ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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今年初の投稿。

まさか、3か月以上も更新ストップするとは思わなかった・・・・

読者の皆様にお待たせしたことを謝罪します。


接触

後日 ハンターベース メディカルルーム

 

カラスティングの戦いから一日が過ぎた。

 

各地に送り込まれていたバウンティハンターは一掃され、いよいよ後はレッドの本拠地である空中要塞を見つけ出すだけなのだが捜索に手間取っていた。

 

メディカルルームの一室では、目の治療を受けたアクセルがベッドで寝かされている。治療を行ったゲイトの話では、軽傷のため大事には至らず、あと数日もすれば視力が回復すると言っていたがそれまでは絶対に安静というわけで、目には保護用のプロテクターが付けられて許可が下りるまで外せないらしい。

 

そのため、彼は大人しく待機せざるを得なかった。

 

「アクセル、入るわよ。」

 

そんな彼の元にパレットが訪れる。

 

「パレット?」

 

「目の調子どう?」

 

「ゲイトに外したら二度と見えなくなるよって脅されているからなんとも言えないよ。後二、三日はこのまま大人しくしていろだってさ。」

 

見えない状況の中、アクセルは彼に対しての嫌味を言う。

 

「そんなこと言ってもしょうがないでしょ。アクセルの体は、分からないことが多いんだから。予備のパーツとか揃っていないんだし、慎重に経過を見なくちゃ。」

 

カラスティングの件で落ち込んでいないと安心する傍ら彼の子供のような態度を見てパレットは、ため息をつきながら言う。

 

「・・・・それはそうとレッドの居場所は分かった?」

 

「ううん。エイリア先輩やレイヤーと一緒に調べているけどまだ分からないわ。もう、バウンティハンターを全員倒れたんだから向こうも黙ってはいないと思うけど・・・・・あっ。」

 

自分から墓穴を掘ってしまったと思い、彼女は口を閉じる。目の前のアクセルは、口を閉じて黙り込む。

 

「あ、あのねアクセル。私、そんなつもりで言ったんじゃ・・・・」

 

「・・・いいよ、事実だから。レッドアラートを脱走した時から覚悟はしていたからね。」

 

アクセルは、気を遣わせないように言葉を返すがその顔はどことなく寂しさを感じさせる。

 

「ハッハッハッ・・・・・最近どうも嫌なことを考えちゃうようになってさ。」

 

苦笑し終えると彼は、恥ずかしそうな態度で話を始める。

 

「嫌なこと?」

 

彼らしくない言葉にパレットは耳を傾ける。

 

「・・・前にも話したけど僕には、レッドたちに拾われる以前の記憶がないって言ったよね?だから、僕は一体何者で誰に、何のために作られたのか不安になることがあるんだ。」

 

「アクセル・・・」

 

実際、コピー能力を含めてアクセルの体の構造は、謎に満ちている。どこかの研究施設から脱走したという可能性もなくはないが彼と同様の能力を持つレプリロイドは存在しない。

 

他者にはない能力を持ち、今はかつての仲間をその手で殺めてしまったアクセル。

 

そんな彼が得体の知れない自分の正体に恐怖を感じてしまうのは無理もなかった。

 

 

「・・・・大丈夫よ。本当は何者だろうとアクセルはアクセルで変わりないんだから。」

 

「えっ?」

 

パレットの一言にアクセルは、思わず驚く。

 

「だって、アクセル前に言ってたじゃない。『昔の事分からない分、今を頑張って行けばいい』って。」

 

「それはそうだけど・・・・・」

 

「イレギュラーだったのかもしれないのは記憶をなくす前の話でしょ?今のアクセルには関係ない話じゃない。それに・・・・」

 

「それに?」

 

「もし、イレギュラーになったらみんなが止めてくれるわ。みんな何も言わないけどアクセルだってもう『仲間』なんだから。」

 

『仲間』という言葉を聞いてアクセルは、今まで抱えていた不安が嘘のように軽くなった。

 

