ハンターベース 格納庫
アクセルとドラミが発見した巨大メカニロイドの物と思われるパーツは、謎のボウリング玉と共にハンターベースに収容された。
ボールは、現状詳しいことは分からないが電波を発していることからゲイト曰く『恐らくパーツを転送するための発信装置』とされ、現に格納庫では一定時間ごとにパーツが次元を超えて次々と転送されてきた。
「ふむ・・・・」
ゲイトは、ボールを特殊な容器に格納して目の前に落ちてくるパーツを見る。
「電波遮断できるこの容器に入れてもパーツの転送は終わらないか。っとなるとこの装置なしでもパーツはパーツ同士で引き合っているのかもしれないな。」
そのパーツを招集された時給戦隊アルバイターことジャイロマンたちが一つ一つ運んで組み立てを始める。その様子をアクセルとドラミは落ち着かない様子で眺めていた。
「ねえ、ゲイト。持ってきた僕が言えることじゃないんだけどこのメカニロイド、組み立てない方がいいんじゃないの?なんか明らかに大きさが尋常じゃないし。」
「そうかい?スキャンしてみたけど内蔵火器やミサイルを除けば自爆機能はないようだから組み立てても問題ないと思うよ。」
「でも、エックスたちいないこの状況で勝手にやったらまずいんじゃない?ゲイト、前科があるんだしさ。下手にやったらまたエイリアに怒られるよ?」
アクセルは、心配そうに言うと彼は腕を組みながら考え始める。
「君は、あの一件以降僕のことを変な目で見ていないかい?・・・・・まあ、前科があるのは認めるけど。だが、このハンターベース敷地以外のどこで秘密裏に組み立てようというんだい?」
ゲイトの言うことは尤もだった。
これほど巨大なロボット、組み立てればどこだろうと目立つ。今は足の一部だけだがそれでも輸送用メカニロイドくらいのサイズでこれが全身になるとどれほどのものになるのか計り知れない。
なら、スモールライトで小さくすればいいのではと思うがどのみち詳細なデータを取らなくてはいけないため、元の大きさに戻す必要がある。それに内部は一応スキャンしたとはいえ、小さくしたら何か隠された機能が反応して想定外の事故が起こる可能性もある。
「それは・・・そうだけど。」
「あっ、だったら『鏡面世界』で組み立てるのはどうでしょうか?」
そこへドラミが解決案を挙げる。
『鏡面世界』とは、景色や文字などが全てが鏡映しになった世界でこちらの世界と全く同じ造りとなっており、人や動物などが一切存在しない。また、向こうの世界で事件が発生してもこちらの世界には一切影響が出ないため、この謎のロボットが危険だと判明しても安心して処分することができる。
彼女の提案にゲイトは、微妙な反応だった。
「確かにあの世界でなら街を壊そうが山を吹き飛ばそうが文句は言われないだろう。だけど、運ぶのにかなり手間がかかる。『入りこみ鏡』のサイズはただでさえ小さいからね。こんな巨大なパーツを入れるのは無理がある。」
「そっか・・・・それもそうですね。」
彼の一言でドラミは、何とか策はないかと首をかしげる。
「うん・・・・・・あっ!そうだわ!」
彼女は、ポケットから一つの道具を取り出す。
「おざしきつりぼり!」
彼女は一枚の巻かれた絨毯のようなものを敷くと取り付けてあるスイッチを押す。すると中央の辺りが水面に変化した。そして、今度は小型のガスボンベのようなものを取り出した。
「逆世界入りこみオイル!このオイルを垂らせば水面が鏡に変化するの!」
「つまり・・・・このつりぼりがその『キョウメンなんとか』って世界の入り口になるってこと?」
「そうよ、見てみて。」
ドラミは、つりぼりの水面にオイルを一滴落す。すると一瞬光ったかと思いきや水面は本当の鏡のようになっていた。
「鏡になった!」
アクセルは、早速釣り堀の中に頭を突っ込む。するとその先は自分のいる場所と瓜二つだった。
「本当に別世界と繋がっている!?」
彼は、顔を上げて驚く。その反応が面白かったのかドラミはクスっと笑った。ゲイトの方も満更ではないようだ。
「どうやら、場所に関しては問題解決になったようだ。早速今あるパーツをすべてそちらに運び込もう。」
ゲイトの指示でパーツは次々と鏡面世界へ運ばれて行く。運ばれたパーツは現地で組み立てが再開され、両足が組みあがった後は腰部、上半身、両腕と完成していき、後は頭部のみとなった。
「おい、このスペースのパーツだけどこにも見当たらないぞ?」
頭部の組み立ての最中、ジャイロマンは顔を挙げて言う。
「えっ?どんなの?」
「丸い丁度ボーリングの玉ぐらいのスペースだな。電子頭脳とかの当たる部分じゃないのか?それがないと動かないぞ。」
彼は大体の大きさを両手で伝える。それを見てドラミは、アクセルが拾ってきた青いボーリング玉のことを思い出す。
「もしかしてあの青い球じゃない?」
「そっか!じゃあ、早く持ってきてくっつけ・・・・」
