズ災害以来姿を眩ませていたブルースがいた。ここはエックスの心の中の世界。いないはずの彼がどうしてここにいるのかさっぱりわからなかった。
「てめえ、何しに来やがった?俺を笑いに来たのか?」
「・・・・・」
「・・・・その顔だとそのようだな。フッ、情けねえだろ。てめえやロックマンは愚か、エックスと末の弟のゼロにさえ負けたんだ・・・・・笑えよ。こんなに弱くなった俺を。」
自暴自棄になったのかフォルテは、自虐しながら言う。
「・・・・お前は弱くなったわけではない。」
「ハッ?そんな訳あるか。ジジイに馬鹿にされるどころかゴスペルにすら見捨てられたんだぞ。俺が弱くなった証拠じゃねえか。」
「俺は、あの時も言ったはずだ。お前とロックマンは、見つめているものが違うとな。」
「そうだな。お前はあの時アイツはどんな時でも未来を見つめているって言ってたな。・・・・・・だが、そのロックマンもいなくなりやがった・・・。」
いつも戦うことばかりを考えていた彼とは思えない発言であるがここまで敗北が連続で続けば誰もが挫折するだろう。
かつての宿敵であるロックマンが消え、その弟であるエックスに形はどうあれ敗北し、自分の弟とも言えるゼロにも敗れ、終いには今も近くにいるであろう黒エックスにまでも敗れた。
最強の存在として作られた彼にとって、この連敗はかなり響く。100年という長い期間の間、自分より最強の存在が現れ、自分はお払い箱と化してしまったのだと悟ってしまったのかもしれない。
「アイツにこんな情けない姿を見せないだけよかったのかもしれないな。もう、俺には何もねえ・・・・・何も。」
頭を抱えながら言うフォルテの言葉にブルースは、無言で聞いていたがすっかり黒エックスに怯える彼に対して口を開いた。
「お前は、ロックマンと俺の未来を潰すと言っていなかったか?」
「何?」
「確かにロックマンはお前の前から姿を消した。だが、どこかにいることはお前も分かっているはずだ。ならば、奴が姿を現すまで最強であろうとすることが大事なんじゃないのか?」
「うるせえ!」
彼の発言に対してフォルテは、立ち上がりながら言う。
「てめえに何が分かる!!俺は何度もパワーアップをしてきた!だが、負けた!!自分の弟にさえも!!最強でなくなった俺の事なんかてめえに理解できるか!!」
「100年前、お前は何度も敗北を味わったはずだ。例え敵わない敵に対しても。無理な強化で力に飲み込まれながらもお前は戦い続けた。」
「うっ。」
ブルースに指摘され、フォルテは何も言えなくなる。さらに追い打ちをかけるように彼の言葉は続く。
「それにロックマンは、そんなパワーアップを求めずにいくつもの修羅場を乗り越えてきた。どんな強敵に対してもな。そして、その心はエックス、お前の弟であるゼロにも引き継がれている。だから、あの二人はとてつもなく強い。」
「・・・・・」
「俺が言えるのは、“今のお前のままではだれにも勝つことはない”ということだ。答えを見つけるまではな。その答えを見つけることができればお前は強くなれる。」
そう言うとブルースは、背を向いてその場から去ろうとする。
「待て!その答えっていうのはどういうことだ!?」
「・・・・・」
「答えろブルース!」
フォルテは、思わず彼を掴もうとした。
「ブルー・・・はっ!?」
フォルテは手を伸ばしたところで目を覚ます。周りを見回すとブルースの姿はどこにもなかった。
「ゆ・・・・夢?俺は、幻でも見ていたのか?」
フォルテは、黒エックスに殴られた箇所を押さえながら起き上がる。
「痛・・・あの野郎。そう言えばアイツはどこへ行きやがったんだ?」
彼は、周囲を確認しながら黒エックスの所在を確認しようとする。すると少し離れたところで黒エックスがドラえもんに対して瞬獄殺を決めていたところを目撃する。
「・・・・・」
「今度こそくたばったか。」
やはり、その強さは異常で近くには絶望的な状況に思わず顔を伏せるシャドーマンと戦闘不能になったのか壁に寄りかかったまま動かないクイックマンの姿がある。
(くそ・・・・・やっぱり、身震いが収まらねえ。)
そんな彼を他所に黒エックスは、エックスの元へ行こうとする。
「!?」
だが、その直後背後から気配を感じ振り向く。
「・・・・」
「貴様!?まだ、動くというのか!?」