レッドアラート時代、確かに仲間はいたが飽くまでも仕事で組んでいるに過ぎないという側面が強く、こういったことを打ち明けられる仲ではなかった。

 

それは、自分の名付け親であり恩人でもあるレッドも変わらない。

 

「・・・・・・ありがとう、パレット。なんか少し気が楽になったよ。」

 

アクセルは、表情が緩み笑いながら彼女に礼を言う。

 

「じゃあ、私は仕事に戻るから次来る時までにその目治しておいてね。」

 

「うん。」

 

パレットが部屋を去っていく中、アクセルは部屋のドアが閉まる音が聞こえるまで軽く手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「う・・・・うん?」

 

黒エックスとの戦いによるダメージの影響で気を失っていたエックスは、目を開くと見知らぬ部屋の中に寝かされていた。

 

「ここは・・・・・」

 

周囲を見回すとすぐそばにいたはずのマーティたちの姿はどこにもない。体を起こしてみると誰かが毛布を掛けてくれていたようだ。

 

「どこなんだ、ここは?」

 

警戒しながら辺りを見回すと誰かの部屋らしく、自分はベッドに寝かされていたことが分かった。

 

「誰かの家だというのは分かるけど・・・・・でも、なんだろう?どこか・・・・・家にいるような、懐かしい感じがする。」

 

試しに部屋を出てみる。向かいの方には別の部屋があり、通路の先にはリビングが見え、反対側には研究室らしき部屋がある。

 

「どこかの研究所かな?・・・・ん?」

 

部屋のドアを閉じようとするとネームプレートが欠けられていることに気づく。

 

「『ROCK』?この部屋の持ち主か?いや・・・でも、聞き覚えがあるような・・・・・」

 

『にゃ~。』

 

「ん?」

 

ふと足元を見ると一匹のロボット猫が自分の所へ来ていた。

 

「猫?」

 

『にゃ~。』

 

「あっ、待て!」

 

ロボット猫は、エックスが自分の存在に気付くとその場から逃げ出す。

 

『ミャ~。』

 

「どこかへ連れて行こうとしているのか?」

 

猫が自分を見ながら立ち止まっているの見てエックスは、後をついて行く。自分についてくるのを確認すると猫は再び移動を始めた。

 

 

 

ついて行くと猫は家の外に出て行き、エックスもそれに続くようにドアを開けた。ドアの先には、少し広めの庭が広がっており、その端にある花壇で一人の少年が花の手入れをしていた。

 

『ミャ~!』

 

猫は、そのまま少年の方へと駆けて行く。

 

『ミャ~!』

 

「・・・・ん?あっ、タンゴ!今日も来たの?」

 

少年は、猫に気づいて作業を中断する。タンゴと呼ばれた猫は、少年の足元につくと後ろからついてきているエックスの方へと向き直る。

 

少年の目は、エックスの方へと向く。

 

「あっ。」

 

「目が覚めたんだね。よかった、突然目の前に現れて倒れていたから心配だったけど・・・」

 

少年は、まるでエックスを知っているかのような顔で話を始める。だが、エックス自身も初めて会ったはずなのにもかかわらずこの少年をどこかで知っているように感じた。

 

「・・・・君は?」

 

「あぁ・・・僕は『ロック』。ライト博士やロールちゃんから聞いていると思うけど君のお兄・・・・さんっていうところなのかな?」

 

ロックは、恥ずかしそうに答える。その言葉を聞いてエックスは目を丸くする。

 

シグナスやロールから話は聞いていたが実際兄である彼に直接会うのは今回が初めてだ。自分の兄であり、100年前世界を幾度となく救った伝説のレプリロイド『ROCKMAN』が目の前にいる。

 

しかし、だとすればここはどこなのだろうか?

