プロローグ「星の記憶と前触れ」
我々は、どこで間違ったのだろうか?
「奴らが来るぞ!!」
「防衛システムが86%突破!守り切れません!!」
「脱出ロケットの発射まで何とか持たせろ!!」
「博士、脱出の準備を。」
私たちは、母なる星を脱出するために急いでいた。
この星で我々は星から取れる高エネルギーのクリスタルの恩恵を受け、高度の文明を築き上げ、その栄華は永遠に続くものと思われていた。
だが、どうやら神は傲慢となった我々人類に罰を与えたようだ。
私たち科学陣が新たな発展のために生み出した高性能AIを搭載したロボットたちが我々に対して反乱を引き起こした。彼らに組み込んだクリスタルはこれまでに見なかったタイプでロボットに対してどのような影響を与えるかを厳密に調べないで組み込んだのが誤りだった。
自らを『破壊者』と名乗って。
彼らは『黒い月』を生み出してこの星を破壊すると言い、人類を次々と虐殺していった。
あるものは無抵抗のまま消され、あるものは武力で抵抗して末に滅ぼされ、あるものは命乞いまでして無駄に殺された。
この星で栄えていた人類はあっという間にその数を減らされ、政府はついに選ばれた人間だけでも生かすために遥か遠く離れた開発中の小惑星に避難することを決意した。
いくつもの宇宙船が飛び立ち、残るは私たちのみとなった。
「博士、急いで!後は我々だけです!」
助手に言われ、私は残った脱出用の宇宙船へと乗り込もうとした。
だが、その直後宇宙船は爆破され、助手は私を庇って迫りくる炎の中へ消えた。
『ここまで絶望に追い込まれながらもまだ希望に縋ろうというのか?』
呆然としている私の目の前に「破壊者」の一人が舞い降りてくる。
人間を思わせる長い髪にまるでこの世界のすべての生を認めない黒い瞳。
そう、彼こそが私が作ったロボットだった。
「あ、アース・・・」
『アース?そうか、そう言えば貴様が私に与えた名前だったな。だが、その名も無意味だ。』
彼は、私に向かって人差し指を向ける。完成したばかりの時、彼はこの力で私の家族の命を奪った。私も同様に逝くようだ。
『アース!!』
だが、少し離れた上空から来た別のロボットによって彼は私に向けていた指を戻す。
『ジュピターか。どうした?』
『“奴”だ!“奴”が現れた!!』
『何?』
仲間の思わぬ発言にアースは、表情を変えた。
『マーキュリーとウラノスがやられた!間違いない!!ダークムーンも奴の手に!!』
『・・・・通りで成長が止まっておかしいと思っていたが。』
『どうする!?』
アースは、しばらく考えた後私のことを見て不敵な笑みを浮かべてこう言い残した。
『運がよかったな、人間。貴様の寿命はほんの僅かだが延びたようだ。尤も、貴様にとって更に恐ろしい絶望が待っているだろうがな。行くぞ、ジュピター。』
彼はそう言い残すと私の目の前から飛び去り、宇宙へと飛び出していった。
仲間のロボットたちと共に。
それを追うかのように白い眩い大きな光が星を離れて行った。私はそれを呆然と見送る。
そう、私は助かったのだ。
『博士、お食事の準備が整いました。起きてください。』
長い夢から私は目を覚ます。目を開けるとそこには私が新しく作り出した息子がいた。
「おはよう、アム。調子はどうだね?」
『はい。今日は特に異常はありません。ですがイムの足の調子が良くないようです。』
「そうか。では、メンテナンスをして原因を見なくてはな。」
『よろしくお願いします。』
私は、一人残されたこの世界で新しいロボット『アム』と『イム』を作った。私は、彼らにかつて『破壊者』たちの存在を教え、同時に彼らが自分たちの兄弟であり、遠い未来生き残りのために争わなければならないことを伝えた。
『博士、生き残るためにはどうしたらよろしいのですか?』
女性型ロボットのイムは、私の話を聞き遠い未来に備えてどうすればよいのかを訪ねる。
「お前とアムで沢山の子供を作りなさい。一人一人の力が弱くてもたくさんの力が集まればどんな脅威も乗り越えることができる。」
『博士、「破壊者」に勝った後は、僕たちはどうすればいいのです?』
「天国のような世界を作りなさい。」
あの後、私を始末しに来ると言い残した『破壊者』たちは姿を見せていない。何があったのかは分からないが私の寿命が迫っているから見逃しているのかもしれない。おそらくこの星に来ることはもうないだろう。
だが、私にはもう一つの不安があった。
私が死んだ後、おそらくアムとイムは遺言通りに多くの子孫ロボットたちを作り出すだろう。しかし、多くなればそれだけ考えの違う個体も生まれる。そして、私が与えた『闘争心』の強い個体同士が集まり、争いが生まれ、争えば争うほど力をつけてやがては「第二の破壊者」なってしまうかもしれない。
だから、私は『保険』としてこの星のあるプログラムを残すことにした。
「破壊者」たちのように破壊を望み他者を侵略するような行為へ踏み切ったとき、見境なくすべてを取り込み、やがてこの星をすべて「無」に帰す存在を。
「アム、イム・・・・」
寿命が尽きる寸前、私は最後に二人にかつて妻が教えてくれた歌を歌うように頼んだ。
一つ目は「愛」。
貴方と私は一つ。
二つ目に「願い」。
貴方は貴方。
私は私。
三つめに「思う」。
貴方はなあに?
