ドラえもん のび太の転生ロックマンX   作:赤バンブル

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レッド戦です。


レッド

22世紀 ロボット病院

 

「・・・・・暇だな。」

 

エックスは、気だるそうに病室のベッドで差し入れで受け取った『建設巨神イエオン』の最新刊を読む。結局、ドクターロボットのストップで2、3日入院することになり、彼の隣ではマーティが同じように雑誌を読みながら時間を潰している。

 

「しょうがないじゃない。今まで眠っていた患者が突然目を覚まして帰ろうとしたんだから。」

 

「それはそうだけど・・・」

 

ちなみにドラえもんたちは、この場にいない。取り合えず、退院の時に迎えに行くということで一旦、退散したのだ。一応、ドラえもんはタイムパトロールにすぐに帰れるように頼んでみると言ってはくれたが主に話を通してくれるリングマンが不在なこともあってあまり期待できない。

 

こうしている間にも自分の世界では、得体の知れない別世界の自分が行動している。同じ存在だとは言え、あまりいい気分ではない。

 

そんな彼を気遣っているのかマーティは、不安を和らげるように言葉を続ける

 

「それに眠っていたといってもエックス、自分の中で戦っていたでしょ?帰ったら暇もなくなるんだからここで少しでもいいから休みなさい。」

 

「マーティ。」

 

「私も撃つ練習してみようかしら?撃てるようになったらエックスよりも強くなったりして・・・・こう、ハドウケンッ!・・・・なんてね。」

 

彼女は、雑誌を置いて波動拳の撃ち方を真似てみせる。その様子にエックスは思わず、苦笑した。

 

「ははは・・・・マーティが俺よりも強くなったら大変だな。」

 

「どういう意味よぉ!?」

 

エックスの発言に対し、マーティはツッコミを入れるが冗談だと理解しているため、すぐに平常へと戻る。

 

「・・・・・はあ。でも、よかった。こうしてまたエックスと話せるようになって。」

 

「俺ももうみんなに会うことなく、消えちゃうんじゃないかと思っていたよ。」

 

「でも、勝てたじゃない。」

 

「マーティたちが来てくれたおかげさ。・・・それに兄さんの。」

 

「兄さん?もしかして、『ROCKMAN』に会ったの?」

 

「治療で眠っていた間少しだけね。姉さんとライトットによろしくだって。」

 

「・・・・そっか。」

 

二人は、寄り添い合いながら揃ってホッとしたような顔をする。

 

「今度は倒れないでね。一番心配するのアタシなんだから。」

 

「そういうマーティもね。」

 

「フフフッ。」

 

「フフッ。」

 

二人は、不安はあるものの束の間の休息を満喫していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリムゾンパレス ???

 

「そこだ!」

 

アクセルは、レッドの姿が見えた瞬間レイガンを発砲する。しかし、命中するとその影は消えてしまった。

 

「惜しかったな、集中力が切れてきたんじゃないのか?」

 

「まだまだ!」

 

既に戦闘を開始して随分時間が経つが比較的に余裕があるレッドに対してアクセルは、押され気味だった。

 

「・・・・思っていたよりも厳しいな。」

 

ゼロは、離れたところから二人の戦いを観戦している。実際、アクセルはこれまでの戦いを通りしてレッドアラート脱走以前よりも実力を大きく伸ばしている。だが、レッドの方は『センセイ』によるドーピングで自分が戦っていた時よりも大幅にパワーアップしていた。このため、当初考えに入れていた『レッドを生け捕りにし確保する』ことは、難しくなっている。

 

「大丈夫かしら、アクセル。」

 

アイリスは、心配そうに二人の戦闘を見つめていた。本来ならこの先で待っているであろう『センセイ』との戦いのために戦力を温存するために加勢するべきだったがゼロはその判断に踏み込むことができずにいた。

 

(本来の任務なら、俺たちが加勢するべきだ。だが、これはアクセルとレッドの戦いだ。ここで俺たちが加勢して水を差せばアクセルに後悔を残すことになる。奴との戦いも考えればこんな判断をするのは正しくないが・・・・)

 

ゼロが考えていると今まで休んでいたエックスが気付いたのか口を開いた。

 

「アクセルなら大丈夫さ。」

 

「ん?どういうことだ。」

 

「見てみなよ、二人の目。」

 