 

 

「じゃあ、ここは?」

 

「僕のメインメモリーの中だよ。ライト博士が作った『Rシステム』は君と僕の電子頭脳をリンクする機能を持っているから意識が行き来できるようになっているからね。完璧というわけじゃねいけど。」

 

彼の言葉を聞いて何故このような事態が起きたのかエックスは、何となく理解できた。

 

どうやらダメージを受けすぎた影響でほぼ機能しなくなった『Rシステム』が反応し、本来なら機能停止にするところを逆に兄である彼の方に自分の意識を送ってしまったらしい。そうでなければ兄と出会うなんてことが起こるはずがない。

 

「・・・・そうか。」

 

安心したのかそれともショックを受けたのかエックスは、浮かない表情をする。

 

「どうしたの?何か困ったような顔をしているけど?」

 

察しがいいのかロックは、タンゴを抱えながらエックスを見る。

 

「・・・・俺、本当はこんなところに来ちゃいけないんだ。それなのにどうして・・・まさか、無意識に恐怖を感じて逃げたのか。」

 

「逃げた?」

 

その言葉に彼は、キョトンとする。エックスは、悲しい表情をしながら黙ってしまった。

 

「・・・・・」

 

「・・・・ここで立って話すのもなんだから家に入らない?僕の記憶の中だけど、昔の博士の研究所そのままだから少しは寛げるよ。」

 

ロックは、そう言うと彼の手を引いて家の中に招き入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンターベース 司令室(原作エックスの世界)

 

エイリアの問題行為からしばらくたったこちらでも大きな動きがあった。

 

「レッドアラートの本拠地が分かったというのは本当なのか?アイリス。」

 

司令室に集まっていたゼロは、腕を組みながら話を聞く。アイリスは、頷きながらモニターに座標を表示する。

 

「かなり時間がかかったけど、ここポイントRD18-66で間違いないはずよ。でも、急に反応が出るようになったから違和感を感じるわ。」

 

前回のこともあってかアイリスは、心配そうに言う。その様子を見てアクセルは、何かを察しているようだった。

 

「レッドの事だ。きっと僕たちの事を誘っているんだよ。」

 

「っとなると、乗り込む以外の手はなさそうだな。」

 

ゼロは、腕を組みながら言う。

 

「確かに何かあるかも知れないな。ゼロ、アクセルを頼んだぞ。後アイリスに心配をかけないようにな。」

 

気遣いのつもりで言ったシグナスの言葉にゼロは、ブッと吹き出す。

 

「お、おい、シグナス。最後の一言は余計じゃないか?」

 

「そうか?私から見れば毎度心配をかけているように見えるが?」

 

普段の彼らしくない冗談にゼロは、困った顔をする。その顔を見てアイリスは、クスッと笑う。

 

「アイリスにまで笑われたぞ・・・」

 

「フッ、レプリフォース大戦以降いつも心配かけていたのだから仕方ないだろう。言われたくないと思うのなら少しは自分のことを大事にするんだな。」

 

「だってさ。どうすんのゼロ?」

 

「・・・・最善を尽くす。」

 

全員に言われてゼロは、否定することができず小さな声で返事をする。アクセルにとっては、彼の意外な一面がまた一つ見れたのでよかったが。

 

「・・・・さっ、俺をいじるのはこれぐらいにして早くこの戦いを終わらせるぞ。エックスの捜索をしなくちゃいけないんだからな。」

 

「ハハハッ、そうだね!(ついに来たんだな・・・待っててね、レッド。もうすぐ、僕が止めてあげるから)」

 

二人は、武装のチェックをすると転送装置の方へ向かうために部屋を出ようとする。

 

「・・・・・」

 

「ん?どうしたのゼロ?」

 

急に入り口付近で足を止めたゼロにアクセルは不思議そうに聞く。

 

「・・・・・シグナス、どうやらもう一人行きたい奴がいるようだ。」

 

「えっ?」

 

突然に発言にアクセルは、どういう意味なのかよくわからなかった。そんな彼とは反対にシグナスは頭を押さえながら何かを悟ったようだ。

 

「・・・・そうらしいな。」

 

「入って来い。」

 

ゼロが言うと同時にドアが開く。

 