私はなあに?
数万年後・・・・・・
「我が栄光なるメカトピア兵士諸君!!時は来た!!」
ある大集会場で多くのロボットたちが集まっていた。彼らの見る先には青い星が映されている。
「見るがいい!この青い星『チキュウ』はもうすぐ我々のものとなる。地球人を捕獲し、我々ロボットの“奴隷”とするのだ!!」
「「「「おぉおおおおおおおお!!!」」」」
「「「メカトピア万歳!!総統閣下万歳!!」」」
中央で演説を行っている総統ロボットに対し、多くのロボットたちが彼に称賛の声を送る。
「だが、同志諸君よ!この戦争は今までの戦争とはわけが違う。」
総統はホログラムを拡大し、ある映像を見せる。そこにはイレギュラーを討伐しているイレギュラーハンターの姿があった。
「『チキュウ』には我々と同レベルと思われるロボットが存在している。しかし!彼らは“人間の奴隷”として労働を押し付け、己の命令に従わないロボットを狩らせている!!これが許せるか!?」
「「「異議あり!!」」」
「「「「許すまじ、地球人類!!」」」」
「愚かな人間共に知らしめてやるのだ!!我々ロボットこそがこの宇宙を支配するに相応しい存在であることを!!そして、彼らを『救済』し、伝えるのだ!我々ロボットが皆『平等』になることを!!メカトピアに栄光あれ!!」
「「「「栄光あれ!!」」」」
「「「「ロボットに真の平和を!!」」」」
「「「神の子である我らから人間へ裁きの鉄槌を!!」」」
彼の演説に集会を見学に来ていた民間ロボットたちも賛同の声が上がる。
「リルル!!」
総統ロボットが呼ぶと集会場へ人間の少女の姿をしたロボットが入場する。
「重大な任務を与える!貴様は先にチキュウへ行き、我等『鉄人兵団』を受け入れらせる準備を進めるのだ。」
「はっ!」
「いいか、前線基地の建設はチキュウ側に悟られてはならん。失敗は許されんぞ。もし、失敗すればお前の誇りである兄の顔に泥を塗ることになる。」
「心得ております!!」
「ならばよし!」
総統ロボットは、再び兵士と民衆の方へ向き直って改めて宣言をする。
「栄光あるメカトピア兵士諸君!!これより、我々は『地球人捕獲作戦』並びに『チキュウロボット解放作戦』を開始する!!愚かな地球人に己の立場を教え、同志であるロボットたちを彼らの奴隷から解放するのだ!!」
「「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」」
だが、彼らは知らない。
これが自分たちの最大の過ちであり、やがて大きな悲劇になることを・・・・・・
21XX年。
レッドアラートの騒乱が終結し、束の間の平和が訪れていた。
イレギュラーハンターでは、タイムパトロールとの協定会議が開くこととなり、総監であるシグナスを始め、上級ハンターであるエックスとゼロたちが22世紀へ向かうことになった。
「えぇ~~!?何で僕だけ留守番なの!?」
参加者が巡査艇に乗り込んでいく中、アクセルはスーツケースを持っているエックスとゼロに対して言う。
「今回の会議は一部の部隊の隊長が出席することになっているんだ。」
「つまり、一般ハンターのお前は行けないというわけだ。分かったか?」
「えぇ・・・・」
自分も護衛で付いて行けるのかと期待していただけにアクセルがガッカリした顔する。
「おい、アクセル。そんなガッカリするなよ。向こうで土産でも買ってきてやるから。」
「それに勘違いされているようだけど飽くまで会議だからね。向こうで戦うわけじゃないから暇になると思うよ。」