エックスに言われ、ゼロと改めてアクセルたちの目を見てみる。その目は本気でお互いに譲るつもりがないということが伝わってきた。

 

「アクセルは、本気でレッドに挑んでいる。レッドもそれに応じて応戦しているんだ。」

 

「だが、そうも言っていられない。あいつは今までの戦闘で武装をいくつかレッドに弾き飛ばされてしまっている。状況的には追い込まれているぞ。」

 

実際、この戦闘でアクセルは武装を変えようとした一瞬を突かれてレッドに武器と蹴り飛ばされてしまった。おかげで現在装備しているのはアクセルバレットのみでレイガンとGランチャーは、別の足場に落ちていた。拾いに行こうにも瞬間移動ができるレッドを相手では、非常に困難で現在は特殊武器を交えて何とか応戦している。

 

「そんなんじゃ、俺を倒すなんて夢のまた夢だぜ!!」

 

レッドはアクセルの背後に回り、鎌を振り下ろそうとする。

 

「言われなくたって分かってるよ!!」

 

アクセルは、素早くローリングで回避して銃口をレッドに向けた。

 

「ボルトルネード!」

 

「うおっ!?」

 

電気を帯びた竜巻をモロに受け、レッドは一時的に硬直状態になる。アクセルはその隙を狙って更に追撃を行う。

 

「ウィンドカッター!!」

 

風のブーメランが次々とレッドの体に傷を入れていく。しかし、硬直が解けたレッドはすぐに瞬間移動し、少し離れた足場で三人に分身する。

 

「やるじゃねえか。」

 

レッドは、笑みを浮かべながら言う。無論、このまま何もしないはずがない。

 

「こいつはさっきの礼だ!」

 

レッドは、分身と一斉に鎌を勢いよく振る。すると巨大な竜巻が発生し、アクセルを呑み込んでしまった。

 

「うわぁ~~!!」

 

「「「アクセル!?」」」

 

戦況が一変したことにエックスたちは、仰天するがレッドの反撃はまだ終わっていない。彼は、自ら竜巻の中に入り、真空となっている中心からアクセルを切り刻もうとしているのだ。

 

「アリジゴクって知ってるか、アクセル?地中に潜り込んで獲物を自分の穴へ引きずり落とし、その血を吸うって虫だそうだ。例えるなら、今の俺がアリジゴクでお前は巣穴に落ちた獲物ってわけだ。」

 

レッドは、鎌を振り回しながらアクセルを誘導する。アクセルは竜巻によって引き込まれたレイガンを拾い上げるとレッドに向かって撃つ。だが、貫通性能を有している弾丸は鎌に弾き飛ばされた。

 

「そんな!?」

 

「どうした?このままだとバラバラになっちまうぜ?」

 

アクセルは、続いてガイアシールドを飛ばす。これもまたドリルのように削られて無力化されてしまった。

 

「これもダメか!」

 

更にムービンホイール、スナイプミサイルを撃ち込んでいくがレッドの斬撃を前にほとんど攻撃が通らなかった。

 

「流石にまずいな・・・こりゃあ。」

 

アクセルは、苦笑いしながら言う。このままだとバラバラに引き裂かれてしまう。レッドは回転のスピードを速め、アクセルを近づけさせる。

 

「とうとう観念したか?謝ればやめてやってもいいんだぞ?」

 

「冗談言っちゃって・・・・・そんなことしたって止める気ないでしょ?」

 

「そうだな。」

 

アクセルは、回りながらどうすればこの状況を打破できるのか考えるが攻略の糸口が見つけられずにいた。あの渦の前ではどんな特殊武器でも無力化されてしまう。

 

(アリジゴクって確か獲物を自分の巣穴に引きずり込むんだよね・・・・引きずり込む?もしかして・・・・)

 

アクセルは何か思いついたのか弾みをつけてレッドの方へと突っ込んでいく。

 

「血迷ったか?態々自分から向かってくるとはな。」

 

レッドは、向かってくるアクセルを見ながら鎌を構える。そんな彼に対し、アクセルは武装をアクセルバレットに戻す。

 

「最後は自分の愛銃で死にたいってか?泣かせてくれるな。」

 

「これがうまくいかなかったら僕の体は・・・・やってみるしかない!!」

 

アクセルは、銃口を向ける。気が付くと彼はすでに鎌が届きそうな位置にまで落下していた。

 