アクセルがそう言って取りに行こうとするとゲイトが止める。
「悪いけど、あれは今解析中で使えないんだ。」
「えっ!?じゃあ、取り付けられないの?それじゃあ、動かないじゃん。」
「なに、対策は考えているよ。あの玉の代わりにメカニロイドのAIを組み込むんだ。本来のOSと比べて動きは若干鈍くなるとは思うけどテスト用でなら十分データが取れるよ。」
そこへタイミングよくつりぼりからダグラスが顔を出してきた。
「おい、ゲイト。頼まれていた大型メカニロイド用のAIパーツのことだが届くのに明日になるそうだ。」
「そうか。まあ、それぐらいなら妥当だろう。」
そう言うと彼はパソコンを閉じて出てきたダグラスと入れ替わる形で鏡面世界を後にしようとする。
「ダグラス、各機関の配列にミスがないかどうかチェックを頼むよ。」
「おう、任せとけって。」
「アクセル、君もそれに夢中になるのはほどほどにするんだよ。」
「うん。」
ゲイトが鏡面世界から去るとダグラスは、組み立て中のロボットのチェックを開始する。
「しっかし、驚いたな。南極でこんな巨大メカニロイドのパーツが送られてくるなんてよぉ・・・・新しい戦いの始まりにならなきゃいいけど。」
ハンターベース 会議室
現場を後にしたゲイトは、何故か例の球体が入った収納ケースを抱えて会議室へ向かっていた。部屋に入ると部屋にはエイリアの他にレプリフォースからフクロウルと副官のペガシオンが待ち構えていた。
「時間通りだな、ゲイト。」
「突然の呼びかけで来ていただいて助かります。」
彼は、ケースを机に置くと自分も席に着く。
「これが例の玉か。」
「はい。解析途中の段階ではこの玉は何らかの発信機でその電波を基に巨大メカニロイドのパーツが転送されてくると考えていましたが・・・・まずはこの図を見ていただきたい。」
ゲイトは、モニターを映して何かの図解を見せる。
それは目の前にある球体をスキャンしたものだった。
「これは本当にこの玉の中身なのか?これではまるで・・・・」
「えぇ、転送装置と言うよりも電子頭脳とほぼ同じ構造なのです。それもメカニロイドタイプではなく、我々と同じレプリロイドのように。」
「では、君はこの玉があの巨大メカニロイドの頭脳だと言いたいのか?」
ペガシオンは、目の前の玉に指を指しながら言う。その問いに対し、彼は頷く。
「現在、鏡面世界で組み立てている頭部にこの頭脳を収容するスペースがあることが判明しています。おそらく、ほぼ確実でしょう。」
「うむ・・・・しかし、目的は一体何だと言うのだ?南極で自分のボディのパーツを転送するなど・・・・まさか、シグマかDr.ワイリーの仕業か?」
「その可能性はないです。あのメカニロイドの装甲や機器の材質を解析してみましたが地球上は愚か同盟関係を結んでいるチャモチャ星でも確認されていない未知の金属でできていました。いくら、あの二人でも見知らぬ星からの物質を南極に転送してくるなどらしくもない。」
「となると我々の知らぬ未知の勢力が送り込んできたとなるか。」
一同は、しばらく無言になる。
「・・・・ゲイト、お前としてはどう見ている?」
「飽くまで推測の域ですが、この電子頭脳だけであれだけの巨体を組み立てるのは不可能です。そのため、転送されて来た場所には少なくとも数名の組み立て用の構成員が姿を見せるはずです。」
「つまり、その構成員を身柄を捕らえて目的を吐かせると言ったところか。」
「はい。しかし、確認しただけでも十分脅威になる武装を装備しているあのメカニロイドを送り込んできた連中です。もし、軍隊レベルで攻め込んできた場合に備えておく必要があると思います。」
ゲイトの真剣な表情にフクロウルは、一つの最悪の想定を口にする。
「異星人による“侵略戦争”か。確かに今の地球にあれだけのメカニロイドが大量に攻めてきたら恐らく我々の負けだな。」
その言葉にエイリアもペガシオンもゾッとする。
過去の度重なる大戦で地球はただでさえボロボロの状態だ。そこへもし大規模の異星人の軍隊なんかが攻め込んでくれば、イレギュラーハンターとレプリフォースが共同戦線を張ったとしても敗北は濃厚だろう。
「・・・・この件に関してシグナスの方には?」
「22世紀の方でタイムパトロールとの会議中のため、南極で謎の巨大メカニロイドのパーツを発見したとだけ報告してあります。後のことについてはあのメカニロイドのデータを取り次第、送る予定です。」
「では、我々レプリフォースも事態に備えなくてはならんな。レッドの奴にも負担をかけてしまうことになるが戦力の増強を行わなくてはなるまい。アイツ、鬼の形相で鎌突き付けてこなければいいが。」
「僕は、もう少しこの電子頭脳を解析してみようと思います。確かにレプリロイド並みの知能はあると思いますがあの本体に組み込んであるのか発声機能が備わっていないので会話できるレベルに。」
「だが、コイツはこの星に送り込まれた工作員だ。警戒は怠るなよ。」