その先には、やっと自由になったのかエイリアが来ていた。しかもグライドアーマーを参考に製作したと思われる強化アーマーを纏っている。

 

「い、いつから気付いていたの?」

 

「ここで話を始めた時からだ。ようやく休んだかと思ったら隠れてそんなものを作っていたとはな。」

 

ゼロは、呆れた顔で言う。確かに見た目はグライドアーマーに近いがヘッドパーツは時間が足りなかったのか装着しておらず、代わりに被弾率を下げるために機動力の向上を兼ねてか各パーツにスラスターが増設されている。

 

「・・・・これでも結構切り詰めて仕上げたのよ。」

 

「っで、俺たちと一緒に行こうというのか?悪いが俺は反対だぞ。ガンガルンの所では助けてもらったがお前は実戦経験が足りな過ぎる。」

 

「それはそうだけど、一人でも戦力が多い方がいいでしょ!?」

 

「でも、レッドの事かだらきっとアジトの方は相当な罠が仕掛けられていると思うよ?ゼロと僕なら何とか切り抜けられると思うけどエイリアだと少し荷が重すぎない?」

 

ゼロと違ってアクセルは、反対はしないものの彼女を連れて行くのは危険だと思った。今までのエリアならともかく今回乗り込むのはレッドアラートの本拠地だ。レッドの事だけではなく、前回のブラックゼロの件もあって想定外の事態が起こりうる可能性がある。そんなところへエイリアを連れて行くのはリスクが大きい。

 

「た、確かに実戦経験が少ないことは認めるわ。・・・でも、足を引っ張らないぐらいには努力したつもりよ!」

 

「それはわかっている。だがな、エックスが新人ハンターだった時の時代とは訳が違うんだ。とてもだがオペレーターであるお前を連れていくことはできない・・・・・とは言いたいところだが、お前のことだ。どうせ、ここで突っ撥ねてもついてくるだろう?」

 

ゼロの言葉に対してエイリアは無言になる。どうやら図星だったようだ。

 

「・・・・ハア、アイリス。悪いが彼女の転送座標用の受信機を持たせてくれ。いつでも帰れるようにな。」

 

「えぇ、任せて。」

 

アイリスは、返事をすると一旦司令室を後にする。ゼロは、シグナスと顔を合わせると呆れたようにため息をつきながら再度エイリアの方を向いた。

 

「ゼロ・・・・」

 

「お前がその気なら俺は、止めたりしない。自分にもよくあることだからな。但し、飽くまでサポートとしてだ。下手に前に出たり、危険だと判断した場合は強制的に転送してハンターベースに戻ってもらうからな。それだけは守ってもらう。いいな?」

 

「え、えぇ・・・。」

 

「アクセル、出撃は30分後だ。それまでに武器に不具合がないかどうか確認しておけ。レッドとの決戦だ気を抜くなよ。」

 

「う、うん!!」

 

 

そう言うとアクセルも部屋を後にし、ゼロも出ようとする。

 

「エイリアもアイリスから受信機を受け取ったら転送装置の前に来い。遅れたら置いていくからな。」

 

「りょ、了解・・。」

 

すれ違いの際、彼は彼女にしか聞こえないぐらいの小さな声で囁いた。

 

「この間みたいな無茶はするなよ。お前がいなくなったらエックスが帰ってきたとき何も言えなくなっちまうからな。」

 

「・・・・・」

 

ゼロが部屋を出て行った後、シグナスは固まってしまったエイリアに声をかける。

 

「ゼロに感謝するんだな。正直言って私も今回の出撃に関しては許可を出さないつもりでいた。だが、前線で指揮をするのは飽くまで彼だからな。」

 

「シグナス。」

 

「私からも言わせてもらうが危険だと判断したらすぐに離脱するように。エックスの傷をこれ以上深めないためにな。」

 

「え、えぇ・・・」

 

エイリアは、再度自分の出撃を許可してくれたゼロに感謝をした。

 