「今生の別れだ!アクセル!!」

 

レッドは、鎌のビーム刃の出力を引き上げて振りかざす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリムゾンパレス(原作エックスの世界)

 

「ハ、ハハハッ・・・・・腕を上げたな、アクセル。」

 

同じ頃、こちらのレッドとアクセルの勝負は着いていた。ボロボロのレッドは、傷口を押さえながら弟分である彼の成長に称賛を送る。対するアクセルは銃を下ろした。

 

「・・・ゼロに鍛えてもらったからね。満足した?」

 

「どうだろうな?」

 

二人が会話をしている間に周囲の足場や天井が崩壊をし始めていた。少し離れたところで二人の戦いを見守っていたゼロとエイリアは、このままで自分たちも崩壊に巻き込まれてしまうと感じていた。

 

「このままだとここの崩壊に巻き込まれるわ!」

 

「アクセル、早くしろ!このままだと俺たちも生き埋めになるぞ!!」

 

二人の声に気付きアクセルは、急いでレッドに肩を貸して担ごうとする。

 

「おいおい・・・俺まで連れていく気か?」

 

「僕の勝手でしょ?」

 

アクセルは、ホバリング飛行で二人がいる足場の方へと飛んでいく。到着するとゼロは、呆れた顔で電子手錠を彼の腕にかける。

 

「揃いに揃って止めを刺す気はねえってか。かのイレギュラーハンター様にしては優しすぎねえか?」

 

「生憎、その厳しさのせいで償いをさせる間もなく消えちまった奴を多く見ているんでな。アンタには、他のメンバーのためにも罪を償ってもらう。」

 

「けっ、負け犬には死も優しすぎるって奴か。やってくれるぜぇ。」

 

レッドは、拘束されると醜態をさらされたと思いながら皮肉を言う。彼をエイリアに任せるとゼロは、アクセルの方へ向き直った。

 

「これでよかったんだろ、アクセル。」

 

「うん。ごめんね、二人だけで勝負したいなんてわがまま言って。」

 

「別に構わない。俺も似た経験をしているからな。だが、まだ全てが終わったわけじゃない。」

 

ゼロが言うと四人の周囲の景色が変化し始める。どうやら黒幕が次の勝負を仕掛けようと転送を始めたらしい。

 

「そう言えば、まだ『センセイ』が残っていたね。」

 

「あぁ・・・・・・おい!いい加減出てきたらどうだ、シグマ!!こんな茶番を見せられてそろそろ飽きてきただろう!?」

 

既に正体を把握していたのか、彼は転送が完了すると同時に顔を仕掛けて叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん!?」

 

しかし、明確な返事はなく、目の前で何かのうめき声が聞こえただけだった。

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

声の主を見てゼロとアクセルは、驚愕する。

 

「ウ、ウゥ・・・・・」

 

そこには黒幕であろうシグマの姿があった。だが、既に瀕死の状態で外部フレームはほとんど破壊され、内部も抉り取られているなどひどい有様だった。これには捕まったレッドも驚きを隠せなかった。

 

「どういうことだ?シグマがこんな・・・・」

 

『やっと来たか、待ってたぜ。』

 

「「!?」」

 

上から聞こえてくる声に二人か顔を上げる。

 

 

そこには、脚部がない見たことのない形状のライドアーマーに乗ったレプリロイドが浮いていた。ゼロは、姿を見るなり、思わず叫ぶ。

 

「VAVA!?」

 

そこには度重なる大戦の中でエックスに敗れ、戦死したはずのイレギュラーVAVAの姿があった。彼とは初対面であるアクセルのみ反応が微妙だった。

 

「エイリア、VAVAって誰?」

 

「私も直接見たことはないけど、エックスとゼロと同じ元イレギュラーハンターよ。そして、シグマの反乱の時に彼の計画に乗って死闘を繰り広げたイレギュラーでもある。確か、ドップラー博士の反乱で強化再生された後に再びエックスに敗れて死んだはずだけど。」

 

「計画に乗った?“この世界の俺”は随分と『小物』だったんだな。」

 

エイリアの説明に対し、VAVAは少し残念そうに反応する。

 

「“この世界の俺”?・・・・!まさか、お前も・・・・」

 