その日、密かに行われた密会は終わりを告げた。
「・・・・・・・」
だが、既に第三者がその話を聞いていたとは誰も気づかなかった。
南極
同じ頃、南極ではブリザードが吹き荒れていた。調査チームもこの悪天候で早々に調査を打ち切り、そこには誰もいないはずだった。
「・・・・・・」
そんな自然の猛威の中で一人の物影があった。一見すると一人の少女だが格好はこの極寒の地では考えられない薄着をしている。彼女は、手に持っている発信機を頼りに数日前にアクセルたちが訪れたコサックの研究施設へと辿り着く。
「本来の予定ならここにパーツごと待機しているはず。なのにどうして何もないの?」
少女は、当初の計画と違っていることに困惑する。本来ならばここに自分と共に先遣部隊として仲間が待っているはずだった。だが、現場にはパーツどころか仲間の姿も見当たらない。
「ジュド・・・・どこにいるの?ジュド。」
彼女は発信機をしまうと頭を押さえて誰かに呼びかける。しかし、何も聞こえる様子はない。
「通じない。ジュドの身に何か起きたんじゃ・・・・・!」
少女は何かがこちらに近づいてきていることに気付き、近くの氷塊の後ろに隠れる。少しすると狼型のロボットが施設の方へと走ってきた。
「ゲイト様の命令で単独で見回りに来たが・・・反応なしか。」
ヴォルファングは、探知器を確認しながら周囲を見回す。主人であるゲイトの話では、この現場に必ず何者かが現れると推測していた。しかし、この悪天候のこともあり、探知器の反応も芳しくなく、足跡も吹雪で消されて少女の存在を見つけられなかった。
「この天候では、大規模な調査は無理か。例の巨大メカニロイドがハンターベースに運ばれて幾日が経つが・・・・果たして異星人がここに現れるのか?」
彼は、再度周囲を確認してその場から走り去っていった。
その姿を見送ると少女は、氷塊の後ろから出て来る。
「あれが地球のロボット・・・・ハンターベースとか言っていたけど・・・・もしかしてジュドは敵に発見されてしまったの?」
少女は、予想外のトラブルに首をかしげる。
相方が地球側に発見されてしまった以上、自分たちの存在が公にされてしまうのは時間の問題だ。となると方法は彼が捕らえられたと思われる『ハンターベース』と呼ばれる場所に自分が向かわなくてはいけない。最悪、本国から送られたパーツの処分も行うことになる。
「・・・・ダメ、ここにいては情報が足りな過ぎる。場所を変えて本軍に連絡を入れないと。」
彼女は、ふわりと宙に浮いてその場から飛び去った。
22世紀 Darkメン 地下室
『以上が偵察に行かせたシャドージョーからの偵察報告です。』
22世紀の人気ラーメン店『Darkメン』の地下室ではワイリーが自分の世界にいるシェードマンからの報告を聞いていた。
盗撮映像にはゲイトたちの密会の内容が記録されており、彼は興味深そうにそれを眺めていた。
「異星人のう・・・・まさか、ワシの時代よりも100年経ったそっちの世界でそんなもんが現れるとは予想外じゃのう。」
『いかがいたしましょうか?』
「ふむ・・・・」
記録は当然、資料も細かくコピーしており、ワイリーはその中で青い玉のデータを見ながら眉間に皺を寄せる。
「シェードマン、この青い玉をワシの元へ持ってこい。調べたいことがある。」
『第三次世界征服計画のように異星の技術を調べると?』
「それもあるが少し気になることがある。それに意思があるなら好都合じゃ、こっちで翻訳機に何を企んでおるか洗いざらい吐き出させてやるわい。」
そんな彼の表情に対してシェードマンは呆れた様子で答える。
『やれやれ・・・しかし、そう簡単に行きますかね?博士は、こっちの世界では今だに重要指名手配なんですよ?それに管理をしているのはあのゲイトさんです。早々、うまく回収させていただけるとは・・・・』
「シャドーマンを応援に寄こす。うまくあの若造を出し抜け、最悪な場合あのクワガタ爺の仕業にしてやれ。」
『はいはい、では定期通信終了しますね。』
通信を終えるとワイリーは、手を叩いてシャドーマンを呼び寄せる。
「ドクター、何のご用件で?」
「ある物を回収する任務じゃ。向こうの世界のシェードマンと合流してやれ。」
そう言うと彼は、何かが入ったケースを手渡す。
「これは?」
「ワシがやったとバレない様にするための秘密道具じゃ。これでうまくあのクワガタ爺の仕業にしろ。」
「御意。すぐにタイムマシンで出発します。」
シャドーマンは、影に潜るように姿を消した。自分一人になったことを確認するとワイリーは、再び資料を見直す。
「・・・・異星人か。100年前の奴らを思い出すわい。」
「博士~!昼飯の準備できましたよ!」
そこへダークマンたちからの呼びかけが来る。彼は、資料を机に置き、上の店の方へと歩いて行った。
鉄人兵団編もなんかすごくアレンジ加えそう(;'∀')