「ありがとう・・・・ゼロ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

ロックの勧めで家の中に戻ったエックスは、浮かれない表情のまま椅子に座っていた。

 

「えっと・・・・飲むのはE缶でいい?それともW缶?S缶もあるけど。」

 

そんな彼に対してロックは、少しでも和ませようと飲み物を薦める。

 

「・・・いや、いいよ。今はそういう気分じゃないんだ。」

 

エックスは、そう言うと頭を抱えて考え始める。

 

これからどうするべきか。

 

このままでは、もう一人の自分が仲間たちを全滅させて体を乗っ取られてしまう。

 

そうすれば現実世界が大変だ。

 

かと言ってこのまま戻って果たして勝負になるのだろうか?

 

アルティメットアーマーを含めるすべての強化アーマーを駆使して敗北したのだ。何とか戻れたとしても勝てる見込みはない。

 

(奴は俺自身と言っていた。俺の動きはすべて見切られている。何か策を・・・策を考えなくては・・・)

 

「そうだ!ロールちゃんとライトットは元気?この間博士から、封印処置を解除したって聞いたんだけど。」

 

悩んでいるエックスにロックは、思い出したかのように聞く。

 

「・・・えっ?あ、あぁ・・・・姉さんとライトットか。二人とも元気だよ。二人ともハンターベースの手伝いをしてくれている。ロール姉さんは主にドップラー博士の手伝いやハンターたちのケア、ライトットは研究に没頭しているよ。」

 

「そうか。二人とも元気そうで何よりだよ。」

 

返事を聞くとロックは、満足そうだった。

 

(そう言えば兄さんたちは、封印処置を受けているんだったよな。外の状況が分からないのも無理はない・・・・・ん?確か兄さんは、昔俺の体を使ってあのフォルテを倒したんだよな?もしかすると兄さんなら勝てるんじゃないか?そうすればみんなは無事に現実に戻れるし、兄さんは久しぶりに姉さんたちに会える。しばらくは、俺の体を共用することになるけど戻れないけど兄さんにはこの上ないチャンスじゃないか。)

 

エックスの中に一筋の光が灯った。伝説となった彼ならあの圧倒的なもう一人の自分を倒せる可能性がある。自分一人では無理でも二人でなら勝てるかもしれない。

 

そう結論に達すると彼は早速ロックに話を持ち掛けようとする。

 

「兄さん、ちょっと頼みたいことがあるんだけど・・・・聞いてもらえないか?」

 

「ん?」

 

エックスは、ここまで来た経緯を手短に話す。

 

 

事故をきっかけにもう一人の自分と戦っていたこと。

 

窮地に追いやられていたところを仲間たちが駆けつけてくれたこと。

 

そして、気を失ってここに来たことを。

 

 

ロックは、タンゴを膝に乗せながら黙って話を聞いていた。

 

「だから、兄さんにも一緒に来て戦ってほしいんだ!俺一人じゃ、とてもだけどアイツには勝てない。でも、兄さんが一緒に来てくれれば勝てるかもしれない!」

 

「・・・・・」

 

「・・・勿論、自分勝手なお願いだとはわかっているよ。でも、マーティやドラえもんたちが今も俺の心の中で戦っているんだ。このままだと俺一人のために・・・・・・お願いだ、一緒に戦ってくれ!この通り!!」

 

エックスは、頭を下げて頼み込む。ロックは、タンゴを下ろして口を開く。

 

「・・・・本当にそれでいいの?」

 

「えっ?」

 

「僕が一緒に行くのは構わないよ。でも、エックスはそれでいいの?」

 

「・・・・・」

 

ロックの言葉にエックスは、黙り込む。

 

「・・・・・俺は・・・・・・俺は弱い。周りからは『英雄』だとか言われるけど自分一人さえ守れない。伝説と言われている兄さんとは違って・・・もう一人の自分を倒すことも。」

 

エックスは、暗い表情で話を続ける。

 