以前のブラックゼロの一件もあって、ゼロは今目の前にいるVAVAが自分の知っているものとは別の存在だということを察する。一同が困惑している中、彼に重傷を負わされたシグマは、ぎごちない動きをする。

 

「ヌ、ヌウゥウ・・・・VAVA・・・・何故だ?何故、ワシの邪魔をする?」

 

そんな彼に対し、VAVAはライドアーマーから飛び降りて見下すように見る。

 

「邪魔か。随分とやることが地味になったな、シグマ。この世界ではエックスの可能性に気付けなかったのか?」

 

「可能性だと?」

 

自分の知っているVAVAらしからぬ言葉にシグマは、よくわからなそうな表情をする。VAVAは、彼の装備品と思われるライフルを拾う。

 

「俺の知っているお前はこう言ってたぜ。あの甘ちゃんは悩み、深く考えることで俺たちには達しえない結論にたどり着くってな。」

 

「どう意味だ?」

 

「そんなこともわからねえとはな。しぶとくなった代わりにあの老いぼれジジイのサポートが無くなって記憶力が落ちたか?」

 

「なっ!?何故、貴様があの老人のぉ・・・・」

 

シグマが言いかけた瞬間、VAVAは、彼の顔をキャノン砲で撃ち抜いて破壊した。

 

「おっと、喋りすぎた。下手に干渉すると歴史がおかしくなるそうだからな。次までに思い出すんだな。」

 

VAVAは、独り言を呟いた後にゼロたちの方へ向き直る。

 

「さて、ゼロ。エックスがいないこの状況で俺一人に対し、お前たちは三人だ。せいぜい、楽しませてくれよ。」

 

「VAVA・・・・貴様、何者なんだ?あの黒いもう一人の俺と言い、死んだはずのイレギュラーたちと言い、お前たちは一体・・・」

 

「さあな、俺は積極的にこの世界に干渉する気はない。この世界の俺みたいに小悪党で終わりたくないんでな。・・・・だが、お前たちがどれくらい強いのか興味がある。そこのエックスの真似事をしたオペレーターも含めてな。」

 

VAVAの見えない気迫に押されたのか二人の背後にいるエイリアは身震いする。更に彼女のそばで拘束されているレッドもプレッシャーを感じていた。

 

「あの野郎・・・・本当にただのイレギュラーなのか?底が全く見えねぇ。」

 

ゼロとアクセルは武装を展開し、エイリアもレッドを後方の物陰に隠すとバスターを展開して対峙する。VAVAは、ライドアーマーを自分から離した。

 

「お得意のライドアーマーは使わないのか?」

 

「お前らに対してビッグアームを使うようじゃ洒落にならないからな。」

 

VAVAは、加減のつもりなのかシグマのライフルを構えて近づいてくる。対するゼロは緊張した表情で身構える。

 

「アクセル、この間の戦闘と同じだと思って戦うんだぞ。」

 

「OK。ゼロも近づきすぎて返り討ちに合わないようにね。」

 

「あぁ。」

 

一対三の最終決戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリムゾンパレス ???

 

「スプラッシュレーザー!」

 

「!?」

 

鎌が届こうとした直後、アクセルは銃口からレーザーの出力を極力抑えた泡を放つ。レッドの高速鎌は、どんな特殊武器も無効化してしまうが今回の攻撃は敢えて弱く撃つことに意味がある。

 

アリジゴクは基本的に地中で過ごし、巣穴から獲物が近づいてくるのを待つ。

 

しかし、その巣穴に水を大量に流して沈めたらどうなるのか?

 

アリジゴクは呼吸することができず、脱出しない限り溺死してしまう。アクセルが目に付けたのはそこだった。

 

レッドの高速鎌は確かに強力でほとんどの攻撃を寄せ付けない。なら、逆にその動きを利用すればいい。そのため、威力を極力に弱めたスプラッシュレ―ザーは泡を多量に含む水で最初に鎌の束に纏わりつき、滑りやすくする。これによって攻撃の態勢が崩れる。更にレッドの視界を奪い、自分の位置を把握できなくした。

 

「ちぃ!土壇場でこんな小細工を思いつくとは!!」

 

レッドは、鎌の回転を逆にする。すると逆風となったことで竜巻が消滅し、顔や体に付着した泡が消えていく。視界が戻ると目の前にはGランチャーを構えたアクセルが待ち構えていた。

 

「クッ!?」

 