既にアーマーのダメージが限界を超えているにもかかわらずドラえもんは再び立ち上がっていた。完全に仕留めたと思っていた黒エックスは大きく目を見開いて驚く。これにはフォルテも唖然とした。
「・・・あの状態で・・・・正気か?」
「何故だ・・・・何故こうまでして我に立ち向かう?頭脳回路がショートしたか?それともその状態でたかが他人のためにその命をも投げ出すというのか?」
「た・・・・・他人なんかじゃない!!」
立つことがやっとの状態でありながらもドラえもんは大声で言う。
「どんなに姿が変わっても・・・・・のび太君は、僕の大切な友達だ。はあ・・・・僕がここで頑張らなきゃ・・・・のび太君は・・・・・みんなのところへ帰れないんだぁ!!」
フォルテの目には、その姿がかつてのロックマンと同じように見えた。
「あのタヌキ・・・・・」
「フン、笑止。友のためとはいえ、己に未熟さを棚に上げ挑むのは勇敢にならずただの無謀。」
黒エックスは、ドラえもんに一撃を加えようとバスターのチャージを始める。ドラえもんはバスターを構えて撃とうとするがダメージの影響でその場に膝をついてしまう。
「うぅ・・・・。」
「己の無力さを呪いながら滅びるがよい!!」
彼は、バスターを彼に向けて放とうとする。
「うおぉおおおお!!」
「ん!?」
その時、無意識にフォルテはバスターを展開して黒エックスに向かって放った。彼の攻撃で黒エックスは攻撃を中断してその場から離れる。
「フォルテ!?」
もう立ち上がることはないと考えていたワイリーは、思わず驚くがフォルテはバスターで攻撃を行いながら彼に言う。
「ジジイ!!さっさとそのタヌキを回収しろ!!壊れたりしたら承知しねえぞ!!」
彼はそのまま黒エックスに向かって行く。黒エックスは攻撃を両手で防ぐと向かってくるフォルテを見る。
「ムシケラが。まだ、歯向かう力が残っていたか。」
「俺はムシケラじゃねえ!!『最強の存在』だ!!」
フォルテは、そう言うとテングブレードで黒エックスに斬りかかる。
「愚かな。雑魚が何度も来たところで我には敵わぬわ。」
テングブレードを素手で受け止めると彼は、スピニングブレードで顔を刻もうとする。
「うおぉ!!」
「何ッ!?」
だが、フォルテはその右腕を攻撃する前に抑え、黒エックスの顔に頭突きを喰らわせる。思わぬ反撃に黒エックスは顔を押さえながら距離を取ったもののフォルテは、追撃を行う。
「スプレッドドリル!!」
「アシッドラッシュ。」
飛んできたドリルを強酸で溶解する。だが、溶けたドリルの中にさらに二本の中型ドリルが現れ、黒エックスの体を始めて傷つけた。
「ぬっ!?」
「あやつ、クイックマンでも付けられなかった傷を付けおったわい。」
先ほどまで怯えていたとは思えないフォルテの快進撃にワイリーは、呆気にとられる。黒エックスは飛び掛かってくるフォルテを取り押さえると睨みつけながら言う。
「貴様・・・・先ほどまで我の殺気に怯えていたにもかかわらず・・・・何故恐怖を感じなくなった!?」
「俺は、最強だ!!エックスもゼロもいずれぶっ潰す!!影のてめえなんかにやられてたまるか!!」
フォルテは、バスターを展開して光弾を連射する。
「ローリングシールド。」
黒エックスは、周囲にバリアを張って防御すると体に付いた砂埃を払いながら改めてフォルテと対峙した。
「・・・・その心意気はよし。どうやら、貴様には我と戦う権利があるようだな。ならば、その命全ての力を持って刈り取ってくれる!!」
「上等だぁ!てめえからスクラップにしてやる!!」
二人は、さっきの状況では考えられない激闘を始める。その光景にドラえもんを回収したワイリーは愚か、動けなくなったクイックマンに手を貸しているシャドーマンも動揺する。
「ど、ドクター。これは一体・・・・・」
「ワシにもわからぬ。じゃがフォルテの奴、あのエックスへの恐怖を克服しおったわ。これならひょっとして勝てるかもしれん。」
ワイリーたちは、その場からいったん離れて戦いの動向を見守ることにした。
ハンターベース シミュレーションルーム
ハンターベースでは、エックスがプログラムエックスの攻撃を一方的に受け続けていた。
「もうアーマーがボロボロダス!」
「ゲイト、もう訓練を中止させましょう!このままだとエックスが危ないわ!!」