「それに・・・俺は・・・“本当のエックス”じゃないんだ。毎日学校に遅刻して、テストで0点取って周りに怒られて、挙句の果てに事故で呆気なく死んだダメ少年“野比のび太”なんだ。そんな俺が・・・・『そんな僕ができるはずないよ。』

 

エックスの姿が“野比のび太”に変わる。

 

そう、これが本来の自分なのだ。

 

トラックに撥ねられて本来の人生を歩めなかったことを哀れんだドラ神が今の自分を与えてくれただけで・・・本当はドラえもんの道具なしでは何もできない少年なのだ。

 

 

落ち込んでいる彼にロックは、優しく声をかける。

 

「ダメなんかじゃないよ。ライト博士から話を聞いているけど君はずっと頑張ってきた。戦いが何度も起ころうと終わらせるために。」

 

『それは今の体のおかげだよ。本当は一人じゃ何もできないんだ。ドラえもんたちが来てくれなかったらもっと早く負けていた。僕には無理なんだよ・・・・』

 

『ニャ~~!!』

 

自虐するのび太に対してタンゴは、動いたかと思いきや頭突きをしてきた。

 

『痛っ!?何するんだよ!?』

 

『ニャ~!!!』

 

「タンゴは、そんなことはないって言いたいんだよ。」

 

背筋を逆立たせるタンゴを落ち着かせながらロックは言う。

 

「君は確かに本来ライト博士が考えていたエックスじゃないかもしれない。でも、博士は君の心を消そうとしなかった。それは、僕たちとは違う可能性を持っているからそうしたんじゃないかな?」

 

『買い被りすぎだよ。僕は、そんな優れた人間じゃないもん。』

 

「そんなことはないよ。思い出してみて。君の周りの人たちのことをみんな君の力だけを認めてついてきたの?シグナス総監にエイリアさん、他のみんなやジャイロマンたちワイリーロボ。それに・・・・マーティさんだって君だったから一緒にやってこれたんじゃない。」

 

『・・・・・』

 

のび太は、思い出してみる。

 

マーティと最初に会った時は、頼りないと言われたことがきっかけで喧嘩した。

 

他のハンターたちからは甘ちゃんと見られて最初から尊敬されていたわけじゃない。

 

ゼロや他のみんなからも。

 

ジャイロマンたちからはロックマンと勘違いされていた。

 

それなのに今まで一緒に頑張ってこれた。

 

 

「みんな、君のことを認めていたから着いてきてくれたんじゃないかな。」

 

『それは・・・・』

 

「それに博士や僕、ロールちゃんにとっても君はエックスなんだ。本当も嘘もない。それにもう一人の君も君自身なんだ。」

 

『・・・・・「俺自身。」

 

のび太の姿がエックスに戻っていく。その姿を見て落ち着いたのかタンゴは威嚇をやめた。

 

「・・・・その通りだ。アイツは本当の意味で俺自身なんだ。他人でも偽物でもない。それが答えだったんだ。」

 

エックスは、頭を押さえながら苦笑する。

 

そうだ。

 

ここまで歩んできたのは自分に与えられた力や秘密道具だけじゃない。

 

自分の努力で進んできたのだ。

 

それに嘘も偽りもない。

 

 

 

「もう、大丈夫だね?」

 

見失いかけていた自分を取り戻したエックスを見てロックは、安心したように言う。

 

「うん。ありがとう、兄さん。おかげで答えが出た気がするよ。後は、俺自身でつけなくちゃいけない。」

 

「そうだね。」

 

『ミャ~~。』

 

表情が穏やかになったエックスのもとへタンゴが歩み寄ってくる。

 

「タンゴもありがとう。」

 

「僕よりタンゴの頭突きの方が効いていたのかもしれないね。」

 

『ミャ~~~。』

 

「フッ。」

 

和んでくるタンゴの頭を優しく撫でる。

 

その直後、エックスの体が透け始めた。

 

「・・・・・どうやら戻るみたい。」

 

「そうだね。自分の帰る場所へ戻らなくちゃ。」

 

「うん。」

 

下半身からどんどん消えていく。

 