「エクスプロージョン!!」

 

目の前に放たれた衝撃波でレッドの装甲の一部が吹き飛ばされていく。

 

「グウウウウ!!」

 

対するレッドも踏ん張ることで衝撃を受けきり、鎌でGランチャーを切断した。アクセルは素早く、Gランチャーを捨てるとレイガンで追撃をする。

 

「図に乗るなよ、アクセル!!」

 

レッドは、瞬間移動でレイガンの弾丸を躱すと一瞬で彼の背後に回り、鎌を振り下ろした。

 

「うわあっ!?」

 

行動が少し遅れ、アクセルの背中が切り裂かれる。だがダメージの影響で負担が大きかった左腕が爆発で吹き飛んだ。

 

「グッ!」

 

「レッド!?」

 

傷の痛みよりも彼の腕が吹き飛んだことに驚き、アクセルは膝をついた彼の元へと駆け寄る。

 

「もう、やめよう!!これ以上続けたら本当に死んじゃうよ!!」

 

「余計な・・・・・お世話だ!!」

 

「ガッ!?」

 

心配してきたアクセルに対し、レッドは肘打ちで怯ませると落した鎌を拾いなおす。

 

「俺はもう後戻りできねんだよ!!レプリフォースを抜けた時、カーネルたちが死んじまった時!センセイの野郎に組織を乗っ取られてアイツらを死なせちまった時からな!」

 

眼帯が外れ、痛々しい古傷が露わになる。そんな彼の顔を見ながらアクセルはバレットを手に取り、構える。

 

「だからって・・・・・だからって、そこまですることはないじゃないか!死んだら、それこそ無駄だよ!!」

 

彼は、ウィンドカッターで反撃を開始する。

 

「お前にはまだ分からんことだ!」

 

レッドは、右腕のみで攻撃を退ける。更に動揺しているところを一気に接近し、回し蹴りでアクセルのレイガンを弾き落とした。

 

「じゃあ、何で僕を拾ってくれたのさ!」

 

アクセルは、フラッとしたところで飛び掛かりマウントを取って彼を殴る。

 

「傭兵として育成するため?それともただの気まぐれで拾ったの!?」

 

「うるせぇ!!」

 

体を反転させ、アクセルを下に回すと今度はレッドが彼を殴った。

 

「ハア、答えは単純だ。何も知らねえガキだったお前の姿を見ていられねえと思っただけだ!自分の名前すら憶えてねえ、クソガキだったお前をな!!」

 

「痛っ!?」

 

また反転して再びアクセルがマウントを取る。

 

「なら、他のみんなはどうなのさ!?ウオフライやアリクイックの爺さんは知らないけど、ストンコングやカラスティングはアンタを慕っていたはずだ!死んだカーネルやジェネラルって人も!!」

 

「てめえがあいつらのことを口にするんじゃねえ!!」

 

反転し、両者の立場がまた変わる。

 

「確かに俺はレプリフォースの醜態に呆れてやめた!だが、あの二人のことは認めていたんだよ!!ジジイもカーネルもな!!」

 

「だ、だったら・・・・・」

 

マウントを取り直したアクセルは、何を思ったのか殴るのをやめた。疲れていることもあるがその顔は、悲しみに満ち溢れている。

 

「アンタが死んだら・・・・それこそ、二人に対して申し訳ないじゃないか。ハア・・・ハア・・・・」

 

彼は立ち上がったのも束の間、その場で仰向けになって倒れる。もう、どちらも戦えるような状態ではなかった。

 

「ハア・・・・・ハア・・・強くなったな、アクセル・・・」

 

レッドも熱が冷めたのか苦笑しながらアクセルに言う。対するアクセルも笑いながら答えた。

 

「今の僕を作ってくれたのはアンタだよ・・・レッド・・・・・アンタが拾ってくれたから今の僕がいる。」

 

「言ってくれるじゃねえか・・・・・」

 

両者の戦いは決着が着いたかのように見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・

 

 

その直後、決着が着いたことを察するように足場が揺れだし、空間が崩壊を始めた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

エックスは、驚きながらも落ちてくる瓦礫を避ける。衝動で足場にも亀裂が走り、三人が立っている足場が崩れ始めた。

 

「どうやら決着が着いた瞬間にこの空間が崩壊されるように仕掛けられていたようだな。」

 