ファーストアーマーの限界が近づいてきたこともあり、ライトットとエイリアはこれ以上訓練を続けるのは危険だと感じ、ゲイトに中止を求める。
「・・・・確かにこれ以上続けさせるのは危険だな。」
ゲイトも流石に中止にするべきだと考え始めた。アーマーのダメージ量が限界に近付いていることもそうだがエックス自身もかなり消耗している。
「今回はもうやめさせた方がいいかもしれないな。エックスには悪いけど・・・・」
そう思い彼はプログラムを中止しようと停止ボタンを押そうとする。
ところがその手をスカルマンが止める。
「ん?」
「・・・・悪いがもう少しだけ続けさせてやってくれないか?」
「しかし・・・・」
「このチャンスを逃したらアイツは、自分を見出すことができなくなる。頼む。」
彼の真剣な表情を見てゲイトは、余計な手出しはするべきではないと考え直す。
「・・・・わかったよ。但し、アーマーの方に限界が来たら中止させてもらうよ。」
そう言うと彼は再びモニターの方に目をやる。
『ブーメランカッター!!』
「・・・・」
プログラムを相手にダメージを受け続けながらもエックスは、着実に行動パターンを見極めてつつあった。
(・・・俺は、自分で前を進むことが怖くなっていたんだ。戦って、戦い続けていくら平和を勝ち取ってもすぐに崩れてしまう。そして、守れなかったものを見るたびに『いつになったら』とこれ以上自分のせいで何かを失うのではないかと考え、戦うことを恐れるようになってしまった。)
ファイヤーウェーブをガードして耐えきるとプログラムエックスは、再び波動拳を撃つ態勢を取る。
(・・・だけど、それはこの世界の俺だって同じなんだ。目の前で大切なものを失わないために・・・・・支えてくれた仲間のために戦っている。あの時・・・・シグマとの最初の戦いの後、みんなを守っていきたいと誓ったあの日の思いを・・・・守れなかった人たちへの想いを忘れないためにも・・・俺は・・・・・今の自分を超える!!)
波動拳のエネルギーが集まり始める直前、エックスのバスターが変形した。
「「「おぉっ!?」」」
その姿を見て外で様子を見ていたゲイトたちが驚く。
バスターはプログラムの波動拳と同じようにエネルギーを収束し、限界を超えているのか周囲にスパークを発生させる。
「すごい数値ダス!?ワシが計算したフルチャージショットとは比べ物にならないくらいの出力をたたき出しているダスよ!?」
両者は、チャージが完了した同時に技を繰り出す。
『波動拳!!』
「スパイラルクラッシュバスター!!」
放たれたエネルギーの塊がぶつかり合う。同時にモニターは眩い光に光に包まれる。
しばらくしてシミュレーションルームの光は薄れ、一同の視界がようやく元に戻る。
「い、今の光は・・・・・・・エックスは!?」
エイリアは、訓練プログラムを確認する。
<訓練終了。ファイルX、クリア。>
モニターに目をやると部屋の中では訓練が終了し、そこにはボロボロのファーストアーマーを身に纏ったエックスのみが立っていた。
右腕をバスターに変形させたまま。
「・・・・もしかして、勝った?」
アクセルは、モニターの様子を見ながら言う。
「どうやら成功のようだ。」
「でも、アーマーがボロボロダス。せっかく作ったのに。」
「そういうレベルじゃないでしょ。でも、あのプログラムエックスを倒すなんて本当に驚いたわ。」
一同がそれぞれ反応している中、後ろで見守っていたロールはホッと息をする。
「よかった・・・。」
すると彼女に抱えられていたミニドラは飛び降りて、訓練室の入り口から出て来たエックスの方へと走って行く。
「ドララ~!」
「ミニドラ?」
出てくるなり、出迎えに来たミニドラに対してエックスは目を丸くする。バスターの一撃が余程印象に残ったのか、ミニドラは真似をしながらはしゃいでいた。
「ドラ、ドラララ!ドラララ~!!」
「・・・うん、ありがとう。」
彼にとって今のエックスはヒーローに見えたのかもしれない。
エックスはボロボロのヘッドパーツを脱ぎ、彼の頭を優しく撫でる。
その目は、以前のような迷いはなく、自信に満ち溢れているように見えた。
本当は二人のエックスが同時に壁を超える演出を取りたかったけどまだボスが残っていたので無理でした(´・ω・`)。