「けどさぁ・・・・・僕だって毎日勉強と街の見回りだけだから何か新しい刺激が欲しいよぉ。それになんでマーティとアイリスは一緒に行くのさ?」
アクセルは、巡査艇に何事もないかのように乗り込んでいく二人を指さして言う。
「あれは・・・・会議の後の式典パーティに出席するからだよ。」
「いいなぁ・・・・やっぱり僕もイテテテッ!?」
突然自分の後ろ髪が引っ張られてアクセルは、思わず叫ぶ。後ろを見るとパレットが不機嫌そうな顔で自分の髪を引っ張っていた。
「パレット!?」
「もう、アクセルったら!教えてって頼んでおきながらどこに行っていたのよ!?」
「いや、僕はその・・・・」
「早くA級に上がりたいんでしょ?私も忙しいんだから早く行くわよ!!」
「アイタタタ!!せめて髪引っ張るのはやめて!?抜けちゃうよぉ~!!」
彼女に引っ張られながらアクセルは、情けない顔でその場から離れて行った。
「全く、相変わらずだなぁ。」
「いいんじゃないかな?俺も彼みたいな境遇があったから気持ちは分かるよ。」
「だが、こうも戦いが待ち遠しいようじゃ悪い意味でVAVAと一緒だぞ?アイツも戦闘狂な一面が強かったからな。」
「あぁ、だからアクセルにはもっと知ってもらいたいと思う。戦いの虚しさや辛さを・・・・・」
エックスは、一瞬心苦しい表情になった。
「大丈夫かエックス?」
「うん?あ、あぁあ。ごめん、少し昔のことを思い出して。」
そう言うと二人は荷物を持って巡査艇の中へと入って行った。
ハンターベースの指導室に連れてこられたアクセルは、眼鏡をかけたパレットの授業を受けていた。
「・・・・からにして、この約100年前の時代『失われた時代』とはロボット、つまりレプリロイドの原型ともいえる存在の開発がストップした時代と言われているの。その間の技術の低下で人類はライドアーマーのように自分で操縦するタイプと・・・・・って、アクセル聞いてるの?」
パレットは、無反応の彼に違和感を持ったのか後ろを向く。
「ZZZZ・・・・・」
アクセルは、口から涎を出しながら居眠りをしていた。
「・・・・・んんん!!アクセルのバカ~!!!」
「グエッ!?」
怒った彼女が投げた端末が頭に直撃し、アクセルは悲鳴を上げる。
「もうアクセルのことなんて知らない!!」
パレットは、怒りが収まらず部屋を出て行ってしまった。
「あっ、待ってよパレット~!!」
流石に居眠りをしたのは悪かったと思い、アクセルは謝ろうと彼女の後を追う。
「悪かったよ~!」
「フン!時間を割いて教えてあげていたのに・・・・もう、教えるのも馬鹿馬鹿しくなったわ!」
「ごめんてば!」
「知りません!」
彼女は、最後にアッカンベーをすると自室へと入ってしまった。
「はあ・・・・・何やってんだろう、僕。」
アクセルは、しょんぼりしながら来た道を戻る。あの様子だとしばらくはまともに話を聞いてくれないだろう。
戻る最中、彼は黄色のボディに頭部に赤いリボンを付けた丸い体型のロボットに呼び止められた。
「すみません。この施設の『アクセル』くんって言うロボットを探しているんですけど。」
「えっ?アクセルは僕のことだけど。君は?」
「私、ドラミ!のび太さんの頼みで貴方のお世話役に来たの!」
今回はリメイク版をベースの色々アレンジを加える予定です。
ドラミちゃんは・・・・ポスターでメイン枠のように扱われていたのに本編でほぼ出番なかったから出しました。