「早くここから脱出しないと!」

 

二人が倒れている足場に巨大な瓦礫が直撃する。足場は崩壊し、アクセルは上に突き出るような態勢で落下せずに済んだが、レッドの方は斜めに落ちそうになっていた。

 

「アイリス、転送装置前に設置しておいた発信信号を確認してくれ!簡易転送装置で離脱する!!」

 

「えぇ!」

 

「エックス、急いで二人を回収するぞ!」

 

「あぁ!」

 

エックスとゼロは崩れていく足場を飛び移りながら二人の所へと急ぐ。

 

先に到着したのがグライド飛行で来たエックスの方だった。

 

「大丈夫か、アクセル?」

 

「う、うぅん・・・・」

 

彼は、倒れているアクセルを担いでその場から離れる。ゼロも遅れて到着し、レッドに向かって手を伸ばす。

 

「レッド!この手に掴まれ!」

 

ゼロは、セイバーを壁に突き刺し、ギリギリの距離まで近づくが僅かに届かない。

 

「・・オ・・・・俺に構わなくていい。お前も早くここから離脱しろ。」

 

「ふざけたことを言うな!まだ、間に合う!」

 

二人の所にところに落ちてくる瓦礫の量が多くなってくる。これ以上ここに留まるには危険だ。

 

「・・・・・」

 

レッドは、最後の力を振り絞ったのか自分の手を伸ばしてゼロの手に掴みかかる。

 

「よし、今引き上げ・・・・」

 

ところがすぐに手を放してしまう。

 

「おい!?」

 

彼はもう一度手を出そうとするが自分の手に何か握られていることに気付く。戻してみると手にはボロボロの勲章と何かのパーツがあった。

 

「お前・・・・」

 

「悪いな、俺はここまでのようだ。」

 

レッドは、笑いながら言う。

 

「アクセルに伝えておいてくれ。先に行って待っている・・・・いつでも来な・・・但し、慌てて来るんじゃねえぞってな。」

 

掴んでいた足場が崩れ、レッドは奈落の底へと落ちていく。

 

「レッドォッ!!」

 

「あばよ、ゼロ!!お前らと会えてよかったぜ!!くれぐれもアイツのことを頼むぜ!!!」

 

そう言いながら彼は奈落の底へと姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、四人は転送装置で宮殿の中へと戻ってきた。

 

アクセルは、アイリスの治療を受けながらレッドの最期を聞く。

 

「・・・・」

 

「すまない、アクセル。こんなことになるんだったら俺たちが束になってでも止めるべきだった。」

 

ゼロは、形見の品を手渡しながら謝る。

 

「うんうん、ゼロは悪くないよ。」

 

「アクセル・・・」

 

「遅かれ早かれ、レッドはこうなることは分かってたんじゃないかな。だから、僕を最後の相手に・・・」

 

「「・・・・」」

 

「ハハハッ、何言っているんだろうね?イレギュラーを倒すのがハンターの仕事のはずなのに・・・・」

 

アクセルは、顔を伏せながら言うが床にはポタポタと雫が落ちていく。

 

「あれ?なんだろう、これ。目から何か落ちてくる。治療してもらったばかりのせいでオイルでも漏れてきたのかな?」

 

「アクセル。」

 

「なんなんだろう・・・・目の奥が熱い・・・・それによくわからないけど痛みを感じるんだ・・・・わかっているのに・・・・なんで・・・・・」

 

アクセルは、手を握りしめながら体を震わせて歯を噛み締める。そんな彼をエックスは抱き寄せながら優しく撫でてあげた。

 

「それは、『涙』だよ。人間が悲しいときに流すもの。俺たちレプリロイドも同じように流すんだ。」

 

「クッ、クウウウウ・・・・・・・」

 

「いいんだ、辛いときは泣いて。ここには俺たちしかいないんだから。」

 

「レッド・・・・・・レッドォオオオ・・・・・・」

 

アクセルは、初めて思いっきり泣いた。今まで一度も流したことがなかった『涙』を言うものを初めて知った。

 

そして、この痛みは一生忘れることはない。

 

 

 

 

だが、四人はここで止まるわけにはいかない。

 

黒幕は、もうすぐ近くで待ち構えているのだから。

 




エックスの戦線復帰でダブルエックスをやりたかったけど無理かも。

次回はあのハゲの登場です。

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