「ロールちゃんとライトットによろしく伝えといて。」

 

「あぁ。・・・・・兄さん。」

 

 

上半身まで消え始めた時、エックスはロックを見ながら言う。

 

「何?」

 

「また・・・・・会えるよね?」

 

寂しそうに言う彼に対してロックはタンゴを抱きかかえて笑顔で答える。

 

「勿論だよ。今度は他のみんなも紹介するね。」

 

「・・・・わかった。俺もドラえもんやみんなのことを紹介するよ。」

 

「ハッハハハ・・・・・楽しみにしているよ。」

 

ロックが答えると同時にエックスの姿は完全に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グウゥ・・・・・」

 

フォルテは、瓦礫の中から這い出てくる。

 

既に全身の装甲は亀裂が入っているうえに所々内部が見えており、下半身は取れかけで数本の配線でどうにか繋がっていた。

 

「ここまでやりあうと最早虫けら以上のしぶとさよ。」

 

黒エックスは、這いずっている彼の姿を見届けると目の前で眠っているエックスへと視線を向ける。

 

「あわわ・・・・・遂にこっちに来ちゃったよぉ。」

 

「ビビッてんじゃねぇ、スネ夫!こういう時こそビシッと構えるんだ。」

 

そのエックスを守ろうとスネ夫とジャイアンが電光丸と空気砲を装備して身構える。同じく、マーティと静香、挙句の果てには玉美まで武装して待機していた。

 

「何としてもエックスを守るのよ!」

 

「う、うん!!」

 

マーティの言葉に対し、玉美は緊張しながら答える。

 

「ふん、我がここいらの雑魚共を相手にしている間眠っているとは・・・・呆れたものだ。」

 

そんな彼女たちに目もくれず、黒エックスはバスターを展開して近づこうとする。

 

「ん?」

 

だが、その足をフォルテが押さえた。

 

「まだ・・・・・終わりじゃねえ・・・・・・」

 

「死にぞこないが。」

 

黒エックスは標的をフォルテに変え、バスターのチャージを始める。対するフォルテもバスターを構えようとするが吐血で中断する。

 

「ゲホッ、ゲホッ!!」

 

「無駄なことを・・・・・今楽にしてくれる。」

 

最大までチャージをすると彼は、フォルテの目の前にバスターを向ける。

 

「あぁ、フォルテがやられる・・・・ん?なんだこの音?」

 

スネ夫は、思わず顔を伏せようとするが自分たちの後ろからもチャージ音がすることに気が付く。何事かと思い、一同が後ろを振り向くと後方の方で眩い光が発生していた。

 

「こ、これは・・・・」

 

「まさか!?」

 

そう感じた直後に巨大な光弾が発射される。

 

黒エックスは、回避しようとフォルテを蹴り飛ばすが間に合わず、腕を組んでガードをする。

 

「ヌウ・・・・・ムッ!?」

 

ところが光弾の威力がすさまじいのか彼は、地面を引きずりながら後ろまで吹き飛ばされ、壁に衝突すると同時に崩れる建物の下敷きとなった。

 

「うぅ・・・・・待たせやがって・・・・」

 

フォルテは、霞んだ目で光弾が飛んできた方を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・みんな、待たせた。」

 

そこにはバスターを展開したエックスの姿があった。

 

 

 

 




このエピソード、当初エックスがケイン宅で生活していた時の記憶を遡り、「なぜ戦う道を選んだのか?」を思い出すとものにする予定で小説版のキャラであるアルファの出演を考えていましたがうまくまとまらず、現在の形に変更しました。


ちなみに登場予定だったアルファは、ドラえもんみたいな世話焼きな性格で学力レベルが低かったエックスに勉強を教え、エックスの兄的存在だったが自分の非力さとこれから増えていくであろうイレギュラー事件に不安を感じており、エックスが今のままではケインや人間たちを守れないと考え、自らイレギュラーを演じてエックスに討たれるという流れで考えていました。



本当に長くお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
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